使うモノ語り   作:イヤマナ ロク

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第74話 スモン 筋トレだけが肉体改造じゃない!

「チェンジャー、特訓の続きだ!出て来い!アレ?」

スモンはチェンジャーを普段特訓している場所にむかった。だが、そこにはいるはずのチェンジャーがいなかった。

 

「?家に戻ったか?」

腕を組んで首を傾げていると背後から何かが飛んできた。

スモンはそれを腕だけを動かして掴み取る。

飛んできたのは小刀だった。

「全く……何回目だ?もう諦めろって言ったろ!出てこーい!」

 

スモンは小刀を投げ捨て、チェンジャーに出てくるよう大声で呼びかける。

「呼びましたかー?師匠?」

チェンジャーは木陰からひょっこりと姿を表す。

スモンはため息混じりに注意する。

 

「もう諦めろ。どれだけ頑張ってたってオレを殺すなんて無理だ。」

「でもアンタを殺せる頃くらいにはボクは間違い無く強くなってるよねー?」

「いやそれは……そうかもしれないが……」

するとチェンジャーが唇の端をクワッと上げる。

 

「じゃあやめられないなー。特訓するより効果絶大だー!」

するとチェンジャー疾走し、近くの森の中に消えてしまう。

「いや、ちょっ!……ぁああ、アイツはホントに分かんねぇなぁ!」

アタマを掻きながらスモンは仕方なさそうに呪文を唱える。

 

「ソジュバエレル・クチモユア・ドルドペイス」

その瞬間スモンの姿が消えた。

目視できないほどに体の筋肉を動かし高速移動しているのだ。

「ミャルムエク・エトツサネ」

するとスモンのあらゆる視覚能力が10倍以上に強化される。

 

「見つけたぞ!」

2つの能力を使い、約1秒足らずでスモンはチェンジャーを発見する。

「覚悟!」

「貴方がその2つの魔法を使うのは分かっていた。だから!」

するとチェンジャーは咄嗟に体を回転させる。

いつも背中に背負っているバックパックをスモンの顔に向けたのだ。

「うわっ!」

スモンはそれを見て一瞬動きが鈍る。その瞬間、チェンジャーはバックパックをスモンの顔に押し付けた。

「成功ー!」

 

「チェンジャー様のバックパックは容量以上の物が入る特殊な物です。そして、その中身には大量の延べ100本以上の武器が所狭しと詰まっています。その上ここは森林。無自覚に色々な物が視界に入ります。これを視覚情報を強化した状態で見れば脳に多大な負荷がかかるのは明確でしょう。さらにスモン様が高速移動魔法を使う直前のチェンジャー様との距離は約300m!推定秒速300メートル以上のスピードで動く生物が脳に普段の10倍以上の視覚情報を半ば強制的に伝達されている状態では正確な判断も難しいでしょう!なのでこの状況に持っていけばチェンジャー様自身がヘマを犯さなければ相手に致命傷を与えられるのは確実!無論チェンジャー様に限って言えばそんな発送は杞憂でしかありませんがね。」

 

「解説サンキュー。っとここからどうしようか。一応心臓刺しとくかー?」

チェンジャーはそう口にしながら剣をスモン胸に突き立てようとする。しかし、

 

「?クッ、何故だ!刺さらなぃ?」

チェンジャーが何度も刃を突き立てるが彼の胸はまるで鋼鉄の塊かの如き硬さ。

全てを寄せ付けなくなっていた。

 

「なっ消えたッー!逃げるなぁヘンテコォッー!」

いつの間にかスモンの姿が消え、スモンの顔面を串刺しにしていたバックパックの凶器には何も残っていなかった。

激情したチェンジャーはクランボと剣を振り回して森林を暴れ回る。

「落ち着いて下さいチェンジャー様!こんな事をして

いる内にヤツが」

「している内ニッ!」

チェンジャーは背後から現れたスモンの手刀を受け失神する。

 

「………これで丁度40戦0勝40敗0引分ですか。」

クランボがそう呟くとスモンが遮るように言う。

「いや、今回のは1引分でいいよ。ぶっちゃけ今までで1番体力的にも魔力的にも負担が凄かったから。」

そう話すスモンの顔は凶器で出来た穴だらけだ。

「チアレデ・リガマオヨ・ヨジャマス・ウコメイズ」

呪文を唱えるとスモンの顔面の穴が塞がれていった。

 

「本当にそれで良いのでしょうか?今回も圧倒的な勝負だと思うのですが。顔に穴を10個以上開けても魔法で治されれば勝ち目はないでしょう?」

クランボの発言にスモンは言葉を選びながら応える。

 

「いや、そうでもないよ。彼は初めて会った時から想像以上に強くなってる。キミもこうやって戦略を張り巡らすようになってイキイキ仕出したような気もするし。何というか……彼の目的はとにかく相手を倒すための力を得ることだろう?ならこれが一番合ってるとは思うんだよね?まぁこんなの普通はあり得ないんだけど。」

「ええ。その事は重々承知しております。やはりチェンジャー様にはせっかくなら魔法を学んで欲しいという気持ちはありますし。」

「魔法を学ぶ………か。でも魔法はその、特訓でどうにかなるもんでも無いというか。だからこそ今のやり方が1番合ってるてのもあるし。てかこんなに強くなってどうするの?強い怪人程度ならもう楽に倒せるけど?」

 

「地獄だよ。」

「うわっいきなり起きた!」

失神していたはずのチェンジャーがいきなり起き上がる。

「地獄?」

「あぁ、地獄にはさ、強いヤツがいっぱいいるって知ったんだ。だからソイツらと戦いたくてねー。」

スモンはチェンジャーが言ってる事の訳が分からなかった。

 

「まず本当に地獄なんて物があると思ってるのかい?アレはそういう神話とか昔話とかの類いでホントにある訳では無いんだよ?」

優しく諭すが

「へー?魔法使いがそれを言うんだー。付喪神とか魔法使いとか怪人とか怪獣とかこの世界はかなり面白く出来てるんだよ?『事実は小説より奇なり』って言葉があるだろう?ボクはそれはホントだと思うけどね?だって少なくともボクが読んできた小説に怪人なんていなかったし。」

「………そうだね。」

(魔法使いの所に関してはぐうの音も出ない……)

 

「だからさぁ、ボクはもっと強くならなくちゃいけない訳。殺し合いは筋トレより楽に強くなれるしねー!」

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