古代の偉大なる魔術師、永遠のTS幼女になってしまう。 作:第616特別情報大隊
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──古図書館//1階層
わしらは掘り起こされた遺跡の中へと入った。
「これは……やはり図書館じゃな……」
遺跡の中は本棚がずらりと並ぶ図書館であった。
未だにその本は朽ちることなく、そこに存在しておった。
「これは凄いな。古代帝国時代の図書館か……」
「大発見ですぞ、アレクサンダー先生!」
エリオットたちも続けて入ってきて、中を見ては圧倒されていた。
「全て記録するんだ。すぐに写真撮影を始めてくれ」
「了解です」
それからエリオットたちはまずは遺跡内の記録から始めた。
わしらはそれらの記憶が終わるまで、遺跡内のものを動かさないように慎重に見て回る。本棚はずらりと並んでおり、古代帝国時代の文字で本棚に何の本が置かれているかが記されているのを確認した。
「む? エリオット、来ておくれ!」
そこでわしはあるものを発見して声を上げる。
「どうした、アリス?」
「これを見てくれ。階段じゃ。地下に続いておる」
「何と……。まだこの遺跡は広いと言うのか……」
既に1階だけでもかなりの広さであったのに、この遺跡はさらに広いようじゃ。
「しかし、地下か。どうしたものだろうか……」
「発掘は難しいかの?」
「地下に潜ったところでこの1階層が崩れる可能性もある。かといって貴重なこの1階を崩して発掘を行うわけにはいかない。かなり難しい発掘作業になるだろう」
「ううむ。確かにのう……」
これだけ古い建物じゃ。いつ崩れてもおかしくない。
それなのに地下に潜るのはリスクが高いじゃろう。最悪生き埋めになってしまう。
じゃが、それでもわしは地下に何かがあるような気がしてならないのじゃ。
「何とか地下の発掘もできぬじゃろうか?」
「考えてみよう。地下に興味があるのは、君だけではないからな」
「ありがとう、エリオット」
それから1階の記録が終わり、わしらは早速保管されていた本を調べることに。
「ここにあるのは全て魔術に関係する本じゃな……。一般魔術、異界魔術、精霊魔術。その全てに関する本がここにはおかれているようじゃ」
「大発見だね、姉上。これまで古代帝国時代の資料はほとんど失われていたから」
「まさにじゃ、レオ坊。戦乱をこうして生き延びた図書館もあったのじゃな」
これまで古代帝国時代に記された魔術に関する本は、そのほとんどが末期に起きた戦乱のせいで散逸してしまったと思われていた。
じゃが、どうだろうか! ここにこうして古代帝国時代の図書館がそっくり残っており、そこには無数の魔術に関する本が眠っていたのじゃ!
「これは大発見じゃのう。もしかすると、どうして魔術が後世に語り継がれなかったかが分かるやもしれぬぞ」
わしもこの発見に興奮しておった。
馴染みある古代帝国の図書館を、こうして数千年後に転生したわしが目にしているのじゃ。知識とは継承されるものであると、そう証明されたような気がして嬉しくてたまらないのじゃよ。
「姉上はこの本が読めるのか?」
「もちろんじゃ。古代帝国時代の文字は一通り読めるぞ」
わしはエリオットたちの許可を得てから、本棚から本を取り出し、その中身を読み始めた。やはり魔術について記されておる。
その内容な現代の魔術学部で使われる教科書と比較しても、遜色ないものじゃった。
「筆者はザリオンか。やはりあやつが作った図書館なのか……」
わしは図書館の本の多くがザリオンによって記されたものであると知った。
図書館の外に記された紋章からして、ここがザリオンに関係する図書館であることは間違いなかった。
状況証拠を並べればここがザリオンによって作られた図書館であると推測できる。
「諸君! 発掘作業はどうかね!」
と、ここで聞き覚えのある声が。
「これはアルブレヒト殿下。ようこそいらっしゃいました」
エリオットたちが出迎えるのは見知った人物。
おお。やはりアルブレヒト殿下じゃ!
「うむうむ。ここは図書館かね?」
「ええ。それも古代帝国時代の図書館であり、魔術に関係する書籍が収められた場所です。まさに世紀の大発見となります」
「素晴らしい! このような発見を私は待っていたのだ!」
エリオットが説明するのにアルブレヒト殿下は上機嫌で図書間を見て回った。
「おお、アリスとレオではないか! どうだね、君たちから見てこの遺跡は?」
「興味深い場所ですじゃ。恐らくは精霊魔術の使い手であったザリオンが少なからずかかわっていると思うのですが……」
「ザリオン。伝説の精霊魔術師だね。ほうほう、そのような人物がこの遺跡を……」
そこでアルブレヒト殿下がはっとした。
「そう言えば伝えるのが遅れていた。諸君に勲章を授与することが決まった! エスタシアの名誉あるエスタシア騎士鉄十字勲章が授けられる予定だ。今度、ベルハルデンにて受勲式が行われるので是非とも受け取ってくれ!」
「それは栄誉です。感謝いたします、殿下」
そう言えばそんな話がシャーロット陛下からもあったのう。
「それでは諸君! これからも発掘に励んでくれ! 吉報を期待している!」
アルブレヒト殿下ははははっと笑い、遺跡から出ていった。
「さて。アルブレヒト殿下も期待されている。発掘作業を進めよう」
「了解!」
エリオットが指揮を執り、図書館の発掘作業が進められていく。
本が1冊、1冊状態が確認されて行き、古いものはすぐさまカメラで撮影されたり、書き写されたりした。
わしとレオ坊もその作業を手伝い、わしは解読も手伝った。
「やはりここは大規模な魔術の書籍を集めた図書館じゃな」
「そのようだ。1階にあった本だけでも大発見だが……」
「ここにはさらに地下がある」
わしらはまだ地下には一切手を付けていなかった。
しかし、地下にももしかしたら価値ある本が山のようにあると思うと、知識欲がうずく、どうにかして地下に入り、発掘を行えないじゃろうか?
「地下の発掘計画を立てなければならないな……。可能な限り遺跡を損なうことなく、地下に何があるのかを確かめる必要がある」
「志願者を募るのであれば、わしは志願するぞ」
「私もだ。何が地下に眠っているのか、気になるのは君だけじゃない」
わしとエリオットはそう言葉を交わし、エリオットは地下の探索のための準備を開始した。建物を支えるための建築資材を取り寄せ、鉱山労働者たちを呼び、地下の構造を支えながら発掘する計画が進んでいく。
わしとレオ坊はまずは1階が崩れてもいいように、本を運び出す作業に加わり、本棚に分類されていた通りに本を運び出し、外で別に用意された本棚に並べた。
そして──。
「地下の発掘作業を進める準備が整った」
エリオットがキャンプで皆にそう告げる。
「地下に支えとなる資材を運び込み、崩落防止の建築を行いながら発掘を行う。言うまでもなくこれはとても危険な作業になる」
うむ。生き埋めになる恐れもあるかの。
「よって志願者のみで作業は行われる。諸君、志願するものは申し出てくれ」
エリオットがそう言い、わしらは手を上げる。
わしもレオ坊も他の学者たちも一斉に手を上げた。
「分かった。諸君らの知識への献身に感謝する」
こうして地下の発掘計画が開始されたのじゃった!
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