コズミック・イラで人機一体な件   作:森の翁

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 実は作者がSEEDで一番好きな機体はロードアストレイ、2番目がストライクノワール。


歌姫③

 C.E.70年、メンデル  

 

「ここが俺たちが生まれた場所、ユーレン・ヒビキの研究所か」

 

『うん、今は僕の研究所だけどね』

 

 カナード・パルスとその脳内にいたアマナ・ヒビキは、ともにメンデルを訪れていた。

 

『でも急にどうしたの?ヘリオポリスに向かう前に「自分たちが生まれた場所に立ち寄りたい」だなんて』

 

「1つ気になることがあってな」

 

『ふーん、それはもしかして私の遺伝子データのこと?』

 

「...やはり俺の思考は筒抜けということか」

 

『私は君の頭の中にいるからね、だからほら...前に変な黒いモビルスーツに襲われた時も大丈夫だったでしょ?』

 

「例の頭の中を読もうとしたバカか、別に姉さんが頭の中にいなくてもフリューゲルに搭載されてるシステムを使えば防げただろう?」

 

『そういうこと言わなーい!お姉ちゃんポイント2点減点!!!』

 

「わかった!わかったから俺を精神世界に引きずりこもうとするのはやめろ!」

 

『♪~』

 

 この後カナードは、抵抗虚しくまたしてもアマナに膝枕されて死んだ目をすることになった。

 

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 時は戻りC.E.71年アークエンジェル艦内、突然倒れたラクス・クラインを医務室に連れていったキラたちであったが。

 

「大丈夫ですか?」

 

 ラクスの意識がはっきりとし始め、目の前のキラを再び認識する。

 

 今度はあの不思議な感覚はやってこなかった。

 

「申し訳ありません、少し目眩がして」

 

「少し長く質問し過ぎたかもな」

 

 救命ポッドから出たばかりの人間、しかも女性を長時間拘束して尋問染みた質問をしたことに反省するムウ・ラ・フラガであったが、そもそも相手は立場的に敵陣営に属する人物なので致し方ないところもある。

 

 まぁとどのつまり、ムウだけの責任ではないのである。

 

 そして、マリュー・ラミアスに支えられて部屋兼独房の一室に向かったラクスを見送りながら、ムウは口を開く。

 

「もしかしたらとんでもなく面倒なことが起きるかもな」

 

「面倒なことって?」

 

「ラクス・クラインっていやぁザフトの中でもかなりの有名人で、スパイや捕虜づてに連合にも情報が入ってるんだけどな、彼女...よりにもよって今のプラント代表パトリック・ザラの息子と婚約関係にあるらしい」

 

「ザラ?もしかしてその息子って、アスラン・ザラって名前じゃないですか?」

 

「知ってるのか坊主」

 

「はい、彼は僕の古い友人でちょっと前に再会(イージスのパイロットとして)したんですけど...」

 

 キラの複雑そうな表情を見て、ムウは大体の事情を察した。

 

「まぁ話を戻すと、そんな有名人でしかもプラント元代表の娘である彼女は政治的な面から見てもかなりの爆弾なんだよ」

 

「下手に扱いを間違えるとザフトに連合を攻める大義名分を与えかねない」

 

「そうだ...メンデルの一件以来、世間から連合への悪感情は高まるばかりでね、これ以上火種を増やしたら地球全土を巻き込んだ大規模な戦争、それこそ絶滅戦争にまで発展しかねない」

 

 

 

 

 

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 ムウとの会話が終わったキラは、カガリやトールたちの元に戻ろうとした。

 

 その時である。

 

『...キラ』

 

「この声は...!前にヘリオポリスでも聞こえた!?」 

 

 頭の中で何かが弾けるような感覚と共に、キラの頭の中に幼い少女のような声が響いた。

 

『...キラ、やっぱり君には僕の声が聞こえちゃうんだね』

 

「ちょっと前にアルテミスで聞こえた声も君だよね?君はいったい誰なの?」

 

『...ごめんね、今はまだ教えられない』

 

「待って!」

 

 その言葉を最後に、少女の声は遠ざかっていった。

 

「あの声はいったい?」

 

 ...キラ、もうすぐだからね。

 

 

 

 

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 時と場所は変わり、ヴェサリウス艦内。

 

「あんな化物をどうやって鹵獲しろというのだ!」

 

「落ち着けよイザーク、増援も寄越すって言ってたじゃないか」

 

「ふん!、少し戦力が増えた程度であの化物とやりあえるとでも?蹴散らされるのが関の山だろうよ」

 

「まぁ正直戦力が足りていないってのは確かだな、モビルスーツを奪取したら終わりの簡単な任務だったはずなのに、あんな化物と出くわすなんてな」

 

「ところでアスランはどうしている?」

 

「あれからずっと部屋にこもってるよ、無理もないさ...あいつはニコルのことで責任を感じて自分を責めてるからな」

 

 現状を理解してはいるが命令があるが故にそれを打開できないという状況に苛立つイザークたち、そんな2人に話しかけるものがいた。

 

「アスランはやはりまだこもっているか」

 

「クルーゼ隊長!」

 

 そう、ラウ・ル・クルーゼである。

 

「アスランならまだ塞ぎ込んでます」

 

「そうか、次の作戦までに復帰できると良いんだがね、彼の力はきっと必要になる」

 

「アスランなら大丈夫ですよ、あいつら俺らが思っているよりずっと強い、だからきっと大丈夫です」

 

「そうなることを願おう」

 

 

 

 

 イザークとディアッカが各々自分の部屋に戻った後、クルーゼは1人呟く。

 

「この状況も君が作ったのかね?...アマナ・ヒビキ」




【ひそひそ話】

 実はこの物語の影でASTRAYの物語がひっそりとお亡くなりになってるよ(ブリッツ消滅)。
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