武闘派小国の青年と完璧聖女の逆転劇 作:究極の闇に焼かれた男
フーガ王国王城の一室──国王の執務室にて、現在フィリアはエドワードと共にフーガ王国の国王である白髪銀眼の青年と一つのテーブルを挟む形で席に着いていた。
「──大体の事情は理解した。 エドワードの幼馴染と言える人間が歴代最高と謳われる聖女だった事は驚いたが、それは一先ず置いとくとしよう。 それでフィリア・アデナウアー、君は我が国で何を望む?」
国王である白髪銀眼の青年──【アイゼン・フーガ】は厳粛な態度でフィリアに問い掛けた。
(この人が国王陛下………面と向かい合ってるだけなのに、凄いプレッシャーを感じるなんて)
アイゼンから発せられる覇気は他国から修羅の国と称されるフーガ王国の王の名に恥じないもので、歴代最高の聖女と謳われるフィリアですら思わず冷や汗が流れるのを感じ取る。
「む? どうし……ああ、そういう事か。 すまんな、つい癖でプレッシャーを掛けるような真似をして。 フーガを治める王として歳を理由に相手に舐められる訳にはいかんのでな。 故に安心して何を望むのか申してみよ」
そんなフィリアの様子を察したのかアイゼンは小さく溜息を零すと途端に覇気を抑え始め、穏やかな表情で問い掛ける。
「お心遣い感謝致します、国王陛下」
「うむ。 それでフィリア嬢よ、君は我が国で何を望み、何を成すのか申してみよ。 私に出来る事なら出来る範囲で叶えてみせよう」
そう再三問い掛けられたフィリアは、考え込む素振りを見せ始めるのだった。
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どうしてフィリアがフーガ王国の国王と一対一で話し合う事になったのか、その理由は今から約数十分ほど前に遡る。
エドワードに手を引かれながらフーガ王国へと入国を果たしたフィリアは、フーガ王国に来るに至った事情を説明する為にエドワードと共に王城へと向かう事となった。
王城へと到着すると、「少し待っててくれ」とエドワードに言われて王城の門の脇で待ち続けること数分。
「待たせたなフィリア。 一応話は付けてきたから、これから一緒に陛下の所に向かうぞ」
そう言って戻ってきたエドワードの言葉に返事とともに頷き返すと、2人は国王の待つ執務室へと行く事となったのだ。
「陛下、エドワードです。 任務の報告と件のジルトニア王国の聖女を連れて参りました」
執務室の前に辿り着いたエドワードは扉をノックをしながら扉越しに声を掛けると、部屋の中から『入ってくれ』と返事が返ってきたのを聞いて「失礼します」と言いって扉を開け2人は執務室へと入る。
執務室に入ると中には執務机に肘を乗せながら腕を組む1人の青年の姿があった。
整った顔立ちと服越しでも分かる程に細く引き締まった体、そして自然と目を惹き付ける雰囲気を纏った白髪銀眼の青年はエドワードとフィリアの姿を捉えた。
「よく戻ったエドワード将軍、此度の任務御苦労であった。 既に一通りの話は聞いているが、君の口から改めて隣に居る彼女──ジルトニア王国の聖女について説明して欲しい」
「畏まりました。 では改めて、彼女はジルトニア王国の聖女で────」
そこからエドワードによるフィリアの説明が始まり、国王であるアイゼン・フーガは説明に間違いが無いか時折フィリアに問い掛けそれをフィリアが答える形で行われた。
エドワードによるフィリアの説明を終えた後、エドワードはアイゼンに「彼女と2人だけで話したい事がある。 故に将軍には外で待ってもらう」と告げられ、それを承諾したエドワードは部屋の外で待つ事となり、そして冒頭の所へと戻る。
アイゼンからの問い掛けにフィリアは深く考え込んでいた。
(私の望み……自分の意思でフーガ王国に行くのは決めたけど、私は何を望めばいいの?)
フィリアにとって自分の為に他人に何か望みを述べるという行為は初めてだった事もあり、どうすれば良いのかを答えるのが難しいものだった。
「どうやら君は他人に対して自分の望みを告げたことが無いらしいな」
思考に耽っていたフィリアの内心を見透かすようなアイゼンの言葉に思わず心臓がドキッとした。
「君は親に何かを望みを抱いた事はあっても、それを直接口にした事が無い人間のようだ。 その生き方は人によっては凄いと賞賛に値するだろうが、俺からすれば酷く窮屈で息苦しい生き方でしかない。 本気で何かを望むのなら行動だけではなく口にしなければ意味が無い。 行動を起こすだけでは相手に何も伝わらない、本気で望んでいるのなら言葉にして伝える事も大切だぞフィリア嬢」
アイゼンの言葉はまるでフィリアの人生を見てきたかのような言葉で連なっており、その言葉の節々に込められたアイゼンなりの優しさが含まれているのを感じ取った。
(そう言えば昔、エドに "本気で何かを望むのなら行動だけじゃなくて言葉にしないと伝わらない"って言われたような──エド……)
アイゼンの語った言葉、それは奇しくも幼き日にエドワードから告げられた言葉と同じだった。 フィリアがエドワードに自身の境遇を話した際、エドワードから気遣われるとともに諭すように告げられた時の事を思い出したフィリアはやがて一つの望みを思い付き、それをアイゼンに向けて口にした。
「では僭越ながら、陛下にお願いしたい事が御座います」
「言ってみなさい」
「私の望みは────」
「ほう…それが君の望みか。 そんな面白い事を望む聖女とは驚いた。 良かろう、君の望みを叶えるとしよう」
フィリアの告げた望みを聞いたアイゼンは思わず驚愕の表情を浮かべるも、その次に見せた表情は面白いと感じた物へと変えながらフィリアの望みを承諾するのだった。
フィリアが告げた望み、それは後に長きに渡るフーガ王国の歴史に新たな風を吹かせるものになる事を知る者は国王を除き誰も居なかった。
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フィリアがフーガ王国の国王であるアイゼンと対話しているのと同時刻、とある森の中を灰色のフード付きの外套に身を包んだ1人の男が歩いていた。
「もう直ぐで街に着くか。 やれやれ、アイゼン様も人使いが荒いのは誰に似たのやら。 まぁ、同盟国であるパルナコルタにジルトニアから来る筈だった聖女が行方意不明になったせいで俺が出張る羽目になったのは仕方の無い事か。 さてと、パルナコルタに着いたらユリウス殿下とオスヴァルト殿下に挨拶しないとな」
そう独り呟きながら、男はパルナコルタ王国を目指し続けるのだった。
聖女が来なかったパルナコルタ王国に男が辿り着く時、本来とは違うもう一つの物語が幕を開ける。
次回はフィリアの望みの内容が判明する話しか、パルナコルタ王国を目指す男の正体+その視点の話にするか考え中です。
それとコメントの方もお待ちしております。(誤字脱字が御座いましたら遠慮なく報告して下さると助かります)
質問ですが、オリキャラと原作キャラの恋愛要素を導入しますか?
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はい
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いいえ