今度は異世界転生じゃなくて異世界転移かよ ※リメイク版 作:にゃすぱ@梨
3人とバッチリ目が合った
3人とも目を丸くしている。
しまった…この世界だと転移って普通出来ないんだった……
「……ゴホン。えっと、改めて来るつもりだったんだけど……その、少し早かったみたいだね?」
俺がそう言うと、部屋の中は静寂に包まれた。
……うん、これは完全にやらかしたな。
俺はひとつ咳払いをして、部屋にある扉の方から出ていこうとすると肩をグイッと掴まれた。
「……リムルくん?」
後ろを振り返るとヘスティアがすごいニコニコしていた。
ただ、そのニコニコとは裏腹に掴まれた肩には凄い力が加わっている。
「リムルくん!ボク、前に言ったよね!?この世界で転移できる人は居ないんだよって、気を付けてねって言ったよね!?」
「あっははは…すっかり忘れてました。」
ヘスティアはぷりぷりと怒り10分くらい続いた。
「全く、本当に気をつけてくれよ?」
「分かったよ。んで、後ろの2人はいいの?」
俺の言葉にヘスティアはハッとしていかにも忘れてましたと言わんばかりの反応をした。
「俺としては別にいいんだけど、さっきヘスティアが怒ってた時色々俺の事バラしちゃったけどいいの?」
ヘスティアはギギギと聞こえてきそうなぎこちない振り向きで後ろのふたりの方を向き
「……と、まぁこんな感じで、この子がうちの眷属第一号のリムルくんだよ!」
完全に開き直った。
未だポカーンとしている2人に俺は
「お久しぶりですね、神ヘファイストスとヘファイストス・ファミリア団長椿・コルブランドさん?」
「やっぱり、人違いじゃなかったのね…久しぶりね、リムル」
「なんだ?主神様はこやつと知り合いなのか?私のことも知っているみたいだが面識は無いはずだ」
「そうですね、椿さんは有名ですからね。知っててもおかしくないですよ」
ふぅ、事前にシエルが教えてくれて助かった……まじ感謝!
「そうか?まぁそういうことにしておこう」
「それにしてもリムルの素顔がこんなだったとはね」
神ヘファイストスが俺に向かって言う。
「ガッカリしました?」
「いや、あの時仮面を被ってたから声しかわからなかったけど何となく予想通りだわ」
俺と神ヘファイストスが出会った時のことはまた別の機会に…
「それで?さっきヘスティアから色々信じられないようなことが飛び出してたんだけど、どういうこと?」
やっぱり聞いてきますよね
ただ、こっちも話があるから後でにしてもらおう
「その件に関してはまた改めて話すから今日は一旦ヘスティアを連れ帰ってもいい?」
ヘファイストスはじーっと俺を見つめる。
「……分かったわ。また改めて話を聞かせてちょうだい」
少し間を置き、
「あなたには、とても興味があるの」
神ヘファイストスは真っ直ぐ俺を見据えながらそう言った。
俺は神ヘファイストスの言葉に頷くとヘスティアの肩に手を乗せ転移した。
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椿side
「主神様があんなこと言うなんて珍しいな?」
「……そう?」
主神様がそう言うと少し間を開けて
「……そうかもしれないわね」
「何か思うところでもあったのか?私はヘスティア様が言っていたことが荒唐無稽過ぎで全く持って信じておらん」
「…私が彼に初めて会った時仮面をつけてたの。白色の仮面よ。」
主神様がすこし懐かしむような感じで語り始める
「ふむ?」
「あの時、バベルの塔でたまたま会ったんだけどね?あの時の彼、私の子たちが作った作品を眺めてたの。たまにいる憧れてる子供かな?って思ってたんだけど…」
私は主神様の話に集中する
「彼はねボソッとこう言ったの。『なんだ、この程度か』ってね」
「なっ」
私は目を見開いた。
「私はね?そんなこと言う彼に興味が湧いたの。憧れて見てるわけでもなく、ただ、その一言を呟いた彼に。外見だけ見たら強くはなさそうじゃない?」
私は主神様の問いかけに頷く。
「ただね、よく言うでしょ?冒険者は外見で判断しちゃダメだって」
「だが、私には強者特有の雰囲気すら感じられなかったぞ?」
「でしょうね、私も彼の魂を見なきゃ分からなかったわ。あの時の仮面はただ周りに気が付かれないように付けていただけなのでしょうね。正直、肝が冷えたわ。この前、ロキが言っていたこと本気にはしてなかったんだけど…」
やれやれと言った感じで主神様は椅子に座った。
主神様は人を見抜く力がある。
神は人の嘘を見抜く事が出来るが、主神様は見た相手の強さをほぼ正確に見抜く事が出来る。
そんな御方がここまで言うのだ。
奴は後で事情を話すと言っていた。
私は奴の事にすごい興味が湧いた。
「とりあえず、彼の事情とやらを聞いてみましょう」
ヘスティアside
ボクは頭を悩ませていた。
どうしてどうしてこうも毎回毎回、常識を簡単に覆すことが出来るのか。
もう何も考えたくないぞ……
でも、そうとも言ってられないんだよね
彼が助けた彼女をどうするか決めないと。
「さて、リムルくん。話はわかった」
リムルくんはボクの言葉を聞いて笑顔でウンウンと頷いている。
「だけどね?少しは自重してくれよ…ねぇ、ボクだって慣れてきたとはいえびっくりもするし思考も停止するんだから…」
「あはは…ごめん」
申し訳なさそうにリムルくんは頭を搔く
「それで?彼女どうするんだい?」
大方予想できるけど
「んー、リリルカさん次第だけどうちのファミリアに入ってもらえばいいんじゃない?」
「まぁ、そうなるよね」
話を聞く限りだとボクのファミリアに来るのは問題は無い。
ソーマとの繋がり(恩恵)はもう無くなっている。
ただ、今回は改宗とは訳が違う。
1度彼女を殺して復活させている。
死んだとみなされ恩恵が消えた人間に再び新しい恩恵を刻むことが出来るんだろうか。
多分今下界にいる神はそんなことやったことある奴なんて居ないだろうし…
リムルくん同様やって見るしかないか…
「とりあえず今彼女は寝てるんだろ?」
「うん」
「じゃあこの話はまた明日しようか。とりあえず今現状は分かったから」
「了解。ヘスティアは寝ててくれていいよ。」
「ん?どこか行くのかい?」
「神ヘファイストスの所にさっきの説明にでも行こうかなって」
「あー…そうだった」
すっかり忘れていた
「でも、こんな時間から…もう寝てるかな?」
「んー、いや、まだ起きてると思うよ?」
「へ?」
「いや、さっきヘファイストスと椿くんが居ただろ?椿くんがヘファイストス部屋を訪ねる時ってなにか作業やったりとか長話したりでいつも遅くなるんだよ」
「……なんでヘスティアがそんなこと知ってるの?」
「いや、そんな目で見ないでくれよ。前に言っただろ?ボクが下界に降りてきたばかりの頃は友神のヘファイストスの所にお邪魔になってたんだよ。だから、知ってるのさ」
「あー、なるほどね。とりあえず行ってみるよ。さっき言った部屋に誰もいなかったら帰ってくる」
「分かった。ボクは先に寝てるからね」
そう言うとリムルくんは手を振りながら消えた。
毎度毎度思うけどリムルくんには本当に驚かされっぱなしだよ…
ボクたち神より神らしいことしてるじゃないか
リムルくんが本気で戦う所なんて想像もつかないし…
それとリムルくんの…部下?も優秀すぎやしないかい?
あれだけの情報を瞬時に集める情報収集能力の高さと誰にも気取られることの無い行動。
全てが規格外すぎて頭が追いつかないよ…
もし、リムルくんの部下たちが全員この世界に来たら、この世界の勢力図は一瞬で塗り替わるかもしれない。
……考えるだけ無駄だね。
よし、もう寝よう。
ボクはシャワーを浴びてそのまま自分の部屋のベッドにダイブした。