古代の偉大なる魔術師、永遠のTS幼女になってしまう。   作:第616特別情報大隊

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古図書館//地下1階層

……………………

 

 ──古図書館//地下1階層

 

 

 わしらは図書館遺跡の地下1階に踏み込むことになった。

 

「まずはガスの有無を確認する」

 

 そういうのは雇われた鉱山労働者のリーダーで、カナリアを入れた鳥かごを持って彼は地下に降りた。

 

「大丈夫そうだ」

 

 カナリアに異常があればガスがあるということらしいのじゃが、カナリアは元気にしておる。つまり、とりあえずは潜っても大丈夫じゃということじゃ。

 

 わしらはおっかなびっくりしながら地下に潜っていく。

 

「暗いのう……」

 

 そう思ってわしが魔術で明かりを付けようとしたときじゃ。

 

「待て、姉上。何かがいる……!」

 

「何かが……?」

 

 わしはそこで暗闇の中に目を凝らす。

 

 そのとき鉱山労働者のリーダーがランプをともした。

 

「なあっ……!?」

 

 地下1階も図書館であったが、そこには本以外のものの存在しておったのじゃ!

 

 そう、この地球上には存在しない生き物──異界の怪物がおったのである!

 

 それは2メートルほどの大きさのある巨躯を有する獣の頭をした怪物じゃあ……!

 

「どういうことじゃ。ここはまさか……?」

 

 わしはすぐさま魂の瞳で表面構造(テクスチャ)を確認。

 

「これは……! 表面構造(テクスチャ)がぐちゃぐちゃに乱れておるが……まさか魔術で……?」

 

 わしが状況を把握し終えないうちに、獣の頭を持った化け物がわしらを見つけた。

 

「────っ!」

 

 化け物は叫び、わしらの方に突撃してきた!

 

「ひいいっ!」

 

「下がるのじゃ! レオ坊はわしと!」

 

 鉱山労働者のリーダーが悲鳴を上げて腰を抜かし、わしとレオ坊がすかさず座り込んでしまった彼の前に出る。

 

 化け物はわしらの方に突進を続け。ランプの光に鋭い爪と牙が光った。

 

「“鬼哭啾啾(きこくしゅうしゅう)”」

 

 レオ坊は輝く刃を浮かべて一斉に放つ。

 

「──────!」

 

 化け物はおぞましい悲鳴を上げて速度が遅くなったが、それでも突撃を続けてくる。

 

「やらせはせぬよ!」

 

 わしは強力な運動エネルギーを化け物の頭に叩き込んだ。化け物の頭がはじけ飛び、鮮血とともに化け物が地面に崩れ落ちた。

 

「やはり、か……」

 

 倒れた化け物はそのままその姿が灰に代わるようにして消滅していく。

 

「これは異界魔術だろうか、姉上?」

 

「間違いない。どうやらこの遺跡には先客がおるようじゃな」

 

「先客……」

 

 わしらは用心したまま周囲を見渡す。

 

 すると奥の方から唸り声が聞こえてきて、何かが接近してくる足音が響いてくる。

 

「アリス、レオ! なにがあった!?」

 

「敵じゃ。いや、侵入者であるわしらを排除しようとする番犬かのう……?」

 

 ここでエリオットが物音を聞いて駆けつけ、わしらは敵を迎え撃つ準備をする。

 

 暗闇の中にいくつもの赤い光が見えたと思うと、それは化け物の眼が輝いているものだと分かり、雄たけびとともに化け物たちが一斉にわしらに襲い掛かってくる──!

 

「迎え撃つのじゃ、レオ坊!」

 

「ああ!」

 

 わしはこのフロア一帯にわしとレオ坊以外の時間が遅く流れる異界魔術を展開し、レオ坊は“鬼哭啾啾(きこくしゅうしゅう)”の刃で次々に化け桃たちを撃破していく。

 

 戦闘は恐らく30分ほど続いたじゃろうか。

 

 無数の湧き出てきた化け物を撃破し、ようやくフロアが静まり返った。

 

「ふう……。危ないところじゃったのう……」

 

 わしはふうと安堵の息を漏らす。

 

「あの化け物は異界魔術だとして、どうして発掘が始まったばかりの遺跡にこんなものが存在したというのだろうか……」

 

「それが謎じゃな」

 

 この遺跡はようやく1階が発掘され、少なくとも古代帝国時代が終わってから地下に入ったのはわしらが初めてのはずだ。

 

 それなのにどういうわけか異界魔術の、敵意ある出迎えを受けた。

 

 どういうわけなのじゃろうか……?

 

「アリス、レオ。これから我々もこの階層の安全を確認する。よければついて来てくれ。君たちの力を借りるべきかもしれない」

 

「了解じゃ、エリオット」

 

 それからエリオットや鉱山労働者のリーダー、護衛の兵士とともにわしらはこの地下1階層を見て回った。

 

 本棚がずらりと並ぶそこに、もう敵意ある存在はいなかった。

 

「エリオット。これを見てくれ」

 

「これはさらなる地下への階段か……」

 

 わしはそこで地下2階層に続く階段を発見した。

 

「どうするのじゃ? まずはこの地下1階層を完全に探索しておくかの?」

 

「そうだな。補強工事もしなければならない。まずはそれからだ」

 

 わしらは着実に物事を進めていくために、まずはこの制圧した地下1階層の調査と補強工事を開始した。

 

 最初に写真撮影が行われ、記録が取られる。本は並べられていた順番もしっかりと記録されてから、丁寧に、慎重に地上に運び出された。

 

 それから建築資材が運び込まれ、補強工事が開始される。

 

「レオ坊。おぬしには表面構造(テクスチャ)はどう見えておる?」

 

「何かノイズが走っているような……。改変されているのは確かなのだが、それが戻る様子もなく濁っている。そんな感じだ、姉上」

 

「やはりそう見えるかの」

 

 わしにも表面構造(テクスチャ)は濁って見えていた。

 

 遺跡で何が見つかるのかも重要じゃが、魔術的に何がここで起きたのか。それを突き止めるべきやもしれぬ。

 

 それから補強工事は7日間かけて行われ、十分な強度が保証されることとなった。

 

「さて、さらなる地下の探索だが……」

 

 エリオットが指揮する発掘チームは地上のキャンプで計画を立て始めた。

 

「地下1階層で起きたことを考えるに、地下2階層にも何かしらの脅威が存在する可能性がある。先の戦闘ではアリスとレオのおかげで犠牲者は出ずに済んだが、今後も彼らに頼るだけというわけにはいかない」

 

 エリオットは地下1階層の件から、地下2階層に同様の脅威があることを不安視していた。確かに想定しておくべきことじゃろう。

 

「その上で地下2階層にある遺跡の構造を保護し、損なうことがないようにしなければならない。それを損ねてしまっては、発掘を行ったことの意味がなくなる。本末転倒だ」

 

 それもそうなのじゃ。

 

 わしらは遺跡の発掘に来たのであって、化け物と戦いに来たわけではないのじゃ。それなのに化け物との戦闘に必死になって遺跡にある資料を損ねてしまっては、エリオットが言う通り本末転倒なのじゃ。

 

「よって銃火器は使用せず、制限された魔術での戦闘を行う。戦闘魔術が使える人間は、先遣隊に志願してほしい」

 

 エリオットがそう求めると、発掘チームのメンバーたちが頷く。

 

 世界魔術連盟に所属していた人間なだけあって、戦闘魔術が使える人間はいるようじゃな。頼もしいことじゃよ。

 

「ありがとう。地下2階層の発掘作業は十分な準備を行い、さらに地下1階層で得た書籍の調査を行ったうえで開始される。それまでは待機しておいてくれ」

 

「了解じゃ」

 

 わしらは暫くの間、地上で準備と調査を進めることになった。

 

 しかし、この遺跡には何が潜んでおるのじゃろうか? 不気味な感じじゃあ……。

 

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