さて、皆様お待ちかねのあのシーンですね(まぁ原作とかなり異なるんですが)。
「こっちだ!」
「カガリ、君は避難したほうが良いんじゃない?GAT-Xの開発協力がサハク家の独断だったってことは、多分もう連合側にも伝わっているんでしょ?このまま工廠に向かってモビルスーツを弄っているところを見られたら...」
「私が手引きしたと思われると?」
「その可能性は十分あると思うよ、連合側には確かブルーコスモスがバックについていたよね?彼らは前々からオーブを潰す機会を虎視眈々と待ってる...もし口実を得れば即座にオーブ本国を攻撃するかもしれない」
キラの言うことも一理ある。
この襲撃のどさくさに紛れてGAT-Xを破壊さたとしよう。
確かに当初の目的は果たせるだろう、だが...もしもその瞬間を連合側に目撃され、なおかつそれがよりにもよってオーブ首長国連邦代表の娘だったとすれば、オーブを攻める大義名分は十分だろう。
「まさか、お前1人で行くつもりなのか?」
「それも違うよ、僕がカガリの弟だってことはもう知れ渡ってしまっているからね、僕が捕まった場合もまずいことになる」
「じゃあどうするんだ?このままでは最悪は場合GAT-Xがザフトの手に渡ってしまうぞ」
「大丈夫だよカガリ、今こそこれを使う時がきた」
そう言ったキラの手には、カガリも見たことがない端末が握られていた。
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【工廠】
「ストライクの搬出はまだ終わらないの!?」
「ダメです!ザフトの攻撃のせいで輸送用レールが壊れてるみたいで、このままではストライクを動かせません!」
ザフトによる急な襲撃により、GAT-Aシリーズをどうにか戦艦アークエンジェルに運ばなければならなくなった連合側は、急ピッチで作業を進めていた。
技術士官であるマリュー・ラミアス大尉もまたその中の1人である。
PS装甲の開発に携わっていた彼女は、ストライクの稼働テストのためにヘリオポリスへ来ていたのだが、よりにもよってそのタイミングでザフトの襲撃が起こってしまった為に慣れないながらもなんとか現場の指揮を取っていた。
「せめてOSが完成していればストライクを起動してここから脱出できたのに!」
ストライクを含め、GAT-Xシリーズはあくまで試作実験機であり、開発もまだ初期の段階だ。
故に、専用のOSがまだ用意されていないのも仕方のないことであり、ここで現地の技術者たちを責めてもどうにもならないことはマリュー・ラミアスも理解していた。
「本来なら今日の今頃OSが届く予定だったんですが、ザフトの襲撃によって完成したOSを持っている教授との連絡が取れなくなってしまい...」
「今はなるべく早くレールを復旧させてストライクを運び出すことだけを考えて!早くしないと、ザフトの襲撃がここまで届いてしまう」
焦りと恐怖により冷静さを欠いてしまった技術者たちは、普段なら簡単にやってのけるであろう作業すら手が震えてまともにできなくなっていた。
もういっそのことストライクを置いて逃げようと、誰かが言おうとしたその時だった。
「すいません!GAT-Xシリーズの保管されている工廠というのはここでしょうか!?」
「!?貴方は誰!」
いきなり現れた青年に対して警戒心を露にするマリューだったが、直後青年が発した発言によりその警戒心を解くことになる。
「僕はオーブ首長国連邦所属キラ・ヤマトです!オーブ首長国連邦代表ウズミ・ナラ・アスハの娘であるカガリ・ユラ・アスハからの命令でGAT-Xシリーズ用のOSを持ってきました!」
「私は連合軍所属マリュー・ラミアス大尉です!早くこちらに!」
そう、マリューの前に現れたのはキラだったのである。
そして、当然ながらキラが持っているのはOSなどではない。
「完成したOSを持っている教授との連絡が取れなくて困っていたの、でも大丈夫なのかしら?GAT-Xシリーズの扱いに関しては現在オーブと連合側で揉めているのでは?」
「今回は緊急時の特例として連合側に協力するようにカガリから言われてきました。早速OSを!...!?」
キラがマリューの元へ行こうとしたその瞬間である。
工廠を凄まじい衝撃が襲った。
「なに!?」
「まずい!」
その衝撃によりそこら中が崩れ始め、瓦礫がマリューたちに降り注いだのだ。
辺り一面から聞こえる呻き声は、無事な者がほとんどいないことを暗示していた。
マリューもまた負傷しており、かなりまずい状況と言えよう。
「ケホッ!早くストライクを移動させないと」
「ようやく見つけたぞ、最後の一機だけこんなところにあるなんてな」
最悪のタイミングである。
なんとザフトの手がここまで届いてしまったのだ。
「連合が新型のモビルスーツを作ってるって聞いた時はナチュラルがそんなもん作れるわけないと思ってたが、こんな代物を作っているとはな」
「...!」
一瞬のことである。
いつの間にやらザフト兵の後ろに回っていたキラは、近くで拾った瓦礫を大きく振りかぶった。
「ギャっ!?」
その一撃でザフト兵は気絶した。
「今のうちにOSをインストールしてそのモビルスーツを動かしましょう!」
「えぇ!急がないと」
キラとマリューがOSのインストールを行うためストライクに乗り込んだその瞬間だった。
再び大きな衝撃が工廠を襲ったのは。
「あれは!」
キラの視線の先、そこにあったものはザフトのモビルスーツ『ジン』であった。
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「見つけたぞ!」
ジンのパイロット、ミゲル・アイマンは焦っていた。
敵の攻撃が偶然モビルスーツの頭部に当たってしまい、通信が不可能になってしまったのだ。
直前まで通信していたアスランやイザークたちの居場所もわからず、仕方なく当初の予定通りGシリーズがあるという工廠を目指したのだ。
そこにつけばアスランたちと合流できるだろうと思っていたが、蓋を開けてみればそこには仲間は誰もおらず、それどころか襲撃により生じた衝撃で瓦礫まみれと化した景色が広がるばかり。
もはや撤退しかないかと思ったその瞬間、なんと目の前に奪取予定のGシリーズが2機も横たわっているではないか。
これはなんとかして他の隊員に伝えねば!と思った瞬間である。
横たわっていたはずの2機のG、その内の一機『GAT-X105ストライク』が起動していたのだ。
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「なんとかしないと...!この機体がザフトに渡れば多くの人が犠牲になってしまう、この腕さえ動けば!」
「ラミアス大尉、あなたは今このモビルスーツを操縦できる状態ではありません、本来なら機密事項であるこの機体に民間人である僕が関わってはいけないことは重々理解しています...ですが今は!」
「えぇ、緊急時の特例として貴方をこのモビルスーツ『GAT-Xストライク』のパイロットとして認めます」
「了解!すぐにOSをインストールします!」
許可を取ったキラは、迅速に動き出した。
「キャリブレーションを取りつつゼロ・モーメント・ポイント及びCPGを再設定……
っ……!!なら擬似皮質の分子イオンポンプに制御モジュール直結…!!
ニューラルリンゲージ・ネットワーク再構築。メタ運動野パラメータ更新。
フィードフォワード制御再起動、伝達関数、コリオリ偏差修正。
運動ルーチン接続、システムオンライン、ブートストラップ起動!!」
「...この子」
キラによるOSインストール、いや凄まじい速度の書き換えを見たマリューは驚愕を隠せなかった。
無理もない、民間人と名乗ったやつが目の前で軍事機密の塊で普通動かすどころか起動自体できないであろうモビルスーツのOSをとんでもない速度で書き換え始めたのだから。
なお、後にこの時のことをキラがマリューに聞いたところ。
ぶっちゃけドン引きしたと言われてキラがめちゃくちゃへこむのは当分先の話である。
「全システムオールグリーン!ストライク出ます!」
OSの書き換えが終わり立ち上がったストライク。
その眼前には重斬刀を振り上げ、今にもストライクに切りかからんとするジンの姿があった。
「全武装チェック、アーマーシュナイダー...今はこれだけでなんとかするしかない!」
瞬時にアーマーシュナイダーを引き抜いたストライクはジンの懐に入り込み、そのコックピット貫いた。
「これで...うわぁ!」
ジンを倒したその瞬間、ストライクに凄まじい衝撃が走った。
「よくもミゲルを!!!」
ストライクの横に安置されていたもう一機のGシリーズ『GAT-X303イージス』その機体が起き上がり、近くに転がっていたジンの重突撃機銃をストライクに向けて撃ったのだ。
「くっ、今の攻撃でストライクの姿勢が崩れて!」
姿勢を崩したストライクにイージスが更なる追撃を仕掛ようとしたその瞬間。
それは現れた。
『Kyurrrrrrrrrrr』
つんざくような、鳥の鳴き声と金属音が混ざったような音を立てて、それはのたうち回る。
「なんだこれは!」
ケーブルブレード、かつてメンデルを滅ぼしたモビルアーマーに搭載されていた武装が目の前に現れたのだ。
次回、ヘリオポリス襲撃②
えぇはい、言い訳させてください。
最初からカガリと面識ある設定にした結果キラの初期スペックがとんでもないことになってしまいました。
もう姉であるカガリから機密情報とかバリバリ聞かされてるので完全にSEED終了後キラくらいのスペックになってます。
はい、やり過ぎました。
【ひそひそ話】
キラが「これを使うときが来た」って言って使おうとしてたのは出所不明のなんかヤバいプログラム入り端末だよ。
ジンが来ちゃって余裕なくなったからそれぶちこんでストライクぶっ壊す作戦が台無しになったよ。
なんかその内また出てくるらしいよ。