古代の偉大なる魔術師、永遠のTS幼女になってしまう。   作:第616特別情報大隊

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致命的対立//根源魔術会議

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 ──致命的対立//根源魔術会議

 

 

 わしらはついに根源魔術会議当日を迎えた。

 

「準備はいいな、レオ坊、ザリオン?」

 

 わしは子供向けのフォーマルなドレスに身を包み、レオ坊とザリオンも会議に出席するに相応しいタキシードと赤いドレスというフォーマルな格好じゃ。

 

「ああ。大丈夫だ、姉上」

 

「準備はできていますよ、アストリウス師」

 

 レオ坊とザリオンはそう言って頷く。

 

「うむ。まずは警察と軍に任せておくのじゃが、何かあればすぐに連絡がある。連絡を受けたらすぐにわしらも警備の支援に向かうぞ」

 

「了解だ、姉上」

 

「それではまずは会議ですべきことをせねばの」

 

 わしにはこの根源魔術会議を警備するだけなく、根源魔術会議の場でこの魔術に関する国際的な規制を行う必要があるのじゃ。

 

 どういう会議の流れになるかは、まだ想像もつかぬ。

 

「お集りの皆さん。この度は根源魔術会議にご出席いただきありがとうございます」

 

 まずはトーランド教授の挨拶から始まった。

 

「我々はこの度、根源魔術と呼ばれる魔術を発見しました。まずはその魔術について説明を行いましょう」

 

 トーランド教授はそう言って表面構造(テクスチャ)ではなく、基底構造(ベース)に対して上書きを行う根源魔術について説明を行う。

 

 それが表面構造(テクスチャ)への上書きと違って半永久的に持続することも。

 

「それは間違いないのですか? 本当に上書きが永遠に続くと?」

 

 世界魔術連盟から来た魔術師がそう尋ねる。

 

「ええ。全く新しい上書きなしに効果は観測しただけで90日以上続きました」

 

「なんと……!」

 

 会議の場がざわめく。

 

「それは文字通り永久機関につながるのではないかね?」

 

 そう尋ねるのはアルブレヒト殿下じゃ。

 

「その通りです。我々は根源魔術から無限とは言わずとも膨大なエネルギーを手にできます。これまでの経済や軍事、政治などがあらゆる面で変化するでしょう」

 

 会場のざわめきは大きくなり、人々は困惑と驚愕と歓喜の感情を示している。

 

「ですが、我々は今ここで自制しなければなりません。この魔術を無制限に使用すれば、戦場における大量虐殺や、最悪の場合には宇宙の崩壊を引き起こしかねません。ですので、今ここで我々は根源魔術の使用を制限する条約の締結を目指したい」

 

 トーランド教授がここでそう訴える。

 

「賛成だ。我々は宇宙の法則すら完全に書き換えられる力を手にしたのだ。それだけ巨大な力は考えて使わなければならない」

 

 真っ先賛成を示したのは、世界魔術連盟として出席しているエリオットじゃ。

 

「確かに我々は今は慎重になるべきだろう。この力はあまりにも強大だ」

 

「そうだな。しかし、各国にとって不公平にならぬようにしなければ……」

 

 会議の場がざわめき、人々は根源魔術をどう扱うかについて話し始める。

 

 わしは少し安堵しておった。

 

 ここで根源魔術を規制することに絶対に反対するというものが現れたとき、どう説得したらいいのかをずっと考えておったからだ。

 

 しかし、そのように強固に反対するものはおらず、おおむね条約の締結に前向きな空気が形成されていた。

 

「流石は古代の偉大なる魔術師アストリウスの生まれ変わりですね」

 

 そこでシャーロット陛下がわしにそう声をかけてきた。

 

「むやみに知識を追求するのではなく、ちゃんと立ち止まって考えている。賢者として相応しい態度だと思います」

 

「光栄です、陛下」

 

 わしは陛下からお褒めの言葉を賜るのに恐縮。

 

「姉上。少しいいだろうか?」

 

「む?」

 

 と、ここでレオ坊が後ろから声をかけてきた。まさか……。

 

 わしはレオ坊とともに会場を離れ、警備の軍と警察の合同部隊司令部に入った。

 

「アリス・カニンガム女史。先ほど巡回の部隊が先にロイヤルオークを襲撃したゴーレムと戦闘状態になった」

 

「やはりか……」

 

「うむ。我々はここで魔女学会に一撃を与えたい。何としても襲撃してきた魔女たちを無力化したいのだ。そうでなければ、我々はこれからもずっと魔女たちに怯えて過ごすことになってしまう」

 

 合同部隊の司令官が告げるのにわしは考え込む。

 

「うむ。そうじゃな。しかし、これが敵の陽動である可能性は?」

 

「既にロイヤルオークの周辺は周囲は封鎖してある。陽動をしかけても突破は難しいはずだ」

 

「じゃが、敵は以前学院内に内通者を忍び込ませておった」

 

「そう考えると……全戦力を差し向けるのは危ういか……」

 

 そうなのじゃ。魔女学会の魔女は以前学院に学生に成り代わって忍び込んでいた。それと同じようなことが起きていないとは断言できぬのじゃ。

 

 もし、ゴーレム使い──オルテシアという魔女に全戦力を差し向けたところで、根源魔術会議の会場を襲撃されると破滅的な事態になってしまう。

 

「姉上。オルテシアは私に任せてほしい。私が対処してくる」

 

「しかし、レオ坊。ひとりで大丈夫かの?」

 

 わしはレオ坊が以前オルテシアに苦戦した話を聞いておる。じゃから心配じゃった。

 

「なら、レオ君にはボクが同行しましょう」

 

 そこで名乗り出たのはザリオンじゃ。

 

「そうじゃな。ザリオン、レオ坊とともに戦ってくれ」

 

「はい。任せてください」

 

 オルテシア対策にはレオ坊とザイオンが当たることに。

 

「レオ坊、ザリオン。気をつけてな!」

 

「ああ、姉上。あとで会おう!」

 

 こうして、レオ坊とザリオンが出撃した。

 

 

 * * * *

 

 

 レオとザリオンが軍と警察の合同部隊が警備している警戒線の方から銃声を聞いたのは、ロイヤルオークを出てから15分後のことだった。

 

「クソ! 止まらないぞ!?」

 

「これ以上進ませるわけには……!」

 

 警官と兵士の声も聞こえてきて、戦場が近いことが分かった。

 

「止まれ! 誰か!?」

 

「レオ・カニンガムとザリオン! 援軍だ!」

 

 レオたちが合同部隊の防衛陣地に近づくと兵士が誰何し、レオが答える。

 

「ああ! あのアストリウスの弟子の! 救いの女神だ! こっちへ来てくれ!」

 

 レオとザリオンはそう言われて防衛陣地に案内される。

 

「大尉殿! 援軍が到着しました! 魔術師です!」

 

「そうか。ありがたい限りだ。戦況を説明する」

 

 軍の指揮官は以前アリスの実戦魔術講座を受講しており、レオとザリオンには面識があった。彼はふたりを信頼して状況を説明し始める。

 

「敵はこのロイヤルオークに繋がる大通りを堂々と進軍中だ。我々はこれに銃撃などを加えるも効果はなし。現在、砲兵が直接射撃を行うべく展開を始めている」

 

「ふむ」

 

「君たちには火砲による直接射撃までの時間稼ぎと砲撃が失敗した場合の火消しに回ってほしい。できるだろうか?」

 

「可能です。やりましょう」

 

 レオは軍の指揮官の要請に応じた。

 

「では、敵の現在地までうちの兵士が案内する。軍曹!」

 

 それから軍の指揮官は司令部付きの下士官を呼び、レオとザリオンを前線に向かわせる。彼らは砲兵が展開を急いでいる大通りに向けて進み、そこで──。

 

「やはりあれはオルテシアのゴーレム……!」

 

 そこには戦列歩兵のように横陣を組んで更新するゴーレムたちの姿があった。

 

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