今度は異世界転生じゃなくて異世界転移かよ ※リメイク版 作:にゃすぱ@梨
リムルside
「さて、それじゃあ1回ベルのところに戻るか。」
「そうですね。」
「ベルも含めて今後どうやってリリルカさんを助けるか話し合わないとね。」
その言葉を聞いてリリルカさんは少し下を向き、小さな声で
「はい」
と答えた。
そして俺は結界を解除する。
《リムルさん!》
《お?ベルか?どうした?》
《あ、やっと繋がった…どこにいるんですか!》
あー、しまった。結界張ってたから思念伝達は届かないんだった…
《ごめんごめん、すぐそっち行くから待っててくれ》
そう言うと俺はリリルカさんを連れてベルの元へと向かった。
「リムルさん、こっちです!」
ベルが手を振りながら俺を呼ぶ。
「すまんすまん、ベルは何か気になる物とかあったか?」
「そうですね、やっぱり物価がものすごく高いですね」
「ダンジョンの中だからなぁ…当然っちゃ当然な気もするけどね」
少し雑談をしたあとベルが
「ところでリリルカさんとはなんの話しをしていたんですか?」
「そうそう、それを話そうと思ってね」
俺はベルとリリルカさんを連れてまた人気のない所へ移動した。
念の為に結界張った。
「よし、俺たちが話してた内容なんだけどな」
俺はベルにリリルカさんの現状とソーマファミリアの現状を伝え、その上で助けようと言う話をした。
「そんなことが…」
「だから、リリルカさんのことは悪く言わないでやってくれよ」
俺がそう言うとベルがキョトンとした。
「いえ、そんなこと全く思ってないですよ?むしろ、気が付いてあげれなかった事に申し訳なく思ってます。」
ふむ、ベルは優しいと思うけど凄いな。
普通自分が殺されるかもってなったら怒ると思うんだけど…
というか、俺もソウエイの力を借りなければこんなに早く行動なんてできなかったしなぁ。
そもそも、まだ出会ってまもないのに見抜ける方がすごいと思うけど…
「それならいいけど」
「はい!」
「とりあえずこの件だけど、俺だけでも何とかできるけどファミリアに矛先が向くのは避けたい。だから1度ヘスティアに相談しようとと思うんだよね」
「確かにそうですね」
「とりあえずヘスティアのところに行くか?」
「それが一番早いと思います」
「よし、リリルカさんが出てくるのを待ってるであろう男たちがいるダンジョンの入口にはまだ行きたくないからなぁ…バレないように一旦俺たちのホームに戻るか」
そう言うと俺はリリルカさんとベルの手を取った。
「それじゃあ行くよ」
俺はその場で転移魔法を使いファミリアのホームに移動した。
「ほい、到着。大丈夫か?」
リリルカさんとベルの方を見ると2人とも驚きで声が出ていない。
「おーい?」
「はっ…やっぱり一瞬で移動できるって言うのは初めてでもなれませんね…」
「そのうち慣れる慣れる。便利だよ」
「はは…」
ベルは苦笑いをする。
そういえばこの世界で転移魔法使える人居ないんだっけ…?
完全に忘れてた…
案の定リリルカさんは周りをキョロキョロし、自分が今どこにいるか確認し何が起きたのかを考えているようだった。
「リリルカさーん?」
「リ、リムル様!なんですかこれは!」
「えっと…転移魔法です」
「てん…い……?」
「驚くのも無理ないと思うけど誰にも言わないでくれよ?」
「は、はい」
リリルカさんは…まぁ、隠すようなことでもない気はしてるんだけどだからといって無闇に話されるのもなぁ…
でも、これから助けるんだし裏切りとかはないと信じようかね
そんなこと出来ないようにするんだけど
「2人ともちょっと待っててね」
そう言うと俺はヘスティアを探した。
ふむ、また神ヘファイストスの所かな?
《ヘスティア?聞こえる?》
俺が思念伝達でヘスティアに呼びかける。
《お?どうしたんだい?リムルくん》
《この前言ってたサポーターの事で相談したいことがあってさ、今って忙しい?》
《あー、なるほどね。ちょうど休憩貰ったところだから大丈夫だよ》
《わかった。迎えに行くから待ってて》
《え、迎えに行くって》
ヘスティアが何かを言い終わる前俺はヘスティアの元へ転移した。
そこにはヘスティアと神ヘファイストスが居た。
「迎えに来たよ…あ、神ヘファイストスも居たんですね。お久しぶりです。」
ヘスティアはおでこに手を当てやれやれと言った感じで、ヘファイストスは目を見開き固まっていた。
「え、えぇ、久しぶりね。」
「リムルくん、前も言ったと思うけどほいほいと転移しないでおくれよ…今回はヘファイストスに見られただけだったから良かったものの、他の人だったらもっとめんどくさい事になってるよ…」
「あっははは、次からは気をつけるよ。というわけで今のは見なかったことにしてください!」
そして俺は何かを言われる前にヘスティアの手を引きそのまままたホームに転移した。
「ほい、到着っと」
「はぁ…見られたのがヘファイストスだったから良かったものの…ボクからまた説明はしておくけどさ…」
「ごめんって、次から気をつけるよ」
「全く…それで、サポーターくんの事だったっけ?」
「そうそう、こっちに来て」
そう言って俺はヘスティアをベルとリリルカさんの所へ連れてった。
「あ、神様!」
「流石に俺が独断で決めれる話じゃないしな」
「君が、サポーターくんかい?」
「は、はい!リリルカ・アーデです」
そして俺はヘスティアに事の経緯を全て話し、リリルカさんを何とかしたいということを言った。
「なるほどねぇ…それで、リムルくん。その情報はどうやって集めたんだい?サポーターくんと出会ってまだ間もないだろ?いつ調べあげたんだい。」
「いやぁ…まぁそれはうちの仲間に隠密能力と情報収集能力に特化した奴がいてね?そいつを呼んで調べさせたんだよ。正直俺も驚いてるんだよ?1日2日かかると思ってたのに数時間でさっき話したこと全て調べあげてくるしさ」
「リムルくんもヤバいけど本当にリムルくんの仲間もヤバいよね…ほんと、この世界を滅ぼさないでよ…?」
「そんなことしないって〜」
俺がそう言うとヘスティアは少し冷たい目線を向けてきたがコホンと1つ咳払いをするとリリルカさんの方を向いた。
「それでだ、サポーターくん」
「はい」
「君は、リムルくんに助けられたあとどーするつもりだい?」
「もう二度と悪行はしないと誓い、リムル様とベル様のお役に立ちたいと思っています」
「ふむ…サポーターくん。その言葉に嘘はないね?」
「はい」
「……ひとまずは分かった。ただ、正直に言えば、今のボクはまだ君を完全には信用できない」
ヘスティアは真っ直ぐリリルカを見る。
「君がこれまでやってきたこともそうだし、ベルくんやリムルくんを危険な目に遭わせようとしたことも事実だからね」
「でも、それと同時に君が置かれていた環境にも問題があったんだろうってことも理解しているつもりだ」
「だからこれからの君を見せてほしい。言葉じゃなく、行動でね」
「もし君が本当に変わりたいと思っているなら、ボクはその手を振り払ったりしないよ」
「分かりました」
リリルカさんは深く頭を下げる。
「それでリムルくん、どうやってやるんだい?」
「この際だからソーマファミリアからうちに来てもらえばいいんじゃないかなって思ってるんだけどさ」
「改宗させるってことかい?」
「うん」
「んー…引き抜きにはそれなりのリスクを伴うし…簡単に出来ないと思うよ?ソーマファミリアでのサポーターくんの立場もあるだろうし…ただ、話を聞く限りだとただの駒として扱われてたっぽいけどね」
「面倒ごとは避けたいのは確かだけど…」
俺は少し考える。
「あ、リリルカさんが俺たちに行うはずだったことを実際に実行してちゃえばいいんじゃないか?」
ベルとヘスティアは“?”を浮かべ、リリルカさんは驚いている。
「そうそう、多分3日後くらいかな?俺たちをダンジョンに置き去りにしてリリルカさんだけ地上に上がるはずだったんだよ」
その事を話すととリリルカさんは俯く。
「危険じゃないのかい?」
「問題ない。あの程度脅威でもなんでもないよ。それに強さは数じゃなくて質だ。」
「リムルくんがいいならいいけど、それでそれがどうやって助けになるんだい」
「その後なんだけどね、結局リリルカさんも待ち伏せされてダンジョンに置き去りにされちゃうらしいんだよね」
「えっ」
「酷い奴らでしょ?だから、いっそ本当に死んだことにすればいいんじゃないかなって思ってさ。そこでヘスティアに聞きたいんだけど、もし、眷属が死んじゃった場合主神は分かるの?」
「わかる、ただ死んで少し経ってからわかるって感じかな?与えた恩恵が消えるのは死んでから1分後くらいだから」
「なるほど、じゃあ仮に死んだとしてその1分の間に生き返った場合、恩恵は消えないってことだね?」
「試したことないから確証はないけど多分そういうことだと思うよ」
「わかった。リリルカさんを助ける方法が決まった。」
俺は3人に伝える。
「俺がリリルカさんを一度『死んだことにする』」
「え?」
「もちろん本当に殺すわけじゃない。俺の能力で一時的にそう見せかけるだけだ」
「ソーマファミリア側から見れば、リリルカさんはダンジョンで死亡したことになる」
「そうなれば少なくとも追手はなくなるはずだ」
「その後、恩恵を改宗して正式にヘスティア・ファミリアへ迎え入れる」
「これが俺の考えてる作戦だ」
3人とも驚愕していたが、問題は無いだろう。
リリルカさんがいちばん不安がってたが、信じると言ってくれた。
やっぱり強い子だなぁと思った。
「それじゃあ決行は…何もしなければ3日後だけど、多分リリルカさんがあいつらに適当なことを言えば早まると思うからさっさと片しちゃおう」
その後、4人で実際に何をやるかを話し合ったあとヘスティアをヘファイストスの所へ送り、俺たちは再びダンジョンに転移何事も無かったかのように地上に出て解散となった。
次の日いつもの集合場所に集まった。
そしていつもと同じようにダンジョンに入った。
俺はダンジョンに入り、周りに人がいないことを確認し18階層へ転移した。
18階層でも人がいないことを確認し念の為結界を張った。
「よし、ここで話そう。それで、どうだった?」
「リムル様の読み通り明日行うそうです。私にはモンスターをおびき寄せる物を渡してきてこれを使えと言ってきました。そして、それを仕掛ける前にバレないように武器などを盗めとも言ってきました。」
「なるほど…」
「10階層でこれを行い7階層で落ち合うと言われました。」
「わかった。じゃあ実際その時は俺たちの武器をリリルカさんに預けとくよ。」
「え、でもそうしたら…」
リリルカさんは心配してくれるが
「別に問題ないよ。素手でも十分だし魔法でも何とかなるしね」
「そういうことなら分かりました。」
「ただ、ベルは武器無しでダンジョンは来たことないと思うから気をつけろよ?武器壊されたら似たような状況になるかもだけど」
「はい!」
「それじゃあ明日だな、リリルカさんには怖い思いさせると思うけど、痛みはないはずだから」
「はい、大丈夫です」
「じゃあ、とりあえず今日はこのままお金稼ぎしますか」
「「はい!」」
その後はいつも通り敵を倒した、ベルが。
俺は基本戦いには加わらずにベルの動きを見てアドバイス的なのをしていた。
金額も20万ヴァリスを超えていた。
レベル1なのに中層で戦え始めてるベルってやばいんじゃないかなって少し思ったけどまだ危なっかしさはあるからまだ大丈夫だと思う。
そして次の日。
俺とベルはヘスティアに挨拶をしホームを出た。
「いよいよですね」
「だなぁ、まぁ心配は要らないからいつも通りでいいよ」
「そうですね」
ベルと軽く雑談しながらいつもの場所に向かう。
そこには先にリリルカさんが到着していた。
「リリルカさん、お待たせ〜。待った?」
「いえ、今来たところですので」
「それじゃあ今日も行こっか」
俺たちはいつも通り敵を狩る。
10階層に降りる時に武器を渡しておく。
そして目的地の10階層に到達すると、リリルカさんが合図をし、モンスターをおびき寄せるものを使う。
するとわんさか湧いて出てきた。
その隙にリリルカさんは元来た道を行く。
そしてそのまま走っていった。
「ベル、これくらい素手で捌けそうか?」
「避けることはできますけど、倒しきるのは難しいです!」
ベルは拳を使ってモンスターの攻撃を受け流しながら必死に回避している。
「なるほどな。やっぱり武器って大事だ」
それでも以前なら逃げることしかできなかっただろう。
そう考えるとベルも随分成長したものだ。
俺はモンスターの攻撃を難なく避ける。
というか、この道具使えば効率的に魔石集めれるんじゃね?
めっちゃ便利じゃないか…??
あとでどこで手に入れたか聞いてみよ。
俺はそろそろいいだろうと思い、モンスターを全て倒した。
「怪我してないか?」
「はい!かすり傷程度です!」
「ならよし、リリルカさんの後を追うぞ」
「了解です」
あ、一応怒ってるふうにしないとダメだっけ演技って難しいんだよなぁ…
俺たちはリリルカさんの元へ向かう。
そして7階層に到着する。
すぐの所には居ないわな、万能感知でどこにいるか分かっているからそちらへ向かう。
近づくにつれ声が聞こえてきた。
「上手くやったんだろうな?」
「言われた通りやりました」
俺は通路の影から確認する。
するとそこにはリリルカさんとそれを囲うように男3人いた。
しばらく見ているとリリルカさんの持ち物を奪い取る姿が見えた。
というか、今思ったんだけどリリルカさんって冒険者にはなれなかったって言ってたけど10階層から地上に戻れるくらいには動けるんだなぁと思ったが、1人がリリルカさんを殴ろうとしたので俺はそろそろ計画を実行することにした。
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リリルカside
何とか7階層までたどり着いた時、奴らがいた。
そして、目立つからと移動し端の方にきた。
問題なく殺ったと答えた。
ベル様とリムル様から預かった武器を寄越せと言ってきた抵抗しようと思ったが強引に取られてしまった。
本来であればここで立ち去るはずだろうが、リムル様の言う通り私も殺すつもりだったようだ。
私は自分の持っている荷物も奪われた。
相手は拳を振りかぶった。
「いい金づるだっぜ」
そう言うと拳を振り下ろした。
殴られる覚悟はしていたので耐えようと思ったが、私に拳が当たる寸前、とてつもない悪寒が全身を駆け巡った。
足が震え、まともに立っていることさえ困難で私は座り込んでしまう。
そしてなにかに押しつぶされてしまいそうな重圧。
呼吸もまともに出来ない。
そんな中誰かが歩いてるく音が聞こえた。
綺麗な長髪で中性的な顔立ち。
リムル様だ。
「おいお前、俺から盗んだものを返せ。」
リムル様から発せられる声は酷く冷たく平坦。
演技だと分かっていてもその声を聞いただけで震えが止まらない。
「あの…」
私が声をかけようと顔を上げた。
「……」
私はすぐに目を逸らしてしまった。
リムル様の目は酷く冷たく、人に向けるようなものではなかった。
その目を見ているだけで泣き出してしまいそうになる。
「どうした?早く出せ」
「あっ……」
私は声を発せれなかった。
だから、何とか少し奥にいた男らを指さした。
リムル様はそれに気が付き
「なんだお前ら、こいつの仲間なのか?」
「い、いや……」
男たちも怯えきっているようだった。
「じゃあなんだ?それにお前らが持ってるやつ俺のなんだけど?」
そしてリムル様が男たちに向かって1歩近づく。
すると男たちは1歩下がる。
「なにか答えたらどうなんだ?人のもの盗んでおいて」
リムル様が問い詰める。
すると一人の男が
「お、俺たちはそいつと同じ仲間じゃない!ぶ、武器を預かってくれって言われただけなんだ!」
「なるほど?つまり全部こいつのせいってことか」
「あ、あぁ……!」
男が震える声で答えた瞬間だった。
リムル様の姿が掻き消える。
次の瞬間。
男たちの背後にいたはずのリムル様が、いつの間にか私の目の前に立っていた。
「安心しろ」
小さくそう囁かれる。
そして。
胸元に温かな感触が伝わった。
私はゆっくりと視線を落とす。
そこには。
リムル様の手が、私の胸を貫いていた。
男たちは目を見開いたまま、その場に硬直していた。
当然だ。
先程まで生きていた少女の胸を、目の前の少年が何の躊躇いもなく貫いたのだから。
そして私自身も。
演技だと分かっていたはずなのに。
リムル様の冷たい瞳を見ているだけで、全身が震えていた。