使うモノ語り   作:イヤマナ ロク

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第70話 根幹さえ崩れなければいい。余計な装飾を自然な個性にするのが私の使命。

「よく分かりませんね……」

とタキガワが依頼の手紙を見て難しい顔をしていた。

「何見てんだよ?」

ユーザが横から聞いてみるとその手紙を渡される。内容を除くが、

「うん?私の率いるアイドルに新たな彩りを持たせたい……ってえ?アイドルって何?」

「アイドル!?」

ユーザの何気ない呟きに雅之が反応してしまった。

「マサユキ、知ってるのか?」

「いやぁ………」

(アイドルなんて単語この世界で聞くことになるとは思わなかった!でももしかしたらオレの思ってるのと全然違う可能性がある。一応確認しておかねば!)

「いや、珍しく響きだなぁって、どういう物なの?」

「そっかマサユキも知らないのか……キンノミヤ、アイドルって知ってるか?」

「あぁアイドルか……確か集団で歌って踊る美男美女の事らしい。何か近年キョクアで発祥した物らしいがオレも詳しくは知らん。キョクアの情報は中々入ってこないんだよ。」

(やっぱオレの想像してるアイドルなのか?)

「あの、今回の依頼気になるんでオレ行かせてください!」

「あぁ、いいけどマサユキが自分から行きたがるなんて珍しいな。」

 

(自転車とかカニ用スプーンとかある世界だし、カントって国はおそらく日本みたいな国だろうし、アイドルがあってもおかしくないっちゃないけど、異世界のアイドル……なんか既に小説のネタで普通にありそうだな。)

雅之はリンのハンドル部に取り付けられた状態で風を感じながら色々考えていた。

「依頼人の待ち合わせ場所に着いたが……誰もいないぞ?」

待ち合わせ場所は特に日光を遮る場所の無い砂漠地帯だった。ユーザが周囲を見渡すが依頼人らしき人間はいない。しばらく待ったが結局誰も来なかった。

「なんだ?イタズラか?」

ユーザがペダルにまたがり戻ろうとすると

「うぐっ!」

突然何者かが後ろからユーザを羽交い締めにし、口に何かを含ませようとした。

「やめっ……ろっ!」

ユーザは咄嗟に膝で相手より腹に打ち込み腕を掴み一気に締め上げる。

「誰だ!」

「あっあぁ話してください!依頼人の物です!遅れてすみませーーん!!」

「えっ依頼?」

ユーザは手を離し離れる。相手は腹を抑えながら咳き込み体の節々を痛そうに触りながら自己紹介する。

「私、こういうものでして。」

渡してきた名刺にはエイメンと彼の名が書かれていた。

「すみません。ちょっとしたトラブルがありまして……遅れてしまいました。話し合いの場はこちらで設けましたので着いてきて下さい。」

「分かりました。オレの名前はユーザで…」

ユーザは突然倒れた。

「おい!ユーザ大丈夫!ユーザ!」

「貴様、何が目的だ!」

エイメンは振り向かず背を向けたまま告げる。

「強力な睡眠薬です。少しでも口に入れば、強烈な眠気が服用者を襲います。」

「何故そんなモノを!」

「ちょっとした、エンターテイメントです。」

そう言いながらエイメンは何かを地面に投げた。地面に落ちたそれからは煙が立ち込める。

「うわぁ何これ!………なんか、眠気が……」

「不味い、逃げ……」

「付喪神用の睡眠薬。こんなに効くとは……」

ユーザと付喪神達が完全に気を失ってしまった。

 

「……ここは?」

ユーザは真っ先に目を覚ました。中は縦長の部屋で床には振動が伝わる。目の前にはエイメンが立っていた。

「いかがでしたか?」

「いかがもクソもあるか。お前自分のやった事分かってんのか?こんなん捕まっても文句言えないぞ!」

ユーザはエイメンの胸ぐらを掴み言う。

「その手を退けてください。まず話し会いましょう。皆さんハッピー・マテリアライズのユーザさんにご挨拶を」

 

「「「「「はーい!」」」」」

緊迫した状況からは想像できない程気の抜けた返事がしたと思いきや部屋の向こう側の扉から5人の女性がやって来た。5人は全員似たようなコスチュームに身を包んでいるが全員細かい装飾や色使いに差異があった。

「初めまして、『手配書の女神』リーダー兼扇動担当のアージです!」

「殺戮担当のキラです!」

「窃盗担当のセーハです!」

「損壊担当のメイです!」

「計画担当のランです!」

「私達5人揃って世界初!逃亡犯系アイドルの」

「「「「「手配書の女神でーす!!」」」」」

「はぁ………?」

突然の事にユーザは思考が追いつかなかった。

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