「俺の場所はなかったんだ。ワザリング・ハイツ…この広く大きな家の中ですらも。」
これは…なんだ?
「なんでだよ!?侵入者はあのゴミカスホームレスのくせに!」
俺の声か?これは…
「俺はただ…。小さくて…素晴らしいヴァイオリンが欲しかっただけだ…。でも俺は病気の犬みたいに、雨の日のぬかるみへ放り捨てられたんだ…。」
そうだ、この時妙に綺麗な声が聞こえて…それから…
「ヒンドリー!!!申し訳ない話だが、私はお前が息子だとは思えない。むしろヒースクリフの方が私の息子のように思えるな!ははははは!!!」
ありったけの感情をぶちまけたんだ。そして暴れて、暴れて…
「お前の父さんの心の中で立っているのはオレだよ。汚ぇ裏路地で拾ってきたオレ。」
そうだ。結局はあいつに奪われたんだ。俺の家も、ヴァイオリンも、俺の未来も。
そして最後には、俺の命さえも……。
……俺の命?
「はぁ!?死んだのか、俺は!?」
慌てて起き上がろうとする。が、何かに縛り付けられて動くことができない。
なんだ!?何が起きている!?慌ててなんとか首を回し、辺りを見回す。
ここは…少なくとも、あの邸宅ではない。病院、いや診療所の一室か?
壁に並ぶ薬品棚、無造作に積まれた本、俺の横で水音を立てている点滴、顔をしかめるような妙な血なまぐささ…?
バシャッ
すると、何かが水の中から出てくるような音が聞こえる。見ると、部屋の隅におびただしい量の血によって水たまりができている。
そこから何か黒いものが這い出てきて……目が合った。
人間ではない。
人より大きい体格の……毛むくじゃらの、獣のようなものだ。
「なっ、なんだこいつは!?ひっ、ひいぃ!?」
俺はすっかりパニックになり、必死に逃げようとする。しかし体は縛りつけられており、どれだけ暴れようと体は全く動かない。
『グルルルル…………』
バシャッ バシャッ
ゆっくりと獣が近づいてくる。ぎちぎちと拘束具が虚しく音を奏でる。
「やめろ!!!来るな!!!俺はまだ何も取り返せていないんだ!!!やめてくれ!!!」
俺と拘束具が無駄にガタガタと音を鳴らす。泣きかけの無様な俺に獣は、その大きな爪を、まるで手を差し伸べるかのように俺に近づけ……
『グギャァアアアアアア!!!!?』
瞬間、絶叫し大きくのけぞり燃え出した。
「うわぁあああ!!!??急になんだ!?」
恐怖の対象が目の前で急に燃え出すなんてホラー映画でもそうそう起こらない。もう涙で顔はぐちゃぐちゃだし、正直失禁しかけた。
涙で目の前が良く見えないが、どうやら獣はいなくなったらしい。
と、その時。誰かが俺の涙を拭った。それも丁寧にハンカチで。人か?こいつが何かの道具でも使ってあの獣を燃やしたのだろうか?
いきなりだったので少し驚いたが、妙に優し気だったので寧ろ落ち着いた。さっきの獣の件もあり、俺にしては珍しく万感の感謝を込めて礼を言おうとハンカチの方を向き……
「だ、誰だか知らないが助かった。ありが……」
真っ白で恐ろし気な顔の、沢山の小人達と目が合った。
俺は泡を吹いて気絶した。失禁もした。
ブラボ10周年おめでとうございます
小説って難しいですね
自分で読み直して拙さ、読みにくさに難儀します