機動戦士ガンダムSEED〜日本奮戦記〜   作:ShiGeRu

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種子島防衛戦はこれで終結です。
次回辺りから、原作に入っていこうと思います。


第4話

 

「だんちゃーく、今!」

 

「初弾命中!諸元そのまま、効力射!」

61式砲戦車から放たれた、155mm砲弾が空中で炸裂すると、ザフト軍MS隊が上陸した田之浦海岸の砂浜を吹き上げ、更にMS───グーン、ゾノといった水中用MSの装甲を榴弾が叩いていった。

 

「何だこの砲撃は!?」

 

「た、隊長!この砲撃は何ですか!?一体何処から?」

 

「クソッ俺たちはまんまと騙されたんだよ!日本の連中、ノコノコと上陸してくる俺たちを手ぐすね引いて待っていやがったんだ。全機散開しろ!このままだと奴らの思うツボだ!」

だが日本軍からの砲撃は、何もMSを破壊するための砲撃ではなかった。

榴弾砲の炸裂では、MSの装甲を抜くことは出来なかった。

しかしMSも機体全部を装甲で覆っている訳でなかった。

例えば、関節部分やセンサー等は装甲で覆われていないため、榴弾の破片でも当たり続けていたら、その内に損傷していくのであった。

それを証明するかのように、関節部分にダメージを受けた機体が動けなくなり、擱座してしまっていった。

「た、隊長!機体が動きません!関節に被弾したらしく、操縦も出来ません!」

 

「ショーン、今すぐ機体を捨て脱出しろ!脱出後は、近くの岩場にでも隠れてろ!後で回収してやる!」

 

「りょ、了解!」

しかしその直後、海岸の向かい側にある小高い山の麓から閃光が見えた瞬間、擱座し膝を付いた状態のグーンのコクピットハッチを直撃し、少し間を置いて爆散した。

「ショーン!クソッタレ、どこからの攻撃だ!?」

その問いに答えるように、彼等の前に現れたのは日本陸軍の主力戦車、61式戦車であった。

現れた61戦車は、中隊規模でMS隊に砲撃を浴びせかけると、直ぐさま阿嶽川沿いに旧市街地方面へと退避していった。

これを見て、頭に血が上ったパイロットの一部が指揮官の制止を無視し、追撃した。

「お前ら落ち着け!奴らのワナかもしれないんだぞ!」

 

「黙って見過ごせと言うんですか!?ショーンの仇を取らなければ、奴に顔向けできません!それに相手は所詮ナチュラル。奴らがどんなワナを張ろうが関係ありません!」

ザフト軍パイロットは、旧市街地方面へと向かって行った。

「クソッ!旗艦聞こえるか!?日本軍の待ち伏せを食らって損害が出ている!一刻も早く他のMS隊を派遣してくれ!」

指揮官は通信を送ると、他のパイロットを追いかけ、同じように旧市街地方面へと向かった。

 

 

「敵MSを撃破したか、幸先が良いな」

師団司令部では、師団長が戦車隊からの報告に満足気に頷いていた。

「機動砲兵隊は今どうしている?」

 

「機動砲兵隊は、現在第二陣地に移動し、そこで無人給弾車から砲弾の補給を受けています。補給完了は5分後の予定です」

 

「宜しい。奴らも我が軍の榴弾の味をよく味わったところだろう。参謀長、確か第二陣地で給弾しているのは・・・・」

 

「そうです、零式弾です。榴弾の次は自己鍛造弾のシャワーを浴びせかけてやりますよ」

 

「ザフトもこの種子島に来なければ、こんな目に遭わなかったのにな」

 

「恨むのであれば我々ではなく、喧嘩を吹っ掛けてきたプラントを恨んでほしいですな」

そう言う参謀長の表情は、ザフトに対する冷笑が浮かんでいた。

 

 

一方その頃、戦車隊を追撃していたザフト軍は旧市街地手前で戦車隊を見失っていた。

「奴らは一体何処に消えたんだ・・・・?」

指揮官はコクピットの中で見失った戦車隊の行き先を考えていた。

「隊長、どうします?このまま市街地に突入しますか?」

指揮官と付き合いの長い部隊員が通信を送った。

「いや・・・・何の策もなしに突入するのは危険だ」

指揮官は迷っていた、旧市街地の状況が分からない上に、無策のまま突入した場合、さきほど同様に日本軍の待ち伏せを受ける可能性が高いからだ。

しかし彼等次の行動を取るための時間はあまりに短かった。

次の瞬間、空を切り裂く様な音が響き渡り、空から鋼鉄の雨が降り注いだ。

それは最初の榴弾砲撃が可愛く見えるものであった。

空中で炸裂した自己鍛造弾は、旧市街地手前で待機していたMS隊の前衛部隊に降り注ぎ、地面に着弾したものによる土煙で当たりを覆い隠した。

そして土煙が晴れると、そこは凄惨な殺戮現場となっていた。

高速で降り注いだ自己鍛造弾は、その破片でMSの装甲を貫通し、ある機体はコクピットを貫かれパイロットが文字通り原型をトドメない状態になり、別の機体はエンジンや弾薬を破壊され、瞬時に爆散していた。

この一瞬の出来事に残ったMS隊は戦慄した。

遺伝子操作により、ナチュラルよりも精神面が強いコーディネーターといえど、この一瞬で起きた殺戮劇には耐えられるものではなかった。

「し、司令部、此方MS隊今すぐ撤退の許可を!日本軍からの砲撃が激しく前身できない!既に此方の被害が尋常ではない・・・・司令部!どうした!?なぜ返事をしない!」

指揮官がそう叫んだその時、自分たちが上陸した海岸と潜水艦隊がいる方角から、凄まじいまでの轟音が鳴り響き、そして黒煙が立ち昇るのが視認できた。

 

 

時は少し戻り、MS隊が旧市街地手前に到着した頃、潜水艦隊では追加の戦力を送る準備が行われていた。

「・・・・・・・」

 

「司令、いい加減機嫌を治してください」

 

「本国の連中は考えが甘過ぎるのだよ。そのツケを払うのは前線の兵士だというのを忘れているのではないか?」

日本軍による待ち伏せ攻撃と、それに伴う上陸したMS隊からの増援要請を受けてから現在の状態になっていた。

この司令官、実は作戦が発動されてから常にこの作戦に反対していたのであった。

彼にしてみれば、これ以上敵を増やしてどうするつもりだと心の底から思っていた。

そこへ状況を一変させる報告が入る。

「レーダーコンタクト!当艦隊に接近する機影を確認!高高度・・・・敵爆撃機編隊です!」

 

「・・・・っ!上空のディン部隊に迎撃に向かわせろ!後方の揚陸艦隊にも残りのMS隊を全て発進させるよう通信を送れ!」

 

「り、了解!」

旗艦からの通信を受け、ディンが爆撃機迎撃のため急上昇していく。

結論から言うと、彼らは爆撃機の迎撃に失敗した。

それは爆撃機編隊に帯同していた直援戦闘機隊に邪魔されたからであった。

爆撃機編隊から離れ、ディンに対し、急降下で機関砲を連射しながら、対空ミサイルを放ってくる戦闘機隊に邪魔されたディンは爆撃機迎撃に専念できなかった。

そして迎撃を突破した爆撃機部隊─────日本空軍の60式爆撃機60機の編隊は、上陸地点とザフト軍潜水艦隊へ爆撃態勢を取りつつあった。

 

 

「どうやら種子島はまだ陥落していないようだな」

60式爆撃機の編隊指揮官は、空から見える地上の様子を見てそう呟いた。

「よーし機長、相手は人の庭先に土足で踏み込んだ礼儀知らずの連中だ。しっかり躾てやれ!」

 

「了解!爆撃手どうだ?いけそうか?」

 

「レーザー誘導装置良し!何時でもいけます!」

 

「宜しい、全機爆撃開始!」

編隊指揮官の命令を受け、60式爆撃機の編隊は、腹に詰め込んでいたレーザー誘導爆弾を投下し始めた。

 

 

「ディンによる敵爆撃機編隊の迎撃に失敗!敵編隊爆撃コースに乗ります!」

 

「イカン!全艦に警報発令!全艦を散開させろ!」

司令官は矢継ぎ早に命令を出すが、それはあまりにも遅過ぎる命令であった。

上陸地点と潜水艦隊に降り注いだ爆弾は、そこにあった物全てを吹き飛ばした。

潜水艦隊の壊滅に、驚いた揚陸艦隊は現海域からの撤退を決めると、全艦反転すると、撤退を開始した。

無論先に上陸していたMS隊を回収する余裕などなく、断腸の思いで彼らを見捨てたのであった。

しかしこの揚陸艦隊を日本が逃がすことを許さなかった。

撤退を開始した直後に、揚陸艦のレーダーが低空飛行で接近する編隊を捕捉したのであった。

それは日本海軍基地航空隊の主力攻撃機でもある、65式中型攻撃機であった。

攻撃機編隊は、揚陸艦隊を捕捉すると機体に搭載していた空対艦ミサイル────70式対艦ミサイルを発射した。

M4で飛来した対艦ミサイルは、揚陸艦と護衛のフリゲート艦に命中、一隻当たり二、三発の対艦ミサイルが直撃した揚陸艦隊は、一隻残らず殲滅されたのであった。

そして上陸していたMS隊は、潜水艦隊の壊滅を知り、恐慌状態に陥っていた。

そんな彼らにダメ押しともいえることが起きた。

突如上空に飛来した航空機から、何かが降ってきた。

彼らは最初、爆弾だと思った。

しかし実際は違った、降ってきた物それは、日本軍のMSであった。

熊本にある健軍基地から飛来した、戦術機械化空挺大隊によるMSによる空挺降下であった。

そしてこの空挺降下と、タイミングを同一にし、旧市街地方面からもMS部隊や戦車隊が姿を現し、装備しているビームライフルやマシンガン、ロケット砲を撃ちながら、ザフト軍MS隊に接近してきていた。

これを受け、MS隊指揮官は最早これ以上の戦闘継続は不可能と判断すると、国際救難チャンネルで降伏を打診、これを受け入れた種子島守備軍は、直ちに彼等の武装解除を開始した。

そしてザフト軍MS部隊の武装解除をもって、種子島防衛戦(日本側名称)は終結した。

ザフト軍MS隊が上陸して、僅か2時間足らずで、プラントが思い描いていた作戦は瓦解し、失敗に終わったのであった。




〇本作戦における両軍被害
・ザフト軍
ヴォスゴロス級潜水艦10隻/9隻撃沈 1隻鹵獲
揚陸艦5隻/5隻撃沈
フリゲート艦15隻/15隻撃沈
MS40機/25機全損 15機鹵獲

・日本軍
対潜哨戒機10機/4機撃墜
戦闘機80機/27機撃墜
爆撃機60機/2機撃墜
攻撃機40機/1機撃墜
戦車46両/5両全損
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