古代の偉大なる魔術師、永遠のTS幼女になってしまう。   作:第616特別情報大隊

69 / 79
アストリウス・アカデミー//裏口の戦い

……………………

 

 ──アストリウス・アカデミー//裏口の戦い

 

 

 アリスがエントランスでヴェルミアの相手をしている中、レオたちは裏口から要人たちを避難させようとしていた。

 

「こっちです!」

 

 ホテルスタッフたちが誘導し、レオは敵に襲撃される恐れのある裏口に面する道路を見張っていた。そこには既に何台もの馬車が停車していて、避難する要人たちが乗り込んでは警察の護衛とともに出発する。

 

「エントランスで戦闘が激化しているみたいだ……」

 

 裏口からはアリスとヴェルミアの姿は見えないが、炎が燃え盛る音や銃声などは何度も響いてくる。間違いなくエントランスでの戦闘は激化している様子だ。

 

 レオはそれを不安そうに見つめながら、要人が避難するのを警護した。

 

 敵は今のところ、エントランスを襲撃しているだけだが、裏口に別動隊を送り込んでくる可能性もあり、警官隊は厳重に周囲を見張っている。

 

「銃声──!」

 

 そこで銃声が響いた。

 

 避難している要人たちも、警官たちも、そしてレオも銃声の方向を向く。

 

「おやおや。裏口から逃走とはネズミのようだな」

 

 その女性の声とともに現れたのは巨大な鋼鉄の巨人──ゴーレムだ。

 

 そのゴーレムたちが前に前にと金属音を響かせて進むのに、その後ろから水兵服とローブ姿の女性が姿を見せた。

 

 そう、オルテシアだ。ヴァルザリアとともに学院を襲撃した魔女のひとり。

 

「このゴーレムは……! お前、以前に学院を襲った魔女だな!」

 

 レオはそう言い、異界の刃をオルテシアに向ける。

 

「名乗っていなかったな。私は“強欲”のオルテシア。魔女学会のひとり」

 

「狙いは何だ? ここにいる人間を殺して、何の利益がある?」

 

「お前たちは魔術が広まるのを手助けしている。それが問題なのだ」

 

「それはどういう……。お前たちはどうして魔術を隠匿しようとする?」

 

 レオはオルテシアに尋ねる。

 

「魔術は力だ。そして力とは独占してこそ価値がある」

 

 オルテシアが語る。

 

「この世界で暴力を独占した組織が国家と呼ばれるように、力の独占は権力を与える。我々は力を独占することで、権力を得る。それが目的だ」

 

「……魔術は単なる力ではない。可能性だ」

 

「そうかもしれない。私たちが間違っていてお前が正しいのかもしれない。だが、それを証明したいのであれば、お前も力を示すことだ。私たちには独占できない力をお前が持っていることを示すことだ」

 

 オルテシアはそう宣言して、ゴーレムをレオに向ける。ゴーレムは巨大な両手剣を構えて、ずんずんとレオに向けて進んでくる。

 

「いいだろう。私の力をここで示そう!」

 

 レオは“鬼哭啾啾(きこくしゅうしゅう)”をゴーレムたちに向けて放った。

 

 人は傷つけないが、物質は破壊する“鬼哭啾啾(きこくしゅうしゅう)”の刃はゴーレムを貫こうとするも、ゴーレムの装甲はそれに抗い、なかなかレオによる攻撃を許さない。

 

「まさかアストリウスひとりが蘇るだけで、ここまで異界魔術が復活するとはな……」

 

 オルテシアはレオに防がれてゴーレムたちが前進できないのを見てそう呟く。

 

「だが、ここは押し通らせてもらうぞ」

 

 オルテシアがさらなるゴーレムを生み出し、レオに向けて前進させる。

 

「ここは通させない!」

 

 レオは自身でも“鬼哭啾啾(きこくしゅうしゅう)”を振るい、ゴーレムをついに両断して撃破した。だが、ゴーレムを1体撃破しても、さらに次のゴーレムが押し寄せてくる。

 

「レオ! 手を貸すぞ!」

 

「エリオット!」

 

 そこで応援に駆け付けたのはエリオットだ。

 

 彼は運動エネルギーを生み出してゴーレムにそれを叩き込む。ゴーレムの体が揺さぶられ、レオを狙っていた刃がそれる。

 

「ふむ。敵の増援か。面倒だな……」

 

 オルテシアはそう言って考え込むと、指揮棒を振った。

 

 次の瞬間、生み出されたのは巨大な鋼鉄の騎兵だ。

 

 ゴーレムが同じく鋼鉄でできた軍馬に跨り、騎兵槍を構えた。

 

「カタフラクト。突撃せよ」

 

 オルテシアの命に鋼鉄の騎兵が応じ、騎兵槍を構えたゴーレムが突撃を開始する。

 

「これは……! 止められるか!?」

 

「ここを突破されるわけにはいかない! 何としても……!」

 

 エリオットが呻き、レオはすぐさま攻撃を開始。

 

 無数の“鬼哭啾啾(きこくしゅうしゅう)”の刃が鋼鉄の騎兵を貫こうとして傷を負わせるが、それでも鋼鉄の騎兵はひるむことなく突撃を続ける。

 

 このままでは鋼鉄の騎兵はレオとエリオットをひき殺し、そのまま要人たちを虐殺してしまうだろう。

 

 何としてもここで食い止めなければならないが……。

 

「これで……どうだ!」

 

 レオが生み出したのは“鬼哭啾啾(きこくしゅうしゅう)”と同じ異界の刃だが、どこまでも巨大な刃だった。

 

 その刃渡りは4メートルはあり、天に向けて伸びている。

 

「エリオット! 足止めを!」

 

「分かった!」

 

 レオの求めにエリオットはありったけの運動エネルギーを鋼鉄の騎兵に叩きつけて、その突撃の速度を緩ませる。

 

「──食らえ」

 

 そして、レオが巨大な刃を振り下ろした。

 

 刃は鋼鉄の騎兵を頭から真っ二つにし、鋼鉄の騎兵は金属片をまき散らしながら、ばらばらになって通りの転がった。

 

「おっと。まさか……ここまでとは……」

 

 破壊された鋼鉄の騎兵を前にオルテシアが驚きの表情を浮かべる。

 

「まだやるか?」

 

 レオは再び巨大な刃を振り上げて、オルテシアに問う。

 

「さて、どうしたものかな。これ以上は無駄かもしれない」

 

「では、降伏しろ」

 

「それは断る。まだ私にはやらなければいけないことがあるのでな」

 

 オルテシアはそういうとレオたちの前に鋼鉄の壁を出現させた。

 

「さらばだ、若き魔術師。いつかまた会うこともあるだろう」

 

「待て!」

 

 レオが追撃を試みるが、鋼鉄の壁に阻まれてそれは阻止されてしまった。

 

 それから鋼鉄の壁が消えていくも、その先にオルテシアの姿はすでにない。

 

「クソ。逃がした……!」

 

「この状況ではこれが最善だ、レオ。私たちのやるべきことは要人を守ることであり、決して敵を撃破することではない」

 

「そうだが……。これからまた襲われるかもしれないと思うと……」

 

「それよりもエントランスだ。要人の警護はあとは私が行う。君はエントランスに向かってそこで戦っているアリスを援護するんだ」

 

「ああ。姉上を助けなければ……!」

 

 レオはそう言ってエントランスの方に走る。

 

 そのころまだアリスはまだヴェルミアと戦闘中であった。

 

 

 * * * *

 

 

 わしの放った異界の刃はヴェルミアを貫くことはできなかった。

 

 ヴェルミアは炎によって空気の流れを変えたのか、急な空気の流れによって異界の刃の向きが逸らされてしまったのだ。

 

「そう簡単にはやられないよ」

 

 ヴェルミアはにやりと笑い、わしに向けて炎を放ってくる。

 

 こうなると再び防戦に追い込まれてしまうのじゃ!

 

「くうっ! 攻撃のチャンスが……!」

 

 そうわしが呻いたとき──。

 

……………………

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。