場面が目まぐるしく変わりますので場面酔いにご注意を。
――Side 寄道
光が消えた周囲はUSJの中ではなく、オレにとって見覚えのある場所だった。
「どこだここは……」
手だらけの男が困惑の声を零す。相澤先生は……少し遠いところにいるようだ。
オレは絶賛脳無というバケモンと力比べ中。
相手もこっちに負けまいと抵抗中。
ゲッタービーム使うのが早そうだけど、ゲッター線で変異されたら困るしな……仕方ない。
「オープンゲット!」
瞬間的に3つのパーツに分離する。
そして脳無のガラ空きな背中の傍で再合体!
「ゲッター3! からの変則大雪山おろし!」
腕を伸ばし脳無を絡め取り、高速回転しながら地面に叩きつける。
「――!」
「木遁 木龍の術!」
人間の姿に戻り手を床に触れて術を発動する。
木の龍が脳無に絡みつき、生命力を吸い上げる。
あとは――。
「脳無ばっかり気を取られた馬鹿が――崩壊すればいい!」
オレの頭をつかむ――が、何も起こらない。
「なっ――!?」
「――生意気極まりないが、ソイツはウチの生徒だ。何の個性を使おうとしたか分からんが――手を出させるわけにはいかないなっ――」
その言葉とともに普段マフラーのようになっているイレイザーヘッドの捕縛布が手だらけ男に巻き付き、オレから敵を引き剥がした。
そのまま地面に叩きつけて行動不能にしたかと思えば、敵の後ろで手の甲同士を合わせて親指と小指を結束バンドでロックした。
「ありがとうございます」
「周囲への警戒が疎か……じゃないな。オレが間に合うと確信して機械化した自分と張り合えたソレの封印にリソースを割いたか」
「お陰で何とかなりました」
「やっぱりお前はどこまでも
かしこいと言ってるハズなのに悪い意味に聞こえる不思議。
「ちなみにオレは木分身なんで最悪死んでも問題ないです。リアルタイムのフィールドバックに個性の伝播もないですし」
「……まあいい。とりあえずここが何処か確認しないとな」
頷こうとしたところ手だらけの敵が呻く。
「ちくしょう……なんなんだよ! オールマイトは居ないし! 万国びっくりショーみたいなトンチキクソガキのせいで予定めちゃくちゃにされるし……! 先生も槙島さんも大丈夫だって言ってくれたのに……!」
「……どうやら色々吐かせる必要がありそうだな」
相澤先生は彼が実行犯であって首謀者ではないと判断したようだ。
オレも取り調べてには賛成したいが……。
瞬間、視界に見えていた街の半分が爆発で文字通り『吹き飛』んだ。
「……生きてたのかよ、甘粕のパチモン野郎……!」
そしてかつてのように、燃え上がる焔の中から『怪獣』と『空を浮かぶ黒い軍服の男』が姿を現した――
――Side 緑谷
「さっきまで水難エリアにいたのに、何が起きてるんだ?」
見たことない街並みが少し遠くに見える道路傍にて、水に打ち上げられた魚状態の敵軍団(峰田君のもぎもぎでくっつけた)、僕、蛙吹「梅雨ちゃんって呼んで」梅雨ちゃん、峰田「スーパーヒーローグレープジュースで」峰田君「インターセプト無視された!?」は困惑していた。
「ケロ……私たちが集団幻覚を見ているのか……それともそういう個性なのか……わからないわね」
「とりあえず、オレたちからコレを剥がすってのは」
「ダメね」「論外」「敵を野放しには出来ない」
敵の1人の提案を僕たち3人は却下する。
「とりあえず他の皆がいるのか確認を――うん?」
何やら音がした方――街の方――を見る。
人より少し大きいくらいの……さながら人の入った着ぐるみサイズの怪獣と呼ばれるようなモノが何百体とこちらへ行進していた。
爆発はその先頭集団を爆発させてるかっちゃんが起こしたものだ。
「何アレ?」
峰田君が色ボケ0%の疑問を口にしている(スゴクシツレイ)。
「爆豪ちゃんに……切島君ね」
「いやソレよりあの特撮から出てきたような怪獣軍団の方!」
「ココが何処か分かれば状況判断できると思うぞ」
しれっと捕縛した敵(のうち気絶してないの)が会話に混ざってるんだけど……。
「とりあえず2人に攻撃してるなら加勢したほうが良いかしら?」
「……かもしれないっ!?」
そんな会話をしていたら街が半分吹き飛んだ――。
――Side 寄道(本体)
この世界に取り込まれる前、火災エリアに尾白と共に飛ばされたはずだが、周りには見当たらなかった。
オレは木分身を何体か即座に生成し、散開させる。
ここはかつて迷い込み、『ヤツ』と出会った謎の街。
かつてと同様に『住人の気配』がないのは相変わらず。
『ヤツ』の攻撃とオレの攻撃で更地にした記憶があるがそんなことなかったかのように復元されていた。
「そしてここに人の気配がしたなら――それはヤツか、オレのように取り込まれたヤツか――ヤツの関係者だけ」
そう零した瞬間的、上空からとある1つの爆弾が落ちてきているのが見えた。
そのさらに上に、空を飛ぶ黒の軍服の男が見えた――。
反射的にゲッター化し、跳躍する。
そして爆弾を掴みそのままその軍服の男に『投げ返し』た。
「――その判断はあまり良くないな」
そんな声が男から聞こえた気がした瞬間、爆発が起こる。
総てを焼くような焔とキノコ雲。
焦土となる街の過半。
オレはゲッター化していたがココに他の人間が居たら生きているのだろうか――被爆しているかもしれない。
そんな思いなどどうでもいいかのように、ヤツは煙を風で『消し』去り、姿を見せる。
「――久しいな、千手の少年。今の浅慮はこちらの挨拶への返事とし、ノーカウントにしてやろう。だがココからは忖度無しだ。――分身にリソースを割きながら、怪獣の群れとオレから学友、先生……そして
離れているハズなのに、目の前で言われてるような声でヤツはそう告げた。
そしてヤツと共に、ヤツ背後にいた巨大な怪獣――が動き出す。
――Side 轟
敵を氷漬けにしていたら変な街の近くに来ていた。
コレも敵の力なのだろうか。
そう思っていたら少し離れたところに敵と戦う佐藤と尾白がいた。
取り敢えず手伝おう――としたら街の方で爆発があった。
そして街のそばには高層ビルと同じくらいの大きさの怪獣、と呼べるようなモノが居た。
「二人とも」
「轟!?」「轟さん!?」
跳躍して傍に着地し、同時に周囲の敵を氷漬けにする。
「取り敢えず敵を動けなくする。話はそれから――」
「それ、敵さんが第三者から攻撃されない前提の話だよね?」
いつの間にか側に居た、菫色の髪の女。
むう、胸が私より……デカい……。
「アンタ一体――」
「それより周りにいる怪獣を放置してると、敵さん殺しちゃうよ? 『人を憎まず罪を憎む』べきヒーローが人を見殺しにして良いのかな?」
尾白の問いかけを半ば無視するように、女はそう告げた。
「なんだコイツら!」「うわあ! なんかビーム撃ってきた!」「助けてくれて首から下凍ってて動けな――」
四方から悲鳴が聞こえる。
周りを見ると私たちを囲むように居た敵……それを囲うように現れた私たちより少し大きい『怪獣』の群れがいつの間にか現れており、敵たちを『容赦なく』攻撃している。
「――敵だから助けない? それとも、ヒーローは人だから助ける?それとも――おっと、時間切れか」
言い終わるか終わらないかの瞬間、彼女は始めから居なかったようにその場から消えた。
「――取り敢えず怪獣とかいうのを撃退。残りはその後。無理そうなら敵を無力化しつつ怪獣から隔離する」
「ああ!」「わかった!」
彼の気配が複数するけど……こっちに来ない。
他の人たちの方に回ってて、手間取っているのかもしれない。
――Side 寄道(本体)
「加減をせずに力を振るえばかつてのようにオレを退けるのは容易いぞ!」
オレは錬金術で高層ビルを素材に錬成し、ビルの側面から巨大な怪獣へ『鉄拳』を飛び出させる。
同時にヤツのどこからか出現させる数百キロ級の無誘導爆弾の雨を木遁や水遁、塵遁で被害の最小化、無効化し、カバーしきれないモノを回避する。
まだ『避難』が終わらない。
「そうだ、守るべきものを考えろ! 何を選び、何を捨てるか判断しろ! 自分だけで完結させるな! 『貴様はもう1人ではない』のだからな!」
口煩い外野をゲッタートマホーク複数投擲で黙らせようとするも避けられ、往なされる。
被害なんてどうでもいい。この煩わしい奴を消したい。
砂上の楼閣のごときなにかが崩れかけたその時――暴風とも言える風が、オレの心を覆いつつあった雲毎吹き飛ばした。
「そうだ、君は1人じゃない。――私が来たからね!」
大きい背中に大きすぎる見えない荷物を抱えるNo.1ヒーロー。
しかしその笑みに曇りは全くなかった。
「あとは私に任せたまえ」
オールマイトの言葉にますますしかめっ面になる自称甘粕。
「貴様のようなナチュラルボーンヒーローはお呼びではない。私は等身大の人間が苦難に立ち向かう人の輝きが見たいんだ」
「拗らせた性癖みたいな欲望のために他人に迷惑をかける君を野放しに出来ないしな!」
「困ってる人を助けたい衝動に駆られ動く貴様にだけは言われたくない!」
再び爆弾の雨、ついでとばかりに巨大怪獣の口からの熱線が放たれる。
「水遁、水流弾!」
水を生み出し、熱線と相殺しながら、爆弾を包み込み被害を抑え込む。
「千手少年!」
「――黙ってみてるだけのつもりはないですよ。コレでも――
「――ならばしっかり合わせてみせたまえ!」
オールマイトの言葉に反応するように、巨大怪獣も動き出した――。
――Side イレイザーヘッド
身体が動かない。
人の姿で木の分身とやらだったとはいえ、千手も殺られた。
目の前で手だらけの男――死柄木弔というらしい――が視線の先にいる白い髪の襲撃者によって開放されていく。
「槙島さん! 話が違いますよ! 黒霧と脳無、チンピラ共使って襲撃すれば勝てるって聞いてたのに!」
「想定外だったから、ボクは助けに来た。帰って次を考えようか」
「その前にコイツだけでも殺して――」
「ダメだ。その意思、その行動は認めたいが……スポンサーの意向でね。貴重な抹消個性持ちのデータ収集を続けたいとのことだ」
……死柄木弔の協力者の背後にスポンサー……?
オレのデータを収集している?
分からんが……少しでも情報を……。
「そんなっ!」
「ボクが来る前に死んでいたならそう言えたが、契約だからね。 さ、外の黒霧と合流して撤退だ。おっと」
白い髪の男がこちらに近づいてきた。
「金に釣られたゴロツキたちは君たちに任せよう。金食い虫を刑務所で養ってあげてくれ」
そう言われたかと思うと、衝撃と共に視界が暗くなる。
意識が 刈り取ら れ て――
――Side オールマイト
こちらは体力諸々キツいのに甘粕と名乗った男は息切れ1つしていない。
彼は人間なのか???
思わずそう思ってしまう。
すると突然顔をしかめたと思えば
「引き揚げの指示が出た。帰る」と言い出した。
「ま、待て!」
「貴様を待つつもりはない。あと改めて名乗ってやる。オレは甘粕。イレギュラーの寄り合いのような組織『
そう言うと言いたいことを言い終えたと言わんばかりに突然消え去る。
同時に街のような景色が崩壊し、私たちはいつの間にかUSJのドーム内に立っていた。
周りには敵や満身創痍な少年少女たちがおり、その側には教員たちが傷だらけの姿でいた。
遠巻きに敵たちが様々な捕縛方法で捕縛されているのが見える。
……ヤツに代わる巨悪が顕現しようとしてるのかもしれない。
そう思いながら私は一旦クールタイム挟むために物陰に隠れるのであった――。
甘粕が不満な理由
甘粕「お前は(ヒーローなのだろう?そのせなかに守るべきものがある)1人じゃない(守るべきものを守るために苦難を進め!そしてその輝きをオレに見せろ!)」
オールマイト「そうだ、(ヒーローは)君は1人じゃない。――私が来たからね!」
甘粕「カエレ!」
大体コレ
次回は襲撃事件の後始末(生徒、教員、警察関係者、敵の最低4サイド)の予定。