古代の偉大なる魔術師、永遠のTS幼女になってしまう。   作:第616特別情報大隊

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アストリウス・アカデミー//“虚栄”のヴェルミア

……………………

 

 ──アストリウス・アカデミー//“虚栄”のヴェルミア

 

 

 あるところにひとりの少女がいました。

 

 彼女は我がままで、目立ちたがり屋でした。

 

 ある日のこと、彼女は火事が起きているのを見つけ、通報しました。それによって大勢の人から褒められた彼女は『火事が起きれば目立てる』と思ってしまいます。

 

 それから彼女はわざと放火し、それを通報することで何度も、何度も褒められました。しかし、それを怪しんだ住民によって調べられ、彼女が火をつけていることがばれてしまいました。

 

 彼女は放火という重罪で処刑されることになってしまいます。

 

 少女は願いました。

 

「ああ。神様、私はただ人に褒められたかっただけなんです。助けてください」

 

 そうすると神様は救いの手を差し伸べられました。

 

 

 彼女を処刑しようとした人間たちは、全員が燃え上がり、焼け死んだのです。

 

 

 * * * *

 

 

「クソ! どうなっている!」

 

 ホテル・ロイヤルオークを警備している警官隊から悲鳴じみた声が上がる。

 

 彼らは現在、迫りくる脅威を押しとどめようと発砲を続けていたが、その奮闘はあまり成功しているとは言い難かった。

 

「炎が来るぞ! 伏せろ、伏せろ!」

 

 警官のひとりがそう叫んだ直後、炎が彼らが展開しているホテルのエントランス前のバリケードを舐めるように蹂躙していく。

 

「うわああああっ!」

 

「畜生、畜生!」

 

 警官隊はバリケードに立て籠もるが、炎が放たれるたびにひとり、またひとりと犠牲者が生じてしまっていた。

 

「応援はまだ到着しないのか!?」

 

「まだです! どうやらロンディニウムの別の場所でも事件が起きてると……!」

 

「クソ。陽動を仕掛けやがったか!」

 

 現在ロンディニウムの警察はロンディニウム内で起きた複数の事件に対処中だった。攻撃は同時多発的に行われたのだ。

 

 そして、ヴェルミアはロンディニウムの警察の対応が飽和している中で、ロイヤルオークに対して仕掛けたのであった。

 

「あはははっ! 燃えろ、燃えろ。何もかも燃え尽きろ」

 

 ヴェルミアは抵抗する警官たちを嘲るように周囲に炎を巻きあがらせては、バリケードを襲撃していた。

 

 ホテルに増援に向かおうと近くから駆け付けた警官たちは、このヴェルミアの攻撃によって焼き殺され、未だ応援はひとりとして駆け付けられていない。

 

「焼けろ、燃えろ、灰になれ」

 

 炎が津波のようにバリケードに押し寄せ、バリケードを構築してる馬車や土嚢がついに燃え始める。こうなると警官隊が姿を隠すことのできるものがなくなっていく。

 

「まだ要人の避難も終わっていない。今、ここを突破されるわけには……!」

 

 警官隊の指揮官がそう呻いたとき、再び巨大な炎の津波がバリケードに迫る。

 

 しかし、それがバリケードに達することはなかった。

 

 何故ならば──。

 

「加勢に来たぞ!」

 

 アリスがそこに到着したからである

 

 

 * * * *

 

 

 わしが来たとき、警官隊は酷い状態じゃった。

 

 バリケードは崩壊しかかっており、警官は誰もがやけどを負っている。

 

 そこにさらに炎が迫りつつあったのじゃ!

 

「させぬ」

 

 わしは炎を発生させている魔術を読み取る。

 

 表面構造(テクスチャ)の書き換え状況を見れば、これは異界魔術だと分かる。異界の炎を表面構造(テクスチャ)への上書きで再現して操っているのじゃ。

 

 となれば、こちらも異界魔術で対抗するのみ!

 

 わしは一方通行のエネルギー場を展開し、炎が迫るのを阻止したのじゃった。

 

「さて、おぬしも魔女学会の魔女かの?」

 

 わしは怪しい女性にそう尋ねる。

 

「そうだとしたら?」

 

「おぬしには聞きたいことがある。ルナフィーナは……まだ生きておるのか?」

 

 ルナフィーナは不老不死について調べておった。

 

 だから、私は疑ったのじゃ。もしかしたら、魔女学会を創設したルナフィーナがまだ生きていて、今も魔術の隠匿を計っているのではないだろうかと。

 

「へえ。意外な質問だね。我らが学会長のことを尋ねるなんて」

 

「やはりあやつは今も生きておるのだな。どこにいる?」

 

「それを教えてやる義理はないね」

 

 女性はそう言ってにやりと笑うと生じた炎が津波のように押し寄せてきた。

 

「あたしは“虚栄”のヴェルミア。生き残れたらひとつぐらいは教えてやってもいい」

 

「では、勝負じゃ!」

 

 相手は異界魔術で炎を生じさせている。

 

 異界の炎は温度すらも自由に操れる。鉄すら溶かすような温度の炎を生じさせることもできれば、逆に相手を凍らせるような炎すら生じさせられる。炎という形をした全く別の現象なのじゃ。

 

 それゆえに油断はできぬ。何が起きてもおかしくはないのじゃ。

 

「燃え上がれ」

 

 ヴェルミアは炎を直接わしを狙って放ってきた。

 

 どうしてそれが分かったかと言えば、わしの周囲の表面構造(テクスチャ)が書き換えられるのを感じ取ったからじゃ。

 

 すぐさまわしは時間を遅延させ、炎がわしを包む前に回避運動を取る。

 

 しかし、ヴェルミアはすぐさま次の攻撃を仕掛けてきた。

 

「これはよくないのう……!」

 

 このままでは防戦一方になってしまう。

 

「手を打たねばならぬ。ここは……こうじゃ!」

 

 わしは以前にも狙撃を防いだ異界の霧を発生させる。霧は辺りを包み、ヴェルミアの視界を遮る。

 

 魔術は自分の視界の通る場所にしか発生させられない。

 

 これでヴェルミアが直接わしを狙うのは不可能になった。

 

「さあ、ここからはわしも攻撃を仕掛けてゆくぞ!」

 

 ヴェルミアの位置は大体分かっておる。

 

 そこに向けてわしは発生させた異界の刃を叩き込む。苦痛を与えるが、殺すことはない異界の刃が飛翔して、ヴェルミアのいただろう位置に向かう。

 

 同時にわしも追撃するために、その方向に迫る。

 

「はあん? こんなものでいつまでも視界を封じられると思ったかい?」

 

 ヴェルミアがそう言う声が響くと同時に膨大な熱量の炎が燃え上がった!

 

「熱で強引に霧を……! なんてやつじゃあ!」

 

 炎の熱によって霧が蒸発してなくなり、辺りを塞いでいた霧が消え去った。

 

「そーら! よく見えるようになったぞ!」

 

「むむむ! じゃが、この距離でわしの攻撃を回避できるかの!」

 

 わしは至近距離で異界の刃を放った。距離は10メートル足らずの至近距離じゃ!

 

「どうかな!」

 

 ヴェルミアはにやりと笑うとわしの視界を遮るように炎を生じさせ、わしが最後まで刃をコントロールすることを不可能にした。

 

 最後の誘導が妨害されてしまうと、攻撃は回避されたか、命中したかも分からない。

 

「おのれ、どうしたものか……!」

 

 炎は霧と違って消すのは難しい。

 

 異界の炎に水をかけて有効かも分からぬすのう……。

 

 じゃが、やれることは全てやっておくべきじゃな!

 

「これならばどうじゃ!」

 

 わしは巨大な水の塊をヴェルミアが炎を生じさせている一帯に生じさせた。炎を水が包み、水の中で炎がゆっくりと消えていく。

 

「よしよし! 効いておるようじゃの!」

 

 わしは炎が消え、水の向こうにヴェルミアの位置を掴んだ。

 

 しかし、その水も次の瞬間生じた炎によって急激に蒸発しておるのじゃ!

 

「させぬ!」

 

 わしは再び視界が塞がれる前に異界の刃を放つ。

 

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