最強騎士の優雅なる学園生活   作:ピグリツィア

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アニメ化するって聞いて「せっかくだし二次創作見てみよ〜」って思ったんですよぉ…一個もなかったので自給自足します。


最強の騎士

 

私、フェアニッヒ辺境伯令嬢、レノ・グロスシュヴェルト(16)は控えめに言って最強である。

 

 初等部低学年にも見えるような外見で侮られることも多いが、普通に最強である。

 

 具体的にどの程度最強かと言うと…王国の騎士団を総動員しても、私の前では雑兵も同然、そんじょそこらの魔術師であっても、私の前では魔術を使う前に首を落とされるのを待つだけ。そう言い切れる程度には最強だ。

 

 最近の悩みは時間が足りない事。自己鍛錬と日々の業務を熟せば残された時間は就寝前の数時間、この程度では私の使っている武装の改良も出来やしない。

 だから私のプライベートな時間を作るため、私の考えた私の使っている最強の武装を、誰もが使えるように設計図と猿でもわかる使い方指南書まで揃えて王宮で椅子を暖めている貴族達に叩きつけてやったのに…未だに私の為に作られた私による私だけの特殊魔装騎士団の隊員は私1人。これを怠慢と言わずしてなんと言えるのか。

 

 私の最大の欠点は私が1人しかいない事だ。そのせいで先ほども言ったように、新しい武装の研究をしたいのに、騎士としての勤めに加えて鍛錬の時間も相まって集中して研究出来ない。

 今はちょっと前に新しく加入した、コミュ障七賢人の協力で理論証明こそ出来てはいるが、そこから先(実用試験)には進めずにいる。

 

「こうなったら…モニカに私を十人くらいに増やす魔法を開発させるべき?」

 

「何を言っているんだレノ…」

 

 日課の自己鍛錬中にお父様が声をかけて来た。もうお昼の時間だっただろうか。いや、私の水晶時計より正確な体内時計はまだ昼前を指している。

 鋼鉄で出来た訓練用の人形の頭部を突きで吹き飛ばし、お父様の方へと振り返ると…引き攣った笑みを浮かべている。この顔は私が不機嫌になるような事を話す時の顔だ。

 

「あら、お父様。まだお昼には早いと思いますが」

 

「そうだな…レノ、大事な話がある。そのままでいいから聞いてくれ」

 

 お父様はたっぷり10秒掛けて、数度の深呼吸も挟んでから口を開いた。まったく、失礼な事だ。多少不機嫌になった所でお父様をボコボコのギタギタの血濡れ雑巾にする訳では無いと言うのに…

 

「レノ、お前には…セレンディア学園へ行って貰いたい」

 

 行って、の辺りでズガァン!と、足元から室内では鳴らしてはいけないような音が鳴る。私が訓練用の剣を地面に突き立てた音だ。

 控えめに言って、大変不機嫌、ブチ切れ寸前だ。場合によってはお父様をボコボコのギタギタの血濡れ雑巾にする事も厭わない。

 

「……お父様、この先祖代々受け継いできた立派な屋敷を、私の可愛らしい癇癪で跡形もなく消し飛ばされたくなければ…今の言葉、取り消した方がいいと思いますよ」

 

 訓練用の剣の持ち手を握り潰しながら、お父様に言い聞かせるようにゆっくりと話しかける。

 

 進学自体を拒否するつもりはないが、セレンディアは別だ。私の身にならないどころか、今まで磨き上げて来た剣の腕を腐り落とさせようとするのなら、私の持てる全力を賭して抵抗して見せよう。

 グロスシュヴェルトは必要とあれば何でもしてきた。井戸に毒をぶちまける事もあれば、敵国の田畑や家屋を焼く事もあったし、槍の先に刺した敵将の首を振り回して相手を畏怖させるなんて手段も使って来た。今更自分の家を吹き飛ばすくらい屁でもない。

 

「落ち着けレノ…これは武力で解決出来る程単純な問題じゃないんだ」

 

「試してみても良いんですよ?」

 

 三歩ほど後退ったお父様に対して脅は…交渉を仕掛ける。

 『力で押し通る。それだけが戦場で許された個人の自由意志だ』グロスシュヴェルト家の初代当主が遺した言葉の一つだ。私は今、ここが戦場だと見定めた。なので力で押し通る。

 国に忠を尽くすべき騎士としてはどうかとも思う言葉だが、グロスシュヴェルト家は傭兵上がりの家系だ。初代様は特に血の気が多かったとも聞くし、こんな言葉が飛び出るのも無理はない。そして私はそれを尊重している。

 

「……我がフェアニッヒ辺境伯家は6世代程前に…」

 

「歴史の授業はいりませんよ?」

 

 私は歴史学者ではないけれど、自分の家の辿って来た足跡くらいは知っている。今更何を教えられても時間の無駄だ。

 そして時間稼ぎは私の怒りを鎮めるどころか、むしろ煽るだけだという事も言外に伝える。

 

「…お前も知っての通り、父上…お前から見て祖父の代から辺境伯の爵位を頂いた。だが我が家はその出自から、口さがない他家からは『蛮族』や『捨て石』呼ばわりだ」

 

「そんな家、私が消し飛ばしてやっても良いんですよ?」

 

 過去に…主に初代様がやらかした事が原因で『蛮族』呼ばわりは止むなしだが、あれに関しては時代が時代だから仕方がない。それにしたってやり過ぎだとは思うが。

 

 だが『捨て石』は別だ。グロスシュヴェルト家が嬉々として死地に赴くような人間だとは言われたくない。

 一番槍を務めるグロスシュヴェルト家に続いた騎士が全滅した事はあっても、グロスシュヴェルト家の人間が死ぬ事は滅多に無いのだから。

 むしろ死地は基本的に避ける傾向にある。『武功に焦る事勿れ 引き際を見誤る事勿れ 怖気付く事勿れ』が二代目様の言葉だ。生存第一。無駄に人員を損耗する事は絶対に有ってはならない。

 

「だが我が一族が他の貴族よりも教養がないと思われるのも無理はない。今までは立場や印象の問題もあって社交界等への出席は控えていたからな。だからこそ今回、お前を貴族の子供達が集うセレンディア学園へ入学させようと考えているのだ」

 

 私の素敵な提案を黙殺したお父様の言い分を聞けば…なるほど、それならば納得だ。ごく普通の貴族が、ごく普通の子供を相手にするならば、それでも問題は無かっただろう…だが、私は最強だ。

 

「お父様、お言葉ですが…私の性格と武勲の数々を端から数え直して来てから言ってください」

 

 若しくは堕とした竜の首の数とその種類を暗記させるのも良いかもしれない。半日は掛かるだろう。

 私も伊達に最強を自称してはいないのだ。今までの戦績を見れば自他共に認める最強の騎士である事は揺るがない。

 

「お前の強さはよく知っている!落とした竜の首は二桁を優に超え、見かけた野盗を片端から監獄送りにした事で国王から勲章を授けられた事もあったな」

 

「あの時の国王の側近はおっかなびっくり、こいつは化け物か。と言った様子でしたね。ついでに言えば、私の考案した魔術武装を足掛かりに七賢人にも立候補しましたよ、政治的理由や私の立場的な問題その他諸々で落とされましたが」

 

 いくら騎士としては最強の私でも、魔術師としてみればそこらにいる上澄程度に留まる。知識も経験も技量も足りないのだ。そんな子供が七賢人の座に就けるとは期待していなかったが、いざ落ちたとなると悔しいものは悔しい。

 しかし、落ちたとは言え我が国でも最上位の魔術師とされる七賢人。その選考に出るだけでも相応の実績がなければいけないのだ。そう考えれば私の魔術のセンスがどれ程優れているかの証明にもなるだろう。

 

 剣では最強、魔術もそこそこ。そんな私をセレンディアに入学させるなんて、バカのやる事だろう。お父様はなんのつもりで私をセレンディアに捩じ込もうとしているのだろうか。

 

「今、セレンディアにはフェリクス第二王子が在籍している」

 

「私、暗殺の経験はありませんよ?」

 

 グロスシュヴェルト家は第一王子派だ。手段を選ばずに第一王子を王位に就かせるとなると…私に任せられる事は暗殺(それ)くらいだろう。

 個人的には気は進まない。気軽に暗殺なんて手を使えば、国は大混乱に陥るだろうし、そこまでして第一王子を押し上げる理由も見当たらない。

 そもそもグロスシュヴェルト家としてのスタンスは『国家第一』である。王に媚び諂いながら、影では自分の利益だけの為に動く木端貴族とは違うのだ。そのような物騒な手段は第二王子が乱心してからでもないと使う気にはなれない。

 

「お前は何故すぐにそういう手段を使いたがるんだ…目的は牽制だ。我が家が第一王子派というのもあるが、クロックフォードの爺が何を企んでいるのか分からん。だからあの王子に対して目立つ牽制が欲しいんだ」

 

 聞いてみればなるほど、と言える動機ではある。お父様もお祖父様も、クロックフォード公爵が大っ嫌いなのは今に始まった事じゃない。そんな大嫌いな相手がコソコソ動いているなら何かしら手を打ちたくもなるだろう。

 

「それで私にお嬢様学校へ入れと?」

 

 だがそれはそれ、これはこれだ。ミネルヴァならまだしも、貴族同士でウフフと笑いながら机の下で足を踏み合うのは私の趣味じゃない。もっとこう、血湧き肉躍るような決闘で物事を決めるなら吝かではないのだけれど。

 

「結界の魔術師、ルイス・ミラー氏の行動とその結果から、殿下が何かしらを隠しているのは確実だ。お前なら寝込みに刺客が百人同時に襲って来た所で、最悪周囲一帯が更地になるだけだろう…いや、貴族の通う学園を更地にされては困るんだけどな?」

 

 ここで出て来たのは意外な名前。チンピラ七賢人こと『ルイス・ミラー』だ。弱みでも握る為に送った密偵が、何かしらの情報を握ったのだろうか。だがそれだけでは私を動かす理由には弱すぎる。

 

「あのチンピラ七賢人が…嫌がらせでしょうか?」

 

「いや、今回に関しては確実に何かがある。どうやらルイス氏は陛下からの密命で第二王子を護衛しているらしい」

 

 これまた意外な名前だ。陛下が第一王子派のチンピラに第二王子の護衛を命じる?戦力的には疑いようもないくらい適任だが…随分と面倒な事になってそうだ。武力で解決できない問題なら私以外に回して欲しいのだけれど。

 

「あのチンピラが第二王子の護衛?どこからこの情報を?」

 

「これに関しては陛下が便宜を図ってくれた。曰く「あのじゃじゃ馬娘に生徒ごと学園を吹っ飛ばされたら敵わん」との事だ」

 

 陛下の不安は恐らく…万が一、億が一、第二殿下の護衛を不審者と勘違いした私が学園の諸々ごとソイツを吹っ飛ばさないように、と言う事だろう。

 そんな事する訳ないだろう!と言いたい所だけど、一度似たような事をやらかした前科がある以上、何も言えない。

 あれは本当に不幸なすれ違いではあったのだけれど、それはそれとしてやり過ぎと怒られてしまった。流石に勘違いで王城の一室を吹き飛ばしたのは許されなかった。

 

 それはともかく、お父様が陛下に対して私の進学の話をしたと言う事を聞き流す訳にはいかない。

 

「お父様、さては最初から私をセレンディアに入れる予定でしたね?」

 

「ああ、その話を陛下にした所でその情報だ。結果、お前の我儘を受け入れる余裕が無くなった」

 

 なんだかんだ言ってもお父様は私のことが大好きだ。私が嫌と言えばセレンディアへの入学を強制してくる事はなかったはず。

 だが今回、第二王子が何かよからぬ事を企んでいる可能性があるとなれば…お父様の出せる手は()()しかないのだろう。だから今の今まで食い下がってくる訳だ。

 

「元はお前に貴族としての立ち振る舞いを学んでもらう為に入学させようと考えていた。俺もそういう教育は多少なりとも受けたが、少し遅かったからな。グロスシュヴェルト家は傭兵から成り上がった家だ。戦闘技能に関してはこの国でも1、2を争うだろうが…辺境伯の爵位は祖父の代で下賜された物だ。この機会に貴族としても動ける下地を作っておきたい」

 

 グロスシュヴェルト家は初代様のやらかしや、その後のいざこざが尾を引いて、お祖父様の代になるまでは男爵扱いだった。北部の劣悪な物とは言え、広大な領地を貰っていたにも関わらず、だ。

 いくら北部が良い土地とは言えなくても、領地は領地。そうして今までは伯爵級の領地を持った男爵、なんて普通では考えられない状況だったのが、現国王が即位後に辺境伯の地位を下賜してくれたおかげで、名実共に立派な貴族の仲間入りとなったのだ。むしろ領土がその域になる程の戦果を挙げていたのに男爵止まりだったのが問題なのだが。

 

 そして、男爵と言っても戦地に生きる傭兵上がりの騎士の家系。今までは歴代の王族からの配慮もあって基本的に社交会などに呼ばれることはなかったらしいが、辺境伯ともなればそうも言ってられない。お祖父様は死に物狂いで貴族としての諸々を学び、お父様も北部山岳猟兵団団長の座に居ながら、貴族としての礼儀作法を学んできた。

 

 そして、グロスシュヴェルト家の長女である私も最低限の礼儀作法は学んでいる。グロスシュヴェルトの子供が社交界について学ぶのは、私が初めてと言うこともあったので、相当気合いを入れて準備をしていたのだが…ここでお父様もお祖父様も想定外の事態が発生した。

 

 そう、私が最強だったのだ。淑女としての立ち振る舞いよりも、戦士としての技を磨かせる程に。

 

 結果、私はこの歳で国の中でも最強の騎士と呼ばれるまでに成長し、竜と賊の屍の山で出来た数多の勲章と共に、私直属の兵団である『特殊魔装騎士団』の設立を許して貰えた。

 それと同時にお父様やお母様たちの当初の予定であった『セレンディア学園へ通って、他貴族との繋がりを広げる』という予定は儚く消し飛んだのであった。

 

 だがそんな直属部隊、嘆かわしい事に2年経っても合格者が1人も出ないでいる。その間も私は竜を堕とし続けてはいるが、騎士団としては規模が小さすぎる。そこら辺を椅子に座っているだけの貴族に突っつかれているのは記憶に新しいが…団員が居ないのは事実なので反論はできない。

 

 お父様が私をセレンディアに入学させようとした理由は「一度東部や北部以外の貴族とのコネを作ってから戻ってこい。あわよくば良い伴侶も見つけてこい」と言った所だろう。確かに理解できない物ではないし、諸々の事情を無視すれば、これを拒否するのは我儘とも言える。

 

 しかし、お父様にとって喜べばいいのか悲しめばいいのかは分からないけど、私は最強なのだ。

 セレンディアなんて場所に行ったら剣の腕も魔術の腕も腐り落ちそうだし、どうしても進学するならば、魔術を学べるミネルヴァ一択だろう。ミネルヴァで魔術を学べば魔剣の改良も出来るようになるかもしれない。

 

「私が研究や仕事に集中できる時間をくれれば、今まで以上の権威を得る事だって出来ますよ。それに、政治ごっこ(そういうの)(アイツ)に任せれば良いじゃないですか」

 

 国で発生した竜害を片端から解決するも良し、新しい武装を研究するも良しだ。

 賊の類は私が粗方片付けたので当てにするのは難しいが、国で起こる『武力による解決』を必要とする問題を片端から片付ければ、権力なんて勝手についてくるだろう。

 それを勘案すれば私をセレンディアに縛るよりは、自由に動かす方が得だというのはお父様もわかっているはずだ。

 その上、魔法の才には恵まれなかった私の愚弟ならば、そういう方向の物事に現を抜かす余裕もある。事実セレンディア中等部に在学しているんだ。自己鍛錬と魔法の研究で手一杯の私よりは適任だろう。私は貴族同士の足の引っ張り合いに付き合っている余裕は無い。

 

「アランにはまだ早いだろう…それにアランが高等部に入る頃には第二王子はとっくに卒業している。この際第二王子とクロックフォードへの牽制だけで良いんだ!なんなら第二王子が卒業したら騎士団の業務に戻ってくれても良い!だから頼む!新しい装備の研究費も…多少ではあるが融通しよう!」

 

 研究費の融通は…ほんの少し心惹かれる提案ではある。新技術の開拓はいつだって金のかかる物。私のポケットマネーは潤沢にあるし、そこそこ成果も出ているので国からの支援金もあるけれど、投じる資金はあればある程良い。

 だが、問題は私の心情以外にも存在する。

 

「そもそもあの学園がクロックフォードのお膝元だというのは?」

 

 クロックフォード公爵とフェアニッヒ辺境伯が犬猿の仲なのは、どの貴族も知っている事だ。公爵と辺境伯という爵位の差はあれど、こちらは北部の軍事を一手に担う家。万が一表立って政争を起こした場合、洒落にならない規模の喧嘩になる。普通に内乱だし、軍事クーデターだ。

 

 そんな相手のお膝元に最強の私が突っ込んでいけば、普通に宣戦布告と捉えられかねない…だからお父様は国王陛下に相談したのか?

 

「クロックフォードが我が家と対立しているのは今更だ。それにお前に手を出そうとしても…お互いが()()()酷い目に遭うだけだ。いくらあの古狸でも学園を丸ごと消し飛ばされるのは避けたい筈だからな」

 

 クロックフォード側が何かしら手を出した時、私がそれに気づいたらどうするか。下手人とその関係者をぶち殺しても怒りは収まらないかもしれない。

 なんなら下手人に反撃する時に魔剣を持っていたら周囲一帯の建物を消し飛ばすかもしれない。これに関してはただの八つ当たりだ。怒られようが知ったことではない…いや、冷静に考えるとお父様たちは私が更地化(そう)する事前提で話してないか?

 

「お父様、陛下もですけど…さっきから私が学園を消し飛ばすとか、学園は帯剣が許されているのですか?流石に『魔剣』が無ければ更地にするにも一苦労なんですけど」

 

 いくら私が最強でも化け物ではないし、本業は魔術師でも無い。精霊門ももっと勉強しなければ使えないだろうから、広範囲攻撃をするとなると、魔剣が無いと時間がかかってしまう。

 

 つまり、魔剣がなければ私はただの天下無双の最強騎士でしか無い、と言う訳だ。そんじょそこらの騎士団長や暗殺者相手なら数十人相手にしても余裕で返り討ちに出来るだろうけど、一撃で戦況を変えられるような魔術師みたいな力は持っていないと言う事だ。

 

「そこは不可能と言って欲しかったな、人として…そしてやらないとも言ってくれないんだな…」

 

「そりゃ刺客が来たらそれどころじゃ無いですよ。戦場でもないのに、影から人様の命を奪おうとする輩をぶっ飛ばしたくらいで腹の虫が治りますか?」

 

 これに関してはあのチンピラ七賢人も同意してくれるだろう。責任なんてそんな輩の侵入を許した学園側に吹っ掛ければ良いのだ。心の中のチン七も「そうだそうだ」と言っている。

 

「腹の虫を治める為だけに周りに被害を撒き散らすのは辞めてくれ…」

 

「失礼な、自重はします。やるとなったら学園内での暴力は極力控えますし、器物の損壊なんて、余程の相手でも無い限り一個たりともしたりはしませんよ」

 

 黒竜みたいな相手となると流石の私もそれどころではなくなると思うけど、数人の刺客程度なら秒も掛からず生ゴミにする自信はある。

 呆れた様子でお父様を見ると、わなわなと目を見開き、信じられない物を見るように私を見つめている。

 

「ま、まさか…受け入れてくれるのか?」

 

「ええ、非常に業腹ですけど、必要な仕事なんでしょう?ただ、貴族としての仕事には期待しないでください。所詮私は最強なだけであって、政治畑には疎い人間ですから」

 

 クロックフォード侯爵が戦争推進派だと言うのは、この国の貴族であれば知らぬ人間は居ないだろう。そして我が家は反戦派、そういう意味でもクロックフォードの暗躍は阻止しておきたい。

 

 もちろん戦争になれば、我が家は他家とは比較にもならない程の戦果を挙げるだろうし、私単独でも敵の一個師団を滅ぼす事も夢では無い。なんだかんだで我が家も、戦争が起きた方が都合がいい立ち位置ではある。

 だが、グロスシュヴェルトは人死を喜ぶ様な人種では無いのだ。戦争なんて起きない方がいいに決まっている。だから我が家は反戦派なのだ。

 

 だから私はセレンディアへと行く。気は進まないが、戦争になるよりは断然マシだ。

 

 しかし…私は最強だが、所詮は二十にも満たない、戦場で育って来た1人の子供にすぎない。政治にはとんと疎いのだ。

 あれもこれもと手を伸ばしていれば、私は今もそんじょそこらにいる、ちょっと強いだけの騎士団長の座に甘んじていただろう。なのでこの道を進んできた事は後悔はしていない。だが、こんな事になるならば、ちょっとは勉強しておいた方が良かったな、とも思わなくは無い。

 

「最強…ああ、そうだな。私の娘は世界で一番強い。それは誰もが認めるだろう」

 

「そんな人材をトチ狂ってお嬢様学校に入れようとしているのがお父様ですけどね。それに…」

 

 私は確かに最強ではある。だが、『最強だからなんでも出来る』と言う訳ではないことも十分理解している。

 いわゆる『餅は餅屋』だ。その餅屋が異常を訴えて、それを餅屋自らで解決できそうにもないとあれば、私は…

 

「私も、第二王子について少しばかり気になる事があるので」

 

「…くれぐれも、怪我をさせるんじゃないぞ?」

 

 自分の得意分野(武力)で探る事も厭わない。




ぼく「へぇ〜サイレントウィッチアニメ化するんだ〜!」

〜公式サイト確認〜

厄介オタクぼく「モニカはカメラ目線でこんなキメポーズ取れない!解釈違い!」

サイレントウィッチはいいぞぉ
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