古代の偉大なる魔術師、永遠のTS幼女になってしまう。 作:第616特別情報大隊
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──帝国//帝都ベルハルデン
「世界魔術連盟への招待状ですかの?」
演習が終わった翌日のこと。
わしはトーランド教授から一枚に封筒を渡された。
「ああ。アルブレヒト殿下直々の招待状だ。是非とも世界魔術連盟に来て、自分たちに対する理解を深めてほしいと。承諾してくれるならば、旅の手配は向こうでするそうだ」
「ほう。確か世界魔術連盟はエスタシア帝国の帝都ベルハルデンにありましたな」
「ああ。海を渡らなければならない」
エスタシア帝国は海峡を渡った向こう側に存在する。東大陸のほぼ全土に広がる巨大帝国。それがエスタシア帝国じゃ。
「では、申し出を受けましょう。レオ坊も招待されておるのですよね?」
「ああ。レオについても招待状が来ている。君たち姉弟は期待されているようだ」
「それは何よりですじゃ」
レオ坊も認めてもらわなければのう。レオ坊はわしの今世における一番弟子で、とても頑張っておるのじゃから。
「では、返事の方は出しておこう。良い旅を、アリス」
トーランド教授は秘書に返事を出すように言い、わしらはアルブレヒト殿下のお誘いによってエスタシア帝国帝都ベルハルデンを訪れることになったのじゃった。
わしとレオ坊は父上と母上に帝国に向かうことを知らせ、両親からは『気を付けていってらっしゃい』という励ましの言葉をもらった。
それからわしとレオ坊は旅支度を整えて、帝国に向かう日を待ったのじゃった。
* * * *
帝国に向かう当日。
わしとレオ坊は学生寮の中央棟で待ち合わせをし、それから馬車と鉄道を乗りついで、港町まで向かった。
「レオ坊は船に乗るのは初めてじゃったな」
「ああ。どういう感じなんだろう? 姉上も初めてだろう?」
「ふふ。そうじゃったな」
今世ではわしも船に乗るのは初めてじゃ。古代帝国時代には幾度も乗ったことはあるがの。正直、そのときの船旅はお世辞にも快適とは言えないものじゃったが……。
「あれだね」
レオ坊が見つけたわしらが乗る船は、なかなかに立派な船じゃった。
海峡を行き来するだけじゃから、他の船と比べてもそこまで大きくはないのじゃが、それでもわしが前世で乗ったことのある手漕ぎの船と比べればはるかに大きく立派なものじゃった。
そして、わしらがその船に乗ろうとしたときじゃ。
「アリスさーん! レオさーん!」
「グレイス?」
そう、なぜかグレイスが荷物を抱えてやってきた。
「どうしたのじゃ? 何かあったのかの?」
「私も帝国に行くことになりました! トーランド教授からおふたりのことを見ておいてほしいということと世界魔術連盟に移籍したアレクサンダーさんについて様子を見てきてほしいと言われて」
「ほう。そうじゃったのか」
「というわけで、おふたりと一緒に帝国に行きますね!」
「うむ。よろしく頼むぞ、グレイス」
とわいうわけでグレイスも旅に加わり、わしらは船で海峡を渡った。
1時間と30分程度でわしらは海峡を横断し、帝国側の港町に到着。そこから鉄道で帝都ベルハルデンを目指した。
そして──。
「おお。ここが帝都ベルハルデンかの!」
ロンディニウムも栄えた街じゃったが、ベルハルデンもまた栄えた街じゃ。
高層建築が立ち並び、都市には様々な人種が行きかっておる。まさに帝国の心臓部に相応しい繁栄具合じゃのう。
「さて、この駅で世界魔術連盟の迎えがくるというはずじゃったのだが……」
わしらは駅を出たところで周囲を見渡す。すると……。
「アリス・カニンガムさんとレオ・カニンガムさん?」
スーツ姿の男性2名がわしらのところにやってきた。
「いかにも。おぬしたちは世界魔術連盟の?」
「はい。お迎えに上がりました」
「おお。これから暫くよろしく頼むの!」
わしらは世界魔術連盟の迎えと一緒に駅を出ると、用意されておったのは自動車じゃー! おお、馬車ではなく自動車で迎えに来てくれたとはのう!
わしもレオ坊も自動車に乗るは初めてじゃ。
「世界魔術連盟は資金が潤沢なようじゃのう」
「アルブレヒト殿下が理事長になられてから大きく変わりましたので。この自動車も殿下が導入を決定されたのですよ。殿下はとても新しいものがお好きでして」
「ほう!」
アルブレヒト殿下はやはり個性的な方じゃのう。
「国の自動車化はアルブレヒト殿下のみならず、皇帝陛下や政府の望むところでもありますのでね。自動車産業という新しい分野の開拓を、我々は目指しているのです」
なんと! このような自動車を作る仕事を国全体で進めておるとは。
「自動車産業で新しい雇用を創出し、さらには輸送の効率化などにも着手することが、今の政府の方針です。この車も国産車なのですよ」
「ほうほう。帝国は随分と進んでおるのだな」
「問題がないわけではありませんが、我々も祖国のために尽くしています」
世界魔術連盟の職員がそう言い、車はベルハルデンを駆け抜けていく。
通りを見渡せば確かにアルビオンより走っている車の数が多い。しかし、その分車から出る排ガスが立ち込めておる。ちょっと煙たいのう……。
「まずは皆さまには滞在するホテルにご案内します」
わしらはそう言われてベルハルデンの中にある立派なホテルに案内された。わしらはそこに荷物などを置き、ベルハルデンで過ごす準備を整えたのじゃった。
「よし。準備万端じゃな」
「では、いよいよ世界魔術連盟本部へ!」
わしとグレイスがそう言い、再び車に乗り込むと、わしらは世界魔術連盟本部へと向かった。ベルハルデンを中心部に向かって進むとその本部の建物が見えてきた。
それは高い2本の塔のようなビルで、近代的なベルハルデンにおいても違和感なく存在できるものじゃ。こんなに立派な建物じゃったとは思いもしなかったぞ!
「こちらになります」
車はエントランスの前で車が停車するとすぐに足音が聞こえてきた。
「おお、おお! 来てくれたのだね、アリス、レオ! ようこそ世界魔術連盟本部へ! 偉大なる魔術を探求せし組織へ! 私は君たちを歓迎しようではないか!」
「アルブレヒト殿下。ありがとうございます」
やってきたのアルブレヒト殿下じゃ。殿下直々の出迎えとは嬉しいのう。
「畏まる必要はない。さあ、さあ、中に入ってくれ!」
アルブレヒト殿下に案内されてわしらは世界魔術連盟本部へと入った。
「君たちが来るのを心待ちにしていたよ。君たちの才能はアルビオンに限定したものにするのではなく、世界にまで躍進するべきであると思っていたからね」
「殿下。わしらは別に世界魔術連盟に移籍しに来たわけでは……」
「だが、興味はあるのだろう? 今はそれで十分だとも!」
アルブレヒト殿下はわはははっと笑っておった。
「さて、まずは我々の共通の友人に会うとしよう!」
はて? 誰じゃろうか?
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