古代の偉大なる魔術師、永遠のTS幼女になってしまう。   作:第616特別情報大隊

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学期末//独立

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 ──学期末//独立

 

 

 学院にも定例の夏の休暇のシーズンが近づいてきた。

 

 トーランド教授の研究室も夏の間は長い休みがあり、わしらも休暇を楽しむことになっておる。

 

 しかし、夏になると実家に帰るだけで特に変わったことはしていないのじゃ。

 

 そんな折にトーランド教授から話があった。

 

「アリス。君も自分の研究室を持つつもりはないかね?」

 

「自分の研究室ですかの?」

 

 トーランド教授はわしにそのような提案をしてきたのじゃ。

 

「君の教えている実戦魔術の講義は好評だ。講義に参加している軍人たちは君を高く評価している。なので、もッと講義を拡大してほしいという要望が来ているのだ」

 

「ふむふむ。それはエスタシアでの事件とも関係が?」

 

「もちろんだ。エスタシアで起きたアルブレヒト殿下を狙った攻撃に魔術が使われたということに、治安当局は最悪の事態を恐れ始めている。そう聞いている」

 

 エスタシアでも魔術によるテロが起きてしまった。

 

 それも政府の要人を狙ったテロじゃ。

 

 軍や警察は同様の事件がアルビオンで起きることを警戒しておるのじゃろう。もし、今度狙われるのが国会議事堂やアルビオン宮殿だった場合、どれだけの被害がでるのじゃろうかと……。

 

 そうであるが故に、魔術による戦闘の経験があるわしらに、魔術による戦闘の訓練を行ってほしいと軍は求めているのじゃな。

 

「しかし、ここでの研究はどうなりますかのう?」

 

 そう、わしはトーランド教授の研究室で研究に参加しておるのじゃ。

 

 今も表面構造(テクスチャ)基底構造(ベース)の研究は進められており、わしもちょっとずつ理解を深めておることころじゃった。

 

「こちらの研究には参加し続けていい。その上で君は自分の研究室で実戦魔術についての研究を行ってほしい。今は魔術によるテロに対する警戒が必要であり、それへの協力が求められている。どうするかね?」

 

 一応トーランド教授は押し付けることはせず、わしの事情を聞いてくれるようじゃ。

 

 確かに魔術によるテロの脅威は深刻じゃ。残念ながら。

 

 そして、わしも恐れておった。魔術がテロに頻繁に使われ、多くの犠牲者を出すことによって魔術に悪いイメージがついてしまうということを。

 

 それを防ぐには魔術による攻撃に対処できる体制が必要じゃ。

 

「分かりました。お引き受けしますのじゃ。いつ頃から取り掛かれば?」

 

「すぐに部屋を手配する。こちらで秘書を付けるから、必要なものがあれば彼女に言いたまえ。彼女が君の求めるものを可能限り準備する」

 

「おお。助かりますのじゃ」

 

 ということで、わしは自分の研究室を持つことになった。

 

「割り当てられる部屋はこちらになります」

 

「うむ。では、準備を始めるとしようかの」

 

 トーランド教授が付けてくれた秘書とともに大学内で割り当てられた部屋に入る。

 

 流石にトーランド教授に割り当てられた部屋と比べるといささか狭いが、それでも立派な部屋じゃった。

 

 わしはそこに机や椅子を運び込み、研究室として機能するように整えていった。

 

 魔術があるので重いものを運ぶのもわしには簡単じゃ!

 

 そして、そのようにして研究室がようやく整ったときのこと。

 

「姉上。見に来たよ」

 

「アリスちゃん! 研究室はどう?」

 

 ここでレオ坊やマヤたちが様子を見にやってきた。

 

「おお。レオ坊たちも来たのか。ようやく準備ができたところじゃよ」

 

 わしはそういって机、椅子、本棚の並んだわしの研究室を見せた。

 

「おおー! 本当に研究室を貰ったんだな」

 

「凄いなあ。アリスちゃん、ほんのわずかな間に出世したねー」

 

 ライリーとマヤは感心したというように研究室の中を見渡す。

 

「とは言え、まだ活動実績はないからの。これからこの研究室もちょっとずつ変化していくじゃろう。今はまだまっさらな状態じゃ」

 

 本棚にあるのは基本的な本ばかりで、研究資料や論文があるわけでも、わしの書いた本があるわけでもない。研究室としてはまだまだこれからじゃよ。

 

「将来は姉上の研究室に所属したいな」

 

「レオ坊が来てくれるならば歓迎するよ」

 

 わしの研究室の開室祝いに来てくれたのはレオ坊たちだけではなかった。

 

「アリスさん。研究室を開かれたそうで。おめでとうございます」

 

「おお。ローガン、ありがとうなのじゃ」

 

 非血統魔術師の准教授であるローガンも来てくれた。

 

「いやはや。自分も負けないようにしなければと活を入れられた気持ちですよ。もう非血統魔術師だからというのは理由になりませんからね」

 

「うむうむ。ともに頑張ろうではないか」

 

 ローガンはお祝いに万年筆をプレゼントしてくれた。

 

 しかし、驚いたのはもうひとりの来訪者じゃ。

 

「アリスさーん! お願いがあって来ました!」

 

「グレイス? どうしたのじゃ?」

 

 やってきたのはグレイスじゃった。グレイスは何やら箱に入れたいろいろなものと一緒にわしの研究室を訪れてきた。

 

「トーランド教授に頼んで、アリスさんの研究室の手助けをすることになりました! 流石にアリスさんひとりでは難しいだろうとということでして!」

 

「気持ちは嬉しいが……。本当によいのかの?」

 

 グレイスの気持ちは本当に嬉しいのじゃが、彼女には彼女のやりたいことがあるのではなかろうかと少し心配になってしまうのじゃ。

 

「大丈夫ですよ。それに誓ったではありませんか。ともに魔術を再興しようと!」

 

「そうじゃったな。では、またよろしく頼むの、グレイス」

 

「ええ、ええ。こちらこそよろしくお願いします!」

 

 早速わしの研究室に所属する人間が現れた。

 

 グレイスとはトーランド教授の研究室でもいろいろと手伝ってもらっていたので、研究室に来てくれたのは正直かなり嬉しいことじゃ。

 

「では、早速これから行う講義の内容と研究課題について決定しようかのう」

 

「そうですね。これまでの講義は既に拝見していますが、これから新しい要素を組み込んだりするのでしょうか?」

 

「うむ。やはり魔術に対抗するには魔術を使うのはもっとも適切じゃ。今の戦争の主役である銃は確かに優れだものであり、戦争に使うという面では魔術よりも適切じゃろう。だが、今の銃では魔術に立ち向かうのに不十分な点もある」

 

 わしはエスタシアで起きたテロで銃を持った国家憲兵隊の兵士たちが異界魔術を使う敵に押されていたのを見ておった。

 

 銃は強力で、操作も簡単じゃと聞く。そのようなものは数を揃える必要がある戦争においては大いに役立つじゃろう。

 

 しかし、局所的な戦闘となるテロにおいては魔術という彼らが想定してないものによって圧倒されてしまう恐れがあった。

 

 わしはこの問題を解決しようと思うのじゃ。

 

「受講する将校たちに魔術を教えるのは難しいと思うかの?」

 

「不可能ではないかと! ただ高度な魔術を会得するには、幼少期からの教育が必要です。その点を理解してもらい、将来魔術が必要な場合に備えてもらうべきです」

 

「そうじゃな。まずは魔術が必要であると認識してもらわなければ」

 

 わしらがそう話し合ってカリキュラムを決定していった。

 

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