武闘派小国の青年と完璧聖女の逆転劇 作:究極の闇に焼かれた男
アーノルド神父との話を終えた後、フィリアとエドワードの2人は一度屋敷に戻ると聖女の務めの一つを果たす為に必要な準備をする事となった。
「──フィリア、言われた通り必要な物は全部揃えた。 そっちの方は準備は済んだか?」
「ええ、いつでも行けるわ」
「なら良かった。 さて、今日から本格的にフィリアがフーガ王国の聖女としての務めを果たす最初の1日になる訳だが、流石に俺達2人だけで結界を張る場所に行くには心許ない。 なので、心強い助っ人を呼ばせてもらった」
「助っ人?」
「そう! アイル、出て来てくれ」
「お呼びでしょうか、エドワード将軍」
「っ!?」
エドワードが名前を呼ぶと、フィリアの背後に一つの人影が現れ地面に片膝を着きながら礼をする。
「あなたは…?」
「お初にお目にかかります。 自分の名前は、アイル・ノーチラスと申します。 エドワード将軍の部下に御座います」
薄緑の瞳を持つ灰髪の青年──【アイル・ノーチラス】は、フィリアに礼をしながら答えた。
「彼の言った通り、アイルは俺の部下でフィリアの護衛でもある。 よければ仲良くしてやってくれ」
「私の護衛?」
「ああ。 基本的には俺がフィリアの傍に居るように仰せつかってはいるんだが、場合によっては傍を離れなければならない事もあるだろうと考えてアイルに護衛を頼んだんだ」
「これから宜しくお願い致します、フィリア様」
「そうだったのね。 こちらこそお願いします、アイルさん」
「仲良くやっていけそうで安心したよ。 それじゃあ早速、現地に赴くとしよう」
こうしてアイルを加えて3人となった一行は、フーガ王国の聖女となったフィリアの初仕事へと赴くのだった。
──────────
聖女の務めの一つに"結界を張る"という事がある。 結界とは聖なる力を持つ聖女のみが張ることの出来る代物で、"聖なる光の柱"を用いる事で魔物の通行を阻害する檻のようなものを作り、柱の本数を増やせば増やす程に強力な結界となる。
聖女の居る国は全て、聖女の立てた光の柱による結界で自国を守っているのだ。
「──けれど、知っての通りフーガ王国は長きに渡り聖女が居なかったから結界無しで国を守らないといけなかった。 故にフーガ王国に仕える魔術師の1人が聖女の結界の代わりとなる得意な魔術を編み出したからこそ、フーガ王国は魔物の脅威から守られてきたんだ」
「そんな事が可能なの?」
「普通なら有り得ないと思うだろうけど、それを可能とした魔術師の一族が俺と同じでフーガ王国に仕えているんだ」
フィリア達一行は聖なる光の柱を立てるのに適している場所へと目指す道中、会話をしながら向かっていた。
「その魔術師の一族とは、どんな人達なの?」
「気になるか?」
「ええ、もしかしたら会う機会があるかもしれないから」
「わかった。 よく聞いてくれ」
フィリアが気になって尋ねると、エドワードはよくぞ聞いてくれたと言わんばかりの表情で答え始める。
「フーガ王国に代々仕える魔術師一族──"ハイゼラート家"と言って、元々はクラムー教の前身にあたる宗派の長の血縁者がアスモデウスの引き起こした大厄災の最中に命の危機に瀕した際に、初代国王に救われた事に恩義を感じてフーガ王国に仕えるようになったんだ」
「クラムー教の長の血縁者!?」
「分かるよ、俺も初めて知った時は凄く驚いた。 何せ聖女が所属している教会の宗派、しかも長の血縁者の血筋が仕えているなんて吃驚するよな」
「そんな人が仕えているなんて…」
「まぁ、肝心のハイゼラート家の現当主は今は出払っているから暫くは会う機会はないと思うぞ」
「どうして?」
「つい最近だが、パルナコルタ王国の聖女が亡くなったのは知っているよな?」
「ええ、病死したと聞いているけど」
「悪く思わないで欲しいけどその件があって、パルナコルタはジルトニアに多額の金を払ってフィリアを買い取ったらしいが、今フィリアは此処に居るからパルナコルタは多額の損失をした事になる。 それを聞いて、アイゼン陛下がハイゼラート家に命じてパルナコルタに向かわせたんだ」
「そう…」
エドワードの説明を聞いてフィリアはパルナコルタの損失を知り、強い罪悪感を覚える。 そんなフィリアの様子に気付いたエドワードは優しく微笑みかける。
「悪いのはフィリアじゃない。 むしろ、フィリアに自分の道を選択するよう迫った俺に罪がある」
「っ、それは違うわ! あの時、エドは私の事を思って…」
「だったら今回の件は俺とフィリアの2人で背負っていけば良い。 フィリアが嫌だと言っても俺は無理やりにでも背負うからな」
「エド…」
「だから、自分の選択に胸を張って生きてくれ」
そうエドワードが言うと、フィリアは小さく頷き返した。
「水を差すようで申し訳御座いませんが、御二方、そろそろ目的地に着きますよ」
「「っ!?」」
そんな2人に対し長らくタイミングを見計らっていたアイルがそう告げると、2人は吃驚した表情を浮かべながらアイルに視線を向ける。
「ああ、別に続けてくれても構いませんよ? 御二方のやり取りは見ていて面白いですから」
「っ/// と、とりあえずそう言う事だから変に気負う必要は無いから、自分を責めるなよ!」
「え、ええ。 ありがとう……///」
とても良い笑顔で言ってきたアイルの言葉に、2人は途端に気恥ずかしくなり思わず声を上擦らせながら話を切り上げ、急いで気持ちを切替えるのだった。
今回は如何でしたでしょうか? 楽しんで頂けたのなら幸いです。 次回もお楽しみに! それと誤字脱字の方向も御座いましたらお願いします。
追記.次回の更新は遅くなります。
オマケ情報
・アイル・ノーチラス
エドワードの部下兼フィリアの護衛を務める青年で、元々はフーガ王国に仕える子爵家の嫡男だったが本編の数年ほど前に起きた魔物との大規模な戦闘で両親を失い、天涯孤独の身となっていた所をエドワードに拾われる形で仕える様になったと言う過去を持つ。趣味は清掃でエドワードの屋敷を常に掃除をして回っている。 実は魔物を素手で倒せる程の強さを持っている。 PS.怒らせると怖いらしい(エドワード談)。
質問ですが、オリキャラと原作キャラの恋愛要素を導入しますか?
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はい
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いいえ