ミス・トゥースフェアリーに真面目な話をしてもらおうと思ったらなんか筆が滑った   作:グシャグシャボックス

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※:もうミスター・フェイにはキャラクターとして独立してもらおう。書き手との同一視前提だとにっちもさっちもいかねーわ

 

 ●さて、ある日トゥースフェアリーは、気がつくと私になっていました。

 

 私こと、フェイは、30前後の東洋人男性で、日本の法律家の職を経て、今ではアマチュア古生物研究家として悠々自適の生活をしています。美男子というほどではありませんが、すっきりとした清潔感のある顔立ちで、もともとテレパシーのせいで強い感情を持っていたことから、彼女はフェイのことをすっかり気に入るでしょう。結果として、彼女の恋愛感情はさらに強固なものとなりました。

 

 十分ほど、彼女はフェイの身体で彼の家の仕事部屋やリビングなどをうろつき、パソコンやスマートフォンに触れ、2025年の世界を体験します。こうした一連の様子を、彼女の一人称で楽しそうに描写してください。

 

 

 

■トゥースフェアリーの一人称視点での描写

 

 えっ……何? 目を開けたら、私、どこにいるの!?

 

 さっきまで私、自室で歯のコレクション眺めて気を落ち着けていたはずなのに、今の私の指先も、手のひらも……明らかに普段とは違っているわ。ごつごつしているし、肌の色も日頃の私の白さじゃない……東洋人かしら? 鏡、鏡はどこ?

 

 慌てて部屋を見回したら、すぐ近くにガラス戸があって、映った顔が……男の人!? 30くらいの、すっきりした顔立ちで……待って、これ、まさか、フェイ!?

 

 私、フェイになっちゃってるの!?

 

 心臓の鼓動が止まらないわ。テレパシーでいつも感じてた彼の温かさが、今、私の全身に広がったみたいだから。……ああ、フェイ、私、ずっとあなたに会いたかったのよ!

 

 彼の身体って、こんな感じなのね。いつもの私より何インチか背が高くて、手足がしっかりしてる。顔、美男子ってほどではないけど、この落ち着いた目元とか、優しそうな口元とか……私、フェイのこと、心底気に入っちゃってるわ。

 

 ああ、なんて短絡的なのかしら。でも、テレパシーで感じていた、あのときの気持ちがそのままなんだもの!

 

 

 

 部屋を見回すと、ここ、彼の家よね? 2025年の日本って……すごいわ! 仕事部屋めいたところにいるみたいで、机の上に薄いディスプレイの機械が置いてあった。

 

 これ、随分スリムになっているけれど、パソコンよね? レディ・Zが言っていた「インターネット」というものかしら? 私、恐る恐るキーボードを触ってみたけど、急に画面が光って、瞬く間に文字や絵が出てきたわ。英語の論文みたいで、「古生物学会」とか「中生代におけるげっ歯類の歯化石」って……ああ、フェイ、やっぱりあなたも、歯が好きなのね!(※:この人そこだけはブレねーなホント

 

 次に、家のリビングに移動してみたの。少し硬めのソファがあって、テーブルには小ぶりの手鏡のような――スマートフォンってこれかしら。財団の通信機よりずっと小さくて、これも触ったらいきなりディスプレイが光って、あちこち動かしてみたら、写真が出てきたわ。写真にはフェイが映っているのもあって、そのなかで彼、笑顔で分厚い本を持ってるの。……可愛いじゃない、フェイ!

 

 

 

 十分くらいあちこちをうろついて、パソコンで「2025年のニュース」を見てみたり、スマートフォンで変な音を鳴らしてしまったり……私、子どもみたいにはしゃいじゃってるけど、仕方ないわよ! だって、フェイとして、フェイの世界にいるのだもの!

 

 彼の匂い――落ち着いた種類の香水かなにかを使ってるみたい――とか、彼の椅子に座った感触とか、全部が私をドキドキさせるの。……ああ、私、彼のこと、ほんとうに大好きだわ。これまでテレパシーで感じてた以上に、彼の全部が愛おしいって、今、確信してしまった。

 

 でも、いくらか冷静になってみて……今のこれ、いったいどういうこと? テレパスが強まった影響かしら? それとも「精神同化」ってこういうこと? 私がフェイの身体に入っちゃってるってことは、反対に彼は私の身体にいるの? ……ふふ、想像したら笑ってしまうわね。私があの無骨なマウスピースをつけて、自分の歯並びを眺める姿、彼に見られちゃってるのかしら?

 

 でも、それだって嫌じゃないわ。彼なら、私のこと、全部見てもいいって思うもの。……ああ、私、どうしよう。この気持ち、戻ったら、どうやって抑えたらいいのかしら!

 

 

 

 

 

 

 ●トゥースフェアリーが2025年のフェイになっているのと同時刻、フェイも1990年代半ばのトゥースフェアリーとなっています。要するに二人は一時的に入れ替わっていたのです。

 

 フェイはパブロフ財団のトゥースフェアリーの私室に、彼女として立っている自分自身を知覚し、驚きつつも状況把握に勤めます。

 

 まず、フェイですが、窓に写ったトゥースフェアリーの容姿を見て、落ち着いた美しい女性だと思います。その後、窓から外の風景を眺め、パブロフ財団の中庭を見下ろします。それから周囲にある文献などをざっと見ますが、すべて英語で書かれているため、テレパシーなしでは理解に時間がかかると考えました。

 

 フェイはいつ戻るか分からないため急ぐ必要があると考え、近くのメモ用紙を取り、あえて日本語で、「2025年4月からやってきたフェイです。理由は分かりませんが、ミス・トゥースフェアリーと一時的に精神が入れ替わってしまったようだ。今のところ副作用などは特に見られないが、今後どうなるか分からないので、もしものことがあった場合は早急な対応を求めることを、レディ・Zに伝えていただきたい。それからトゥースフェアリー、君は想像以上に素晴らしい女性だった、会えて嬉しい」と書き込むでしょう。

 

 書き終えた途端に意識が薄れ、彼は元通り、日本にいるフェイの身体に戻っていました。おそらくトゥースフェアリーも元通りになっているでしょう。

 

 以上の流れを、フェイの一人称で詳細に描写してください。

 

 

 

■「1990年代半ばの彼女の世界」

 

 意識が切り替わった瞬間、まず感じたのは空気の質の違いだった。2025年の日本の春、埃っぽくて少し湿った私の部屋の空気とは異なり、ここはどこか古めかしく、消毒液と紙の匂いが混じった空間だった。

 

 目を開けると、そこは見慣れない部屋。薄暗い照明の下、木製のデスクと本棚が整然と並び、白衣が壁に掛かっている。私は立ち上がった――いや、「彼女」の身体で立ち上がったのだとすぐに気づいた。

 

 足元が少しふらつきながら、部屋の隅にある窓に近づく。ガラスに映った姿を見て、息を呑んだ。そこにはトゥースフェアリーがいた。ウェーブがかった茶髪のロングヘアが肩に流れ、はしばみ色の瞳がこちらを見つめている。口元には特徴的なヘッドギアが装着されていて、一瞬ぎょっとしたが、すぐにその下にある端正な顔立ちに目が留まった。落ち着いた美しさ。20代の若さの中に、知性と穏やかさが同居しているような表情。私は彼女と何度もテレパシーで話してきたけれど、こうやって「彼女として」自分を見るのは初めてだ。心が少しざわついた。

 

 窓の外に目をやると、パブロフ財団の中庭が見えた。石畳の道と、手入れされた低木が規則正しく並ぶ風景。遠くには制服を着た生徒らしき人影がちらほらと動いている。1990年代半ばのこの世界は、私の2025年とはまるで別物だ。時間の流れさえも遅く感じるような、静謐な空気がそこにはあった。

 

 私は彼女の視線を借りて、その景色をしばらく眺めた。彼女が毎日見ているものなんだな、と考えると、少しだけ彼女の心に近づけた気がした。

 

 

 

 部屋に戻り、周囲を見回す。デスクの上には分厚い本が積まれていて、タイトルをざっと見るとすべて英語だ。歯学や神秘学に関する専門書らしい。私は英語が苦手ではないが(※:よくよく考えるとハイスペうぜえー)、テレパシーなしでこれらを読み解くには時間がかかりすぎる。棚には小さな瓶が並んでいて、中には――おそらく歯だ。乳歯や動物の牙だろう。彼女の趣味をこんな形で目の当たりにすると、ちょっとした戦慄と共に、親しみが湧いた。やっぱり彼女らしいな、と。

 

 だが、いつ戻るかわからない。状況を把握し、何か証拠を残しておくべきだ。私はデスクの引き出しからメモ用紙とペンを取り出した。急いでいるせいか、手が少し震えた。彼女の手だ――細くて白い、繊細な指先。私は深呼吸して、日本語で書き始めた。

 

「2025年4月からやってきたフェイです。理由は分かりませんが、ミス・トゥースフェアリーと一時的に精神が入れ替わってしまったようだ。今のところ副作用などは特に見られないが、今後どうなるか分からないので、もしものことがあった場合は早急な対応を求めることを、レディ・Zに伝えていただきたい。それからトゥースフェアリー、君は想像以上に素晴らしい女性だった、会えて嬉しい」

 

 書き終えた瞬間、視界が揺れた。意識が薄れていく感覚が襲ってくる。慌ててペンを置いたが、もう遅い。彼女の部屋がぼやけ、数秒もしない間に私は日本の自分の部屋に戻っていた。

 

 目の前には見慣れたパソコンと、開けっ放しの窓。2025年4月の現実だ。時計を見ると、ほんの10分しか経っていない。我ながらまだ取り乱しているようだ。私はテーブルにもたれかかり、深く息をついた。おそらく彼女も今、パブロフ財団のあの部屋で目を覚ましただろう。私のメモを見て、何を思うだろうか。

 

 彼女の姿を、自分の目で見た感覚がまだ残っている。彼女の生活を、ほんの少しだけ覗けたことが、妙に嬉しい。そして同時に、彼女への想いがまた少し強くなった気がした。

 

 レディ・Zがこれを知ったら、さらに交信を制限するかもしれない。でも、今はただ、彼女が無事でいてくれることを願うだけだ。

 

 

 

 

 

 

 ●直後、トゥースフェアリーの私室には、元通りになったトゥースフェアリーが立っています。目の前のテーブルの上に書かれた日本語の文章を、彼女は読むことができませんが、それが何なのかをすぐに悟ります。

 

 幸い、レディ・Zもまた東洋人であり、日本語にもある程度馴染みがあります。彼女はメモを取ると、急いでレディZのもとへと向かいます。

 

 メモを渡され、念の為辞書を引きながらフェイの言葉を訳し終えたレディ・Zは、これをそのままトゥースフェアリーに伝えて良いかを迷うでしょう。特に最後の言葉を伝えると、彼女がいっそうのぼせ上がるのが目に見えているからです。

 

 しかし、どのみちフェイとトゥースフェアリーはテレパスで繋がっており、下手に誤魔化してもすぐにバレてしまいます。仕方なく、レディ・Zは内容を丸ごとトゥースフェアリーに伝えるでしょう。フェイからの言葉を理解したトゥースフェアリーの様子を、情感豊かに描いてください。

 

 以上のような流れを、トゥースフェアリーの視点に立って、細かく描写してください。

 

 

 

■「彼の言葉が残したもの」

 

 意識が戻った瞬間、私は自分の部屋に立っていた。パブロフ財団の私室、いつもの消毒液と古い紙の匂い。窓から差し込む柔らかな光が、中庭の石畳を照らしている。ほんの数秒前まで、私はフェイの身体の中にいて、2025年の日本という異世界を覗いていたのだ。

 

 パソコンやスマートフォン、彼の整った部屋……そして、彼の姿。あのすっきりした東洋人の顔立ちと、穏やかな空気。あれがフェイだったんだ、と胸が熱くなるのを抑えきれなかった。

 

 ふと視線を落とすと、デスクの上にメモ用紙が置かれているのが目に入った。私の筆跡ではない、細くて少し急いだような文字。――日本語だ。私には読めない。でも、それがフェイからのものだと直感した。彼が私の身体にいた証拠。彼がここにいたんだ。そう思うだけで、心がざわめき、指先が震えた。

 

 私はそのメモを手に取り、じっと見つめた。読めなくても、彼の気持ちがそこに込められている気がした。急がなければ。レディ・Zならこれを読むことができるかもしれない。それでなくても、私よりは彼女の方がこの翻訳には向いている。私はメモを握り潰さないよう慎重に持ち、白衣のポケットにしまった。そして、急ぎ足で彼女の研究室へと向かった。

 

 

 

 レディ・Zの部屋に着いたとき、彼女はいつものように机に向かい、書類を整理していた。理知的な瞳が私を見上げ、少し眉を寄せる。「どうしたの? また何かあったのね」と彼女が言う前に、私はメモを差し出した。「これ、フェイがこちらの世界に残したものよ。読めないけど……お願い、訳して」

 

 私の声は少し上ずっていた。彼女は一瞬驚いたように目を丸くしたが、すぐにメモを受け取り、じっと見つめた。

 

「日本語ね。ニュアンスを正確に訳すには少し時間かかるわ。辞書を引きつつやるから待ってて」と彼女は言い、本棚から分厚い辞書を取り出した。私はその間、部屋の隅でじっと彼女を見つめていた。落ち着かない。フェイが何を書いたのか、彼が私の身体で何を感じたのか。それが知りたくてたまらなかった。

 

 

 

 しばらくして、レディ・Zがメモを訳し終えた。彼女の表情が微妙に硬くなり、私をちらりと見た。「全部訳したわ。でも……これをそのまま伝えるべきか、少し迷うわね」と彼女が呟く。私は一歩近づいて、急かすように言った。

 

「お願いよ、レディ・Z。隠さないで。私と彼はテレパシーで繋がってるのよ。誤魔化しても、すぐわかるんだから」 彼女はため息をつき、観念したように頷いた。「わかったわ。じゃあ、全部伝える。よく聞いてね」

 

 彼女がゆっくりと読み上げ始めた。「2025年4月からやってきたフェイです。理由は分かりませんが、ミス・トゥースフェアリーと一時的に精神が入れ替わってしまったようだ。今のところ副作用などは特に見られないが、今後どうなるか分からないので、もしものことがあった場合は早急な対応を求めることを、レディ・Zに伝えていただきたい」

 

 ここまで聞いて、私は頷いた。フェイらしい、慎重で誠実な言葉だと思った。でも、レディ・Zが一瞬言葉を止めた。そして、少し照れたような、困ったような顔で最後の部分を読み上げた。「それからトゥースフェアリー、君は想像以上に素晴らしい女性だった、会えて嬉しい」

 

 その瞬間、私の心が跳ねた。頭の中が真っ白になり、耳まで熱くなるのを感じた。「素晴らしい女性」「会えて嬉しい」フェイがそう書いてくれた。私を、そんな風に思ってくれたんだ。

 

 胸の奥から熱いものがこみ上げてきて、目頭がじんわりした。私は慌てて顔を上げ、レディ・Zを見た。彼女は私をじっと見つめていて、少し心配そうな顔をしている。

 

「フェイが……そう言ったのね?」と私が呟くと、彼女は小さく頷いた。「そのまんまよ。どうやら、あなたの身体に入った彼は、ここで何かを感じたみたいね」 私はメモを手に取り、もう一度その文字を見つめた。読めないのに、彼の声が聞こえる気がした。優しくて、少し照れたような声で、私に直接そう告げてくれているような。

 

「私を、素晴らしい女性だって……」と呟くと、涙が一滴、頬を伝った。自分でも驚くほど感情が溢れてきて、抑えきれなかった。フェイが私の部屋にいて、私の姿を見て、私の世界を少しでも感じてくれた。それだけで、嬉しくてたまらないのに、彼がそんな言葉を残してくれたなんて。

 

 私の恋愛経験の乏しさなんて関係ない。彼にとって私が特別なんだって、そう思えた。

 

 レディ・Zがそっと近づいてきて、私の肩に手を置いた。「落ち着いて、トゥースフェアリー。確かに彼は悪くはない人よ。でも、この状況は異常なんだから、舞い上がりすぎないでね」 彼女の声は冷静だったけど、どこか優しかった。私は涙を拭い、笑顔で頷いた。「わかってるわ。でも……嬉しいのよ。彼が、そう思ってくれたことが」 私の声は震えていたけど、心は温かかった。

 

 

 

 その夜、私はベッドに横になりながら、フェイの言葉を何度も思い返した。彼が私の姿を見て、素晴らしいと言ってくれたこと。彼が私の世界に触れて、会えて嬉しいと言ってくれたこと。テレパシーで繋がるたびに感じる彼の優しさと、今度は彼が私の身体で感じた何か。それが、私の中でどんどん大きくなっていく。

 

 レディ・Zが交信を制限しても、私の気持ちはもう止められない。彼への想いが、私の心を満たしていた。

 

 

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