今度は異世界転生じゃなくて異世界転移かよ ※リメイク版 作:にゃすぱ@梨
「これから先はベルも初めてのところだから危険が少しは伴うと思うけど頑張れよ?とりあえずはいつも通りその階層の地形の把握だな」
「分かりました!」
「もし、本気で危なくなったら俺が助けてやるからやれるだけやってみろ」
「はい!」
「そして、リリルカさんは俺からあんまり離れないようにね」
「分かりました」
ベルを戦闘に歩き始める。
今のところリリルカさんにおかしな所はないし…ソーマファミリア…んー…わからん。
ん、待てよ?調べさせればいいのか!
そうとなれば…ソウエイ……まぁ今のテンペストに危険があるとは思えないからソウエイを向こうから呼び寄せても問題ないだろう。
「2人ともちょっと待ってて貰っていい?」
「どうかしたんですか?」
ベルは首を傾げ、リリルカも不思議そうな顔をする。
「少し用事が出来たんだ。でもすぐ終わるからここで待ってて欲しい」
「分かりました。でもここ、13階層なんですけど大丈夫ですかね……?」
「問題ないとは思うけど……念の為俺の代わりに……ランガ!」
俺が呼ぶとベルの影の中からランガが飛び出し、俺の前までやってきた。
「ランガ、少し用事で外すから俺が戻ってくるまでベルとリリルカさんを守ってやってくれないか? あ、守るって言ってもベルがきつくなったら助ける感じで。できるか?」
「もちろんですとも! 我が主!!」
ランガはブンブンと尻尾を振り回した。
「な、な、なんですかそれは!?」
リリルカさんが大声を上げる。
「あー……リリルカさんにはまだ話してなかったね。こいつは俺の仲間のランガだ」
「な、仲間……? でも今地面から……」
「あぁ、こいつは人の影の中に潜んでいられるんだよ。そういうスキルがあるって思っておいて。ベルが死なないために警護して貰ってたんだ」
リリルカさんは絶句していた。
「いや、でもだって、それってどう考えてもモンスターじゃ……」
「おい、小娘」
ランガがリリルカさんへゆっくり歩み寄る。
「しゃ、喋った!?」
「我をそこらにいる下等な魔物と一緒にするな」
そう言うとランガはリリルカの耳元へ顔を近づけた。
「お前には何か隠し事があるようだな。我は我が主の命に従うのみだが、我が主やベルに害をなすつもりなら容赦はせん。覚えておけ」
ランガが何かを囁いた瞬間、リリルカさんの肩がビクリと震えた。
「とりあえず頼んだぞ?」
「お任せを!」
「僕も頑張ります!」
俺は二人に背を向ける。
「さすがに転移魔法や異世界からの召喚を人前で見せるのはまずいよな……」
誰もいない場所まで移動した俺は、転移魔法を使ってホームへ戻った。
ランガもこっちに来れたし多分行けるよな?
《ソウエイ!聞こえるか?お前に頼みたいことがあるんだが》
そして数秒後音もなく目の前にソウエイが現れた。
「いかが致しましたか?リムル様」
「お、おぅ…お前…問題なくここまで来れたのか?」
「はい、リムル様が必要としてくださるのならどんな場所でも赴きます。」
さ、さすがだな……
「よし、お前に頼みがある」
「はっ」
ソウエイは跪く。
まずはソウエイにこの世界の事を説明し俺が今何をやっているのかを説明した。
そしてソウエイを呼んだ目的を話そうとしたところ
「なるほど、ではソーマファミリアの調査と、リリルカ・アーデについて調べれば良いのですね?」
「え…」
「違いましたか?」
俺は慌てて首を左右に振る
「あってるよ!お願いしてもいいかな?」
「容易いこと。おまかせを」
ソウエイはそう言うと音もなく消えた。
有能すぎて羨ましい…
とりあえず、やることが終わったからベルたちの所に戻るか。
俺は再び転移魔法でダンジョンに戻りベル達の所へ戻った。
「あ、リムルさんおかえりなさい!」
「我が主!」
「大丈夫だったか?」
「はい!全然問題ありませんでした!」
「我が手を出さずともベル1人で対処可能でした」
ふむふむ、本当に強くなったな。
まぁでもまだまだ強くなって貰おうじゃないか!
そしてランガにお礼を言って再び影の中に潜ってもらった。
「ねぇ、リリルカさん」
「は、はい」
リリルカさんはこちらを伺うように目線を合わせてくる。
「さっき、ランガに、何か言われた?」
「っ…い、いえ、特に何も……」
「そう?ならいいけど」
そうしてその後は15階層まで潜り問題なく地上へ帰還したのだ。
そして今、3人の目の前にはお金の入った大きな袋がドンッと置かれている。
今日の金額は26万ヴァリスとちょっとである。
俺はまぁベルにしかほとんど狩らせてなかったしこんなものかと思っていた。
階層もいつもと違い上層ではなく中層だし。
ベルはやったー!と喜んでおりリリルカさんは信じられないという顔で見ていた。
「今日はお疲れ様!ベルは今までで最高の稼ぎじゃない?」
「はい!!僕だけだと絶対に無理でしたけどリムルさんが居てくれたのとやっぱりリリルカさんがサポーターとして来てくれたおかげですっごい稼げました!」
「じゃあ早速分けるか」
その言葉にリリルカさんはピクっと反応した。
俺はちゃんと2分割にしてリリルカさんに半分渡す。
「はいこれ、リリルカさんの分ね」
「え、ちょっと待ってください!」
リリルカさんは大きな声を出す。
「どうして半分なんですか!?」
「え、どうしてって、俺とベルは同じファミリアだからだけど…」
ね?っとベルの方を見ると何も問題ないという顔をしていた。
「何回も言ってるけどリリルカさんが居なければここまで稼げなかったんだよ?だから当たり前だよ!」
ベルがリリルカさんに向かってそう言うとリリルカさんはギュッと口を紡ぎ、拳を握った。
そして数秒後
「あ、ありがとうございます…」
リリルカさんはそれを受け取り今日は解散となった。
[主様]
どうした?
[今朝の木の影にいた3人組ですがリリルカ・アーデに着いてったようです。]
同じファミリアなのか?
まぁでもとりあえずソウエイに調べさせてるからその事もわかるだろう。
報告ありがとうね
そしてその日の夜
俺は自室でのんびりしていた時俺の目の前に音もなく現れた者がいた。
ソウエイだ。
「リムル様」
「おぉ、ソウエイ。どうかしたか?」
「ソーマファミリア及びリリルカ・アーデについて、現時点で判明した内容をご報告致します」
「……もう?」
思わず間抜けな声が漏れた。
「どうかなさいましたか?」
「いや、なんでもない。随分早く集まったな?」
「これくらい何も問題ありません」
相変わらず有能すぎる。
「それで?」
「まず、ソーマファミリア内部では神酒を巡る上下関係が存在しているようです。また、リリルカ・アーデは団内で酷い扱いを受けております」
「……そうか」
「さらに、団長ザニス・ラストラには不審な動きが見られます。現在も継続して調査中です」
「なるほど……ありがとう」
「はっ」
俺は疑問になったことをソウエイに聞いてみる
「なぁ、ソウエイ」
「はい」
「テンペストのみんなはいま何してる?俺が居なくても平気そうか?ランガがまえ大丈夫って言ってたけど不安でさ」
「その事でしたら…」
そう言うとソウエイはテンペストの現在の状況を教えてくれた。
それを聞いて俺は安心した。
俺がいなくなったことによりみんなが荒れてたらどうしようとか他国に攻められてたらどうしようとか少しは考えてたけど…まぁでも今のうちの戦力だと多分よっぽどなことがないと負けることがないんだよなぁ…多分
特に驚いたのがシオンだった。
今まで俺がどこかに行こうとすると泣きじゃくったりしてたからなぁ…なのに今回は泣きじゃくるどころかすごく大人しくしているらしい。
大人になったな…シオン……
というわけなので俺が居なくても全然大丈夫そうなのでもうちょい遊んでいこうと思いました。
あ、たまには帰るけどね!多分!
「また何かあったら呼ぶかもしれないけど大丈夫か?」
「リムル様の命とあらば即座に参上致します。」
「お、おう…」
「それに、今回くらいであればソウカに任せても何も問題ありません。」
「なるほど……確かにソウエイには最初にソウカたちを鍛え上げるようにと言ったけどその後特に確認とかしてなかったし…今度何かあったらソウカ達を呼んでみるよ」
「ぜひ、見てやってください。それに俺には分身体もありますが並列存在もありますのでテンペストとオラリオに置いておくことも可能です。ソウカ達で手が足らなくなった場合は対応可能です。それでは俺は戻ります。」
「おう、そう言えば使えるようになったんだったな、並列存在…。本当にありがとうな」
俺がそう言うと1礼をしてソウエイは音もなく消えた。
「ふぅ〜」
俺は一息付き、そして少し考える。
「ま、少し泳がせておきますかね。それにしてもソーマファミリアの団長のザニスは小心者というかなんというか…とりあえずリリルカさんだよなぁ…今日あった感じ悪い人ではないと思うんだけどなぁ…今すぐどうこうはあれだしこっちもしばらく様子見かな」
そしてそのまま横になった。
ーーーーーーーーーー
ティオネside
私は今頭を悩ませている。
この前ロキにリムルのことを聞いてやばいって思ったけどティオナはリムルのことを好きになったんだよね
え、神と同格の存在を好きになるって…というかティオナはこのこと絶対知らないわよね
リムルを手に入れるためにティオナはほぼ毎日ダンジョンに潜って、部屋に戻ってきては……はぁ…
ため息が出る。
だが、ティオネはティオナの今の気持ちを痛いほど理解出来てしまう。
一人で考えても埒が明かない!
「ティオナに聞こう!」
私は自分の部屋を出てティオナを探しに出る。
外は夕陽が沈みかけている。
最近は日が沈むまでティオナは帰ってこない。
ダンジョンまで行こうと思い門の前まで移動するがちょうどティオナが門をくぐった所だった。
ティオナを見つけ名前を呼び近づく。
「ティオナ!あんた今日は珍しく早かったじゃない」
「……ティオネ…?」
ティオナにしては元気がなく足取りも重い。
私はそれを見てもう一度ティオナに声をかけようと顔を上げた瞬間ティオナは私に倒れかかってきた。
「ちょっ」
慌ててそれを受け止めると背中にまわした手に違和感を覚える。
そのまま背中を見ると衝撃を受けた。
「ちょっとティオナ!?」
彼女の背中には大きな切り傷があり、大量に出血していた。
私は大慌てでティオナの部屋に連れていき応急処置をした。
それを目撃した団員たちが騒ぎ立てるから一時はすごい大事になった。
今は静まり、ティオナもすやすやと眠っている。
私はティオナが起きるまでそばに居ることにした。
元々の目的はティオナに色々話を聞くためだったわけだし…ティオナが大怪我したせいでそれどころじゃなかったけど。
ティオナside
あたしは今日もダンジョンに潜っていた。
最近すごいペースでダンジョンに潜っているけど今日は特に疲れもなくいつも以上に動けた。
だから、あたしは調子に乗ってどんどん下層に降りていった。
そしてあたしはある光景を目撃する。
そこではモンスター同士が殺しあっていたのだ。
遠目から見る限りでは多分ほとんどが強化種。
普段であれば絶対立ち入らないような異様な場所だったが、この時は気分が高揚していたのかあたしは今の自分の実力を試すためにその場に足を踏み入れた。
それが運の尽きだった。
最初は余裕で捌けていたが、モンスターは全く減らず次々に新しいモンスターが襲いかかってくる。
あたしはだんだん体力を消耗していき、だんだん捌ききれなくなってきた。
そして集中力も落ちてきてちょっとした段差で躓いてしまった。
その時モンスターに背後を取られ思いっきり背中を切られた。
手負いでこの数のモンスターは確実に捌ききれない。
死を覚悟した。
その時、走馬灯だろうか。
リムルの顔が頭の中に浮かんだ。
その瞬間から私の心の中は「嫌だ」という感情に支配され気がつけばあたしは飛び上がりそのまま地面を思いっきり殴っていた。
あたしを囲っていたモンスター達はその衝撃で吹き飛び次々と灰と化した。
その隙にあたしはそこを離脱し地上を目指した。
「……ん……」
目を開けるとそこは見慣れた天井だった。
「やっと起きたのね」
声のした方を見るとティオネが椅子に座っていた。
「……ティオネ?」
「そうよ。あんた何があったか覚えてる?」
そうだ、地上を目指してから……あれ? どうやってここまで来たんだろう。
「その顔は覚えてないみたいね。あんた、背中に大きな傷を負って、さらに魔力枯渇まで起こしてたのよ? よくそんな状態で門まで辿り着けたわね」
「あー……言われてみれば……でも意識が朦朧としててほとんど覚えてないや……」
「はぁ……本当に心配させないでちょうだい。死ぬところだったのよ?」
「ご、ごめん……」
「全く……」
ティオネは深くため息を吐いた。
「それで、何があったのよ」
あたしはダンジョンで起きた出来事を全て話した。
「あんた……その場所ってまさか三十七階層じゃないでしょうね?」
「どうだったかな……数えてないや……」
「話を聞く限り、多分遠征の時に通った闘技場付近じゃない? あそこは異常だって団長も言ってたでしょ」
「……覚えてない」
「まぁでも、よく帰ってきたわね」
「……死ぬことを覚悟した時に、リムルくんの顔が浮かんだんだよね……」
ティオネの眉がピクリと動く。
「そしたら急に嫌だって思って……気付いたらすごい力が出てた」
「……やっぱりね」
「え?」
「ティオナ。あなたの欲しいものって、リムルでしょ?」
「どうして!?」
あたしは勢いよく起き上がった。
しかしすぐに眩暈がして再びベッドに倒れ込む。
「落ち着きなさい。傷は治ってるけど失った血は戻ってないんだから」
ティオネは呆れたように毛布を掛け直した。
「驚いてるみたいだけど、バレバレよ。私はあなたの姉なのよ?」
「うぅ……」
あたしは顔を毛布で隠した。
「それで? いつ好きになったのよ?」
あたしは目元だけ毛布から出した。
「……あの日の次の日。アイズがリムルくんと特訓してるっていうから付いて行ったの」
そしてあたしは、あの日の出来事をティオネに話した。
ティオネは黙って最後まで聞いていた。
「なるほどねぇ……」
「なによ」
「流石リムルだなって思っただけよ」
「どういう意味?」
少し強い口調になってしまう。
「あぁ、勘違いしないで。私は団長一筋よ。ただ、ロキから少しだけ聞いたことがあるの」
ティオネは真剣な表情になる。
「ティオナ。あんた私に聞きたいことあるんじゃないの?」