古代の偉大なる魔術師、永遠のTS幼女になってしまう。   作:第616特別情報大隊

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学生時代//プライド

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 ──学生時代//プライド

 

 

 お茶会の翌日。

 

「おお。レオ坊、何か嬉しそうじゃな?」

 

 食堂であったレオ坊はにこにこしていた。

 

「姉上。聞いてくれ。魔術の実技で1位になったんだ」

 

「おおー! 凄いではないか。どのような魔術を実技で行ったのじゃ?」

 

 レオ坊の報告にわしも興奮してそう尋ねる。

 

「シンプルな魔術を。いかにして表面構造(テクスチャ)の書き換えを維持するかという問題でね。私は表面構造(テクスチャ)への干渉が大きければ大きいほど、表面構造(テクスチャ)の復元力が高いのを姉上から教わっていた」

 

「ふむふむ。そうじゃな。表面構造(テクスチャ)は急激で、大きな変化には、その変化を解消するように復元力を発揮する。覚えておったのじゃな」

 

 わしらにできぬことのひとつが魔術で永遠に表面構造(テクスチャ)を書き換えておくということじゃ。

 

 以前にもアイザックと話したが表面構造(テクスチャ)には魔術による書き換えに対して元に戻ろうという性質を有する。その復元力は魔術による書き換えが激しく、大きなものであるほど強く働くことが知られておる。

 

「だから、私はこの世界によく似た異界の理を異界魔術で書き込んだ。それは太陽の光が違う世界の理で、はっきりとしていながら長く表面構造(テクスチャ)を書き換えていられるものだった」

 

「ほうほう。勉強したのう、レオ坊」

 

 わしが最初に魔術を教えてからまだ8年しか経っておらぬのに、レオ坊は優れた魔術師になっておった。師として鼻が高い限りだ。

 

「しかし、姉上。異界魔術とは本当に私たちぐらいしか使えないのだな」

 

「そのようじゃな。レオ坊の同学年もそうじゃったのか?」

 

「ああ。みんな驚いていたよ。ライリーやマヤも」

 

 異界魔術は伝承されなかったと聞いていたが、異界魔術の存在そのものが消えたわけではない。だから、わしらは実を言うとまだ誰かが黙っているだけで、本当は使えるのではないかと思っておった。

 

 だが、どうにもそれは違うようじゃった。

 

「おーい! アリスちゃん、レオ君!」

 

「一緒に飯食おうぜ!」

 

 と、ここでマヤとライリーがやってきた。

 

「今日の実技、凄かったね! 異界魔術なんて人生で初めて見たよ!」

 

「本当にな。俺は勝負するつもりだったけど、あれを前にして勝ち目はなかったぜ」

 

 マヤとライリーもとても興奮した様子じゃ。レオ坊はそれほど凄い魔術を披露したのじゃな!

 

「姉上から教わったものだ。姉上のそれはもっと凄いよ。私などまだまだ足元にも及ばないぐらいだ」

 

「そうなんだ。レオ君のそれだけでもびっくりしたのに」

 

 レオ坊の言葉にマヤとライリーがわしの方を見る。

 

「まあ、わしも異界魔術は使えるぞ。そう難しいものでもない」

 

「それを血統魔術師の連中が聞いたら大変だな。今日の授業でもさ……」

 

「ん? 何かあったのかの?」

 

 ライリーが言葉を濁らせるのに、わしは思わずそう尋ねた。

 

「血統魔術師の連中がイカサマをしてるって、レオ君にケチを付けようとしたんだよ。まあ、基礎魔術実験のクラスは非血統魔術師の先生が担当しているから、そういうケチには耳を貸さなかったけどさ」

 

「血統魔術師の連中、自分たちが使えない異界魔術を非血統魔術師であるレオが使ったものだから嫉妬してるのさ。しかし、これからちょっと不味いことになるかもな」

 

「そうだね。特にアレクサンダー教授のところの学生もいたから」

 

 ライリーとマヤがそう語るのに、わしは何やら嫌な予感がした。

 

「それはつまりレオ坊が血統魔術師に悪感情を持たれておるということか……?」

 

 わしは恐る恐るそう尋ねた。

 

「残念だけど、そうなる。でもね、レオ君が悪いわけじゃないよ。これは逆恨みみたいなものだからさ」

 

「ううむ。それは当然レオ坊は悪いことなどしておらぬが……」

 

 わしは心配になってレオ坊の方を見る。

 

「心配しないでくれ、姉上。今はマヤやライリーのような非血統魔術師が味方してくれている。だから、多少これから血統魔術師たちから嫌がらせなどをされても、きっと耐えられる。今日だってマヤとライリーが庇ってくれた」

 

「友達だもの。当然でしょ!」

 

 レオ坊がマヤたちに視線を向け、マヤはにやりと笑いサムズアップ。

 

「しかし、非血統魔術師と血統魔術師が対立してしまうのではないかのう……?」

 

「対立するも何も連中と仲が良かったことなんて一度としてないぜ」

 

「トーランド教授の研究室には血統魔術師も非血統魔術師もおるが……」

 

「あそこは特別。他は混じることなんてありえない」

 

 わしに疑問にライリーが苦々しい表情でそう答える。

 

 むううう。ここまで血統魔術師と非血統魔術師の対立が激しいとは。

 

 わしは魔術は血統によらぬと知っておる故、血統魔術師を支持しにくいのじゃが、それでも彼らと対立しようとは思わぬ。もちろん彼らが魔術界を閉鎖的なものにしているのならば、それは解決するように求めるつもりじゃが。

 

「それでも心配じゃのう。レオ坊、これから何かあったらわしに相談するのじゃぞ?」

 

「ああ、姉上。だが、解決できることは自分たちで解決するように試みるよ」

 

「そうか。立派になったのう……」

 

 レオ坊がどんどん立派になっていく。わしはその成長が嬉しいのと同時に、昔の我がままだったレオ坊はもういないのだと寂しくもなった。

 

 

 * * * *

 

 

 わしは研究員として表面構造(テクスチャ)基底構造(ベース)について解き明かしながらも、講義にも出席しておった。

 

 魔術学部の講義は大きく分けて3つの分野に分けられる。

 

 ひとつ目は魔術の理論について学ぶもの。これまで判明している表面構造(テクスチャ)の理論について学び、魔術というものがどのようにしてこの世界に生み出されているのかを学ぶのである。

 

 ふたつ目は魔術の応用について学ぶもの。魔術を使えばどのようなことができるのか。表面構造(テクスチャ)に書き込むもの、そのものについて学び、魔術を使ってみるのがこの種の講義の目的じゃ。

 

 みっつ目は魔術の歴史について学ぶもの。失われた文章や言い伝えを、残されたものから探り、魔術がどのような歴史を辿ってきたのかを学ぶ講義がメインじゃ。

 

「レオ坊。今日は一緒に講義を受けような」

 

「ええ、姉上」

 

 わしは今日はレオ坊と一緒に応用魔術の講義を受けることにしておる。

 

 わしとレオ坊は揃って講義室に向かい、講義が始まる前に席に座った。

 

「講義を担当するのはアレクサンダー教授じゃったな」

 

「血統魔術師で知られている教授だ。マヤやライリーが言うのは、血統魔術師の中でも特にプライドが高くて、非血統魔術師を嫌っているらしい」

 

「ふうむ」

 

 レオ坊がそう言うのを聞いていたとき、そのエリオット・アレクサンダー教授とやらが姿を見せた。大柄なスーツ姿の男性で、彼はそのまま講義室の演台へと立つ。

 

「さて、諸君。まずは知らせておきたいことがある。この中に異界魔術が使えると自慢するものがいるそうだ。だが、そのようなことはあり得ないということを、諸君らはちゃんと知っているだろう」

 

 エリオットはそう言ってわしらの方に嫌悪の視線を向けた。

 

「異界魔術は失われた魔術だ。それをぽっと出の魔術師が、しかも非血統魔術師が使えることなどあり得ない。繰り返すが異界魔術は失われている。それが学会の公式な見解であり、認めらている学説だ」

 

 むう。どうやらわしらが異界魔術を使えるはずがないと言っておるようだ。

 

「しかし、アレクサンダー教授。昨日はレオさんが異界魔術を……」

 

「ゾーイ君。あれはペテンだ。血統魔術師に非ざる血筋の人間が、異界魔術を使えるなどあり得ない。君がそのような妄言を繰り返すならば、私は君にこの講義を受講する権利を与えないつもりだ」

 

「す、すみません!」

 

 指摘した学生をエリオットが睨む。やな感じじゃのう。

 

「その非血統魔術師の入学に当たっても詐称が行われたと聞く。私は近いうちにそのことを学院の理事会に告発するつもりだ。ペテンによって得られた入学資格は剥奪されるべきであると。そのように告発する」

 

 なんじゃと!? このエリオットという教授は本気なのじゃろうか……?

 

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