古代の偉大なる魔術師、永遠のTS幼女になってしまう。 作:第616特別情報大隊
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──古図書館//精霊
「そうじゃ! 逆鱗じゃ!」
わしはあることを思い出した。
そう、ドラゴンには逆鱗という弱点があるということを!
「レオ坊、エリオット! 防御を固めておくれ! わしが仕留める!」
「了解だ、姉上!」
わしは防御とレオ坊とエリオットに任せ、ドラゴンの逆鱗の位置を探す。
あのドラゴンはわしも依然見たタイプだ。それによれば逆鱗の位置は──。
「顎の部位!」
わしはドラゴンの逆鱗を狙って運動エネルギーを叩き込もうとする。
しかし、ドラゴンの方も狙われているのに気付いているのか、攻撃を回避しては火炎放射でわしらの動きを制限する。
「むむむ! 流石にこれでは狙えぬのう……!」
わしはできることがないかを瞬時に考える。
「ならば、ここは相手に合わせてみるのじゃ!」
わしは大規模な異界魔術を展開。
「あれは!」
「まさか……!?」
エリオットたちが驚愕する中、わしが異界魔術で生み出したのは──。
「こちらもドラゴンで勝負じゃあ!」
ドラゴンである!
セレストリアが生み出した赤い鱗のドラゴンとは違い、黒い鱗のドラゴンが現れ、敵のドラゴンと戦闘を開始したのじゃ!
わしが生み出したドラゴンは敵のドラゴンに突撃し、取っ組み合いの戦闘を始めた。敵のドラゴンはわしらどころではなくなり、わしのドラゴンと格闘戦を始めた。
「これは……まさか……」
セレストリアがうろたえる中で、わしのドラゴンは猛攻撃を仕掛ける。
殴り、蹴り、噛みつき、火炎放射。
地面が揺れ、熱気が満ち、雄たけびが臓腑を揺るがす。
ドラゴン同士の戦いはすさまじいのじゃあ!
「しかし、姉上! このままでは遺跡が崩落してしまう!」
レオ坊がそう叫ぶ。
「大丈夫じゃよ! 見ておれ!」
わしは2体のドラゴンが激しく戦う最中に狙いを定めておった。
それは敵のドラゴンが逆鱗。
しっかと捉えたそこに向けて──。
「食らうのじゃ!」
わしは運動エネルギーを叩き込んだ!
「──────!」
敵のドラゴンは恐ろしいほどすさまじい悲鳴を上げると、地面に崩れ落ちた。
そして
「ここまでじゃよ、セレストリア」
わしは次の攻撃が来る前にセレストリアに告げる。
「残念です。ここまでとは……」
セレストリアが首を横に振ったとき、彼女の姿が消え始めた。
「何が……!?」
わしらがうろたえる中で、セレストリアは完全に消滅してしまった。
「
「まさかセレストリア自身も魔術によって
人間を魔術で生み出す。
それは非常に困難であり、不可能なはずであった。
しかし、セレストリアの消滅後に元通りになった
驚くべきことじゃが、となると誰がセレストリアを生み出していたのか……?
「祭壇に何かがある」
そこでエリオットがそう言い、祭壇の方に慎重に進んでいく。
「これは何だろうか? 何かの宝石……?」
「そのようじゃな。しかし、何か強力な魔術の気配を感じるのじゃ……!」
わしがそう言って宝石に手をかざしたとき、宝石が割れてしまった!
「な、何じゃ……!?」
宝石からは極彩色の光が溢れ、わしらは思わず後ずさりする。
光が収まったとき、そこにいたのはひとりの少女じゃった。
長い緑がかった黒髪に、健康的な褐色の肌。そんな14歳ほどの少女がわしらの方を赤い瞳で見つめていた。
「こんにちは、皆さん」
少女は言って笑顔で挨拶する。
「おぬしは……?」
「ボクは古代の魔術師ザリオンの記憶と人格を移植した精霊です。ボクのことは分かりますよね、アストリウス様?」
「ザリオンの……!?」
というより、わしをアストリウスだと認識できておるのか!?
「ザリオンだと……。古代帝国時代の魔術師が、ここに……?」
「アストリウスというのは……?」
先遣隊のメンバーたちはエリオットを含めて疑問を浮かべておる。
「ザリオン。おぬしにはわしのことが分かるのか?」
「もちろんです。あなたのことが分からないわけがないではありませんか」
「そうか、そうか! うむ! いかにもわしはアストリウスであり、今はアリス・カニンガムじゃ」
ザリオンに言われてわしはそう宣言。
「どういうことなんだ……?」
「アレクサンダー博士。姉上はアストリウスの生まれ変わりなんだ」
「まさかその話は本当だったというのか」
レオ坊が言うのにエリオットたちが唸る。
「それで、ザリオンよ。どうしてここにいるのか教えておくれ。古代帝国時代に何があったのだろうか?」
わしはザリオンがどうしてここにいるかの方が今は疑問であった。
「全てはあなたの死後に崩れ始めたのです」
ザリオンはそう語り始める。
「あなたの魔術を人々に広めるべしという教えに反して、ルナフィーナは魔術の独占を始めた。図書館の本を収奪し、弟子たちを隷属させ、新たな弟子を拒み、彼女は魔術の独占を計ったのです」
「なんだと……」
ルナフィーナが? あやつは信頼できる弟子のひとりじゃったのに……。
「彼女の手は精霊魔術にも及び、ボクは将来において精霊魔術を守るために、こうして秘密の図書館と自身の複製体を残したのです」
「しかし、ここにいた魔女は? あれはどうしたのじゃ?」
「あれはルナフィーナが送り込んできた刺客です。この遺跡とボクのことを突き止めて、発掘を阻止するために送り込まれたのです」
「ルナフィーナが……? つまり魔女学会というのは……」
「ええ。ルナフィーナが作った秘密結社です」
なんと! 魔女学会はルナフィーナの作ったものじゃと!
「いろいろと衝撃的な事実が多すぎるのじゃ。とりあえず地上に出よう」
「姉上。ザリオンさんはここから移動できるのか?」
わしが言うのにレオ坊がそう尋ねてきた。
「そうじゃったな。どうなのじゃ、ザリオン?」
「問題ないですよ。行きましょう」
こうしてわしらは地上を目指して帰還した。
「しかし、古代帝国時代の魔術師がふたりもいたとは……」
エリオットは既にわしをアストリウスだと認めてくれておるようじゃ。
「ザリオン。おぬしはこれからどうするのじゃ? 精霊魔術は既に完全に絶えておる。環境破壊が精霊の暮らせる環境を失わせてしまったのじゃ」
「そうでしたか……。それでもボクはボクにできることをして、精霊魔術を復活させたいと思います」
「なら、わしも力になろう」
数千年ぶりに再会した弟子の求めじゃ。わしも喜んで力を貸そうではないか。
「ありがとうございます、アストリウス様。これからもどうかよろしくお願いします」
こうしてわしらは遺跡からザリオンを見つけ、わしは弟子と再会したのじゃった。
しかし、同時に弟子の裏切りも明らかになったのじゃ……。
ルナフィーナはどうしてわしの願いを裏切ったのじゃろうか……?
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