古代の偉大なる魔術師、永遠のTS幼女になってしまう。 作:第616特別情報大隊
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──子供時代//エルダーグローブ学院
今日はエルダーグローブ学院の見学に向かう日じゃ。
「アリスさん、レオさん!」
「おお。グレイス、待っておったぞ」
と、学院に向かう前にホテルのエントランスでグレイスに会う。
学院にはグレイスと合流して向かうことになっておる。グレイスの紹介で、わしらは見学を許可されることになっておるからの。
「では、早速学院に向かいましょう!」
グレイスはいつもの元気さでわしらを学院に案内する。
「気をつけていってらっしゃい」
「了解じゃ、母上」
母上と父上はわしらをグレイスに任せてホテルで待つことになっておる。グレイスももうすっかり身内みたいなものじゃからな。
そして、わしらは馬車に乗って学院に向かう。
学院はロンディニウムの中心地に位置していた。
「ここが学院……!」
エルダーグローブ学院は歴史ある教育機関じゃと聞いておったが、実物はまさに立派なものであった。レンガ造りの荘厳な作りの建物が、前庭を挟んでドンと通りの向こうに聳えていた。
それは、わしが前世で見たことのある神を讃える神殿にも似ておったよ。
「どうです? アルビオン最大の教育機関が、このエルダーグローブ学院です!」
「ほうほう」
グレイスはそう言ってわしらを学院の中へと案内していく。
「学院は初等部、中等部、高等部からなり、さらにそこから進んだ学士過程、修士課程、博士課程が存在します。さらに独自の研究機関も有しており、まらにアルビオン最大なのです!」
「ほうほう!」
学院の敷地はとても広く、美しい建物が立ち並んでいる。さらに様々な年齢層の学生たちが、それぞれの時間を過ごしていた。学院の中だけでも、まるでひとつの街のようである。凄いのう!
「アリスさんとレオさんが通われるとしたら高等部からになるので、高等部の施設を覗いていきましょう」
「うむ」
わしはあまりに広大な学院の施設に呆気に取られておったが、グレイスにそう言われてみるものを見なければと集中した。
「高等部はこの校舎がメインです」
わしらはそう言われて高等部の校舎を見渡す。他の建物と比べるとやや新しいが、なかなかに広いものじゃ。
「けどですね。私的にはアリスさんもレオさんも、今さら高等部から通う必要はないと思うんです。既に基礎教養は身に着けておられますし、いっそ専門性のある学士過程から始める方がずっといいでしょう」
「そんなことができるのかの?」
「ええ。可能ですよ。特に魔術学部はその力量さえきちんと示せれば、飛び級を認めています」
「ほお」
確かにわしは幼いころから家庭教師を付けてもらって、ある程度基礎教養はできておるつもりだ。レオ坊もそれは同じであろう。
「しかし、わしらのような幼い子供を入れてくれるのかの?」
「学問に年齢は関係ありませんよ。始めるのに早すぎることはなく、遅すぎることもない。それにアリスさんとレオさんは両方とも講師であった私より優れて魔術の知識と才能があるではないですか!」
「ふうむ。それであれば父上に相談して見なければな」
「ぜひそうしてください! ということで、学士過程の施設を見ていきましょう!」
グレイスにそう言われて、わしらは高等部の校舎を出て、学士過程の校舎に向かう。
「ここから向こうは全て学士過程、修士課程、博士課程の施設ですよ」
「な、なんと! こんなにも広いのか!?」
わしの前世でもアカデミアという高度な教育を行う場所はあった。だが、それに比べると今世の教育機関はモンスター級の大きさなのじゃ!
わしはてっきり初等部、中等部、高等部がもっと場所を取っておるのかと思ったが、学院の4分の3はほぼ学士課程以上の施設じゃった。とんでもなく広いんじゃよ!
「エルダーグローブ学院には理学部、工学部、文学部、法学部、医学部、薬学部、そして魔術学部で7つの学部がからなり、その下に様々な学科が存在します。魔術学部にはずっと魔術学科しかありませんが……」
「魔術は魔術じゃからのう」
魔術をさらに細分化するならば一般魔術、精霊魔術、異界魔術じゃろうが、わしは教育者としてはそれらを別々には教えなかったからのう。
「その魔術学部も最近はずうっと衰退気味で、このままだと理学部辺りに吸収されそうなんです……。魔術も突き詰めれば所詮は自然科学の一部なんだとして……」
「ううむ。困った状況なのじゃな……」
わしは魔術を教える教育機関を新たに作り、そこで魔術を再興しようと考えておったのじゃが、既存の教育機関からすらも魔術がなくなりそうでは……。
「アリスさん、レオさん! もはや、おふたりだけが希望の星です! 魔術界の未来はあなた方にかかっているのですっ!」
「お、おう。そうじゃのう……」
ぐわっとグレイスが凄い剣幕で叫ぶのにわしもレオ坊もびっくりじゃ。
「では、こちらへ! 魔術学部へ案内しますよ!」
グレイスはそう元気よく言って、わしらを建物が立ち並ぶ学院の中でも魔術学部の場所へと案内していく。進むにつれて建物が少しずつ今の時代より古風な作りのものに代わっていくのが分かり、わしはそこから歴史を感じた。
「ここが魔術学部の建物です!」
そう言って案内されたのは建物としては古いものの、他の学部の建物とさほど変わらない構造の施設であった。魔術学部と呼ばれなければ、そうだと分かるような特徴はない、そんな建物じゃ。
しかし、それでも大きく、空に聳えておる。ご立派じゃあ。
「ううむ。どういう授業をしておるのかの?」
「今は
「ふむ。それだけかの?」
「ええ。あとは古い時代に残された魔術についての理論の解読ぐらいです。それこそ偉大なる魔術師アストリウスが残した古文書から教えを得ているような状態です」
「それも古代帝国時代のものですから、戦乱で失われたページも多く、完全な状態の文章ではありません。それこそ一時期はほとんどやってるのは考古学みたいなものでしたね。私もアストリウスの著書の解読には何度も挑戦しました」
グレイスがわしらにそう語る。
「グレイス先生。魔術学部を出た学生はどのような仕事に就くのでしょうか?」
ここでレオ坊がそうグレイスに尋ねる。
「いろいろですね。ただ純粋な魔術師という職業は今ではほぼ存在しません。魔術を専門とし、魔術の使える研究者になるという道はありますが……」
「そうなのですか……」
「残念ですが、そうです。しかしですよ。もし、魔術の価値が再び見直されれば、魔術師という職業も成立するかもしれませんよ!」
レオ坊はわしにも言っていたように魔術師になりたいと思っておったから、この知らせにはやはりがっかりしていた様子じゃ。
「グレイス・イーストレイク?」
そこで聞き覚えのある男の声が聞こえてきた。
「あ。アイザックさんではないですか」
現れたのはスーツ姿のアイザックであった。パーティで出会った血統魔術師じゃ。
「学院に戻ってきたのか? ん。そこにいるのは……」
「昨日は大変じゃったの、アイザック」
「ああ。アリスにレオか。ようこそ、学院へ。入学するのか?」
わしが笑顔で挨拶するのにアイザックがそう尋ねてくる。
「いや。まだ考えておるところじゃ。わしらのような子供が学士過程に入っても大丈夫かと思ってな。その点はどうなのじゃろうか?」
「年齢に問題はない。実力を示せば認められる。そして、君たちはその点に問題はないだろう。ただ……」
「ただ?」
わしが首を傾げて尋ねると。
「プライドだけは高い血統魔術師の一部は反発するかもしれない。それだけだ」
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まだ10万近く書き溜めあるので出し続けます。