古代の偉大なる魔術師、永遠のTS幼女になってしまう。   作:第616特別情報大隊

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大戦争//召喚

……………………

 

 ──大戦争//召喚

 

 

「そこをどけ!」

 

 立ちふさがるエスミーラにわしは異界の刃を叩き込もうとする。

 

「させんと言っただろう」

 

 しかし、異界の刃はエスミーラが生じさせた空間の裂け目の中に消えてしまう。

 

「ルナフィーナ。もう頃合いだ。召喚を実行するぞ」

 

「そうだな。仕方あるまい」

 

 エスミーラはルナフィーナに向けてそう言い、ルナフィーナが触手で壁を作る。視界が遮られて、壁の向こうで何が起きているのかが分からぬ!

 

「待て!」

 

 わしは追いかけようとしたが、壁が消えたときルナフィーナの姿もなかった。

 

「逃がしたか……。しかし、ここまで襲撃を仕掛けておきながら逃げるとは何故……」

 

 わしは不吉なものを感じ始めていた。

 

 

 * * * *

 

 

 レオとザリオンはオルテシアによって大通りに釘付けにされてしまっていた。

 

 ゴーレムが何度も突破を図ろうとしては、レオとザリオンによって退けられるが、レオもザリオンもオルテシアを撃破するまでには至っていない。

 

「砲兵が到着した!」

 

「やっと……!」

 

 しかし、ここでオルテシアを撃破するために動員された陸軍の砲兵が到着。

 

「撃て!」

 

 口径75ミリの野砲が並べられ、砲身を水平に構えたそれが一斉に砲撃を実行する。

 

 オルテシアのゴーレムたちは流石に砲撃には耐えられず、撃破されていった。

 

「ふむ。流石に軍隊相手となると厳しいか……」

 

 オルテシアは盾を構えたゴーレムを形成して前進させるが、砲撃を前に動くことはできない。砲兵たちは激しい砲撃をオルテシアに浴びせ、じわじわとオルテシアが押し返され始めた。

 

「今だ! ここで一気に畳もう、ザリオン!」

 

「そうだね。これがチャンスだ!」

 

 レオが合図し、ザリオンが砲撃に乗じて攻撃を仕掛ける。

 

 盾を構えるゴーレムたちの足元に灼熱の炎を生じさせ、ゴーレムたちの足場を崩す。砲撃によって既によろめいていたゴーレムたちは崩れ、オルテシアを守る盾としてゴーレムがなくなっていく。

 

「覚悟しろ!」

 

 ここでレオが突撃し、オルテシアに向けて“鬼哭啾啾(きこくしゅうしゅう)”の刃を放った。

 

「ここまでか……」

 

 オルテシアが諦観の表情を浮かべると異界の刃はオルテシアを貫き、ついに撃破したのだった。オルテシアは気絶して地面に倒れ、ゴーレムたちは消えていく。

 

「敵の魔女を確保!」

 

 軍と警察部隊が前進し、気絶しているオルテシアを拘束する。

 

「早く姉上のところに戻ろう!」

 

「待って、レオ君。何か嫌な予感がする……」

 

「嫌な予感……?」

 

 ザリオンが僅かに身を震わせて制止するのに、レオがロイヤルオークの方を見る。

 

「あれは……!?」

 

 するとロイヤルオークの上空に赤い魔法陣が浮かび上がり、そこから何か巨大な生き物が現れ始めた。

 

 それはイソギンチャクのように触手ののたうつものであり、無数の触手を伸ばしながらこの世界に降下し始めていた。

 

「あれは一体!?」

 

「まさか……異界の生き物……?」

 

 うろたえるレオとザリオンの背後で嘲るように笑う声が聞こえた。

 

「あれは異界の神格だ」

 

 そういうのは目覚めたオルテシアで、彼女は笑みを浮かべて上空から降りてくる謎の触手生物を見ていた。

 

「異界の神格……。異界魔術で生み出したのか?」

 

「いいや。神格そのものをこの世界に呼び出したのだ。これは異界からの侵略に他ならない。ルナフィーナが不老不死を得るために、この世界を差し出したのだ」

 

「まさかそんなことが可能なはずが……」

 

 オルテシアの言葉にザリオンが呻く。

 

「可能か、可能ではないかはあれを見れば十分だろう? いよいよ世界は終わり、異界に飲み込まれる」

 

「……止めなければ。何としても!」

 

 レオがそう強く訴える。

 

「しかし、どうやってこれは止めたら……」

 

「何か方法はあるはずだ。それにこっちには姉上もいる!」

 

 アリス・カニンガムにしてアストリウス。偉大なる魔術師がレオたちの側にはいるのである。魔術を発明し、発展させた大魔術師が。

 

「そうだね。まだ諦めるには早いか」

 

 ザリオンも師匠アストリウスのことを信じた。

 

「しかし、私を置いたまま召喚を実行するとはな。ルナフィーナとエスミーラは私を見捨てたか……」

 

 そこでオルテシアがそう呟く。

 

「よければ私も手を貸すぞ。こうなっては私のおかれた状況もお前たちと同じだ。ともに見捨てられた存在」

 

「お前を信じろ、と?」

 

「それはお前の自由だ。信じてもいいし、信じなくてもいい」

 

「ふむ」

 

 オルテシアの申し出をレオは考える。

 

「では、一緒に来てもらおう。あの化け物について知っている人間がいた方がいい」

 

 そして、レオはそう決断。

 

「分かった。同行しよう」

 

 オルテシアは立ち上がると、あっさりとかけられていた手錠を破壊した。

 

「すぐに召喚が行われている場所に向かうぞ。乗れ」

 

 鋼鉄の騎馬を生み出し、オルテシアはレオたちに乗るのように促す。

 

「ああ。向かおう! 姉上が戦っている場所へ!」

 

 

 * * * *

 

 

 わしはロイヤルオークの屋上に向かっておる。

 

 上空から巨大な何かが迫っていることに気づいたからじゃ。

 

 何かが猛烈な勢いで表面構造(テクスチャ)を、いや基底構造(ベース)を書き換えながら現れ始めておる!

 

 わしはひたすらに屋上に向けて走り、その何かを確認しに向かった。

 

 そして──。

 

「これは……!?」

 

 そこにいたのは巨大な触手の怪物。

 

 それが空が裂けたようにして開かれた空間からゆっくりと地上に降下しておった!

 

「来たか、我が師アストリウス」

 

「ルナフィーナ! これは何じゃ! 何をしておる!?」

 

「あなたにも分からないことはあるというわけか。安心したよ」

 

 わしの言葉にルナフィーナが笑う。

 

「これは異界の神格だ。私に不老不死を、私の仲間たちに特殊な力を授け、これまでこの星に進出するのを狙ってきた存在だ」

 

「異界の神格……!?」

 

 異界魔術では異界の法則や生き物を、この世界の表面構造(テクスチャ)に貼り付けてそれを疑似的に生み出す。

 

 じゃが、これはそういうものとは根底から異なる。

 

 異界の存在が、そのものが、侵略的に基底構造(ベース)を書き換えて自己の存在を発生させようとしておるのじゃ!

 

 こんな形で基底構造(ベース)の書き換えを見ることになるとは……!

 

「そんなものを呼び出して、この世界がそこまで憎かったのか……?」

 

 わしは悲しくなってルナフィーナにそう尋ねた。

 

「違う。私が憎いのはひとつだけ。醜い死だ。それを避けるためならば何だろうとやると決めたのだ……!」

 

 わしとルナフィーナが話している間にも、異界の神格が地上を目指して降下しておる。このまま放置すれば、本当にこの世界がこの神格によって侵略されてしまうであろう。それは避けねば……!

 

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