使うモノ語り   作:イヤマナ ロク

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第64話 魔ったく信じられない!

「ここで止まった。」

ユーザ達が追いかけていた風に飛ばされるように手紙はしばらく宙を舞い、人気のないゴツゴツとした岩肌の目立ち草木の一本も生えていない場所にたどり着いた。

「いつにも増して暑い……」

一帯には日差しを遮るものが一切ない上に紫外線自体もかなり強く感じた。ユーザも幾多も汗を拭うがその瞬間また額が濡れ出す。

「こんなとこに連れ出してどうするんだよ。」

「ったく、こんなゴタゴタアチアチな所走らせるなっちゅーの!」

ユーザ達が愚痴を吐いていると突然手紙がユーザに向かってくる。

「えっ何!もしかして怒らせた?」

「でもこの手紙付喪神じゃ無さそうだけど……」

すると手のひら程の大きさしか無かった手紙は突如大きくなり始める。やがてユーザの背を軽く越す位の大きさになった途端

「待て、包まれる!」

「わあっ!」

手紙はユーザ達を一気に包み込んで後その場から姿を消した。

 

先程まで手紙だった物はフュールラデディの大地に忽然と姿を表し中に包まれているユーザ達を、まるで食べ物を吐き出すかのように勢いよく外に出す。

「おっと、何とかなっ!」

ユーザは何とか着地し体制を整えるが、その後頭上からザッドとリンが降ってきた。

「痛ぇ……目の前が……見えない」

ユーザの目の前が暗転している内に紙はどんどん縮んでいき最初の手紙サイズに戻る。ユーザは頭を抑えながら風に舞うそれを何とか掴む。

「何か、風のやたら強いところだな。」

「あぁ、フュールラデディで間違いないな。」

ユーザが立っていたのは岩山によく似ていたが暑さが全く違った。それよりも何より風が強い。ユーザな身体中の汗が薄い服の繊維をすり抜け外気にさらされ若干の肌寒さも感じていた。

 

「ようこそ。ホウルホーストへ。」

背後から呼びかけてきた声に振り向くとそこには右肩に金の刺繍の付いた黒いマントを付け、右目が青、左目が緑の男が立っていた。

「どうも初めまして、ユーザです。あなたがご依頼を?」

「いえ、オレは依頼者の元へ貴方を紹介するために来ました。名前はテイです。よろしく。」

「こちらこそ。」

簡単な挨拶を交わし、テイはユーザを率いて歩き出す。道中、ユーザ達は手紙の不可解な箇所について疑問を投げかける。

 

「あの、オレに会いたいって書いてあったんですけど……何処かで会いました?」

「あの手紙は私の妹が書いたんです。多分妹に直接聞いた方が良いかと。」

 

「ホウルホーストって言うのは?」

「ここの地名です。」

 

「合法だの違法だの言うのは?」

「あぁ、あれは妹の多分ジョークです。実は、我々は魔法使いで魔法を扱う事が出来まして。だから法だけに合法とか書いたんでしょうけど意味わかんないですよね。すいません。」

 

「魔法使い!?えっ?ホントにいるの!魔法使いって、」

あまりにもさらりと告げられて一同は頭の処理が追いつかなかった。

「このホウルホーストという地域にはかつて、魔法を自在に操る事が出来るこの世にたった1人の大魔法使いの居城がありました。そして我々はその力を現代に復興させるべく自ら魔法使いになったのです。」

それをきいてもにわかには信じられなかった。

「例えばどういう魔法が?」

 

「オレが使えるのは属性魔法です。こんな感じの」

テイは右腕を天に仰ぐと手から炎が吹き出した。

「おお!」

その後炎はやがて固まり氷に変わりその氷が砕けて、砂に変わるとその砂が手から吹き出す風によってさらに舞い上がった。舞い上がった砂はまた炎になら火の粉となって、空に降り注ぐ。

ユーザ達はただただ呆然で開いた方が塞がらなかった。テイはそのユーザの表情を見て一瞬目を伏せたがすぐ顔を上げる。

「あっ、皆さーん!落ち着いて下さい!まぁビックリしますよね?ひとまず先へ行きましょう。」

 

その後、しばらく真っ直ぐ歩いた一行はある家に辿り着く。テイがドアの前に立ち、ノックするが、反応は無い。その後テイは耳に手を当て突然喋り始める。

「何あれ?」

その光景は何処かで見覚えがあった。

「これ、怪人のテレパシーみたいだな。」

テイは耳から手を離し、ユーザに向き直る。

 

「今はここにはいないですね。また歩く事になりますが我慢してください。」

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