古代の偉大なる魔術師、永遠のTS幼女になってしまう。   作:第616特別情報大隊

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致命的対立//魔女学会

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 ──致命的対立//魔女学会

 

 

 トーランド教授とアリスたちが根源魔術を発見したという知らせは、魔女学会の主である人物にも伝わっていた。

 

「いよいよ最後の魔術が暴かれた」

 

 そう告げるのは白髪に爬虫類の瞳をした女性。

 

 この魔女学会を設立し、古代帝国時代から魔術の隠匿を計った人物。

 

 そう、アストリウスの弟子のひとりであるルナフィーナだ。

 

基底構造(ベース)の上書きについに辿り着いたというのか。やはり、あのアリスと言う女はすぐに始末しておくべきだったな」

 

 ルナフィーナの言葉にそう告げるのは、長身の女性エスミーラだ。

 

「いずれは辿り着くだろうということは予想できていた。それにあれは我が師アストリウスの生まれ変わり。あの方ならば容易に基底構造(ベース)への上書きに気づいただろう」

 

 ルナフィーナにとってアリスはかつての師匠アストリウスでもある。彼女がアストリウスを尊敬していたのは、偽りの感情ではなかった。

 

「しかし、どうするんだ? このまま放置すれば基底構造(ベース)への上書きと言う究極の魔術は瞬く間に漏洩してしまうだろう。そうなれば我々が計画していたことは全て台無しになってしまう」

 

 そう尋ねるのはオルテシア。

 

「計画を前倒しにするしかない。基底構造(ベース)への上書きが広まってしまう前に、我々はこの世界の全てを簒奪する。暴力を、権力を全て手に入れる」

 

「いよいよか……」

 

 ルナフィーナの言葉にエスミーラとオルテシアが頷いた。

 

「ルナフィーナ。その前に聞かせてくれないか。お前はアストリウスの生まれ変わりを殺すことができるのか?」

 

 エスミーラはルナフィーナにそう疑問を呈する。

 

「必要とあらば殺すとも。あの方は一度死んでいる。今のそれは何かの間違いだ」

 

「そうか。それならば心配はせずともよさそうだ。相手は躊躇っている余裕もないような強敵だ。殺すと決めていかなければ殺すことはできまい」

 

 ルナフィーナの言葉にエスミーラは納得したようにそう言う。

 

「さて。それで計画の実行はいつ?」

 

 オルテシアがルナフィーナとエスミーラのふたりにそう尋ねる。

 

「来月に基底構造(ベース)改変の魔術──根源魔術と呼称されたそれの制限に関する話し合いが行われる。その会議の場には魔術関係者が多く出席する。我が師アストリウスも、同志ザリオンも出席する」

 

「ならば、その場を襲うか」

 

「ああ。それが最善だろう」

 

 ルナフィーナはそう言ったのだった。

 

 彼女たち魔女学会が狙うのは──。

 

 

 * * * *

 

 

 わしがトーランド教授に求めておった根源魔術に関して制限を付ける条約を結ぼうということは、ついに動き始めておった。

 

「アリス。君の求めていた根源魔術についての条約について、政府から前向きな回答があった。政府が決定したことで、今度世界各地から魔術関係者を集めて、話し合いをしようということになったよ」

 

「おお。それは何よりですじゃ!」

 

 わしは根源魔術という強力な魔術が悪用させぬように、根源魔術が拡散する前に取り決めをしておこうと思っておったが、政府にも理解してもらえたようじゃ。

 

「会議が開かれるのはロイヤルオークで、来月だ。世界魔術連盟はもちろん、世界中から人がくる。そこでひとつだけ恐れていることがあるのだ」

 

「……魔女学会に襲撃される可能性、ですかの?」

 

「まさに。これまで彼女たちは何度も魔術関係者が集まった場を襲撃している。今回もそうならないとは限らない」

 

 確かに帝都ベルハルデンのパーティ、ロイヤルオークでのパーティ。いずれも魔女学会の魔女たちに襲撃を受けておる。

 

 今回も同じようなことが起きないとは断言できない。

 

「そうであればわしらが警備に回りましょう。それから軍と警察にもわずかながらですが、魔術に対抗する戦術を確立したものたちがおります。それらを動員するというのはどうでしょうかの?」

 

「できることは全てやっておこう。君たちには負担となって悪いが、よろしく頼む」

 

「はいですじゃ」

 

 今のわしには軍や警察へのコネもある。

 

 わしらはトーランド教授などの有力者とともに根源魔術に関する話し合いをする場を守るための、警備の動員を要請していった。

 

 しかし、もしかするとそれでも不足するやもしれぬということが明らかになる。

 

「根源魔術会議にはシャーロット陛下もご出席なされることになった」

 

「何と!」

 

 アルビオン連合王国の君主であるシャーロット陛下もご出席されるというのじゃ!

 

「エスタシア帝国からアルブレヒト殿下が出席されるのに合わせて、シャーロット陛下も会議の重要性を知らしめるために出席をということだ。確かに我々としては会議に重みができてありがたくはあるのだが……」

 

「もし、魔女学会に襲撃されたりなどすれば一大事ですじゃ……」

 

 まだ根源魔術がどれだけ重要かは広まっていない。

 

 なので、シャーロット陛下にご出席いただければ確かに根源魔術を管理することの必要性は内外に広く伝わるじゃろう。

 

 じゃが、やはり警備の面が心配じゃ~!

 

「警備は何としても完全にしなければなりまんの……」

 

「ああ。陛下に何かがあってはいけない」

 

 そのようなわけでわしは会議開催までに警備を万全にすべく、あちこちを奔走した。

 

 まず軍の中でわしの実戦魔術の講座を受講した知り合いたちを通じて、軍に警備要員の派遣を要請。これには魔術を管轄している教育省の職員たちも協力してくれた。

 

 さらに警察においても同様に呼び掛け、何とかかなりの規模の警備戦力を出してもらえることになった。

 

 今回の件には教育省の他に、外務省や内務省、王室など複数の政府機関がかかわっておる。ときにそれは縦割り行政的な対立を引き起こしたが、わしらが仲介することによって何とか大勢がかかわることのメリットを引き出せた。

 

 当日のロイヤルオーク周辺は交通規制の上で封鎖され、軍と警察が厳重に警備に当たることになったのじゃ。

 

 あとは……。

 

「レオ坊、ザリオン。いよいよ根源魔術会議が近づいておる」

 

 わしはレオ坊とザリオンのふたりを前にそういう。

 

「当日には魔女学会の襲撃もあり得る。軍と警察も警備に当たってくれるが、これまで大規模なテロを起こしてきた魔女学会じゃ。油断はできぬ」

 

「そうだな、姉上。私たちも警戒すべきだ」

 

「うむ。レオ坊とザリオンには戦闘もできる魔術師として期待しておる。当日の警備の支援をわしとともに担当してほしい。よいじゃろうか?」

 

 わしはふたりにそう尋ねる。

 

「もちろんだ。協力する」

 

「ボクもです、アストリウス師」

 

 ふたりは快くそう応じてくれた。

 

「ありがとう。それでは当日はよろしく頼むのじゃ。会議には女王陛下も出席される。何もないのが一番じゃが、何かあったときにはわしらが防ぐのじゃ」

 

「ああ」

 

 こうしてわしらは根源魔術会議の当日に向けて備えた。

 

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