使うモノ語り   作:イヤマナ ロク

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第68話 モノ知り顔は何処へ?

「でも一応参考にはなったと思う。ありがと。」

ユーザの笑顔を見てウィードは恐る恐る尋ねる。

「ありがとうございます!……でも、私にとってのユーザさんは間違いなく5年前のあの姿なんですが………それでもいいですか?ワガママ言ってるのは自分でも分かってるけど、でも!」

「分かってるよ。」

ユーザが手を出し彼女を静止する。

「別にイヤって訳じゃ無いんだ。ただ、記憶が無いから戸惑っただけで。その気持ちでキミが救われてるなら、オレに言う事は何も無いさ。」

「ユーザさん………はい!」

ウィードにまた笑顔が戻った。

 

「ユーザ、セリフがクサい。」

「クックサ、え?」

ハーズがボソリと呟く。

「全く、女子相手で浮かれておるのか?」

ザッドがため息混じりに続く。

「そんな訳無いだろ!そう言う雰囲気じゃないだろが!」

「分かったぞ!そーやって今までここぞって時に色々取っ替え引っ替えしとるんだな!オレッち達も!そのレフ何とかとか言う過去の相手も!」

「人聞き悪い事言うんじゃねぇ!大体付喪神相手にそんな訳無いだろ!」

ユーザが怒鳴るがリンは止まらない。

「わからんぞ〜〜?アッチにチョメチョメ、コッチにチョメチョメやっとるかも分からんぞ!」

「マジで黙れよ!そのチェーン引きちぎってやろうか!シャーバラン呼ぶぞ?」

「記憶喪失のモグリが何をゴタゴタ言うとるんだ!?昔は『太い方が抱き心地ガー!』とかのたまってる可能性もゼロじゃあ無いぞ!?」

「自転車が何を語ってんだよ!いい加減にしろ!」

「チェンジャー!ユーザを取り押さえろ!」

ザッドが叫ぶ。

 

「何だか……色々苦労してそうだな。」

「記憶を無くして若干性格も変わったような?」

テイとスモンがユーザを見て目を細める。

「………でもコレはコレで面白いかも。」

「「え?」」

ウィードがクスクス笑いながら呟く。2人が思わず二度見する。

 

「オーケイ!カモンカモン!!マイクテスト?マイクテェスト!ファンタスティック!」

突然ゲットオンが壁を突き破ってやって来た。

「あぁっ!耳が!」

その場にいた全員が耳を塞ぐが、付喪神は耳を塞げない。

「ヤバいヤバいダメージが直に来る!」

「ならば前進あるのみだ!フッ!」

ザッドはゲットオンに向かって竿を投げ、針が見事引っかかる。

「次はウォータス出身の作曲家ロップの十八番!『あゝ眺め良き清流』!ぶち上げよーゼーーーーー!!!!!」

「明らかにぶち上げる曲では無かろう!秘技、キャッチ&リリース!」

ザッドは思い切り自身を振り回し遥か遠くにゲットオンを放り投げる。

「ハァ……死ぬかと思った。サンキューザッド。」

「だがいずれまた来るぞ。彼奴の行動原理は何なんだ?」

ザッドがウィードに説明を求めた。

 

「アレは私が作った近くに流れている音を録る事が出来る杖の魔術具なんです。そしてある時色々な音楽を聴きたいと思い、風の魔力を付与させてさっきの手紙みたいに飛ばしてたんです。そして杖が丁度帰って来たら自分の事をゲットオンと名乗り出して……」

「ボクの家が一番音が響くとか何とかで居着いてしまって帰れないんです。」

ウィードの話にスモンが付け加える。

「まぁボクはその分一日中特訓出来るから好都合何だけどねー。」

「いやいや、家何日も帰れないのは魔法使いでもキツイから。チェンジャーだって何日も野宿は辛いだろ?」

「それは問題ありません。チェンジャー様はどのような生活環境にも苦言を呈さない性格ですので。」

クランボが当然のように言い張る。

 

「にしても、アイツの音と声は中々厄介だな。やっぱ魔法で何とか……ならないから依頼してるもんな。」

テイ達も肩をすぼめる。

「属性魔法を使おうにもかなり大量の風の魔力を付与した上、あの爆音が魔力と反響して少ない魔力でも魔法の威力そのものが増しています。こちらも簡単には………」

「その、他の魔法は?」

ユーザが尋ねるが、2人とも手を振る。

「アレを止めれる程の魔術具はまだ私には作れないです。」

「肉体魔法で身体強化すると相手だけでなく自身の肉体へのダメージも上がります。なので下手に身体強化で近づくと自滅してしまうんです。」

「そうか。ならやっぱ頼れるのは」

ユーザは付喪神達に視線を向ける。

「だけど、ボク達もさっきの音でダメージは受けたんだよ。だからなぁ正直向かうのは」

ハーズの声は苦々しい物だった。一同が八方塞がりかと思ったその時

 

「ウィードさん、魔術具の効果は永続の物なのでしょうか?」

クランボが声を出した。

「えっと、違います。魔術具の中の魔力は有限なので切れたらその時点で効果は消えます。現在、杖は付与された風の魔力も自身の稼働の為に使ってるんだと思います。」

それを聞きクランボは頷いた。

「そういう事ですか………ならばこのまま暴れさせれば良いのでは無いでしょうか?むしろもっと暴れさせれば稼働時間も短くなるのでは?」

「となると?」

「こういう事ですよ。」

 

「も!もり!もりあ!盛り上がりが足りない!モットモットー!!」

「お前こそそんなモンかー?」

「誰だ?」

突然呼びかけられたゲットオンが振り向くと、そこにはザッドを持ったチェンジャーがいた。

「キミこそぜーんぜんなんじゃないのー?」

「まぁ、海空の男に簡単に投げ飛ばされる程だからな。もっと出来る相手だと思っていたのだが。」

「超待てよ、え?超マジで?超マジで言っちゃってる?マイは万年パーリーピーポーだけだけだけのこのここしたんたん!?!?」

ゲットオンの動き、声、音がさらに大きく激しくなった。

「あのような手合いはこのように扇動すれば簡単に乗ります。あっという間に魔力も尽きるでしょう。」

「確かに。」

 

その後もザッド達はゲットオンを煽り続けた。そしてクランボの見立て通りゲットオンはそれに乗る度に覇気が消えていった。

「っフゥーーー………も…もり……あ……あぁあ……」

ゲットオンは息も絶え絶え、声もガラガラになり意識を保つのもやっとかっとになった。

 

「今だ!我を投げろ!」

「そぉれ!」

チェンジャーが竿を一直線に投げ、ゲットオンを釣り上げる。

「其方中々見込みのあるな。」

「へぇー?てか釣竿も武器になるんだー。」

「後はオレが!」

テイが呪文を唱えた。

「コジュルバル・オーガンテニマ・リアストロマグ」

ゲットオンの周りをに冷気が立ち込めたちまち氷に包まれる。

「これで良し。」

 

「やっぱ魔法ってスゴイな……!」

「いえ、こう出来たのもユーザさん達のお陰です。記憶、取り戻せると良いですね。」

テイ達魔法使いは礼を言う。

「確かに私がこの結論にたどり着いたのもユーザさん達の来訪で脳が活性化されたおかげでしょう。」

「久しぶりにあって気分転換にはなったよー。」

 

「その手紙をもってさっきの場所まで行けばライドエンプに辿り着くと思います。それでは。」

「ユーザさん!絶対私の事思い出してくださいね!」

「あぁ!絶対思い出す。じゃあこれで」

ユーザ達は別れを告げた。

 

──某国

「さっさとくたばれよ。相手すんのダリィんだよ。」

「ゲェェア!」

「オレ様に楯突いた事、後悔しやがれよ!」

「ダァン!!」

2体の怪人が切り裂かれ断末魔を上げた。

「こうやって怪人と戦うと、ユーザの事を思い出すよな、スライト。」

「アイツと一緒だと不思議と何でも苦に感じなかった。ドコいんだよ。マジで焦らしは嫌い何んだよ。レフレイド、さっさと行くぞ!」

2本の剣の付喪神はユーザを探していた。

 

「キミ達も付喪神?」

「ん?」

何者かぎ彼らに声をかけたが暗くて姿は分からなかった。

「ハーズって付喪神……知ってる?」

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