古代の偉大なる魔術師、永遠のTS幼女になってしまう。   作:第616特別情報大隊

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暗殺計画//ホテル・グラン・ベルハルデン

……………………

 

 ──暗殺計画//ホテル・グラン・ベルハルデン

 

 

「同志たちよ。準備はいいか?」

 

 そう確認するのカルレンツィア民族戦線の司令官ヴィクトル・ドレジャルだ。

 

「準備はできています!」

 

「我々は大義に命を捧げる覚悟です!」

 

「カルレンツィアのために!」

 

 カルレンツィア民族戦線の兵士たちは決意を秘めた目でそう言う。

 

「よろしい! それでは襲撃開始だ! 忌まわしき帝国を血の海に沈めるぞ! カルレンツィア万歳!」

 

「カルレンツィア万歳!」

 

「カルレンツィア万歳!」

 

「カルレンツィア万歳!」

 

 カルレンツィア民族戦線の隠れている帝都の廃倉庫の中で万歳の声がこだます。

 

「それでは同志ヒルデリカ。始めるとしよう」

 

「ええ」

 

 魔女学会の魔女であるヒルデリカもこの場所に集まっていた。

 

 彼女はその周りに生気のない目をした男女を10名前後連れていた。その土気色の肌をした男女からは、死人のような死臭が感じ取られている。

 

 それからカルレンツィア民族戦線は馬車でホテル・グラン・ベルハルデンに向かう。

 

 

 * * * *

 

 

 わしらはパーティ会場でうろたえておった。

 

「テロリストの襲撃ですかの?」

 

「そのようだ。客を避難させなければ」

 

 銃声と爆発音が響き、硝煙の臭いがここまで漂ってきておる……。

 

「わしらにできることはないですかの?」

 

「ふむ。しかし、招待した君たちを巻き込むのはあまり……」

 

「気にせず。我々は以前にもテロリストと戦っております」

 

「うむ。そうであれば君たちの力を借りよう」

 

 アルブレヒト殿下はそう頷いてくれた。

 

「それではまずは状況を」

 

 わしは警備を担当していた国家憲兵隊の将校に尋ねる。

 

「はっ! 現在、ホテルは重武装の武装集団に襲撃されています。全員が銃火器で武装し、さらには……」

 

「さらには?」

 

 将校が言いよどむのにわしは首を傾げて尋ねた。

 

「敵は自爆を決行したのです。我々の部隊の傍に向かってきた人間が突然爆発し、それによって部隊が半壊という状態になってしまったのです」

 

「なんてことだ。自爆だと……」

 

 将校の報告にアルブレヒト殿下が呻く。

 

「敵は死を覚悟しておるということか……。死兵ほど危ういものもないが……」

 

 死を覚悟し、受け入れた兵士たちは常識的な行動から外れてしまう。撤退すべきところで撤退せず、怯むべきところで怯まない。それゆえにこちらの行動も乱されてしまい、道づれにされてしまうのだ。

 

「応援は?」

 

「現在、こちらに急行中です。ですが、このままでは間に合いません!」

 

 不味いのう。さっきから銃声は確実にこちらの方に迫っておる。

 

「よし。わしらが時間稼ぎをしよう。他に戦えるものは?」

 

 わしはそう決意し、周囲にそう尋ねた。

 

「残りの部隊を指揮して防衛線を立て直します」

 

「頼む」

 

 国家憲兵隊の将校は生き残った将兵を指揮して戦うことを決定。

 

「私も戦おう!」

 

「で、殿下。それは危険です!」

 

 アルブレヒト殿下が宣言するのに侍従たちが慌てる。

 

「私も戦えるのだ。少なくとも私が招いた客は私が守る」

 

 アルブレヒト殿下は侍従に言われても頑なだった。

 

「では、殿下には最終防衛線を担当していただきましょう。それまではわしらが」

 

「た、頼みます」

 

 わしはそう提案し、侍従や将校はすぐにそう返した。

 

「それではテロリストたちからホテルを守らなければの。ゆくぞ、レオ坊!」

 

「ああ、姉上!」

 

 わしとレオ坊は国家憲兵隊の将兵とともにホテルの防衛線に向かう。

 

 今も激しい銃声が響いており、爆発音がときおり響く。

 

 わしらはエントランスから少し離れた場所に国家憲兵隊の一団を見つけた。全員が銃火器で武装し、銃撃に応戦しておるが既に満身創痍じゃ。

 

「大尉! 敵はエントランスを制圧しました! 我々は押されています!」

 

「分かった! 援軍も来たから、何としてもここを守り抜くぞ!」

 

 国家憲兵隊の将校がそう言い、わしらが防衛線に着く。

 

「アリスさん、レオさん! ここで敵を食い止めます! 協力を!」

 

「任せるのじゃ!」

 

 わしは国家憲兵隊の将校にそう言われて戦況を把握する。

 

 エントランスに敵の大部隊がおり、その敵は遮蔽物などを利用しながら前進を図っている。それとは別に妙な雰囲気がする男女がおるの……?

 

「気を付けろ! また自爆がくるぞ!」

 

 警備に当たる国家憲兵隊の兵士がそう叫ぶと、その気味の悪い雰囲気の男女がわしらの方に銃撃を気にせず走ってきた!

 

 そして、それらの男女はわしらの傍に近づくと──。

 

「ぬおっ!?」

 

 爆発。

 

 衝撃波がわしらを襲い、耳鳴りがするのじゃー!

 

「自爆とはこういうことかの! しかし、あの男女は何か奇妙な感触が……」

 

 わしは魂の瞳で表面構造(テクスチャ)の状況を確認する。

 

「やはり表面構造(テクスチャ)が魔術で書き換えられておる……! あれは魔術で操られているのやもしれぬな……!」

 

 そこで思いつくことはひとつじゃった。

 

 わしが注意深く敵を観察すると、あの男女は銃弾を受けても進んできておった。

 

 このことから導き出される答えはひとつ。

 

「死霊術か!」

 

 あの男女は死体じゃ。死体が死霊術によって動かされ、積まれた爆弾をわしらに向けて運んでおるのじゃろう。

 

「レオ坊。相手は死者を操ってこちらに爆弾を叩き込んでおる。この場ではいつもの“鬼哭啾啾(きこくしゅうしゅう)”では有効な攻撃が放てぬかもしれぬ」

 

「死体を破壊するような魔術が必要なわけだね」

 

「そうじゃ。頼めるか?」

 

「ああ。任せてくれ」

 

 レオ坊はそういって“鬼哭啾啾(きこくしゅうしゅう)”を別パターンに改編する。それは殺傷力を持った剣としての“鬼哭啾啾(きこくしゅうしゅう)”じゃ。

 

「来たぞ! 敵の攻撃だ!」

 

 と、ここでテロリスト側が一斉に攻勢に出た。

 

「カルレンツィア万歳!」

 

「カルレンツィアに自由を!」

 

「進め、同志たちよ!」

 

 主に猟銃で武装した男たちは死体爆弾を突撃させながら、それに続いてわしらが立て籠もっておる防衛陣地に向かってくる。

 

 死体爆弾が次々に防衛陣地の傍で爆発し、わしらが反撃できない状態で敵は距離を詰めてきたのじゃ!

 

「むう。これは不味いのう。まずは死体爆弾をどうにかせねば、と!」

 

 わしはここで死体爆弾を操る敵の死霊術を解析し、以前使い魔(ファミリア)を乗っ取った要領でそれを乗っ取った。

 

 死体爆弾は突然向きを変えてテロリストの方に突っ込み、そして爆発。

 

「うわああああっ!」

 

「ど、どうなっている!?」

 

 テロリスト側に混乱が広がる中で、わしらが反撃に動く。

 

「撃て、撃て!」

 

「反撃しろ!」

 

 国家憲兵隊がテロリストを銃撃し、撃退を目指す。

 

「“鬼哭啾啾(きこくしゅうしゅう)”!」

 

 レオ坊も“鬼哭啾啾(きこくしゅうしゅう)”でまだ爆発していない死体爆弾を切り裂き、さらにはテロリストの装備する銃を切断していく。

 

「よいぞ! この調子じゃあ!」

 

 わしらはテロリストを退けるために攻撃に出る。

 

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