古代の偉大なる魔術師、永遠のTS幼女になってしまう。   作:第616特別情報大隊

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古図書館//地下2階層

……………………

 

 ──古図書館//地下2階層

 

 

 わしらは準備を整え、地下2階層へと進むことになった。

 

「準備はいいか?」

 

 エリオットがわしら先遣隊のメンバーにそう確認する。

 

「準備はばっちりじゃ!」

 

「できている」

 

 わしらは皆、戦闘準備を完了しておった。何が出てきても倒して見せよう!

 

「では、行くぞ」

 

 エリオットを先頭にわしらは地下2階層に降る。

 

 地下2階層からはひんやりとした空気が伝わってきた。

 

 今のところは異常は感じられないが、表面構造(テクスチャ)には今も乱れが生じ続けていた。ここにも何かがおるはずじゃ。

 

「ガスは大丈夫だ。進もう」

 

 エリオットはそう言い、地下2階層を進んでいく。

 

 地下2階層は天井が異常に高いものの、こおもやはり図書館であったが、空の本棚ばかりが並んでいる。ここに本を運ぶ前に戦乱が襲ったのじゃろうか……。

 

 そのようなことを考えていると地下2階層全体が揺さぶられるように僅かに揺れた。

 

「今のは……?」

 

「レオ坊。備えろ。来るぞ……!」

 

 振動は近づいてきて、わしらはそれぞれ身構える。

 

 そして、エリオットの照らすランプの明かりに映ったのは──。

 

「これは……!」

 

 現れたのは巨大なワシ──それにライオンの体が融合したような生き物。

 

 わしはこれを知っておる!

 

「異界の生き物じゃ! 名はグリフォン! 見た目通りに獰猛じゃぞ! 警戒せよ!」

 

 わしはそう叫び、まずは隊列を整えるために時間遅延の異界魔術を発動。

 

「攻撃開始、攻撃開始!」

 

 グリフォンの動きが鈍る中で、エリオットを含めた先遣隊が攻撃を繰り広げる。

 

「──────!」

 

 時の流れが戻り、グリフォンは雄たけびを上げて突撃してきおった!

 

「回避だ、回避! 逃げろ!」

 

 エリオットが叫び、先遣隊は散らばる。

 

 そこにグリフォンが突撃してきて、激しい振動が伝わった。それからグリフォンは飛び上がり、飛行しながらわしらに襲い掛かってくる。

 

「攻撃を叩き込め! 叩き落すんだ!」

 

「了解じゃあ!」

 

 エリオットの号令にわしらはグリフォンに向けて運動エネルギーや異界の刃を叩き込み続ける。

 

 しかし、グリフォンは非常にタフでなかなかに落ちない。

 

「むう。これは長期戦になりそうじゃのう……」

 

 グリフォンは空を飛び、降下してはわしらを襲う。

 

「姉上。このままだと死人がでそうだ」

 

「そうじゃな。あまりよくはない状況じゃ、どうにかせねば……!」

 

 わしはそう考えてグリフォンを確実に屠るための一撃を探る。

 

 恐らくグリフォンの皮膚は強固で、いくら運動エネルギーを叩き込んでも、衝撃が緩和されて致命傷に至っていない。

 

 “鬼哭啾啾(きこくしゅうしゅう)”のような異界の刃も、グリフォンを完全に屠るには不十分だ。既に何発も命中させているが、平然としておる。

 

 であるならば、どうすべきか……?

 

「エリオット! ここで炎を生じさせても大丈夫かの!?」

 

「ガスはない! 短い間ならば大丈夫だ!」

 

 ガスはなくとも酸素がなくなればわしらは窒息死。そして、炎は酸素を消費する。なので炎が生じさせられるのは一瞬じゃ。

 

「行くぞ!」

 

 わしはグリフォンの前に立ち、グリフォンが接近してくるのを待った。

 

「────!」

 

 わしを獲物と認識したのか、グリフォンはわしに向けて突撃を開始。

 

 ここまでは予定通りじゃが……。

 

「姉上」

 

 レオ坊が万が一に備えてわしの前に立つ。

 

「大丈夫じゃよ。確実に仕留める……!」

 

 グリフォンはわしに向けて突き進んできて、鋭い爪がランタンの明かりに光る。

 

「食らうがよい!」

 

 わしはグリフォンが口を開けた瞬間、そこに強力な爆発を生じさせた。

 

 爆発は周囲に衝撃はを生じさせてわしらを揺さぶり、地下2階層全体が揺れる。それから土煙が辺りを覆い、グリフォンの姿が見えなくなる。

 

「やったか……!?」

 

 わしらがじっと土煙の中に目を凝らすと、首のないグリフォンが見えた。

 

 爆発によって頭部を喪失したグリフォンはぐらりとその巨体が傾き、そのまま地面に倒れると消滅していった。

 

「ふう。何とかなったのう……」

 

 わしは何とか得られた勝利に安堵の息を漏らす。

 

「他に化け物はいないか?」

 

「確認します!」

 

 先遣隊は地下2階層を回っていき、わしらは地下2階層に他に化け物がないことを確認したのだった。

 

「そして、さらなる地下への階段かの……」

 

 この遺跡はここで終わりではなかった。さらに地下への入り口が、第2階層には存在したのである。

 

「ううむ。流石に危険な気がしてきたのう」

 

「だが、ここで諦めるわけにもいくまい。それにここまでの守りを固めた遺跡の地下に何があるのか。君は興味はないか、アリス?」

 

「そう言われると断れぬの」

 

 わしらはまずは地下2階層の補強工事を始め、わしやレオ坊は地下3階層から化け物が這い出てこないか、しっかりと監視することにしたのじゃった。

 

「しかし、本当にここまで守られた遺跡と言うのは何があるのじゃろうな?」

 

「姉上は心当たりはない?」

 

「ザリオンが残したものじゃと思っておったが、異界魔術で生み出された化け物が生息しているところを見ると、精霊魔術の使い手であったあやつの印象と齟齬が生じる。何か別の人間が地下を作ったのじゃろうか……?」

 

 遺跡の正面には精霊魔術の使い手ザリオンの紋章が確かにあった。

 

 それに1階層の書籍は精霊魔術に関するものが多くあったのじゃから、わしはてっきりこの遺跡の全てをザリオンが作ったのだとばかり思っておった。

 

 しかし、どうもそうではないようなのじゃ。

 

 ここにいる化け物たちは異界魔術で生み出された異界の存在であり、精霊魔術とはほとんど関係ない。精霊魔術の使い手であったザリオンにしては妙な話じゃ。

 

 だから、わしは今は考えておる。

 

 1階層を作ったのはザリオンじゃが、その下は別のものが作ったのではないかと。

 

「アリス、レオ。地下2階層にあった書籍の解読ができそうそうだ。見張りは別の人間が行うから来てくれ」

 

「分かったのじゃ」

 

 エリオット呼ばれて、わしらは一度地上のキャンプに向かう。

 

 キャンプでは発掘された資料が簡単な解読が行われたのちに、梱包されて帝都ベルハルデンの世界魔術連盟本部に送られているところじゃった。

 

「発掘で明らかになったのは地下1階層で見つかった書物は精霊魔術のそれというよりも、異界魔術のそれが多いということだ」

 

 エリオットはそう説明する。

 

「さらに地下2階層では古代帝国時代の魔術史に関する書籍もあった。だが、我々が見たように全ての棚が埋まっているわけではなく、棚には多くの空きがあった」

 

「地下3階層に何があるのか示唆しているものはないのかの?」

 

 わしはそこでエリオットにそう尋ねる。

 

「それは難しいところだが、遺跡を慎重に調査したところ、地下2階の本は移動させられた痕跡があった。もしかすると、より安全な地下に移動させたのかもしれない」

 

「ふむ。地下2階層にあったのは魔術の歴史について記したものがあり、それが移動させられた、と……」

 

「理由は不明だ。だが、地下3階層にも何かがあるはずだ。それを探ろう」

 

「もちろんじゃ」

 

 こうしてわしらは次に地下3階層を目指すことを決めたのじゃった。

 

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