古代の偉大なる魔術師、永遠のTS幼女になってしまう。   作:第616特別情報大隊

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学生時代//わしと弟は学院に馴染む

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 ──学生時代//わしと弟は学院に馴染む

 

 

 わしらは学院に通始めて7日が過ぎた。

 

 わしは様々な講義を受講しながら、まずはトーランド教授の研究室における研究の進捗状況について把握しておるところだ。

 

「つまり、表面構造(テクスチャ)にはさらにその下に基底構造(ベース)と呼ばれる構造が存在する可能性がある、と」

 

「そうだ。我々は魔術で表面構造(テクスチャ)を書き換えるが、その書き換えは一時的なものであり、いずれ表面構造(テクスチャ)は元の記述に戻る。それには表面構造(テクスチャ)の下に何かがあると考えるのが自然だろう」

 

 わしの言葉に答えるのはアイザックじゃ。彼からトーランド教授の研究について、わしは聞かされていた。

 

「確かにのう。しかし、問題はそれを観測するのは難しいということじゃな。わしらは表面構造(テクスチャ)をさらに先に何があるのかを知る手段はない」

 

「それが今のところ問題だ。どうにかして基底構造(ベース)仮説を証明するための観測を行わなければならない。よって、今は表面構造(テクスチャ)を解析することこそが第一だ」

 

 観測できぬものを証明するのは不可能じゃと言える。どんなものでも観測できて、始めて存在が立証されるのじゃから。

 

 だから今は基底構造(ベース)の存在は仮説に留まっておるのじゃ。

 

「ふむ。興味深い。どうにかして証明したいものじゃのう」

 

「ああ。今は様々な魔術によって変動する表面構造(テクスチャ)の記述の分析が重要だ。観測できるものから、仮説を証明できる証拠を探るんだ」

 

「了解じゃ。わしもできることをしよう」

 

 というのが、わしらの研究の内容じゃった。

 

 その研究は理解できたのだが、わしの学院生活にはちょっとした問題があった。

 

「レオ坊!」

 

 レオ坊とは学生寮での生活は別々じゃが、食堂で食事をするときは一緒じゃ。わしは食堂でレオ坊の顔を見つけるとすぐにそちらに向かった。

 

「レオ坊。学院生活にはもう慣れたかの?」

 

「……まだあまり……」

 

 レオ坊は少しくらい表情をしておる。何があったのかの?

 

「やはり勉強が難しいかの?」

 

「勉強にはついていけている。だけど、その、同年代の友達がいないのが……」

 

「ああ。そういうことじゃったか……」

 

 確かにわしらに近い年齢の学生は少ない。

 

 普通、学士過程は18歳から始まる学生が多いのじゃが、レオ坊は14歳じゃ。大人になると4歳差などはないも同然なのじゃが、若いうちは4歳の差というのはとても大きいものとなる。

 

 その上、わしでも16歳と幼いのにレオ坊はそれより2歳下の14歳じゃ。それで学院の学士過程の勉強にしっかりとついていけているのは流石じゃが、学友については作りづらいじゃろう。

 

「そうじゃ。ひとり年の近い学生を知っておるのじゃが、紹介しようかの?」

 

「魔術学部の学生?」

 

「そうじゃ。一度レオ坊も会っておるぞ。マヤ・リデルという学生じゃ」

 

 そう、マヤは16歳とわしと同じ年だ。じゃから、レオ坊の友達になってもらおう!

 

「今度、お茶でもしながら話してみよう。わしも同席するからの」

 

「分かった。お願いするよ、姉上」

 

 というわけで、わしはマヤをお茶会に誘うことにした。

 

 夕食後、早速わしはマヤのいる部屋を訪れる。

 

「マヤ、マヤ。アリスじゃ。おるかの?」

 

「どしたの、アリスちゃん?」

 

 扉をノックするとマヤが顔を出した。

 

「わしの弟を覚えておるか? レオ坊じゃ」

 

「もちろん覚えているよ。可愛い子だったね!」

 

「そのレオ坊と友達になってほしいんじゃ。レオ坊は学院で年の近い友達がおらぬことで、少しつらくなっているようすじゃったから」

 

「それなら任せて。あたしが友達になろう!」

 

 マヤは快くそう応じてくれた。

 

「ありがとう、マヤ。今度お茶会を開くからそこでレオ坊と会っておくれ」

 

「オーケー。けど、あたしだけだと寂しいからもうひとり呼んでもいい? レオ君は男の子だから男友達もいた方がいいでしょう?」

 

「頼めるのかの?」

 

「うん。あたしの友達を紹介するよ。いいやつだからすぐに仲良くなれると思う」

 

「それでは是非ともお願いするのじゃ」

 

 レオ坊に友達がたくさんできるといいのう。わしの可愛い弟で一番弟子じゃからな。ぼっちになってしまうのは可哀そうなのじゃ。

 

 そんなこんなでお茶会の日程が決まり、当日が訪れた。

 

 わしとレオ坊は先にお茶会を開く学院内の喫茶店で待っておった。

 

「おーい! 来たよー!」

 

 そこでマヤがひとりの男子学生を連れて現れた。

 

 その男子学生はカジュアルな服装で、ブロンドの頭髪をやや長く伸ばし、無精ひげを伸ばした素朴な顔立ちの学生じゃった。美男子とはあまり言えぬが、愛嬌を感じる顔立ちをした人の良さそうな風体の人物じゃな。

 

「紹介するね、こっちはライリー・ファロン。あたしの友達!」

 

「初めましてだ、ライリーって呼んでくれ!」

 

 ライリーは豪快に笑ってレオ坊に右手を差し出す。

 

「は、初めまして、レオ・カニンガムです。レオと呼んでください」

 

「おう! よろしく、レオ!」

 

 レオ坊も緊張しながらもちゃんと挨拶し、ふたりはそう言って固い握手を交わした。

 

 それからわしらは喫茶店のテーブルを囲む。

 

「レオは14歳だって? すげえな。勉強とか大丈夫か?」

 

「何とかついていけています」

 

「マジかよ。俺はそろそろついていくのがヤバくなってきちまったぜ。なんだか思ってたより、ずっと難しくてな。はははっ!」

 

 ライリーはかなり明るい人間らしく、レオ坊もその明るさに惹かれて、緊張がほどけていくのが見えてきた。

 

「マヤさんとライリーは血統魔術師なんですか?」

 

「いや。俺もマヤも血統魔術師じゃねえよ。俺は普通に商売人の息子で、魔術とは無関係な人生を送っていた。だけど、12歳のときに魔術を知った。この世界にはとても不思議な力があるってことを知ったんだ」

 

 ライリーがそう魔術学部に入学した経緯を話す。

 

「そして、学院に見学に来て実物の魔術を見た。それを見た俺の人生はもう決まっちまった。そう、俺も魔術師になると。絶対に魔術を使えるようになると。そう決意して、今にまで至るってわけだ」

 

「そうだったのですか」

 

「そういうレオはどうして、魔術学部に?」

 

「私は6歳のときに姉上に魔術を教わって、それからずっと魔術に興味を持っていたんです。それから姉上のように魔術を使いこなせるのようになりたいと願い、今まさにここにいるのです」

 

「6歳で? マジですげえな、レオ。そっちも血統魔術師じゃないだろ?」

 

「はい。普通の家の生まれです」

 

 ライリーが感心し、レオ坊は少し誇らしげにしていた。

 

「お互いに血統魔術師でもなく、同学年なわけだし敬語はやめようぜ。フランクに話してくれよ。友達になるんだしさ」

 

「あたしも敬語じゃなくていいよ!」

 

 そして、ライリーとマヤはレオ坊にそう提案してくれる。

 

「ありがとう、ライリー、マヤ。ところで、ふたりは今度の基礎魔術実験の実技の方の準備は進んでいる?」

 

「おうよ! 実技は任せときな。理論はあやふやだけど、実技ならばっちりだぜ」

 

「私も実技は得意だし、好きだ。魔術師ならやはり魔術が使えないと」

 

「そうだよな。面倒くさい理論がどうのこうのより、豪快に魔術を使ってこそ魔術学部に入った理由てもんだ。気が合うな、レオ」

 

 レオ坊が言うのにライリーがにやりと笑う。

 

「あたしも実技は好きだよ。あとは歴史がね」

 

「歴史?」

 

「そう、魔術の歴史が好きなんだ。魔術は古代帝国時代からずっと続く技術だし、その歴史を知るのは好き。私は昔から歴史が好きだったからね。歴史からは学べることは多いし、面白いこともたくさんある」

 

「なるほど……」

 

 すっかりレオ坊はライリーとマヤに打ち解けた様子じゃった。

 

「レオ坊。これで友達ができたの」

 

「ええ。ありがとう、姉上」

 

 レオ坊が笑顔を取り戻してくれてなによりじゃ!

 

「レオ。今度の実技で勝負しようぜ! どうだ?」

 

「乗った。受けて立つ」

 

「へへ! そうじゃねえとな! 血統魔術師どもにも負けないようにしようぜ!」

 

 どうやら男同士の友情もできたようで、わしは安心したのじゃった。

 

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