宇宙要塞アルテミス、連合加盟国であるユーラシア連邦が有するコズミック・イラ最硬と言われる軍事拠点。
アルテミスの傘と呼ばれる防御システムにより、ほぼ無敵に近しい防衛力を持つ。
だが正史において、この要塞はたった1機のモビルスーツにより壊滅状態にまで追い込まれている。
そのモビルスーツこそブリッツだったのだが、この世界ではすでにブリッツがシャンブロによって撃墜された為、もはや崩壊などあり得ない...と思われたが、そう簡単に終わるわけがないだろう?
だって、コズミック・イラは悪意に満ちているのだから。
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宇宙要塞アルテミス内部
「ようこそアルテミスへ、私はアルテミス要塞司令のジェラード・ガルシアだ」
「アークエンジェル艦長マリュー・ラミアス大尉です」
ヘリオポリスの崩壊後、アスラン・ザラ含むクルーゼ隊は撤退し、シャンブロもまた姿を消した。
アークエンジェルは予定通り地球への航路を進み始めたのだが、ヘリオポリスからの出港は急なものだった為物資や燃料などの補給が完全ではなかったのだ。
そこで、一番近い最寄りの連合拠点であるアルテミス要塞に赴いたのだが。
「早速で悪いのですが、現在我々アークエンジェルは連合の新兵器を地球に届ける為に航行しています。ですが、このまま航行を続ければ遠からず燃料などが尽きることが想定された為、補給をするためにこちらに立ち寄ったのですが、構わないでしょうか?」
「ふむ、その話だが...そちらの艦はIFF登録がされていない不明艦ということになっている。残念だが補給以前に君たちをここから出港させるわけにはいかんな」
このジェラード・ガルシアという男、前々から通りかかった船から通行料を取るなどして私腹を肥やしているというたいそう評判の悪い男なのだ。
「どういうことですか!iDを確認されたはずです!」
「そうは言ってもね、こちらも仕事なのだよ」
ちなみにこの男、正史だとこの後くっそ変な人生を歩んでいるのだが、それがカナード・パルスの物語に繋がっていたりするのでわりと重要人物だったりするのだ、
まぁ...
『プログラム起動、戦闘支援システムA.M.A.N.Aへようこそ...?何か問題でもありましたか?』
「あっ、ダメだよA.M.A.N.A!勝手に起動しちゃダメだって言ったろ?」
「あっ!あぁ!A.M.A.N.Aだと!?貴様らなんてものを持ち込んでくれたのだ!そのプログラムは連合ては使用停止措置が取られている危険な...!」
『私はオーブ所属ですので問題はないかと、それより問題行動をしているのは貴方のほうでは?過去のログを閲覧させて頂きましたが、貴方はかなりの数の軍規違反にあたる行為を行い、それを隠蔽していますね?
この数の場合、最悪軍法会議ものだと思われますが?』
「なっ!?」
A.M.A.N.Aにとっては取るに足らない塵芥に過ぎないのだが。
「えぇい!うるさいうるさい!とにかく貴様らは出港させん!それと積み荷も確認させてもらおうか!」
「そんな!中にあるのは連合の最高機密ですよ!?」
場の空気は最悪、まさに一触即発といったところか。
「ラミアス大尉、ここは一旦引き下がろうぜ、ここでやり合うのはごめんだ」
「貴方はもしやムウ・ラ・フラガ大尉では?」
SEEDをあまり知らない人もいるかもしれないので、一旦ここで説明しておこう。
ムウさんことムウ・ラ・フラガ大尉だが、この人連合にとってはガチのエースかつ英雄で、エンデュミオンの鷹という異名まで持ってる凄い人なのである。
そこを踏まえてジェラード・ガルシアの反応を見てみよう。
○ルトラマンを見るガキみてぇな反応だろう?
「おぉ!エンデュミオンの鷹、連合の英雄!まさか貴方のような方がこの艦に乗っておられるとは!」
「その呼び名はあまり好きじゃないんだけどなぁ、まぁそれは置いといて...今回の航行は本当に急を要するものなんでね、補給を済ませたらすぐに出港したいんだが、だめか?」
「ふむ、まずは積み荷を確認しないことには何も言えませんなぁ」
『解答、連合及びモルゲンレーテ者により共同開発された試作実験機GAT-Xシリーズの1機、GAT-X105ストライクです』
「A.M.A.N.A!?」
『そこの御仁は、自分の意見が通らない限りテコでも動きそうにありませんからね、私が持ちうる情報を可能な限り提供しましょう。あぁ、間違っても私をキラから取り上げようなどと思わないように、それをやった場合この要塞の安全は保証しかねますので』
あっさりネタばらししたA.M.A.N.Aに驚くキラであったが、A.M.A.N.A的には全く問題にはならない。
どうせ死ぬからである。
「艦長と違ってお利口なプログラムだな、先ほどまでの発言は不問にしてやろう」
そして、アークエンジェルのモビルスーツ格納庫に入ったジェラードであったが。
「機体にロックがかかっている...これはいったい誰がやったのかね?」
「それは...」
正直に話してしまうとまずいことになると思ったアークエンジェルクルーは何も言うことができなかっだ。
だが、その沈黙を最悪の形で破った者がいた。
「そのモビルスーツならキラが乗ってたわよ?」
「フレイ!?ダメだよ話しちゃ!」
「何よ!しかもその子コーディネイターよ?」
そう、SEEDの正史において最終的にキラとわかり合ったは良いものの、度々余計なことをして場を最悪にし、一時期はガンダム三大悪女などと呼ばれていた人物。
フレイ・アルスターである。
「ほう?そのキラというのは先ほどから無礼なプログラムと話していたそこの青年かね?」
彼女の発言により、ジェラードの次なるターゲットはキラに定まってしまった。
「お待ちください、彼は我々オーブの所属であり貴方方にとは関係ありません!」
この事態に慌てて飛びだ来てきたのはキラの姉カガリである。
「部外者は黙っていたまえ!さぁ、君がストライクをロックしたパイロットで間違いないかな?」
「はい、僕はオーブ所属キラ・ヤマトです。ラミアス大尉からの要請により、特例でストライクのパイロットとしてアークエンジェルに乗船しています。
ストライクは機密保持と安全面の観点から、アークエンジェルのクルー以外が起動できないようにロックしてあります」
「ふむ、では君はコーディネイターにとっては裏切り者ということかな?」
「...」
「あぁ、そう悲しそうな顔をしないでくれたまえ、それは誰にでもできることではない、どうだね?連合に協力するコーディネイターは貴重だ...きっとユーラシアでも優遇されるだろう、君さえ良ければ我々の元に来ないか?」
「...」
『キラ、この手の俗物の言うことなど聞くだけ無駄かと、それより早くOSの再調整作業に戻りましょう、次の戦闘までに最適化する必要があります』
「貴様!こちらが下出に出ていれば!」
キラとA.M.A.N.Aの態度が気に食わなかったのだろう、とうとうジェラードは暴力に訴えてしまった。
だが、それは最悪の選択だと言わざるを得ない。
「やめろ!キラに手を出すな!」
キラに殴りかかろうとするジェラードを止めようとカガリが割って入ったその瞬間である。
『...あなたはいらない』
ジェラードにだけ聞こえた声、脳に響き渡るようなその声は、キラの持つA.M.A.N.Aの入った端末から発されていた。
「なんだというのだ?」
「?」
急に動きを止めたジェラードに戸惑うアークエンジェルクルーとカガリであったが、その時である。
「司令、新たな入港要請が!」
「なに?」
航行予定のない謎の艦が入港してこようとしているのだ。
「見たことのない艦だな?識別信号は!」
「連合のものを発しています。どうしますか?」
「構わん、入港を許可する。連合の所属だというなら問題あるまい」
そう言ったジェラードがキラたちに向き直ろうとしたその瞬間である。
「?...!司令!」
「どうした?なっ...!」
ジェラードの部下が指差す方向、先ほど入港要請をしてきた艦だ。
それが、速度を落とさずに格納庫に突撃してきたのだ。
そして、それは格納庫に凄まじい勢いで突っ込んだ。
「どうなっている!?」
その場の全員が困惑する中、それは現れた。
「灰色の小型艦?」
アークエンジェルの四分の一ほどの大きさのそれは、煙を巻き上げながらその全貌を現した。
そして、次の瞬間。
『...全システムチェック完了、システム戦闘モード起動...ターゲット確認、排除開始』
その小型艦の色が灰色から血のような赤色に変貌し、変形し始めたのだ。
「これはまずいぞ」
『...キラ、貴方の敵は私が排除します』
混乱の中、ポツリと喋ったA.M.A.N.Aの声は、誰の耳にも入らなかった。
次回、アルテミスの惨劇。
【ひそひそ話】
Q:カナード君何してるの?
A:何してるかはわかりませんが、ユーラシアでは最近青いガンダムが現れてはブルーコスモスをぶちのめして去っていくらしいですね。