ミス・トゥースフェアリーに真面目な話をしてもらおうと思ったらなんか筆が滑った   作:グシャグシャボックス

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 ●一度人格の入れ替わりを果たしたことで、フェイとトゥースフェアリーは互いの実在性を強烈に意識しました。実際に対面したいという思いがより強まります。そして、よくよく考えると、財団の側としても、「ストームが発生しておらず、それどころかアルカナムすら存在しない平行世界」というものは研究対象として非常に重要であることは間違いありません。

 

 研究材料扱いされるリスクは承知の上で、トゥースフェアリーは現在の状態を財団側に開陳し、保険医を休職して事態の解明に全力を尽くす決心をします。彼女が実験動物扱いされないよう、レディ・Zに骨を折ってもらいましょう。もちろん、彼女らに任せきりというわけにはいきませんから、フェイの側でも独自に調査を行います。

 

 フェイの調査の結果、彼側の世界のイギリスのチェシャーにも、トゥースフェアリーの生家、キャンベル家が存在することが明らかになります。また、トゥースフェアリーの側の世界にも、フェイの実家である(※:……フェイの本名決めてなかった。うーん、飛(フェイ)っぽい名前ってことで、芳賀翔(ハガ・ショウ)としとこう。ハラショーハラショー)芳賀家が日本に実在することが判明します。

 

 なんのコネもないフェイがキャンベル家に乗り込むことは難しいでしょうが、財団が芳賀家にコンタクトを取るのは容易のはずです。かくしてトゥースフェアリーは、レディ・Zとともに、1995年の日本の芳賀家に出向くことになります。

 

 以上のような流れを、トゥースフェアリーの視点に立って、細かく描写してください。また、日本におけるフェイの本名は芳賀翔、ないしショウ・ハガですので、誰かにその旨一度だけ言及させること。

 

 

 

■「彼に会うために」

 

 フェイと私が一度入れ替わったあの日から、私の中で何かが変わった(※:すっかり色ボケしていたトゥースフェアリーが急に正気を取り戻しているが、単に別セッションに移ったせいで基礎データが再び読み込まれ再現性がマシになっただけだと思われる。とはいえ、ストーリー的にもここらが気を引き締めたタイミングではあろう)。

 

 彼が私の部屋に立ち、私の姿を見て、私の世界に触れた。そして、私も彼の2025年の日本を垣間見た。あの10分間が、私たちをただのテレパシーで繋がる存在から、もっと確かなものに変えた。彼が実在すること、私が彼にとって「素晴らしい女性」であること。それが私の胸に深く刻まれ、どうしても彼に会いたいという想いが抑えきれなくなった。

 

 でも、それだけじゃない。入れ替わりを経験したことで、私たちの状況がどれほど異常で、どれほど貴重なものか気づいたの。私の世界ではアルカナムの存在が日常で、また度々ストームに襲われてもいるけれど、フェイの世界にはそれらがない。アルカナムが存在せず、科学技術だけで成り立つ平行世界なんて、聖パブロフ財団にとって、重大な研究対象に違いない。

 

 もし私がこの状況を財団に開陳すれば、彼らは私とフェイの繋がりを解明しようとするだろう。実験動物扱いされるリスクはある。でも、彼に会えるなら、その危険を冒す価値があると思った。

 

 私は決心した。保険医の仕事を休職して、この事態の解明に全力を尽くすと。レディ・Zに相談したとき、彼女は最初驚いた顔をしたけど、すぐに真剣な表情に変わった。「あなたがそこまで言うなら、私も協力するわ。財団があなたを実験材料にしないよう、私が目を光らせておくから」と彼女は言ってくれた。彼女の黒く確かな瞳に、頼もしさを感じた。彼女に任せきりにするつもりはないけれど、彼女のサポートがなければ、進められないこともわかっていた。

 

 

 

 財団に報告した後、具体的な調査が始まった。私は自分の状況を詳細に説明し、フェイとの入れ替わりやテレパシーの経緯をすべて伝えた。財団の上層部は目を輝かせ、「ストームの形跡のない平行世界との接触は前例がない」と興奮気味に話し合っていた。私は少し不安に思ったけれど、レディ・Zがそばにいて、私の精神状態や安全を優先するよう釘を刺してくれたおかげで、安心できた。

 

 一方、フェイも2025年の彼の世界で独自に動いてくれていた。彼からのテレパシーで、「チェシャーにキャンベル家があることがわかったよ。調査した感じだと、おおよそ君の生家の様子と一致するみたいだ」と連絡が来た。私はとても驚いた。私の実家、キャンベル家が彼の世界にも存在するなんて。

 

 そして、財団による調査の結果、私の世界にも彼の実家、芳賀家が日本に実在することが判明した。それを伝えたとき、彼の声も少し興奮していた。「これって、僕たちの世界が完全に別物じゃない証拠かもしれない。何かしら繋がっているんだよ、きっとね」

 

 

 

 レディ・Zが提案した。「芳賀家にコンタクトを取るのは、財団なら簡単よ。トゥースフェアリー、あなたが直接行って、彼の家族と話すのが一番早いかもしれない」

 

 私は一瞬息を呑んだ。1995年の日本、フェイの実家に行く。それは、つまり、私が自分の足で彼に一歩近づけるということに違いない。心臓が早鐘を打って、ただ頷くしかなかった。「お願い、レディ・Z。一緒に行ってくれるわね?」 彼女は小さく笑って、「もちろんよ。あなた一人じゃ心配だもの」と答えてくれた。

 

 1995年の日本への旅が決まった。私は少し緊張していたけど、それ以上に期待で胸がいっぱいだった。レディ・Zと一緒に財団の移動手段を使い、日本の芳賀家に向かうことになった。

 

 テレポート術式の承認を待つあいだ、私は財団の一室で窓の外を見ながら考えていた。フェイの実家で何がわかるかわからない。でも、彼の家族に会えば、彼のことをもっと知れるかもしれない。彼がどんな環境で育ったのか、どんな人たちに囲まれていたのか。それが、私にとって彼に近づく手がかりになる。

 

 

 

 日本に着いたとき、空気が少し湿っていて、どこか懐かしい感じがした。1995年のこの場所は、私の生まれ育ったチェシャーの地とはまるで違う。レディ・Zが財団支部から借りた地図を確認しながら、「芳賀家はここからそう遠くないわ。ミスター・フェイは愛称で、本名はショウ(翔)・ハガだったかしら。……落ち着いてね」と声をかけてくれた。私は頷きながら、白衣のポケットに手を入れて、フェイが残したあのメモを握り潰さないよう気をつけた。あの言葉が、私をここまで連れてきてくれたんだ。

 

 芳賀家の門前に立ったとき、私は深呼吸した。古風な日本家屋で、庭には手入れされた木々が並んでいる。レディ・Zが先に進み、財団の名刺を手に持って門を叩いた。しばらくして、中から中年の女性が出てきた。もしかすると、フェイのお母さんだろうか? 彼女は私たちを見て少し驚いたようだったけれど、レディ・Zが丁寧に事情を説明し始めた。「聖パブロフ財団から参りました。芳賀家の方と少しお話をさせていただきたいことがありまして……」

 

 私はその後ろで、じっと彼女を見つめていた。フェイに似ているかもしれない、優しくて整った顔立ちをしている。もし彼女がフェイのお母さんなら、彼の優しさはこの繋がりから来ているのかもしれない。私の心はもう、彼に会うための次のステップを想像し始めていた。芳賀家で何がわかるかわからないけれど、ここが私と彼を繋ぐ鍵になる。そう信じていた。

 

 

 

 

 

 

 ●トゥースフェアリーたちを出迎えた女性に客間で話を聞いたところ、彼女はフェイの叔母の芳賀ユイであることが判明します。彼女の妹の芳賀ユミが、一年ほど前、婿取りをした分家の男性との間に、芳賀ショウという息子を出産したそうです。

 

 つまり、現時点でこちらの世界のフェイは一歳未満であり、直接会う意味はあまりないでしょう。このことに、トゥースフェアリーはなんとも言えない複雑な思いを抱きます。

 

 ともあれ、芳賀家について聞いてみると、この家が代々続くアルカニストの家系であることが分かります。仙道の血を継ぐとされ、かつては転移術の大家でしたが、第二次大戦の前後で没落し、術式の大半を喪ってしまいました。本家の蔵には今なお解読不能な資料が大量に残っているそうです。

 

 レディ・Zとトゥースフェアリーは、芳賀家の本家(中部地方の山間部にある大屋敷としましょう)に向かい、財団の名を出して交渉し、なんとか本家の資料を貸し出してもらうことに成功します。財団で解析が始まりますが、多くが日本語のくずし字やらで書かれており、解読には時間が掛かりそうです。

 

 以上のような流れを、トゥースフェアリーの視点に立って、細かく描写してください。

 

 

 

■「彼のルーツと遠い距離」

 

 芳賀家の門前で出迎えてくれた女性は、穏やかな笑顔を浮かべながら私たちを客間に通してくれた。畳の香りが漂う部屋のテーブルに座り、彼女が淹れてくれたお茶を手に持つと、少しだけ緊張が解けた。

 

 レディ・Zが財団の目的を丁寧に説明する中、私は彼女の顔をじっと見つめていた。その顔立ちに、私はどこかフェイの面影を感じてしまう。でも、彼女が自己紹介した瞬間、その期待は、複雑な形に変わった。

 

「私は芳賀ユイ、よろしくね。お話にあったショウのことは……私の甥にあたる子かしら」と彼女が言った。彼女の妹、芳賀ユミが一年前に婿取りの男性との間に息子を生んだ。その子の名前が芳賀ショウ、つまりフェイなのだと聞いて、私は一瞬言葉を失った。

 

 レディ・Zが冷静に「ということは、彼は今一歳未満ですね」と確認すると、ユイは頷いて、「そうね、まだ赤ちゃんだから、直接会ってもあまり意味はないかもね」と笑った。

 

 

 

 心の中がぐちゃぐちゃになった。一歳未満のフェイ? 私の知るフェイは、2025年の30歳前後の男性で、優しくて誠実で……私に「素晴らしい女性」と言ってくれた人だ。でも、この世界の彼はまだ赤ちゃんなんだ。会いたいと願ってここまで来たのに、事実上、彼に会えない現実が突きつけられた。嬉しいような、悲しいような、なんとも言えない気持ちが胸を締め付けた。私はお茶碗を手に持ったまま、じっと俯いてしまった。

 

 レディ・Zが私の肩にそっと手を置いて、「大丈夫よ。少なくとも、彼のルーツに近づけたんだから」と囁いてくれた。私は小さく頷いて、気持ちを切り替えることにした。せめて、彼の家族やこの家のことを知りたい。そう思って、ユイに話を聞いてみることにした。

 

 ユイが語ってくれた芳賀家の歴史は、私たちの予想を超えるものだった。この家は代々続くアルカニストの家系で、仙道の血を継ぐとされているらしい。かつては転移術の大家として名を馳せていたが、第二次大戦の前後で没落し、術式の多くを失ってしまったそうだ。「本家の蔵には、今でも解読できない資料がたくさん残ってるのよ」とユイが言うと、レディ・Zの目が鋭く光った。

 

「その資料、見せていただけるかしら? 財団として非常に興味があるわ」と彼女が切り出すと、ユイは少し迷った後、「本家に相談してみるわね」と答えてくれた。

 

 本家は日本の中部地方、山間部にある大屋敷だという。私とレディ・Zはユイの案内を受けてそこへ向かうことにした。小ぢんまりとした日本車で山道を進む間、私は窓の外の緑深い景色を見ながら考えていた。一歳のフェイに会えないのは寂しいけれど、こちらの世界の彼の家系がアルカニストだったなんて、驚くべき偶然だった。

 

 私は神秘学家の血筋で、そしてこちらの世界の彼もまたそうだった。それならもしかすると、私たちの出会いは偶然じゃなかったのかもしれない。そんなこじつけすら頭に浮かんだ。

 

 

 

 芳賀家本家の大屋敷に着いたとき、その古びた佇まいに驚かされた。木造の建物は風格を漂わせ、蔵の扉は重厚で、まるで秘密を守るように閉ざされていた。

 

 レディ・Zが財団の名刺を出し、「平行世界の研究に協力していただければ、芳賀家の術式復興にも繋がるかもしれません」と交渉すると、本家の当主――ユイの叔父にあたる老人――は渋々ながらも頷いてくれた。「蔵の資料を貸すだけならいいが、くれぐれも大切に扱ってくれよ」と彼が念を押すのを聞き、私は少しホッとした。

 

 蔵の中は埃っぽく、古い紙の匂いが充満していた。分厚い巻物や書物が積み上げられ、どれもが古いタイプの日本語で書かれている。私は一枚手に取ってみたけど、まるで読めない。レディ・Zも眉を寄せて、「これは専門家でも時間がかかりそうね。でも、転移術の痕跡があるなら、ストームとの関連性だって見つかるかもしれない」と呟いた。私たちは資料を慎重に梱包し、財団支部に持ち帰ることにした。

 

 

 

 再びテレポート術式で本部へ戻った後、解析が始まった。日本の古語に精通した研究者が呼ばれ、一つ一つ解読を進めていく。でも、その速度は遅く、すぐに結果が出るわけではない。私は研究室の隅で、堆く積もった資料の山を見ながら考えていた。

 

 フェイのルーツが目の前のどこかに眠っている。彼の家系が持つ転移術が、私と彼を繋ぐ鍵になるかもしれない。たとえ今すぐ彼に会えなくても、この研究が進めば、いつか2025年の彼に会える日が来る。そう信じることが、私の心を支えていた。

 

 

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