自分の考えた能力で本当に戦うことになった話 作:今でも雲は綿あめで出来ているって信じてる
異能の力を得られるノートを手に入れてからというもの俺の日常は…それほど変わってはいなかった。
30日で最後の一人にならないと死ぬことを考えれば普通に変わった方が良いんだけど、全くと言っていい程変わらなかった。
地図を見ても他のノート保持者は他にいない。
他のノート保持者は皆もっと遠くで暮らしているのだろうか?
そうだとしたら最悪終盤まで残ったノート保持者と俺は互いの居場所を知ることが出来ずに死ぬことになる。
それは不味い。
俺も他のノート保持者を探さないと…。
そんな風に考えていたからか、俺は学校でとある女子生徒に目を引かれた。
首元まであるサラサラの黒い髪、二重ではあるが非常に悪い目つき、怪我をしたのか片目を覆い隠す眼帯、左手に巻かれてる黒い包帯。
なんというか、そう、凄いノートを持ってそうな奴が現れたのだ。
俺は急いで教室に戻ると地図を確認する。けれど、残念ながら地図にはノート保持者を表す黄色いアイコンは出ていない。
外れか…。
只の痛い女子生徒にがっくりと肩を落とす。
けれど、更に驚くことに女子生徒がこの教室に入って来たのだ。
何事かと俺が注目していると女子生徒は普通に空いている席に座った。
あんな奴うちのクラスにいたか?
俺は隣の席に座る夏川君に聞いて見る。
因みに夏川君とは朝、登校した時に挨拶をする程度の仲だ。
「ねぇねぇ、夏川君、あの子って元々うちの生徒だっけ?」
「うん?ああ、江宮さん?うちのクラスだよ。」
「そうだっけ?眼帯に包帯を付けてたら気づきそうだけどな…」
「包帯と眼帯は最近だね。怪我でもしたんじゃない?」
「そっか、ありがとう」
俺はお礼を言うと、江宮さんに気づかれないように彼女を観察する。
今の所、最近眼帯と包帯を付け始めたという点以外は特に怪しい所はない。
だが、友人と話していた彼女はとんでもないことを口走ったのだ。
「ねぇ、えどちーそれどうしたの?」
「ん、ああ、拘束具のこと?これは最近目覚めた力を抑えるために着けてるの
聖戦以外では外すことは出来ない。」
「そーなの?でも体育の時とか不便でない?」
「…確かに」
どっちだ!?
これはノート保持者ってことなのか?それともただ単純に中二病に目覚めただけなのか…。
一応、地図に映らないのはステルス系の能力を持っているなら説明は出来る。
出来るが、ノート保持者なら普通に接触してくるか、そうでなくてもどこかで戦闘を仕掛けてくるだろうしな。
ちょっと神経質になりすぎたか…。
そう思って彼女から視線を外そうとした直後。
「おい、さっきから不躾な視線を向けているな?」
江宮さんがこちらを真っすぐと捉えながらそう声をかけてきた。
バレていたのか。
女子は視線に敏感だとは聞いたことがあったがなんて言って切り抜けよう。
「あ、ああゴメン。少し変わった格好をしてたから気になって…」
「嘘だろ?」
「え?」
「本当はお前も持っているんだろう?特別な力を!!」
「なっ!」
こいつやっぱりノート保持者か?
だとすれば何が狙いだ?
周囲に影響を与えない催眠系や記憶改竄系の能力で今も実は攻撃を受けている、とか?
いや、だとすればサンドバック君が出てこない筈がない。
つまり今こいつは俺になんの攻撃もしていない。
数が減るまでの同盟?それとも単純に情報交換が目的か?
くそっ、こうなったら
「あの、二人で話が出来ないかな?」
「…ほう、いいだろう。ついてこい…お前の力見せて貰おうか」
これは人気が無い所でバトルフィールドを展開しよう、と言外に提案しているのか。
もしそうなら好都合だ。
俺はバック、正確にはバックの中に入っているノートを持って彼女の後をついていった
☆☆☆
これがノート保持者との二回目の戦闘!
そう思っていた時期が俺にもありました。
「まさか、アンデット・ソウルと戦う者が私の他にもいるとはな。私はセカンドに所属する…」
「御託はいいから、ささっと勝負しようよ。」
なんか長話が始まりそうな雰囲気だったからその前に話を遮っておいた。
今は昼休み。こっちとしては授業が始まる前に教室に戻りたいのだ。
「ふっ、せっかちな奴め。いいだろう勝負を始めようか!!」
江宮さんはやたらとカッコつけたポーズを決めながら眼帯を外す。
俺もいよいよかとノートを広げ、いつでもバトルフィールドを展開できるよう準備する。
けれど、一向に江宮さんのアイコンは出てこない。
「あの…ノート、持ってるよね?」
「うん?ノート?」
「そうそう、自分の能力書いたノート、持ってるよね?」
「…ああ、当然だ!アカシャの石碑のことだな。それなら常に持ち歩いている!」
そう言うとブレザーのポケットから手帳を取り出し、見せつけてくる。
「…ちょっと見せてもらってもいい?」
「構わないぞ!」
俺は彼女から手帳を受け取ると、ページを一枚一枚丁寧に捲る。
うん、自分の生い立ちとか能力とか戦うべき悪の組織とか丁寧にか書かれている。
書かれているが、それだけだ。
地図機能などはついていない。なんの変哲もない手帳だ。
未〇日記みたいに様々な形状のノートがあるのかもと思って確認させて貰ったけど、どこからどうみても普通のノートだ。
うん、外れかな?
「ゴメン、勘違いだったみたい。」
俺はそれだけ言うと手帳を返し、さっさと教室に戻ろうと彼女から背を向ける。
早くしないとご飯を食べ損ねてしまう。
「ちょ、ちょっと待て!
お前もこっち側の人間だろう!」
「いや、そっち側ではないです」
何故か、江宮さんが急いで先回りし、俺の前に立ちはだかって来た。
「で、でも、ほら戦おうとか、バトルフィールドとかノートとか…」
「俺の求めてるノートでは無かったから」
「アカシャの石碑は家にあと13冊あるぞ!」
「そっか、凄いね」
「アンデット・ソウルとの戦いはどうするんだ!お前には素質がある。私と一緒に…」
「応援してるよ。アカシック・ソウルとの戦い頑張ってね」
「アンデット・ソウルだ!」
その後もなんかやたらとつき纏われたけどなんとか教室に帰って次の授業までにご飯を食べ終えることが出来た。