古代の偉大なる魔術師、永遠のTS幼女になってしまう。   作:第616特別情報大隊

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発展のとき//精霊保護プロジェクト

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 ──発展のとき//精霊保護プロジェクト

 

 

 アストリウス・アカデミーが開設されてから、1ヶ月が経った。

 

 学生たちは誰もが真剣に学び、これまでよりずっと多い学生が学んでおる。

 

 そんなおりにわしは北部のフェイロックから便りを貰った。

 

「む。ザリオンからではないか」

 

 手紙はザリオンからのものであった。

 

 わしは早速封を切って、中身を見る。

 

『アストリウス師へ。北部に設置した研究所での精霊保護プロジェクトは順調に進んでいます。精霊たちが暮らしやすい環境を作り、そこで精霊たちを育んでいるところです。今はまだ小さな精霊しかいませんが、徐々に数は増えております』

 

 ザリオンの手紙は続く。

 

『精霊たちは再び安らぐ空間ができつつあるのです。その光景を、よろしければアストリウス師にも見ていただきたいです。いつでも歓迎いたします』

 

 ザリオンの手紙はそう記されていた。

 

「ふむ。確かに精霊たちが再び活発になったならば、是非とも見たいのう……」

 

 しかし、今のわしはそう簡単に学院を離れられぬのじゃあ……。

 

 名誉学部長としては特にやることはないのじゃが、実戦魔術の講座は拡大されて、てんやわんやなのである。今はわしの研究室にはグレイスしかおらぬし、放って出ていくわけにはいかぬじゃろう……。

 

 ということを、グレイスに相談してみた。

 

「え! それはぜひ行きましょう!」

 

「いや。実戦魔術の講座はどうするのじゃ?」

 

「少しぐらいお休みしたって大丈夫ですよ!」

 

「う、う~む」

 

 グレイスはこういうやつじゃったな……。

 

 しかし、精霊保護プロジェクトも見ておきたい。ザリオンがせっかく招待してくれておるのに無視するのは申し訳ない。

 

 まあ、確かに数日留守にするぐらいならよいじゃろう!

 

「では、また行くか、北部へ!」

 

 わしはそう決断し、ザリオンの招きに応じることにした。

 

 

 * * * *

 

 

 わし、レオ坊、グレイスは鉄道で北部を目指しておる。

 

 北部にあるザリオン精霊研究所に向かうのじゃ。

 

「北部はやはり都市部より空気がいいのう」

 

「そうだね。ロンディニウムは最近ではずっと煙たい感じだ」

 

 ロンディニウムは悪いところではないのじゃが、空気はよくない。最近では自動車も増えて、その自動車が出す排ガスが問題になっておる。自動車は便利なのじゃが、どうにかできぬものかのう。

 

 その点、北部はまだまだ開発されきっておらず、空気はいい。

 

 わしらを乗せた鉄道は北部フェイロックの駅に止まり、わしらはそこで鉄道を降りた。そこからは馬車で研究所に向かう。

 

「おお。研究所が見えてきたぞ」

 

 山林に面する場所、わしらが決めた場所に研究所は建っていた。

 

「ようこそ、アストリウス師、レオ君、グレイスさん」

 

「久しいのう、ザリオン!」

 

 ここ最近はアストリウス・アカデミーの開設に向けた準備で忙しかったので、ザリオンに会うのは久しぶりなのじゃ。

 

「手紙は読ませてもらったぞ。精霊たちが再び栄え始めたと」

 

「ええ。こちらにどうぞ。お見せしますよ」

 

 わしらはザリオンに案内されて、研究所の中を抜けて、森の方に向かう。

 

 そして、森の中に入ると──。

 

「おおおっ! これは!」

 

 そこには風の精霊シルフ、土の精霊ノーム、水の精霊ウンディーネ、そして火の精霊サラマンダーが宿った自然の光景が広がっておったのじゃ!

 

 それも前に見たような本当に小さな精霊たちだけなく、ある程度の大きさのある精霊たちがこの森に宿っておった!

 

「素晴らしいのう、ザリオン! もうここまで成果が出ておるとは!」

 

「ええ。ボクとしても驚いています。精霊たちはボクらが考えるより、強い存在だったのでしょう。少しの環境改善でここまで育ちました」

 

「ほうほう。これは望みがあるのう……!」

 

 わしは精霊をよみがえらせるには何十年という年月が必要じゃと思っておった。しかし、既に精霊たちはその存在を大きくしつつある。

 

「まだこれは仮説ですが、環境が改善して精霊が宿ると、精霊そのものがさらに環境を改善するようなのです。精霊によって環境が改善すれば、さらに精霊が溢れるという正のループが発生するのではないかと思っています」

 

「ふむ? つまり、もしここから精霊を別の場所に連れていき、そこの環境を少しでも改善しておけば、自動的に環境はどんどん改善されてゆくということかの?」

 

「まさにその通りです。ボクたちは精霊が育ったら、別の環境に彼らを連れていき、その環境に与える影響を調査するつもりですよ」

 

「それは結果が楽しみじゃのう!」

 

 わくわくするような研究をザリオンたちが行っているのにわしも興奮してしまった。

 

「ザリオンさん。精霊魔術の方はこの状況でも使えるのでしょうか?」

 

 と、ここでレオ坊が質問する。

 

「ええ。精霊魔術は使用可能です。試してみますか?」

 

「お願いします」

 

 レオ坊も精霊魔術に興味を持っておったからのう。やはり使ってみたいという思いはあったのじゃろう。

 

「精霊魔術の使い方はアストリウス師から教わっていますか?」

 

「いえ。これまでは精霊がいなかったので実践することができず……」

 

「それならボクが教えますね」

 

 ザリオンはそう言ってレオ坊の手を取った。

 

「まずはここにいる精霊に呼び掛けてください。音としての声ではなく、体の中、頭の中で思い浮かべる声です。それに精霊たちは反応します」

 

「頭の中で……」

 

 そうなのじゃ。精霊は音としての声には興味を示さない。彼らが興味を示すのは、頭の中で強く思い描かれた声であり、人間の思考なのじゃ。

 

 レオ坊はザリオンに言われた通りに、精霊に向けて呼び掛けたらしく、風の精霊であるシルフが反応した。

 

 シルフはふよふよとレオ坊のところに近づくと、レオ坊の顔を覗き込む。

 

「さあ、次は応えてくれた精霊に願いを伝えてください。その精霊にできることを願えば、必ず応えてくれます」

 

「はい」

 

 そして、レオ坊が願う。

 

 するとふわりと周囲に風が吹いた。わしは表面構造(テクスチャ)の書き換えを読み取り、これがレオ坊の使った精霊魔術であることを確信した。

 

「よくできました。これが精霊魔術です。精霊の力を借りて表面構造(テクスチャ)を書き換える。精霊たちは君との信頼関係があればあるほど強い魔術に手を貸してくれるよ。精霊との繋がりこそが力になる。それが精霊魔術だ」

 

 そういってザリオンはレオ坊に向けて微笑んだ。

 

「そ、そうみたいですね……」

 

 レオ坊は顔を赤くしておる……?

 

 もしや、レオ坊はザリオンに……?

 

 ふむふむ! 今のザリオンは確かに美少女じゃしのう! レオ坊もお年頃というわけじゃ! わしは応援するぞ!

 

 ……いや。今の見た目のせいで少し忘れておったが、ザリオンはわしと同じで元男なのじゃが、それはいいのじゃろうか……?

 

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