古代の偉大なる魔術師、永遠のTS幼女になってしまう。 作:第616特別情報大隊
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──教えて、アリス先生!//演習場の戦い
演習が開始された。
「さて、まずは索敵じゃのう」
わしは以前戦った狙撃手の技を盗むことにした。
「
異界魔術で空に異界の鳥を呼び出す。
白い羽を持った異界の鳥は周辺を飛び回り、わしに空からの視界を与える。
しかし、以前の狙撃手のように複数の
以前の狙撃手はどうやって学院の複数の地点を同時に空から見張れたのじゃろうかの? あの不気味な複数の眼球が詰まっていた目に関係があるのかのう……?
「む。まずは騎兵で偵察と言ったところか」
わしらが立て籠もる市街地の北部と南部から少数の騎兵が迫っていた。
「まずはこれを迎撃しようかのう」
「とう!」
そして、軽い運動エネルギーを生じさせて彼らの武器であるサーベルと騎兵銃を吹き飛ばした。騎兵たちはどこから攻撃されたのか分からず、混乱しておる。
それからその騎兵部隊に全滅判定が下されたようじゃ。
「斥候による情報収集は阻止したものの、まだ敵の主力の位置は不明じゃのう。どこからどう攻めてくるのじゃろうか」
「姉上。私も
「ぜひやってくれ、レオ坊。目は多いほど良い」
「了解だ」
レオ坊も
「また騎兵だ。複数の方向から迫っている」
「なるほどのう。こちらの索敵による対応を飽和させようというわけか。わしらも人間である以上、複数方向から同時に攻撃されると対応が遅れるからのう」
「そのようだ。どうする?」
「敵の射程外から可能な限り叩かなければならぬ。攻撃はわしに任せてレオ坊は不意な近接戦に備えておくれ」
「姉上の言う通りに」
レオ坊は“
四方から迫る騎兵に対して運動エネルギーによる攻撃を行い、それによって敵を武装解除。またしても全滅判定が下されて行く。
「しかし、主力である歩兵がまだ見つからぬ……。どこから仕掛けてくる気じゃ?」
敵はしっかりと身を隠しておるらしく、なかなか見つからぬ。
「……煙幕!?」
そこで不意に演習場の北部に煙幕が広がった。それから南部でも煙が広がる。
「複数の方向から身を隠して攻撃。なるほど、なるほど。わしが教えたことをしっかりと学んでおるようじゃな!」
魔術師と言えど人間であり、それから魔術は自分の視野の範囲にしか展開できない。そのことを理解したうえでのしっかりした作戦じゃ。素晴らしいのう!
しかし、わしらはこれに応じなければならない。
となるとどうすべきなのか?
「ここは魔術の驚くべきことを見せてみよう」
わしはそう決意して、魔術というものには不思議で予想不能な点があることを教えることにした。
「さらなる
わしはそう意地悪く呟いて、空を飛ぶ異界の鳥から得た、南部における煙幕の位置に
呼び出されたのはぐにょぐにょした触手を有する不気味な生き物じゃ。とは言え、これは大人しい生き物であり、人間に害のあることはない。じゃが、相手を驚かすのには適切なはずじゃ。
「ふふ。びっくりしたようじゃのう」
南部の煙幕の中から逃げる歩兵たちが見えてきた。狙い通りに行ったようじゃ。
しかし、まだ北部の煙幕が残っておる。そちらにも──。
「姉上! 敵がすぐそばまで来ている!」
「なんと!」
しかし、敵である陸軍の対抗部隊は思った以上に計算高かったようじゃ。煙幕の展開はどうやらどちらも陽動であり、主力は厳重にカモフラージュをして密かにわしらのいる市街地に近づいておった。
「ふふ。素晴らしいのう。ちゃんとわしの講義を生かしてくれておるようじゃ。しかし、しかしじゃよ。わしらもそう簡単には負けられぬ!」
わしはそう宣言し、すぐさま捕捉された対抗部隊の主力歩兵部隊に目を向ける。
「通せんぼじゃー!」
わしはそちらにも召喚生物を呼び出し、行く手を遮る。
「レオ坊! わしにカモフラージュを任せて、敵の主力を撃破せよ!」
「ああ、姉上。任せてくれ!」
ここでわしは前にノクシアが行ったのと似た魔術を使う。すなわち幻覚を見せてその姿を隠してしまう魔術じゃ。
透明になったわしとレオ坊は召喚されたぶよぶよに行く手を遮られた敵主力へと突撃していく。敵主力の兵士たちはまだわしらには全く気付いておらぬ。
「とうっ!」
「はああっ!」
そこにわしとレオ坊が乱入。
「て、敵襲!?」
「どこからだっ!?」
対抗部隊の武器を狙って攻撃を行うと、対抗部隊は大混乱に陥る。こうなってしまってはまともに戦うことなどできぬ。
そのままわしとレオ坊は異界から召喚した“
わしとレオ坊の乱入から10分と経たないうちに対抗部隊の全滅が判定された。
「うむ。わしらの勝利じゃ」
演習の終了が宣言され、わしらは一度司令部になっていた場所に集まる。
「今回の演習では多くを学んだ」
ピアーズ大佐は少し渋い顔じゃったが、そう言って参加したわしらを見渡す。
「魔術とはいくら制限があったとしても、我々の理解を越えた能力だ。従来通りの戦い方では不十分であると判明した」
ピアーズ大佐たちは努力したが、魔術の方が一枚上手じゃったの。
「このままではいけない。このままではまた学院襲撃事件のようなことが起きた場合に、軍も警察も無力なままだ。我々は迅速に魔術に対する理解を深め、可能であるならば魔術を習得しなければならない」
おお。そこまで踏み込んでくるのか。
「陸軍参謀本部と陸軍省には今回の演習の結果について報告を行う。陸軍としては魔術の使える人間を育成し、それを部隊に配備するということに、異論は出ないだろう」
「ふむ。悪くないと思うぞ、ピアーズ大佐。わしもできる限り力になろう」
「助かる、アリス・カニンガムさん。我々はこれまで魔術を手品程度の代物と考えていたが、それは大きく修正する必要がありそうだ」
こうして陸軍は魔術について、その重要性を認識したのじゃった。
わしの講義に出席する将校の数は倍に増え、わしには陸軍士官学校でも講義をしてほしいなどという依頼すら舞い込み始めた。
しかし、そちらについてはわしはお断りしておった。流石に陸軍士官学校でまで講義をしておったら、わしは身ひとつで足りなくなってしまう。
それにじゃ。実を言うとわしには別の申し出も来ておったのじゃよ。
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