古代の偉大なる魔術師、永遠のTS幼女になってしまう。   作:第616特別情報大隊

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帝国//世界魔術連盟

……………………

 

 ──帝国//世界魔術連盟

 

 

「君たちも知っている人物だ。優秀な魔術師であり、研究者。紹介しよう!」

 

 アルブレヒト殿下はばんっと扉を開く。

 

「やあ、アリス、レオ」

 

「エリオット! そうじゃったな。おぬし、世界魔術連盟に移籍したのじゃったな」

 

 扉の先にいたのはエリオットと何名かのスーツ姿の男たちじゃった。

 

 エリオットは襲撃事件が終結したのちに学院を辞めて、それから世界魔術連盟に移籍したと聞かされておったのを忘れていた。

 

「エリオット・アレクサンダー博士は優秀な研究者だ。彼には今、古代帝国時代の魔術に関係する遺跡の発掘計画を立ててもらっている。世界でも最大規模の魔術関係の発掘事業となるだろう!」

 

 アルブレヒト殿下はそう高らかと宣言する。

 

「そんな大規模な発掘事業なのかの?」

 

「世界魔術連盟は予算が潤沢だ。それに資料の保存と管理にも厳格なルールが定められている。世界最大規模の発掘事業というのは、決して誇張された表現ではないよ」

 

「ほうほう」

 

 エリオットが言うのにわしは頷く。世界魔術連盟は凄いのう!

 

「アリスもレオも発掘に参加してもいいのだよ。むしろ参加してほしいね。君たちは独自に魔術を切り開いた人間だ。きっと古代帝国時代に魔術を切り開いた人々の思いや考えが理解できることだろう!」

 

「考えてきますじゃ、殿下」

 

 アルブレヒト殿下の申し出は興味深い。わしもわしの前世である古代帝国時代のことに興味がないわけではないのだ。

 

「姉上。参加したらどうかな? 姉上も興味があるんだろう?」

 

「そうじゃな」

 

 レオ坊はわしの前世がアストリウスだと信じてくれておる。だから、わしが古代帝国時代に興味があることに理解をしてくれておるのじゃ。優しい子じゃのう。

 

「アレクサンダー博士。お元気でしたか? トーランド教授は心配なさってましたよ」

 

「すまない。元気にしていると伝えておいてくれ、グレイス」

 

「はい」

 

 グレイスはエリオットの様子を見てくるようにトーランド教授に頼まれておったので、そのままエリオットと話し込み始めた。

 

「さて、それではこの世界魔術連盟について私が案内をしよう!」

 

 一方わしらはアルブレヒト殿下についていって世界魔術連盟を紹介してもらった。

 

「ここは資料室であり図書館だ。世界各地から集めた魔術に関する資料が集まっている。世界最大の魔術に関する図書館と言えるだろう! 現代のアレクサンドリア大図書館と言っても過言ではない!」

 

 そう言って見せられたのは巨大な図書館じゃった。確かに世界最大規模らしく学院の図書館でも及ばぬほどの広さと蔵書の量を誇っておった。

 

「君たちもここで研究するならば、どんな資料だろうとリクエストできるよ!」

 

「それは凄いですのう」

 

 魔術の知識を後世に残す。その目的はこれによって成し遂げられているように思われる。この図書館が焼けたりすることなく存続すれば、古代帝国時代のように魔術の継承が途絶えることもあるまい!

 

「次は研究室だ。我々は各地の大学における魔術学部の支援を行っているが、それとは別にこの世界魔術連盟本部でも魔術の研究をしているのだよ。アレクサンダー博士のように優れた研究者たちがここで日々魔術を探求している!」

 

「素晴らしいですのう」

 

 魔術は見捨てられ、衰退してしまったのは確かなのじゃが、こうして再評価してくれる人間がいるというだけで、わしは報われる気持ちじゃ。

 

「次は食堂! ここのランチは美味しいぞ!」

 

 食堂は食堂じゃのう。

 

「次は事務局! 特に面白いことはないぞ!」

 

 事務所は事務所ですのう。

 

「以上だ。興味を持ってもらえたかね?」

 

 そして、世界魔術連盟本部の案内が終わるとアルブレヒト殿下が尋ねてくる。

 

「わしはやはり図書館に興味が出ましたかのう。あれだけ立派なものがあれば、後世に確実に魔術を継承できましょう。古代帝国時代の図書館は戦乱で焼かれ、魔術の継承はそれによって途絶えましたからのう」

 

「まさに、まさにだ。我々は二度とあのような知識の喪失を起こすべきではない!」

 

 アルブレヒト殿下も古代帝国に存在した図書館が焼かれ、多くの知識が失われてしまったことを問題だと思ってくださっておったようじゃ。

 

「私は研究室に興味がありましたね。世界魔術連盟だからこそ行える研究というのはあるのでしょうか?」

 

「うむ。あるぞ。ここは政治的に中立だからな。政治がらみの面倒な問題を内包した研究でも、ここでならば行える」

 

「しかし、世界魔術連盟の資金はエスタシア皇室から出ているのでは……?」

 

「エスタシア皇室も出しているというべきだろう。世界魔術連盟は世界中からの寄付金と私個人の資産で運用されているのだから。そして、世界の出資者も私自身も魔術の謎が解けるのならば政治などどうでもいいのだ!」

 

「なるほど……」

 

 レオ坊が尋ねるのにアルブレヒト殿下がそう説明する。

 

「他にも先ほど述べたように世界魔術連盟は世界各地での多国籍な発掘作業も主導している。そういう発掘作業に加わるには世界魔術連盟に加わるのが一番だ!」

 

 ほうほう。世界魔術連盟というは頑張っておるのじゃな!

 

「私は君たちを高く評価している。君たちは失われたはずの異界魔術を再発見した。私はそれが狂おしいほど嬉しいのだ! そして、その再発見を大々的な広めたい! そうすべきだとは君たちも思わないか!?」

 

「ええ。そうですじゃ。わしらも異界魔術や精霊魔術を再び世界に広めたいと思っております。そうすれば世界はより豊かになるはずですからのう」

 

「そうだとも! 魔術は人類に残された発展の余地に他ならない!」

 

 アルブレヒト殿下は本当に魔術が好きなお方なのじゃな。

 

「そこで、だ。君たちのことを世界魔術連盟のメンバーやエスタシアの魔術界に紹介したいと思う。どうだろうか?」

 

「特に異論はありませんのじゃ。よろしくお願いします」

 

「では、そうしよう! 明日、私が世界魔術連盟理事長として主催する晩餐会を開くので、それに出席してくれたまえ!」

 

 そう言ってアルブレヒト殿下は去っていった。

 

「では、レオ坊。一度グレイスとエリオットのところに戻るかの?」

 

「そうしよう、姉上」

 

 アルブレヒト殿下直々の案内も終わったため、わしらはグレイスとエリオットいた場所へと戻る。

 

「あ。アリスさん、レオさん! どうでした?」

 

「うむ。実に興味深い場所じゃのう、世界魔術連盟というのは」

 

 グレイスが尋ねるのにわしはそう答える。

 

「アリス、レオ。君たちも発掘作業には参加する予定なのか?」

 

 そこでそう尋ねるのはエリオットじゃ。

 

「いや。まだそこまでは決めておらぬよ。どういう発掘かも聞いておらぬしな」

 

「そうか。では、簡単に教えておこう」

 

 エリオットがそう言って説明を始める。

 

「我々が発掘を目指しているのは、古代帝国崩壊の直後に戦火を逃れた図書館の本を保管したという場所だ。そこには失われていたと思われていた本が存在するかもしれないんだ。それを発掘するのが我々が計画しているものだ」

 

「古代帝国時代の本が……」

 

 エリオットの語る発掘作業の内容にレオ坊が感嘆したように言葉を漏らす。

 

「しかし、まだ現地政府との交渉が終わっていなくてね。アルブレヒト殿下も力を貸してくださっているが……」

 

 そして、エリオットは渋い表情でそう言ったのだった。

 

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