城の中で調査をして半日程経った。テイは持ち込んだ城の資料や城の中の魔術具と睨めっこしながら、時折、顎に手を乗せ熟考しながらメモ張に何かを書き込みんでいた。
「どうテイ?ボクの籠手で何かわかった事ある?」
「はい、そうですね……」
テイはもう一つの籠手持ちながらハーズに視線を落とし話し始める。
「この籠手は、大魔法使いが作り出した魔術具の一種で、実際その人物が付けていた物でしょう。」
「なるほど……どういう効果なの?」
「おそらく魔力の出力を調整もしくは放出の補助?うーん……そこはまだまだ調査が必要ですね。そもそも実用に使う物にしてはかなり煌びやか過ぎるので、もしかしたらそこまで活動的な場面には使用しないのかな?という程度ですね。」
「他に何か?」
「一つ気になる点がありました。ハーズさんの傷についてです。」
もう一つの籠手をとハーズを比較しながら説明する。
「こちらの籠手は一見綺麗に金色に見えますが、よく見ると肉眼でも分かる位の細かい傷がいくつもあります。これはこの籠手が作られた時代についた古い物でしょう。」
「確かに。傷がある。」
ハーズも目を通す。籠手には煌びやかな輝きの中に擦れたりしたような傷がある。
「これはハーズさんにもあるんですが………」
「ですが?」
「ハーズさんにはその傷の上に別の傷があるんです。それもかなり新しいね。」
「新しい?」
テイは視線をハーズに移す。
「ハーズさんの傷はかなり深い物が多いでしょう?まるで何かに意図的にぶつけられたような。こっちの、自然についた傷とは違う性質が違うんです。その上調べてて分かったのが、これはおそらくここ最近、10〜20年についた可能性が高いです。」
「って事は」
「おそらく誰かがハーズさんを城の外から持ち出し、傷がつくような事をしていた。……逆に聞きたいんですが」
「何?」
テイは表情を硬くしながら尋ねる。
「付喪神として覚醒したタイミングは分かりますか?それがここ最近なのか大魔法使い存命時かで大きく話が変わってきます。」
「そう言われても、その記憶も無いんだよな。ホントに何も無い。名前以外全て。だから実質的にボクって今の姿が本来っていうか。ユーザの所持している付喪神っていうので自他共に納得してる感じなんだよね。」
「そうですか……」
「じゃああのさ、この城の中色々見せてくれないかな?それで何か思い出すかも知れないし!」
「確かに、やってみる価値はあるかも知れません。なら是非見てもらいたい場所があります。」
テイはハーズを持ちながら今いる部屋の扉を明け奥は進んでいく。中は光が刺さず、照明も無いので昼間でも一寸先も見えない暗闇だ。
「どこに行こうとしてるの?何か暗い割にはスタスタ足取り軽いけど見えるの?」
「いえ、見えませんが何回も行き来してるので曲がるタイミングやとか覚えてしまって。」
「タイミングとか言っちゃってるよ………」
「ここです。」
「いや、見えない!」
テイがある場所で立ち止まるがそこも暗闇で何も見えなかった。
「そうかじゃあ照らしますね。」
するとテイがゴソゴソ何かを、取り出す音が聞こえるとしばらくした後、部屋全体が明るくなる。
「これは……」
「この魔術具です。かなり魔力を喰うのであまり使いたくなかったんです。ここはおそらく第魔法使いが魔術具の精製の為に作った部屋です。」
部屋はドーム状で窓がなく天井には割れたシャンデリアがあり、壁にそって設置されている机には大量の魔法石や何かの動物の皮や牙や骨らしき物、植物の茎や果実だったと思われる残骸が残されていた。
床には大きな魔法陣が描かれておりハーズはそれを見て固まった。
「ねぇ……この床の模様?」
「あぁ魔法陣ですか。おそらく精製魔法を行う為に使う物ですが、どうかしました?もしかして記憶が!」
「うん。これ見た事あるボクをここに置いてみて。」
テイはは魔法陣の中心にハーズを置く。
「うん……この感じ。絶対どこかで見たことある。シャンデリアは割れてるし、部屋も全体的に埃っぽいけど間違いなくこの光景をボクは見たんだ。あと……」
「ではハーズさんはあの時代に付喪神として覚醒したという事?」
「おそらくね。でも他には何も思い出せない。ただ記憶を取り戻す感覚って不思議だね。自分のものなのに、自分のものじゃない感覚で正直不気味だな。ユーザもこれを味わってたんだ……」
ハーズの声色は色々な物が混じり合った不純物が滲み出ていた。