使うモノ語り   作:イヤマナ ロク

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第78話 ガリガリユニバース

「また入ってましたよ〜。」

今日の予約客の散髪が終わりタキガワはポストを確認し、手紙を取り出す。

「ユーザさん読みますか?」

ユーザは手紙を差し出されるがボーっとどこかを見据えていて返事がない。

「あれ、ユーザさん?聴こえてますか?」

タキガワが何回も返事するが、ユーザはずっと上の空だ。

 

「ハーズがいなくなってからずっとその状態なのか?」

切った髪の毛を掃除しながらキンノミヤが尋ねる。

「はい。心ここに在らずといった感じですね。」

「ハーズはユーザの心の一部だったのか?そこまで依存しているようには見えなかったが………まぁ見てろ。オレがシャキッとさせてやる。」

するとキンノミヤはどこかの部屋にいき一本の瓶を持ってきた。

 

「これはあの医者に作らせた。香辛料の刺激と様々な薬草の作用のダブル効果で目を覚ますドリンクだ。ほれっ」

キンノミヤはユーザの顔を掴み無理矢理口を開けそのドリンクを口に流し込んだ。

幸いユーザが硬直状態だったので飲ませる事自体は上手く行った。

「ぎゃああっ!んなあっ!あああっ!何飲ましてんだこのバカ!ってキンノミヤ!?お前かよ………」

「おはようユーザくん。そんなにハーズくんが寂しいのかい?」

顔を歪めるユーザにキンノミヤが嘲笑うように話しかける。

 

「いやそうじゃない。なんかその……ハーズがいなくなってから何というか変な感じするんだよ。」

「変な感じ?」

「ああ、何か妙に静かで落ち着く気持ちと同時によく分かんない心の底から吹き出してくるような感覚が同時に来て……それなんなのか考えてると、いつの間にか今みたいになってて……」

ユーザは自分の胸に手をあてながら言う。

「何じゃそれ。単にハーズがいないから身の回りが静かになっただけだろ?」

「そうかな?」

「あぁ、まあ依頼とかしてる内に忘れるだろ。ほらタキガワ、」

「こちらどうぞ。」

タキガワが持ってきた依頼の手紙を取り出しユーザは読み込む。

「何々…ガリガリ君?」

「ガリガリ君!?あるの!?」

「ガリガリ君!?ワタシの出番だろ〜!!」

 

「どうもハッピーマテリアライズです。あなたが依頼人?」

「あぁ〜わざわざ暑い中あんがとね〜。ほら入って入って。オレの名前はリグ。あんたは?」

「ユーザです。」

依頼人は中年の男性で夫婦で魚屋をやっているようだったので、ザッドが興味を示し出す。

「ほほう魚屋か。あとでじっくり見ても良いか?」

「え?今ユーザ君何か喋ったか?」

「ああ、今喋ったのはザッドっていう釣竿で。付喪神って言うんですよ。」

 

ユーザはリグに付喪神の事を紹介する。

(やっぱこういう時にハーズの事言わないのは慣れないな………)

「で、依頼内容ですけどガリガリ君の味を変えたいと?」

「ああそうだよ!」

リグはぶっきらぼうな口調で話し始める。

「こんな暑いとよ、ガリガリ君は手放せねぇだろ?んでオレガリガリ好きなんだよ。でも飽きちまった。」

「あっ飽きた?」

「飽きたんだよ。食い過ぎちまってよ。でも俺好きなんだよガリガリ君。でも飽きちまったんだよ。」

「おいお前それホントに好きって言えるか?ホントにガリガリ好きなのか?」

バカ医者が机を叩いて訴える。

 

「ちなみにワタシは一時期ガリガリくんしか手元に無くてそればっかり食べてたけど全然飽きなかったぞ!」

「何で手元にそれしか無いんだよ?」

「それが不思議でさ。その頃金持って外出るだろ?するといつの間にか所持金が無くなってて代わりに大量のガリガリ君が入った袋を持ってたんだよ。」

(え?コイツ無意識にガリガリ君を………)

その場の全員の体がすくんだ。

「いつからそれ無くなったんだよ?」

「睡眠薬飲みまくってたら治った。あっだからって睡眠薬を一度に大量服用するのは絶対ダメだぞ!ワタシとのお約束だ!」

「誰に向かって喋ってんだよ?」

 

「あの皆さん、何か当然のようにガリガリ君言ってますけど……結構有名な食べ物何ですかね?」

雅之が質問した。

(この世界ガリガリ君もあるとかおかしいだろ!!)

バカ医者が一番に応える。

「いいか?この世界の秘宝だ。簡単に口運んではいけない。」

「口に運ばすどうやって食べるんだよ。てかドカ食いしてたお前が言うな。」

ユーザがツッコみ、リグが正しい説明を始める。

「炎天下でも歩きながら食えるかき氷ってコンセプトだったかな?このライドエンプの菓子屋が30年前に出したのが始まりだ。」

「それで、大人気だから他の国でも売られるようになってこの国を代表する氷菓子になったんだっけ?」

「そうだ。でもオレは食いすぎちまって飽きちゃったんだよ。で、付喪神っつたか?それに人間にゃ考えつかないアレンジ考えて欲しいんだよ!それが依頼だな。」

 

こうしてガリガリ君の新味を生み出す事になった。

(え?まさかこの世界でもナポリタン味とか、メロンパン味とか狂ったのが出てくんのかな……)

雅之は内心ドキドキが止まらなかった。

「どうした?なんかチリンチリン鳴ってるけど。」

「威嚇?」

「動物じゃねーんだよバカ。」

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