古代の偉大なる魔術師、永遠のTS幼女になってしまう。   作:第616特別情報大隊

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本日2回目の更新です。


子供時代//弟は弟子志願

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 ──子供時代//弟は弟子志願

 

 

 転生から8年後のことじゃ。

 

 これまで話に出ていなかったが、実を言うとわしには弟がいる。

 

 今年で6歳になる幼子で、父上に似たのか大きくなりそうな元気な子じゃ。

 

「姉上ー!」

 

「おお。レオ坊よ。今日も元気じゃのう」

 

 トトトとその弟レオがわしに駆け寄ってくる。

 

「姉上は相変わらず小さいね!」

 

「うぐ!」

 

 そ、そうなのじゃ。わしは身長の伸びが滅茶苦茶遅いみたいなのじゃ。

 

 わしも今年で8歳になるというのに6歳のレオ坊とあまり変わらぬのじゃ。ちなみにレオ坊は120センチの身長である。なのにわしは110センチあるかないかという具合じゃ。ちんまいままである。

 

 もしかして、わしは永遠にちんまいままなのか……?

 

 それは流石に困るのじゃ。もう少し大きくなければ、いろいろと不便じゃ。

 

 まずは原因を突き止めなければ。わしがちんまい原因を!

 

「姉上、魔術を見せて、魔術!」

 

「レオ坊は魔術が好きじゃのう。ほれ!」

 

「わあ! 凄い、凄い!」

 

 わしが魔術で水玉を作って見せるとレオ坊はそれを突っついたりして大喜び。

 

 レオ坊は物心つくようになってからというもの、わしの魔術を見るのを好んでいた。好奇心旺盛な子はよく育つから、これはいいことじゃの。

 

「ぼくも姉上みたいな魔術を使えるようになりたい! 教えて、姉上!」

 

「それについては前にも話したであろう。父上と母上の許可がなければ、魔術を教えることはできぬと。どんな危険があるのか分からぬのじゃからな」

 

「ええー……」

 

 しかし、二言目には魔術を教わりたいというのがレオ坊の困ったところじゃの。危ないから両親の許可が必要じゃと言っておるし、両親ももうちょっと成長してから教わりなさいと言っておるのだが。

 

「姉上は6歳から魔術を使ってたって父上は言ってたよ」

 

「わしは特別なのじゃ。レオ坊は普通の子だからの」

 

「ずるい、ずるい!」

 

 むう。本物の幼子相手は大変じゃの……。まさにことわざでいう泣く子に勝てぬというものじゃぁ……。

 

「では、わしからも父上たちに頼んでみよう。それでだめならば諦めるのじゃぞ?」

 

「ありがとう、姉上!」

 

 ぱああっと表情を明るくしてレオ坊がわしに抱き着いてくる。こういう表情豊かなところが、幼子らしくて可愛いのう。

 

「では、行くぞ」

 

 父上と母上が納得してくれるか保証はできぬが、ここまですればレオ坊もひとまず諦めるじゃろう。そして、魔術とは何か別のことに興味を持つかもしれぬ。それは少し寂しいものじゃが生殺しよりいいじゃろう。

 

「父上、母上。お願いがあって参った」

 

「何だい、アリス?」

 

 ちなみにわしはまだ前世があり、魔術師アストリウスであったことを認められておらぬ。よって幼女扱いは続いている。無念じゃ。

 

「レオ坊が魔術を教えてほしいそうなのじゃが、父上と母上の許可がほしいのじゃ。レオ坊も6歳になったからと言っておる」

 

「父上、母上。お願いします!」

 

 レオ坊も父上、母上にそう頼み込む。

 

「うーん。危なくはないのかい?」

 

「正直、分からぬ。わしは平気だったが、個人差が全くないとえ言えぬからの。命を落とすことがなくとも、大きな怪我をしてしまうかもしれぬ」

 

「そういわれると許可しにくいな」

 

 わしは正直にリスクについて告げた。わしは6歳から徐々に魔術を使っていった。安全について確かめるために。

 

 わしが前世で指導してきた弟子たちは最年少でも15歳じゃったからな。6歳から魔術を教わった人間など知らぬというのが事実じゃ。

 

 なので、リスクは予想できない。前例がない以上、何が起きるか分からぬ。

 

「レオはどうしても魔術が教わりたいの?」

 

「はい、母上!」

 

 ここで母上がそうレオ坊に問いかけてくる。

 

「もし、怪我をしてとっても痛いことに遭うとしても? 危険だとしても?」

 

「どうしても!」

 

「そっか、そっか。レオは自分のことを自分で決めたんだね。偉いぞ」

 

 母上はそう言って父上の方を見る。

 

「ジョージ。レオがここまでいうのだからやらせてみせましょう。私が見ておくわ」

 

「君がそういうならば仕方がない……。いいかい。くれぐれも母さんとお姉ちゃんのいうことを聞かずに危険なことをして、怪我をしないようにな、レオ」

 

 母上の説得で父上も納得したようじゃ。

 

「ありがとうございます、父上、母上!」

 

「お礼はアリスお姉ちゃんにも言うのよ」

 

「はい! 姉上、よろしくお願いします!」

 

 レオ坊は大喜びしておる。ここまで喜ばれるとわしまで嬉しいわい。

 

「では、早速始めようかの、レオ坊。裏庭に行くぞ」

 

 わしは大喜びしたままのレオ坊を連れて、裏庭へと向かう。室内でやるのは何かあったときに危険なので、基本的に魔術は外で試しておる。

 

「まずは何から試そうかの~?」

 

「火! 火が出したい!」

 

「火は危ないからダメじゃ。水にしよう」

 

「ええー」

 

 レオ坊は不満そうじゃが、危険を知らぬ幼子に火は持たせるものではない。火は他人はおろか自分までも傷つける恐れがあるのじゃから。

 

 うっかり庭に木々に火がついて火事になっては大変じゃ!

 

「水を生み出すのも立派な魔術じゃぞ。それに水はいざというとき飲めるしの」

 

「そうよ、レオ。ちゃんとお姉ちゃんのいうことを聞かないなら、魔術を教わるのはダメだからね」

 

 わしと母上からレオ坊にそう言って宥める。

 

「はーい……」

 

 渋々と言うようにレオ坊は頷いた。

 

「では、教えていくぞ、レオ坊。まず基本的な考えとして魔術とはこの世界の理を記した表面構造(テクスチャ)を魔力で上書きして臨む事象を引き出すことじゃ。ここまでは分かるかの?」

 

「分からない……」

 

「ううむ。そうじゃ。もし、レオ坊が読んでいる絵本に描いてある話が気に入らなかったら、レオ坊はどうしたい?」

 

「どうする……?」

 

「わしならば自分の好きな展開を別の紙に書いて貼り付ける。それがまさに表面構造(テクスチャ)と魔術の関係じゃ。絵本に書かれている本来の物語が表面構造(テクスチャ)であり、わしが書いて貼り付けたのが魔術というわけじゃよ」

 

「ああ。なるほど!」

 

 子供に分かりやすく話さなければの。分かりやすさは重要じゃ。

 

 これからわしは魔術の再興を目指すわけなのじゃから、子供でも分かるように魔術を教えられるようにならねば。

 

 教育こそ技術を継承するために必要なことじゃ。前世のわしももっと多くの弟子に指導をしておれば、このように魔術が衰退することもなかったであろうに……。

 

「では、次は自らの魔力を確認するところからじゃ。わしが誘導してやるので、意識を体の内側に流れる血に集中せよ。血の流れを感じているうちに、魔力の流れについても感じることができるようになる」

 

 わしはそう言ってレオ坊の手を握り、レオ坊の魔力の流れを感じる。

 

 わしの弟なだけあって、しっかりと魔力は流れておる。多いぐらいじゃ。これだけ魔力に恵まれておれば、魔術を使うことはさほど難しくないじゃろう。

 

「さあ、レオ坊。魔力を感じてきたかの?」

 

「うん、姉上。体の中に何かが流れているよ!」

 

「そうそう。それじゃ。次はそれを外に向けて解き放ちながら水を強く求めてみよ。意識を体のうちから離さないままに、体の外で水を求めるのじゃ。できそうかの?」

 

「やってみる」

 

 レオ坊はわしの言う通りにやった。

 

 すると──。

 

「水だ!」

 

 レオ坊は小さな水滴をぽとぽとと生み出して、喜びの声を上げた。間違いなく魔術で生み出された水じゃ。

 

「よかったの、レオ坊。まずは第一歩じゃよ」

 

「はい、姉上!」

 

 こうしてレオ坊はわしの今世での一番弟子になったのじゃった。

 

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