絶対☆領域~もしもの御話集~ 【凍結】   作:-Msk-

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今回のタグは―――
「あっさりとしたバトルシーン」「アザゼル☆マジックはもはやチート」「日常シーン薄っぺら」
―――です。

AAのアニメ化ですね。
流行に乗ってみました。

随分更新できなくて申し訳ありませんでした。


緋弾のアリア

 はぁ………なんでこんなことになったんだろうなぁ………

 

 俺はただお金をおろしに来ただけなんだ。お金をおろしに来ただけなんだよ!! それなのに………それなのに―――

 

 

「テメェら動くんじゃねぇぞ!! 動いたら命の保証はしねぇぞ!!」

 

 

 ―――なんで銀行強盗とブッキングしちゃんだよ!! 自分の運の悪さに驚いたわ!!

 

 もうすこしで新学期が始まるからと思って、お金をおろして新しい万年筆でも買おうと思ったのに!! なんで万年筆かって? いやだなぁ、なんとなくに決まってるじゃん。使いたいお年頃になったんだよ。

 

 この銀行を占拠してる強盗犯は、日本では珍しいことに銃を持っている。いや………もう珍しくないのか。今の時代、いくらでも銃は手に入るか。その理由というのはまたあとだ。今はここからどう気づかれずに抜け出すか。

 

 強盗犯は驚くことに一人だ。普通は二、三人ぐらいで強盗すると思うんだけど………もしかして俺の偏見? 

 

 ここで強盗犯を気絶させるのは簡単だ。でも事情聴取って面倒だよなぁ………まぁそのうち警察か武偵が助けに来てくれるでしょ。

 

 武偵―――それは凶悪化する犯罪に対抗するために新設された国家資格のことだ。まぁ『武装探偵』の略なんだけど。武偵免許を持つ者は武装を許可されて、逮捕権を有するなど警察に準ずる活動が可能になる。でも、あくまでも武偵は金で動き、金さえ貰えれば武偵法の許す限りどんな仕事でも請け負う少し危ない『何でも屋』みたいなもの。。

 

 最近は物騒(笑)になってきたから、警察だけでは手が足りないらしい。だから武偵なんて制度をつくったんだよね。でも侮るでなかれ、武偵はかなりの力量がある。超能力使いもいるみたいだし。

 

 ………それにしても遅くない? もう強盗犯が来てから三〇分は経ったよ? それなのに警察はおろか武偵もこないなんて………もしかして見捨てられた? いやいやいや、それは無いだろう。ていうかあってたまるか。もし見捨てられたとしたら「どうなってやがる日本!!」って思いっきり叫んでやる。

 

 行動を起こすか? でも面倒事になるのはいやだ。だけどこれ以上ここに閉じ込められても特はない………しょうがない。行動を起こそう。

 

 ゆらりと立ち上がって、真っ直ぐ犯人に向かって歩いて行く。

 

 

「と、止まれ!! 止まらねぇと撃つぞ!!」

 

 

 強盗犯はそう言うけど、手が触れていてとても銃を撃てるとは思えない。たとえ撃たれたとしても余裕でかわせるから問題ない。

 

 一気に駆け出し、右腕を引き絞る。そして右ストレートを強盗犯の腹を目がけて撃ち込む。

 

 

「ぐえっ!?」

 

 

 呻くのと同時に、手から銃がこぼれ落ちたので左手でキャッチする。そしてすぐにマガジンをリリースさせて床に落とす。床に落ちたマガジンを遠くに軽く蹴り飛ばしてフィニッシュだ。

 

 ―――パチパチパチパチパチパチパチ

 

 誰かが拍手をしたと思ったら、次々に他の人まで拍手をし始めた。この拍手は感謝の拍手として受け取っていいのかな? 

 

 とりあえず強盗犯を気絶させたから亀甲縛りにして………よし。それじゃあ文房具屋に行くか。

 

 そう意気込んで振り向いた時だった。

 

 

「―――武偵です!! 強盗罪及び鉄砲刀剣類所持等取締法違反の現行犯で逮捕させてもらいます!!」

 

 

 少女がそう言いながら突入してきた。でももう終わってるからね。

 

 突入してきた武偵の少女は亀甲縛りにされている犯人を見て、「あっ」と声をもらした。そしてすぐに犯人に近づき、手錠をかけた。それから耳に手を当てて二言三言喋ったと思ったら、警察が銀行内になだれ込んできた。どうやら警察と通信していたらしい。

 

 

「あ、あのー………」

 

 

 俺も警察に保護されて事情聴取されるのかな―――って考えていたら、武偵の少女に話しかけられてしまった。

 

 

「なに?」

「一緒に来てもらっていいですか?」

「なんで?」

「人質になっていた人に聞いたんですけど、強盗犯を殴って気絶させたんですよね?」

「あー………」

 

 

 バレちゃったか………ていうかバレないほうがおかしいか。もしかして過剰防衛? いやいや、それはないでしょ。

 

 

「来てくれますよね?」

「………はい」

 

 

 そんなにイイ笑顔で言わなくてもいいんじゃないかなぁ………

 

 

 

†††

 

 

 

 ど、どうしよう………またサーゼクスに面倒なことされたんだけど………

 

 来年度、東京武偵高校に転入することになった。

 

 銀行強盗を腹パンで気絶させたあとに、俺は東京武偵高校の先生と話をした。そのとき一番初めに言われたのが、「武偵になるつもりはないか?」だった。

 

 もちろん断った。武偵になるつもりなんて全くないし、一般校とは言いづらいけど一般校である駒王学園に通っている今でさえかなりハードな日常を過ごしている。それなのに武偵校? 無理だろ。

 

 丁重に断って、部屋から出て行こうとした時だった。部屋に新たに一人入ってきたのだ。そうだよ………サーゼクスだよ。

 

 ここまでは俺をわざわざ迎えに来たのかな―――って思ったんだけど………違った。サーゼクスは駒王学園の理事長なんだ。あとは分かるだろ?

 

 転入の申し込みだとよクソッタレ!!

 

 理事長自らが転入させに来たのなら仕方ない。さぁ、転入手続を始めよう!! ―――と、東京武偵高校の先生はノリノリで転入手続の書類を取り出していた。

 

 もちろんサーゼクスに文句を言った。でもすぐに念話で、「偵察をしてきてくれないかな? 報酬は豪華客船で世界一周でどうだい?」と言われた。もうソッコーで黙ったね。報酬の豪華客船世界一周はとても魅力的だし。お金があっても予約が取れないからね。今から黒歌と一緒に行くのが楽しみだ。

 

 来年、俺は三年になる。でも東京武偵高校では、二年に転入する。理由は慣らすためだそうだ。三年に転入したりしたら、一年しか東京武偵高校にいないことになる。それに三年の依頼は難易度が高く、一般校から転入する俺にはまず無理だろうとの判断らしい。ナメてくれる………

 

 一年に転入でもいいはず―――そう言われたときはそれだけはやめてくれって言った。転入試験の結果を見てからにしてくれと頼んだ。

 

 俺が転入する学科は、強襲科(アサルト)だ。理由は十二ある通常の学科のなかで、一番向いてると思ったから。あぁ、実技試験の結果はSだったよ。Sランク。実技試験の内容は………えっと………あぁ、的当てと教師リンチだったね。簡単すぎて眠くなったよ。

 

 装備に関してはアザゼルが魔改造したものをもらった。銃は二丁だね。

 

 一丁は、『ルガーP08』というドイツ製の自動拳銃をモチーフにしたものだ。支点で二つに曲がって伸縮する独特なトグルアクション機構の動きが堪らなくイカしていた。

 

 もう一丁は、『モーゼルC96』というドイツ帝国で開発された自動式拳銃もモチーフにしたものだ。装備品である木製のストックの中に銃自体をしまい込めるという夢仕様だ。

 

 ちなみにこの木製ストックは、ルガーにも併用できる優れものだ。一丁しか持っていないと見せかけて、本当は二丁ある………最高にカッコつけやすいね。

 

 銃弾に関しては、マガジン内に描いてある転移魔法陣が常にグリゴリの弾薬庫から補給してくれるから撃ちっぱなしにしても問題ない。銃弾の撃ちっぱなしによる銃の故障もない。すごいね、アザゼル☆マジック。

 

 モードは、セミオート、フルオート、三点バーストの三つがある。ボタン一つで切り替えできるので、状況に応じてすぐに変更できる。

 

 ナイフは『M9バイオネット』のブラックブレードだ。形状も気に入ったし、グリップの長さ、握った感じがとてもしっくりきた。

 

 さて、武器の確認も終わったし現実逃避を止めようか。

 

 俺の他にももう一人転入生がいたんだ。綺麗な赤ピンク色の髪の幼女―――高校生とは思えない体型だ。まだ白音の方が育っている。名前はアリア。

 

 その幼女が自己紹介し終わったと思ったら、遅れて教室に入ってきた男の隣りに座りたいと言いだした。ここまではいい。そのあと、金髪ツインテールのロリ巨乳さんが「ラブラブだね☆」ってはやし立てた。それに反応したアリアが銃を抜き出して天井に向けて引き金を引いた。

 

 まぁ………跳弾したよね。あっちこっちに跳弾して、最終的には俺に向かって来た。仕方ないからナイフを振り回して全部切り落としたけど………危ない。もう少し考えて撃ってもらいたいものだ。

 

 

「じゃ、じゃああなたも自己紹介を」

 

 

 ハッとして先生が言った。

 

 

「一般校から転入して来た佐藤一です。選択学科は強襲科(アサルト)でランクはSで。よろしく」

「「「「「―――ッ!?」」」」」

 

 

 なんでそんなに驚いているんだ? 別にありきたりで普通の自己紹介だったのに。趣味か? 俺の趣味を聞きたいのか?

 

 

「じゃあ佐藤くんは窓際の一番後ろの席に座ってね」

「りょーかいです」

 

 

 はぁ………これから地獄が始まるのかぁ………やだなぁ……… 

 

 

 

†††

 

 

 

 放課後になったので、今日からお世話になる寮に来た。先生が言うには、遠山キンジって野郎と同室らしいけど………まぁなんとかなるだろう。―――と、思った俺がバカだった。

 

 どうやらすでに先客がいたようなんだけど………アリアなんだよね。何やらキンジと言い合っている。スーツケースを持っていることから察するに………お泊りか? 早いなぁ………会ってまだ一日なのにもうデキたのか。

 

 アリアがスーツケースを持って部屋に入っていったのを確認して動き出す。先生に指定された部屋は………間違いない。アリアが入っていった部屋と同じだ。

 

 デキている二人には悪いけど、野宿はいやだから扉を開けて中に入る。リビングまでスーツケースを転がしながら歩いて行く。

 

 リビングではソファに座ったアリアがキンジに何やら注文していた。

 

 

「アンタ………私と一緒に転入してきた奴ね」

「お前は………佐藤?」

 

 

 アリアに指刺されながら言われ、キンジには目を見開いて驚かれながら言われた。

  

 二人とも俺のことを知らない………というよりも興味がないのか? 精々、『一般校から転入してきた奴』程度の認識なんだろう。別にいいけど。むしろそのまま固定してもらえるとありがたい。

 

 

「今日から俺もここに住むからよろしく」

「あ、あぁ………」

 

 

 キンジはどもりながら返事をした。

 

 キンジとアリアの邪魔をしたくないので、ベットルームに向かう。ベットルームに入ったらスーツケースと広げ、中から着替えを取り出し、クローゼットにしまう。

 

 念のため武器は全て身に着けておこう。アリアがいつ暴走して銃弾をばら撒くか分からないからね。

 

 ベットルームからリビングに戻ると、誰もいなかった。シャワールームの方から音が聞こえるに………お盛んだなぁ………そして邪魔して悪いと心の底から思うよ。

 

 仕方がなので、ソファに座ってナイフを取り出す。そしてくるくるともてあそぶ。

 

 ―――ゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾ!!

 

 なんだ………? この結衣さんに似た『病み』の気配は………玄関の方からか。

 

 ソファから立ち上がり、ナイフを構えたまま玄関へ向かう。するとそこでは、キンジと巫女装束を身に纏った黒髪ロングの美少女が会話をしていた。どうやらキンジが追い込まれているようだった。

 

 ていうかキンジ、シャワー室でアリアとナニかしてたんじゃなかったんだね。

 

 

「キンジ、そこの巫女さんは?」

「あ、あぁ!! 紹介するよ。白雪だ」

 

 

 ふむふむ………ナイスタイミングで来てくれた―――そうアイコンタクトしてきてるんだね。わかるよキンジ。俺もいままで何度も経験したからね。だから助けてあげようじゃないか。

 

 

「どうも白雪さん。佐藤一です。今日から東京武偵高校にお世話になります。キンジと同室の者です」

「は、は、ははは初めまして!! し、し、ししし白雪です!!」

 

 

 どうやら白雪は男にあまり免疫が無いと見た。そこから考えるに、キンジとは幼い頃から見知った仲―――所詮、幼馴染なんだろう。

 

 

「それでどうしたのキンジ? なんかすごい『病み』の気配がしたと思ったんだけど」

「き、気のせいじゃないか?」

「そう………? ならいいけど。あぁ、キンジ。どのクローゼットを使っていいかわからないんだけど………」

「すまん、すぐ行くから先に行っててくれ」

「りょーかい」

 

 

 嘘だけどね。使ってないクローゼットなんて一発でわかったけどね。こうやっていえば遠慮深い日本人だと早く話を切りあげてくれる―――はず。

 

 キンジに背を向けてリビングへ向かう。そしてソファに座って、飲みかけの紅茶を飲む。案の定キンジは、数十秒後リビングにやってきた。

 

 

「助かったよ………あのままだったらどうなってかわからなかった」

「いいよ。俺も経験あるし」

「そ、そうか………」

 

 

 お互い苦労してのだよ、キンジ。

 

 

 

†††

 

 

 

 一夜が明けた。朝っぱらからアリアがぎゃーぎゃーわめき散らしていてたまったもんじゃなかった。朝食を出したら黙ったけど。

 

 日中は相変らずクソつまらないお勉強をしていた。―――と、言っても全部寝たけどね。偶に銃弾やチョークが飛んできたような気がしたけど、全部ナイフで切り裂いた―――はず。無意識って怖いよね、覚えていないんだから。 

 

 現在、五時限目だ。強襲科(アサルト)で絶賛射撃訓練(シューティング)中だ。武偵は基本的に銃を使うからね。ナイフをメインに使うのは俺ぐらいじゃないか? 刃物を使うと言っても基本的には刀とか剣とかだろうし。

 

 ………少し飽きてきた。ただ狙いを定めて引き金を引くだけだからね。ただ注意しないといけないのは、いつものクセが出ないようにすることだ。いつものクセとは殺すことだ。

 

 もともと人外を相手にしてきたんだ。人外との戦闘は、基本的に殺るか殺られるか。だから絶対に止めを刺す。武偵になった今、それをやると武偵法に触れるからね。武偵は人を殺しちゃダメなんだって。その他にも、武偵憲章という面倒なものもある。

 

 武偵憲章とは、国際武偵連盟(IADA)が発足時に作成した『武偵の心得』で、全部で十条ある。

 

 一、仲間を信じ、仲間を助けよ。

 

 二、依頼人との契約は絶対守れ。

 

 三、強くあれ。但し、その前に正しくあれ。

 

 四、武偵は自立せよ。要請なき手出しは無用の事。

 

 五、行動に疾くあれ。先手必勝を旨とすべし。

 

 六、自ら考え、自ら行動せよ。

 

 七、悲観論で備え、楽観論で行動せよ。

 

 八、任務は、その裏の裏まで完遂すべし。

 

 九、世界に雄飛せよ。人種、国籍の別なく共闘すべし。

 

 十、諦めるな、武偵は決して諦めるな。

 

 ―――こんな風に、いかにも政府が好きそうなようにできている。

 

 実に面倒だ。ここまで制約が多いと仕事にも支障が出ると思う。まぁ守らなくてもいいんだけどね。バレなきゃいいのだよ。バレなきゃ。バレなきゃ犯罪じゃないのだよ。

 

 何を言いたいかと言うと、頭と心臓、重要臓器付近を狙ってはいけないという事だ。理由は簡単、死ぬからだ。狙えるのは、手、腕、肩、足、脚、太股―――ぐらいかな? これが結構難しい。

 

 胴体は動いたとしても的が大きいので狙いはつけやすい。でも、腕や脚は動体よりも細い。狙える面積が少ないんだ。困っちゃうよ………ナイフだったら簡単なんだけどなぁ………

 

 それにしてもルガーはいいね。木製ストックをつけて撃ってるんだけど、支点で二つに曲がって伸縮する独特なトグルアクション機構の動きは何度見ても飽きない。

 

 そして何より素晴らしいのが、リロードをする必要がないことだ。基本的に剣や槍で戦ってきたから、リロードという時間ロスはとてつもなく危うい時間になる。でもそれがない………素晴らしいじゃないの。

 

 

「すごいね佐藤くん」

「えーっと………誰?」

 

 

 いきなり声をかけてきたイケメンくん。でも俺はまったく知ら―――待て。この気は教室で感じ取ったことがあるぞ。

 

 

「あはは………クラスメイトの不知火(しらぬい)(りょう)だよ。よろしくね」

「よろしく、亮。あぁ、俺のことは一でいいから。苗字で呼ばれ慣れてないからさ」

「わかったよ。一くん」

 

 

 このイケメン………木場と同じタイプだね? 優男タイプだ。イケメンでもてるんだけど、彼女はつくらないで男との友情を大切にするタイプ。非リア充全員を敵に回すタイプだ。

 

 

「それでどうしたの?」

「一般校から昨日転入してきたのにアレだけの結果が出るなんてすごいよ」

「そうなの?」

「うん。正直、僕たちのメンツがね」

 

 

 ということは、俺は結構な腕前ということか。

 

 

「そうか。まぁ助太刀が欲しかったら呼んでくれてもいいよ。報酬次第だけどね」

「あはは………」

 

 

 愛想笑いをする亮。

 

 でも俺が言っていることは本当だ。報酬次第ではペンタゴンの襲撃だってしてみせる。各国の核を全て消滅させてみせる。全ては報酬次第だ。………もちろん女の子限定だからね。そうしないと報酬がもらえないし。

 

 

 

†††

 

 

 

 やってしまった………

 

 どうやらガレージで一夜を過ごしてしまった。アザゼルから報酬としてもらったバイク―――『HsSSV-01ドラゴンライダー』の整備をしていたらいつの間にか寝てしまったようだ。

 

 設計段階で求められたスペックが、『1000km/hオーバーでロシアの荒れ地を自由に走行でき、300km/hオーバーで傾斜70°の崖を走破できるものを』というとんでもない条件なんだ。開発時の一番の問題は、『黙っていても大空へ飛んでしまうこの怪物を、どうやって地上に留めておくか』だったらしい。

 

 その速度や安定性を発揮するために、ボディにはジェットエンジンやリニア機関、翼のように伸びるアーム部には補助動力と強制的なステアリングを兼ねたブースターを搭載。他にも車体制御用ジャイロ、完全電子制御の耐衝撃サスペンション群、空力的にマシンを地面に保持させるための後部補助ウィングなど、『最速のマシンの動きを地べたで維持させるために必要な機構』が全て揃えられてる。

 

 さすがアザゼル。メカをつくらせたら右に出るものはいない。

 

 最高速度は1050km/h。要求スペック通り、荒れ地の上であっても問題なく最高速に到達可能だ。幅20m以上の河川を飛び越える事すら可能で、一応最高速でコケてもケガ一つ無いよう設計されているらしい。まぁそれは無いだろう。全身複雑骨折はするだろうね。

 

 搭載された機構と徹底的な電子制御でバランスを維持し、超高速の中であっても片手持ちで扱えるものであれば、ガトリング砲や滑腔砲のような車載兵器レベルの銃火器を扱う事ができる。

 

 それと本体に内蔵火器は無い。でも補助ブースターから燃料を放出する機構を利用し、左右で一回ずつに限るが摂氏3500℃の大爆発を起こす事も可能だ。それと最新スペックの塊なんだけど、ハッキング対策の為にあえて精巧なアナログ鍵を採用している。万が一ハッキングされたらたまったもんじゃないからね。

 

 腕時計を確認すると………八時ジャストぉ!? 危なかった………今、起きてなかったら確実に間に合わなかった………

 

 ガレージの壁にぶら下げられている制服に着替えて、ヘルメットをかぶる。そしてバイクに跨り、キーを差し込む。キーを回してエンジンを点火し、スロットルを全開にする。ガレージのシャッターは勝手にしまるから心配ないのさ。

 

 はっはっは!! 凄まじいな!! 最高時速1050km/hは伊達じゃない!! 七時五八分発のバスがもう見えてきたぞ!! ―――って、なんか………ボロくないか? いや………襲われてるのか。

 

 放っておいてもいいんだけどなぁ………バスだからなぁ………きっと女の子もいるだろうなぁ………絶対領域………よし、助けるか。

 

 とりあえず併走している車を壊す。そうすればバスへの攻撃が止むし。

 

 スロットルを緩め、速度を落とす。そして懐からルガーを取り出し、車に積まれている銃器を狙い撃つ。トリガーを一度だけ引く。ルガーから放たれた銃弾は、見事に車に積まれている銃を壊した。一撃必殺(ワンショット・キル)成功だ。

 

 これでもう障害は無い―――と、思ったら後ろからもう二台銃を詰んだ車がやってきた。すぐにスロットルの近くについている赤いボタンを押す。すると補助ブースターから燃料が放出された。それと同時に、後方で大爆発が起きる。どうやら成功したようだね。

 

 バスと並走し、ここだ!! ―――と、いうタイミングでバスに飛び乗る。バイクはそのまま自動操縦でガレージへ向かって行かせる。

 

 ヘルメットを外しながらバスを運転している人に聞く。 

 

 

「状況は?」

「運転手、その他武偵が数名銃弾をかすめて負傷。致命傷を負った奴はいねぇ。ただこのバスには減速すると爆発する爆弾が仕掛けられてる!!」

「また面倒なことを………」

 

 

 それを聞いていたらバスに乗らなかったのに!! まぁ乗ってしまったものはしょうがない。最後まで付き合うか。

 

 

「爆弾があるとしたら車外だね」

「なんでだ?」

「武偵が乗っているのにわざわざバスの中に爆弾を仕掛けるか? 簡単に解除されるだろ? だとしたら発見も解除もされにくい車外に設置する」

「なるほどな!!」

 

 

 しかしこの運転している少年、なかなかいい奴じゃないか。自分が怪我をしているのにみんなのためにバスを運転するなんて。

 

 

「………車の底だね。しかも一番後ろ」

「なんでわかったんだ?」

「カーブミラーに反射したのが見えた」

「おいおい………冗談だろ………」

 

 

 嘘に決まってるだろ。………やろうと思えばできるけど。本当は気をバスに流し込んで不自然なところを見つけただけだよ。

 

 これから爆弾を解除しに、バスの外に出ようとした時だった。アリアとキンジの気が感じ取れる黒い車がバスと並走していた。そしてドアが開いたと思ったら、アリアとキンジがバスに乗り移ってきた。

 

 

「一!? なんでお前がここにいるんだ!?」

「キンジ………俺がここにいて都合が悪いの?」

「いや、そういうわけじゃ………」

 

 

 酷いじゃないか。折角やる気出したのにこれじゃあやる気なくすよ。

 

 もうアリアとキンジが来たし任せてもいいかな? なんせ二人は俺よりも経験あるわけだし。対して俺は数日前に一般校から転入してきた若輩者。あなたが任せるならどちら? もちろん俺よりも経験があるアリアとキンジだろう。

 

 

「アリア、爆弾はバスの後方―――車体の底にある。かなりの容量だ。解体を頼む」

「情報提供感謝するわ。行くわよキンジ」

「わっ!? ま、待てよ!!」

 

 

 アリアはキンジを引き連れてバスの後方まで歩いて行った。

 

 それを見送った俺は、近くに知り合いがいないかバス内を見回す。するとすぐに知り合いは見つかった。ていうか、武偵の知り合いなんて片手でも数えられる程度しかいない。アリアでしょ、キンジでしょ、それに―――

 

 

「―――亮」

「一くん………」

 

 

 周りでキャーキャー騒いでいる少女たちよ、俺と亮は別に薔薇の花を咲かせてはいないのだよ。それにキャーキャー騒ぐ元気があったんだね。今まで静かだったからわからなかったよ。

 

 アリアとキンジが爆弾を解除している間にも襲撃されるかもしれない。なので、一番後ろの座席に移動していつでも迎撃できるように構える。

 

 案の定、新たに車がやってきた。最初に壊した車と同じように銃を積んでいる。すぐにルガーと取り出し、車のタイヤに向かって撃つ。ルガーから放たれた銃弾は、綺麗に車のタイヤを撃ちぬいた。タイヤがパンクしたので、車はくるくると回りながら壁にぶつかって爆発した。

 

 それと同時にアリアとキンジが爆弾の解除が終わった。まぁこれにて一件落着かな?

 

 

 

†††

 

 

 

 バスジャックから数日経った。ここ数日は特に何もなく、平和に日々を過ごさせてもらっている。ただ、そんな日々を壊そうとするやつが現れた。―――サーゼクスだ。

 

 サーゼクスがロンドンに行くからその護衛として依頼を俺に出したんだ。武偵である俺にね。

 

 今朝、応対室に呼び出されたんだ。特になにもやらかしてないのにどうしたんだろう、と思った。でも応対室に入ってサーゼクスがいた時には顔が引きつったね。完全に面倒事の予感しかしなかったんだもん。

 

 本日、午後七時発のロンドンのヒースロー空港行きの飛行機に乗るらしい。乗る飛行機はAMA600便のボーイング737-350という、セレブ御用達の機体だ。

 

 現在時刻は午後七時三分。既に飛行機は離陸している。

 

 

「サーゼクス………なんでわざわざ俺に護衛をさせたの? サーゼクスにはグレイフィアさんがいるでしょ?」

「グレイフィアは先にミリキャスとロンドンに行ったんだよ。まぁ行かせた―――という表現の方が正しいかな?」

「わざわざ面倒なことをしてくれたね………」

「まぁまぁ。―――ここからは真剣な話なんだけど………武偵校はどうだい?」

「あぁ、中間報告ね。そうだね―――」

 

 

 報告した内容は―――

 

 強襲科(アサルト)のランクSは中級悪魔と互角に戦える。尚、魔力無使用が前提。魔力を使用をすれば悪魔が勝つ。肉弾戦が得意な悪魔なら魔力が使用できなくても勝てるだろう。

 

 殺しはご法度のため、そこを突けば簡単に切り抜けることができる。

 

 扱う武器は様々だが、基本的にはハンドガンとナイフが多い。

 

 ―――とりあえずはこれだけだ。

 

 俺もまだ転入して数日だから、そこまで詳しく知らない。それに、変に動き回ると教師共が出てきて面倒なことになりそうだからね。

 

 

「―――まぁこんな感じ」

「ふむ、意外に戦闘能力はあるわけだね。それでいて金さえもらえれば何でも依頼をこなす………まるでキミみたいだね」

「言うな。ていうか、俺は金って指定したわけじゃないよ。確かに基本的には金だったけどさ………」

 

 

 あの頃は金しか思い浮かばなかっただけだよ。最近は旅行系が多いでしょ。黒歌とゆったりする時間がほしいからね。駒王にいると面倒事が舞い込んできてゆっくりできないからさ。

 

 

「それにしても荒れてるね」

「そのようだね。キミが珍しいことをしてるからじゃないか?」

「お前がそうさせたんだろ!!」

 

 

 飛行機の窓から見えるのは雷。雷特有のゴロゴロという音を立てながらピカピカ光っている。

 

 ―――と、ここでアナウンスが入った。

 

 

『機長より、皆さまに申し上げます。当機はただいま、雷雲を迂回して飛行しています。雷はしばらく続くと思われますが、安全運航に影響はございません』

 

 

 しばらく続くのか………少し面倒なことになりそうだね。雷鳴に紛れて襲撃―――とかね。その程度なら対処のしようはある。でも飛行機をどうこうされると対処が少し難しくなる。

 

 そんなことを考えているときだった。

 

 ―――バン!! バン!!

 

 二度の銃声が鳴り響いた。そしてポーンというチャイムの後にアナウンスが流れた。

 

 

『アテンションプリーズ。で、やがります。当機はただいま、ハイジャックされました。で、やがります』

 

 

 はっはっは―――はぁ………案の定、面倒事が舞い込んできやがった。

 

 

「ほらほら、武偵の出番だよ」

「この野郎………」

 

 

 なにイイ顔してるんだまったく。でもハイジャックされたなら仕方ない。一肌脱ぐしかないだろ。今現在、俺は武偵なんだから。

 

 サーゼクスがクツクツと笑いながら言う。

 

 

「まぁ楽しんでくるといいよ」

「りょーかい。迅速に楽しんで解決してくるよ」

 

 

 俺の返事にイイ顔で笑うサーゼクス。どうやらサーゼクスはこのハイジャックを一種の娯楽と思っているらしい。そういう顔してるもん。

 

 懐からルガーを取り出し、モーゼルの入った木製ストックを取り付ける。なかなかの重さだけど、それがまたしっくりくる。もう相棒だね、コイツらは。

 

 

「驚くほどしっくりくるね………」

「褒め言葉として受け取っておくよ」

 

 

 苦笑いをしながら言い返す。

 

 気で身体強化をしてから廊下へつながる扉を開ける。廊下は驚くほど静かだった。その廊下を走り抜け、一般人より大きい気が三つ集まっている、バーに向かう。

 

 バーへの扉の前には、アリアとキンジがいた。

 

 

「アリアにキンジ………なんでここにいるの?」

「「一!? なんでここに!?」」

「いや、俺が訊いてるんだけど………」

 

 

 質問を質問で返すのはよくないと思うんだ。状況がこれっぽっちも進まないから。

 

 

「俺は金持ちの護衛だよ。お前たちは?」

「俺は武偵殺しを追ってきたんだ」

 

 

 武偵殺し………? なんだその龍殺し(ドラゴン・スレイヤー)みたいなのは。武偵に致命傷を与える武器の名前かなにか? 

 

 

「私は帰国しようとしてたのよ。そうしたらバカキンジが………」

 

 

 なるほど………親御さんへの紹介か………少し気が早いと思うのは気のせいかな? 

 

 

「キンジ、武偵殺しってこの機体をハイジャックした奴のこと?」

「あぁ、そうだ」

「オーケーオーケー。ちょっとシメてくる」

「あ―――おい!! 待て!!」

 

 

 キンジの声を無視してバーへ突入する。

 

 まず目に飛び込んできたのは、一人の女性がワイングラス片手にバーカウンターに座っている姿だ。そしてこの女性………理子だな。

 

 どこかで感じ取ったことのある気だと思った。深く探ると、いつも教室で騒いで目立っている理子だった。ということは、理子が武偵殺しなのか。

 

 

「理子、何してるの?」

「………なんでわかったの?」

 

 

 また質問を質問で返された………

 

 

「変装していてもその人の骨格、気配は変えることは難しいからね」

「―――ッ!! そっか………ありがとね、一」

「なにが?」

「なんでもなーい♪」

 

 

 こういうやり取りってイラっとすると思ったんだけど、そこまでイラついてない。相手が理子だからなのかな? 理子特有の空気に呑まれたのかな? わかんないなぁ………

 

 

「この機体をハイジャックしたのは理子なの?」

「そうだよ。本当はキンジとアリアに来てもらいたかったんだけど」

「二人ならもう来てるよ。ほら―――」

 

 

 理子の視線が俺の後ろにいるであろうアリアとキンジを捉えた。

 

 

「Bonsoir―――キンジ。そして―――オルメス」

 

 

 オルメス………? どこかで聞いたような気がする………どこだっけ………まぁいいや。

 

 アリアとキンジが来てからは、俺を空気にしてどんどん話が進んでいった。

 

 理子の名前―――本名は、理子・峰・リュパン・四世というらしい。なんでも、フランスの大怪盗―――アリュセーヌ・リュパンのひ孫とのことだ。

 

 ここでやっとアリアと理子の関係がつながった。理子がアリアを険しい目で見ていた理由もわかった。アリアはシャーロック・ホームズのひ孫なんだ。オルメスの意味がやっとわかったよ。

 

 理子が武偵殺しという遊びをし始めたのは、理子が理子だからだそうだ。家の人間には「四世さま」と呼ばれていた。それがイヤだったのだ。母さんからもらった「理子」と言う名で呼んでほしかったのだ。

 

 自分は数字か? ただの遺伝子か!? 私は理子だ!! ―――とのことだ。

 

 爺さんを越えないと理子とは呼んでもらえない………だからイ・ウーに入って力を手に入れたそうだ。

 

 イ・ウー………サーゼクスからの情報では、偉人の子孫が集まる組織らしい。トップはあのシャーロック・ホームズで、ヴラド・ツェペシュを名乗る馬鹿もいるようだ。

 

 ヴラド・ツェペシュはとっくの昔に死んでいる。そうじゃなかったツェペシュのトップがヴァレリーになるなんてことはない。ていうか吸血鬼なんだから、そんなホイホイ外に出れるとでも? 太陽光を浴びて灰になるわ。

 

 理子が言うには、武偵殺しはプロローグを兼ねたお遊びらしい。本命はオルメス―――アリアだ。

 

 一〇〇年前、ひいお爺さん同士の戦いは引き分けに終わった。つまりオルメス四世を倒せば理子はひいお爺さんを越える―――そういう考え方を理子はしていた。

 

 キンジにも役割はあるようだ。それはオルメスのパートナー。

 

 オルメスの一族にはパートナーが必要らしい。初代オルメスにも優秀なパートナーがいた。条件を同じにするためにキンジをアリアにくっつけたらしい。

 

 そのために、キンジのチャリジャック、バスジャックを起こしたらしい。それでいつの間に部屋の時計がずらされていた。理子………恐ろしい子!!

 

 理子がキンジの兄の話をし始めたんだけど………キンジが異様に反応していた。キンジに兄の話はタブーなんだね………覚えておこう。

 

 それから『理子対アリア&キンジ』が始まったんだけど………完全に俺は空気だ。仕方ないので、バーカウンターの下に隠れてジュースをストローで啜ってる。カクテル用なのかな? いろいろなジュースが置いてあってなかなか楽しいよ。

 

 ―――バン!! パリーン!!

 

 一際大きく銃声が聞こえたと思ったら、ガラスが割れるような音がした。そして―――

 

 

「―――濡れた………しかもこれ酒じゃん………」

 

 

 アルコール臭くてたまったもんじゃない!! 

 

 すぐに制服とワイシャツを脱ぐ。このまま濡れた制服を着てたら風邪ひく。スラックスは濡れてないから脱がないけど。

 

 防弾制服を脱いだから銃で撃たれたら致命傷になると思うでしょ? でも俺は大丈夫。気で身体強化してるから銃弾程度なら簡単に防げる。

 

 そろそろ俺も参戦しよう。このままずっと待機してても仕方がない。サーゼクスにも「遅かったね(笑)」ってドヤ顔されるだろうし。

 

 カウンターを飛び越えて、状況を確認する。理子が嗤っていて、アリアがキンジに抱えられている―――ということは、理子が勝ったんだね。じゃあ―――

 

 

「逮捕するね、理子」

「えっ………? なんで上半身裸なの?」

「お前たちが暴れたからだろ!! カウンターを見ろ!! ウォッカにウィスキー、リキュール、ブランデー………その他もろもろの高級酒が木端微塵じゃないか!! 理子とアリアが暴れたからだろ!! おかげで下にいた俺は酒のシャワーを浴びたわ!!」

「あー………なんかゴメン」

 

 

 ゴメンで済むか!! 制服をクリーニングに出さないといけなくなったじゃないか。まぁそんな面倒なことはしないけど。念じて綺麗にするけど。

 

 

「キンジ、アリアを連れて引いて。理子は俺が逮捕するから」

「すまん!!」

 

 

 キンジはアリアを抱き上げると、そのまま俺がきた廊下を走っていった。多分どこかの個室で応急処置をするんだろう。

 

 そんなキンジを追わずに、クツクツと嗤う理子。

 

 

「いーの? 一じゃあ理子には勝てないよ?」

「いや、それはないよ」

「―――あン?」

 

 

 理子の声質が変わった。キュートなロリボイスから、ワイルドなクールボイスへ。あくまでも雰囲気だから。

 

 

「今、俺がなにをしてるかわかる?」

「なにかしてるの?」

「それが答えだよ」

「ぶー………教えてくれたっていーじゃん」

 

 

 そんなふうにかわいく言ってもダメなものはダメなんだから。

 

 理子がかわいく首を傾げながら言う。

 

 

「ヒントちょーだい?」

「んー………その髪の力に少しだけ、ほんの少しだけ似てるかもね」

「まさか一も―――」

「別に俺の血は関係ないよ」

「―――そう」

 

 

 そんなにがっかりしないでもらいたい。思わず口が滑りそうになるから。

 

 

「あらためて逮捕するよ、理子」

「捕まえられるもんなら捕まえてごらーん♪」

 

 

 理子がそう言った瞬間、周囲の陰気を集めて理子にぶつけた。すると理子はペタンと膝をついて床に座り込んだ。女の子座りだね。身体はブルブルと震えていて、両腕を抱き込んでいる。

 

 そんな理子に問答無用で手錠をかける。先に挑発したのは理子だから一切の容赦はしない。理子が絶対領域を展開してたらまた結果は変わっただろうけどね。

 

 

「ほら、捕まえた」

「ひぅ………な、なにしたの?」

「ちょっとね。じゃあ連行するよ」

 

 

 理子を抱き上げたときだった。飛行機の機体が大きく揺れた。だからと言って別に何があるわけじゃないけどね。この程度の揺れで俺がミスをするとでも? ありえないね。今まで大陸を吹き飛ばすよな攻撃を受けてきたんだから。

 

 いやー、それにしてもこのまま理子を逮捕するのは勿体ないね。かわいいし、モデルにはもってこいだと思うんだよね。あぁ、そうだ―――別に俺の依頼はサーゼクスの護衛だけだから理子を捕まえなくてもいいじゃん。

 

 犯人を逃すことはいけないことだけど、俺は理子が武偵殺しなのを知らない。だから逮捕する理由がない―――と、いうことにしよう。

 

 それに理子には何かありそうだ。内に渦巻いてる気が荒ぶっているし。心の底から憎く思う奴がいる―――そんな感じの気が。昔の木場にそっくりだよ。

 

 

「逃がしてほしい?」

「えっ………? 逃がしてくれるの?」

「うん。その変わりに俺のお願いを一つ聞いてくれない?」

「え、えっちなのはダメだよ!!」

 

 

 そういうお願いは全て黒歌にするから問題ない。ていうか黒歌以外にそういうお願いをしたら俺が死ぬ。房中術されながら、からっからになるまで搾り取られる。

 

 

「えっちなのじゃないから安心して」

「な、ならいいけど………」

「交渉成立だね。さ、行くよ」

「ど、どこに?」

「理子を逃がしてくれる人のところ」

 

 

 もちろんサーゼクスのところだけどなにか?

 

 

 

†††

 

 

 

 あー………本当に大変だった。大変だったって言うのは理子の件だ。

 

 サーゼクスの部屋に連れて行って、サーゼクスに保護するように頼んだ。まずは飛行機からの脱出。これに関してはサーゼクスの部屋にあった隠しハッチからできた。

 

 次に潜伏場所だ。これに関しては理子にあてがあるらしく、必要がなかった。問題はその次だ。サーゼクスに理子のことをしつこく聞かれたんだ。

 

 クラスメイトでムードメイカー。取引相手―――とだけ答えておいた。それと、ナニもなかったと。誤解されたら困るからね。この説明でサーゼクスは納得してくれたよ。さすが長いこと俺―――探索者(エクスプローラー)と取引をしただけある。完全に俺の意図をわかってる。

 

 理子が逃げた後、俺たちが乗っていた機体にミサイルのプレゼントがあった。エンジンが四機あるなか二機が爆散してしまったんだ。多分理子が逃走後放つ予定だったものなんだろう。

 

 それから復活したアリアがキンジと一緒に飛行機を操縦して東京武偵校の学園島の人工島に不時着させた。着陸の際の揺れは凄まじかった。「おっ」っていう声がサーゼクスとハモったからね。

 

 ハイジャックがあった翌日にはアリアとキンジに理子について問い詰められた。

 

 一般校から転入して来たばかりの俺がアリアが負けた理子に勝てるとでも? 時間を稼いだだけでも御の字でしょ? ―――って言ったら納得してくれた。

 

 こんな感じでハイジャック事件は終わりを告げた。長かったなぁ………

 

 そして現在―――絶賛厄介事に巻きこまれ中だ。

 

 

「佐藤、お前はデュランダルがいると思うか?」

 

 

 綴先生に尋問を受けてる。

 

 担任の高天原先生に、綴先生宛ての書類を届けるように言われた。自分で行ってもいいものだったらしいけど、俺に色々な先生とコミュニケーションをとってもらいたいらしい。

 

 それで綴先生がいる部屋まで来たんだけど先客がいた。

 

 キンジの通い妻―――白雪だ。白雪は、綴先生と何かを話していた。その何かは知らないけど、あまりかかわりたくないことだってことはわかった。

 

 

「それでどう思うんだ?」

 

 

 綴先生がしつこく訊いてくる。でもその聞き方は正しいとは思えない。

 

 デュランダルは聖剣であって、人じゃない。だから「いると思うか?」という問いにはどう答えればいい? ある―――で、いいのかな?

 

 

「デュランダルはあるんじゃないですか?」

「ほぉ? ()()、ねぇ………なんでそう思うんだ?」

「いやまぁ超能力捜査研究科(SSR)なんて学科があるんですから、あるんじゃないですか?」

「なるほどな………」

 

 

 もちろん建前だ。デュランダル? あぁゼノヴィアさんが持っている聖剣のことでしょ? ―――なんて言えるはずがないし。

 

 

「そうだ佐藤。お前、星枷(ほとぎ)の護衛やれ」

「なんでそんな話になるの!?」

 

 

 突拍子もない提案に驚いたよ。一般校から転入してきた俺に任せる仕事じゃないでしょ。

 

 

「それだったら俺より―――ダクトにいる二人にやらせたらどうですか?」

 

 

 そう言った瞬間だった。頭上のダクトのふたが落ちてきて、そこからアリアが顔を覗かせた。

 

 

「そのボディーガード、私がやるわ!!」

「アリア………キンちゃん!?」

 

 

 アリアは綺麗に俺を無視して、白雪さんは白雪さんでアリアとキンジに注目してる。結局俺は空気になる運命なんだね………

 

 アリアがサムズアップしながら言う。

 

 

「二十四時間体勢、無償で引き受ける!!」

「えぇ!?」

 

 

 そう言いながらダクトから出てくる二人。その二人に綴先生が言った。

 

 

「ほぉ? Sランク武偵がタダで護衛してくれるのか? そりゃ上等だ」

 

 

 綴先生………俺も一応Sランクなんですけど。まぁ俺は一般校から転入したてのSランクだし、そこまで信用できないよね。知ってる。

 

 白雪はアリアの申し出を断った。そりゃそうだろう。白雪とアリアは犬猿の仲なんだから。会っただけで喧嘩を始めるような二人なんだから。

 

 白雪が言うには、「アリアがいっつもいっしょだなんて汚らわしい」そうだ。それを聞いたアリアは、「護衛させないとキンジを撃つわよ」と、脅しをかけた。

 

 そうなれば白雪は断れるはずがない。でもそこは白雪、キンジも一緒―――という条件を出した。そしてキンジと一緒に暮らす―――と。

 

 待ってくれ。それっと俺とも一緒に暮らすってことだよね? おいおい………そうだとしたら綴先生が黙ってないぞ。

 

 

「佐藤、お前も星枷の護衛しろ。キンジと同室だろ? ちょうどいいだろ」

 

 

 綴先生………そう言うと思ったよ。ははは………

 

 

 

†††

 

 

 

 白雪の護衛は始まったのはいいけど、それはもう大変だった。

 

 まず始めに、アリアによって部屋の要塞化された。トラップが設置されるされる。あっちこっちにトラップトラップトラップだよ。

 

 食事は白雪がつくってくれるんだけど、アリアだけご飯のみという拷問を受けていた。

 

 そして現在、俺はアリア、キンジ、白雪からデュランダルについて聞かれていた。

 

 

「面倒なのとあまりホイホイ教えられるものじゃないから一回だけしか言わない。よく聞けよ」

「わかったわ」

 

 

 アリアが返事をする。キンジと白雪も黙って頷いた。

 

 

「まずデュランダルが剣―――聖剣だってことはオーケー?」

「えぇ、それは知ってるわ」

「なら話は早い。今巷で騒がれてるデュランダルはデュランダルの名を騙った偽物だ。以上」

「それじゃあ結局どういう奴なのかわからないでしょ!!」

 

 

 奴って………デュランダルは人じゃなくて聖剣だって教えてあげたじゃないか。確かに持ち主は教えてないけど、それでもアリアたち武偵じゃわからない情報を教えたんだ。()()()()()という重要な情報を。

 

 デュランダル―――いや、エクス・デュランダルを持っているのはゼノヴィアさんだ。ゼノヴィアさんは駒王学園でイッセーの貞操を狙ってるだろうから他の人間にかまってる暇はないはず。

 

 ということは、デュランダルの名を騙った誰かが色々やってるということだ。

 

 

「どういう奴がデュランダルの名を騙ってるのかなんて俺にもわかるわけないじゃん。俺が知ってるのは聖剣デュランダルのことだけ。犯人は自分で見つけ出してよ」

「それじゃあ犯人のことは何も知らないってこと?」

「そう言ってるでしょ」

「なによ!! 役に立たないわね!!」

 

 

 アリアがギャーギャー騒ぐ。

 

 そんなことを言われても、アリアが勝手に勘違いして俺に話を聞いただけじゃないか。まぁ最近、キンジ、アリア、白雪以外の気がこの部屋の近くをうろついているのを確認したけど………

 

 寮生じゃないのは確かだ。どう考えても女性特有の気の質だったからね。デュランダルの名を騙ってる今回の犯人は女性なのかな? 

 

 アリアはキンジを連れてこの部屋を出ていった。部屋に残るのは俺と白雪のみ。少し気まずいのは気のせいじゃないと思う。

 

 とりあえず緑茶でも飲もうとしたときだった。白雪が恐る恐るといった様子で話しかけてきた。 

 

 

「あ、あの………」

「どういたの?」

「どうしてデュランダルが聖剣だと知ってるの?」

 

 

 ………なるほど。白雪はアリアやキンジと違って、ちゃんと人の話を全て聞くんだね。聖剣というキーワードをしっかり拾ってるのがいい証拠だ。

 

 

「所持者と知り合いだからだよ」

 

 

 瞬間、白雪が俺に向かって刀を振るってきた。でもそれを甘んじてくらう俺じゃない。

 

 レッグホルスターからナイフを抜いて気を流し込み、振るわれた刀を弾く。弾いた刀をさらにナイフで叩いて弾き飛ばす。

 

 

「いきなり危ないじゃん。俺じゃなかったら死んでるよ?」

「あなたなら問題ないとわかっていました」

「理由は?」

「デュランダルの持ち主を知っている者がこの程度対処できないはずがありません」

 

 

 どういう理屈なんだ? 白雪からしてみればそれだけデュランダルは警戒するに値するってこと? まぁ確かにゼノヴィアさんと白雪を比べたら………確実に負けるだろうね、白雪が。それも一方的にボコボコにされて。

 

 白雪からは何かしら偉人の気配がするけど、それだけだ。ゼノヴィアさんはエクス・デュランダルという、エクスカリバーとデュランダルのハイブリット聖剣を使いこなす。差は歴然だ。

 

 

「それで何がしたかったの? いきなり刀を振るってきて、それを俺に弾かれて」

「あなたは一体何者ですか? 本当に一般校からの転校生なんですか?」

 

 

 一般校と聞かれてしまうと答えにくい。駒王学園を自信もって一般校と言うのはかなりの勇気が必要だ。魔王が理事長だし、悪魔が生徒会長だし。

 

 

「種族は人間、神が残した『システム』を使える善良な一般市民だよ」

「その『システム』とは何ですか?」

「不思議な力が使えるようになるんだよ。怪我をした人を癒したりとか」

「あなたもそれを持っていると?」

「そうなるね」

 

 

 ただ………俺の神器(セイクリッド・ギア)はもっとバグってるけどね。いや、でもアーシアさんの神器(セイクリッド・ギア)をかなりのものだと思うよ? あれだけの速度でどんな大怪我でも生きてさえいれば治せるんだから。

 

 

「言っておくけど、能力は教えないからね。俺だって白雪さんのこと聞いてないし」

「………わかるんですね、この力こと」

「なんとなく、雰囲気だけだけどね」

 

 

 そう言って、《桃源郷の探索者(エクスプロール・シャングリラ)》を発動する。俺を中心とした半径5.040mが俺の絶対領域と化した。

 

 白雪は俺の絶対領域に侵入している。あとはわかるだろ? 白雪の情報が頭に流れ込んできた。ふむふむ………すべてはわからなかったけど、どうやらかなりの超能力を使えるらしい。でもまぁ………サーゼクスやアジュカみたいな超越したものじゃなさそうだし、問題はない。

 

 

「基本的には敵対する気ないから」

「基本的には―――というのは?」

「キミたちが俺に危害を加えさえしなければってこと」

「そう、ですか………」

 

 

 白雪はそういうと刀を鞘に納めた。助かった………これ以上やりあったらこの部屋が壊れるかもしれなかったからね。野宿するのはいやだからね。

 

 

「あなたのことを信じます」

「それはよかった」

 

 

 本当によかった。これ以上無駄なことで体力を使いたくないもん。

 

 

 

†††

 

 

 

 アドアシード当日になった。白雪がデュランダルに攫われちゃった☆

 

 いやー、参った参った。てっきりキンジとアリアが付きっきりなのかと思ったらそうじゃなかったんだ。キンジは受付をしてて、アリアはチア。護衛をしてる身とは思えないね。

 

 キンジとアリアは一緒に行動しているだろうから、俺は俺で白雪を追うことにした。

 

 白雪の気が感じ取れるのは地下―――地下倉庫(ジャンクション)。そこは地下倉庫(ジャンクション)とは名ばかりの火薬庫だ。つまりここが爆発すると―――地上にいる人は死ぬんじゃないかなぁ。

 

 それを未然に防ぐためにも割と急いで地下倉庫(ジャンクション)来た。でも先客がいた。キンジとアリアだ。キンジが床に氷漬けにされてて、それをアリアがどうにかしていた。

 

 

「よう、お二人さん。あっけなく返り討ちにされたみたいだけど、どんな気持ち?」

「一!! お前いつの間に………」

「武偵でしょ? 気づけよキンジ。全く気配を消さないで堂々と近づいたんだぞ?」

 

 

 目の前のことに集中して視野が狭くなるのは危ない。戦闘中は生死にかかわることだ。俺はここ数年でそれを学んだね。

 

 

「キンジも動けるようになったんだったらさっさと白雪さん助けて帰ろ」

「わかってるわよ」

 

 

 アリアは返事をしながら小太刀を横なぎに振るった。そこはちょうどワイヤーが張ってある場所だった。

 

 アリアはなかなか目がいいようだ。キンジは全く気づいてない。俺はもちろん気づいたよ。手にナイフ持ってるし、いつでも対処できるし。まぁ気で身体強化すればワイヤー程度ならどうにでもなるんだけどね。

 

 数分歩くと、白雪が鎖で柱に磔にされているのが見つかった。気も白雪のものなので、偽物ではないだろう。

 

 キンジが白雪の口を縛っている布をほどき、ラブコメしているのを傍目に周囲を警戒する。白雪のことはキンジとアリアがどうにかしてくれるだろうからね。

 

 キンジとアリアが白雪から話を聞いているときに異変は起きた。排水溝から水が流れ込んできた。磯臭いので海水だろう。

 

 

「ねぇ、海水が流れ込んできてるから先に進みたいんだけどまだピッキング終わらない?」

「まだだ!! 一、アリアを連れて先に行ってくれ!! アリアは泳げないんだ!!」

「浮き輪があれば大丈夫よ!!」

 

 

 それを泳げないって言うんだよアリア。

 

 

「どいてキンジ。鍵壊すから」

「壊すって………銃を使うのか!?」

「使わない」

 

 

 そう言いながら気を腕から手にかけて集中させて強化する。そして右手で鍵の部分を掴んで、そのまま握りつぶす。左手は鎖を掴んで、右手を思いっきり引っ張る。すると簡単に鍵は壊れて白雪の拘束は解けた。

 

 

「ほら、これでいいでしょ?」

「とんだ馬鹿力だな………」

「キンジ、お前の頭を使ってもっと教えてやろうか?」

「なんでもない。さぁ、先を急ごう」

 

 

 すごい手のひら返しだな。まぁそれは今どうでもいい。それより近くから俺たちを覗き見ているデュランダルとやらを倒そうじゃないか。ここまで面倒なことをしてくれた元凶を。

 

 はしごを使ってワンフロア上がる。………このフロアに居るね。

 

 

「そこにいるのは誰? もしかしてデュランダルとやら?」

 

 

 とりあえず言ってみた。そうすれば出てきてくれるかもしれないし。

 

 案の定、デュランダルは出てきてくれた。

 

 

「―――私をその名で呼ぶな。人に付けられた名前は好きではない」

 

 

 デュランダル(仮)を見て俺は旋律した。

 

 絶対領域を………展開しているッ!!

 

 膝まで覆う甲冑の一部だと思わしきブーツ。そこから伸びているのは黒ニーソ。甲冑の中に履いている黒スパッツと黒ニーソの隙間が眩しいぃぃぃ!! 俺………武偵やっててよかったよ。悪いことばかりじゃなかったよ………

 

 

「私の名はジャンヌ。三〇代目ジャンヌ・ダルクだ」

 

 

 手のひらに氷の塊を創りながらデュランダル(仮)―――もとりジャンヌが言った。

 

 ジャンヌねぇ………そういえば『禍の団(カオス・ブリゲード)』の英雄派にいたね。持ってる神器(セイクリッド・ギア)は《聖剣創造(ブレード・ブラックスミス)》だったね。

 

 あぁ、なるほど。だからデュランダルって呼ばれてるのか。でも俺の知っていたジャンヌを武偵が知ってるとは思えないしなぁ………難しいところだね。

 

 

「どうした? 驚いて声も出ないか?」

 

 

 フフン、と自慢げにそう言うジャンヌ。

 

 だがジャンヌよ。見当違いもいいところだぞ。もしかしてこの子………アホの子? なんかそんな気がしてきた。

 

 

「ジャンヌ、逮捕するよ」

「ふん………只の人間ごときが超能力者(ステルス)に勝てると思ってるのか?」

「じゃあ俺からも言わせてもらうけど―――」

 

 

 そこで一旦言葉を止め、《桃源郷の探索者(エクスプロール・シャングリラ)》を発動さえる。

 

 

「―――いつ俺が只の人間って言った?」

「ハッ!! そんなハッタリが通用するとでも思ったか?」

 

 

 嘲笑を浮かべながらそう言うジャンヌ。アリアたちはすっかり空気だ。ドンマイ。

 

 そんな余裕しゃくしゃくなジャンヌを見ながら言う。

 

 

「―――デュランダル」

 

 

 そう言った瞬間、『デュランダル』と念じる。すると、俺の右手にエクス・デュランダルになる前のデュランダルが収まる。

 

 

「一!! それは一体なんのなの!?」

 

 

 アリアがデュランダルと指さしながら叫んだ。

 

 

「これは本物のデュランダルのレプリカ。でもただのレプリカじゃない。本物と全く同じ性能が出せるからね」

「あなた一体何者………?」

 

 

 白雪にも言われたような気がするよ、そのセリフ。まさかアリアにも言われるとは………予想はしてたけどね。アリアなら自分で調べそうだし。

 

 

「自分で調べたら? だって武偵でしょ?」

「調べても何も出なかったから聞いているのよ!!」

 

 

 なるほど………すでに調べ済みときたか。

 

 

「俺は探索者(エクスプローラー)だよ」

「explorer? それだけじゃ結局何なのかわからないじゃない!!」

「だったら黙って俺の戦闘でも見てろ。そうすればヒントぐらいはわかるかもね」

 

 

 わかりません。俺の戦闘を見たって何一つわかりません。わかるとしたら戦闘慣れしていることぐらいです。

 

 それじゃあいっちょ、やったりますか。そうだね………食後の運動ぐらいにはなるかな?

 

 

「いくよジャンヌ。精々死なないようにね」

「言ってろ!!」

 

 

 気で身体強化をして走り出す。そしてその勢いを利用してデュランダルを横なぎに振るう。それをしゃがんで避けるジャンヌ。

 

 そのジャンヌに向けて回し蹴りを放つ。ジャンヌはデュランダル(偽)を使ってガードしたけど、踏ん張りが効かなかったのか吹っ飛んでいった。

 

 だからといって油断する俺じゃない。ジャンヌが吹っ飛んでいった方に走る。

 

 案の定、ジャンヌは気絶していなかった。―――が、壁に背中を打ちつけたせいなのか息が荒い。でもそれを見たからって手を緩める俺じゃない。

 

 

「『鎖』で『亀甲縛り』に」

 

 

 そう言いながら『鎖』と念じて、すぐに『亀甲縛り』と念じる。するとジャンヌは見事、鎖で亀甲縛りにされていた。な、なんかエロい………

 

 

「ねぇねぇ、只の人間にこれだけ一方的にやられてどんな気持ち? そのうえ鎖で亀甲縛りにされてどんな気持ち?」

「ぐっ………むぅぅぅっ!!」

 

 

 悔しそうに目じりに涙浮かべてキッ、と睨んでくるジャンヌが少しかわいいんだけど。

 

 まぁとりあえずはこれで一件落着か。報酬が楽しみだなぁ………あ、そうだ。後でジャンヌを司法取引して解放しないと。それで着せ替えしなきゃ。

 

 現時点でこれだけ絶対領域がしっくりきてるんだ。俺が用意した衣装を着れば………ふははは!! 笑いが止まらないぜっ!!

 

 

 

†††

 

 

 

 ジャンヌの司法取引は成功した。まぁサーゼクスに頼んだから失敗しようがないんだけどね。ただ問題が一つ。

 

 アリアたちが俺のことをやけに嗅ぎまわってる。

 

 いやぁ………少しサービスし過ぎたみたいだ。レプリカとはいえデュランダルを見せたのは失敗だったね。でもまぁ、問題はない。いくら調べたって、俺はただの一般人としか記されてない。データに残ってないからね。それにどうせあと一年もしたら関係もなくなるし。

 

 そして大問題が一つ。

 

 現在進行で理子に性的に襲われてる。ベットに倒されて、その上に理子が跨ってる状態。でもね………この程度で俺を揺さぶれるとでも? 答えは否!! 断じて否だ!!

 

 今までさんざん黒歌とナニしてきたのにこの程度で俺が揺さぶられるはずがないのだよ。ただ、さ………ニーソを履くのは反則だと思うんだ。絶対領域に目が行っちゃうんだ………

 

 

「それで理子………俺にナニしてもらいたいの?」

「はーくん………理子を助けて」

「ごめん、何から助けてもらいか言ってもらっていい?」

 

 

 まずはそれからだ。助けて―――って言われても一体ナニから助ければいいのかわからない。それじゃあ助けようがないからね。

 

 

「理子………はーくんに負けちゃったせいでイ・ウーを退学になちゃったの」

 

 

 イ・ウーか………また面倒なところにいたんだね。

 

 

「しかも負けたからって………ブラドに理子の宝物を取られちゃったんだよぉ」

「ブラドねぇ………」

 

 

 ヴラド・ツェペシュの名を騙った偽物か。サーゼクスから聞いたことがある。

 

 

「理子、残念ながらそのブラドは近いうちに殺される」

「えーっ!? ど、どーして?」

「吸血鬼の王、ヴラド・ツェペシュの名を騙った偽物を、ツェペシュ家の奴らが許すはずがないからね」

「ま、待って………もしかしてガチの吸血鬼………?」

「うん、ガチの吸血鬼。太陽の光で灰になるし、招かれないと他人の家には入れない。そんなガチの吸血鬼たち」

 

 

 ばたんきゅー、とばかりにペタンと俺の胸に倒れこんでくる理子。たわわに実ったおっぱいが俺の胸に当たって、素晴らしいことになってる。ふむ………やはり黒歌の方が大きさも張りも柔らかさも上か。だが素晴らしいことには変わりない。

 

 

「まぁそれはないだろうけどね」

「どっちなんだよ!!」

 

 

 理子さん、裏が出てますぜ。

 

 

「だってわざわざ人間界に来るなんてことはしないでしょ。だから―――」

「だから………?」

「―――俺に依頼が来た。ブラドを殺せって」

「うそーっ!?」

 

 

 本当だよ。数日前にヴァレリーから正式にね。報酬はもちろん撮影会。―――ヴァレリーとギャスパーの。ヴァレリーだけかと思いきや、ギャスパーまでついてきた。いやまぁ………見た目だけならかわいいからいいんだけどさ。ブツがついててもかわいいんだけどさ。

 

 

「というわけで、その依頼はついで―――って形になるけど受ける。報酬は―――」

「わかってるって。またコスプレの撮影会でしょ?」

「さすが理子。わかってるね」

「いやー、それほどでもー!!」

 

 

 ハイジャックのときに逃がす手伝いをした報酬はもちろん撮影会だった。あぁ………有意義だったさ。いろいろサービスもしてくれたからね。えっちぃのじゃないからね!! 結構アダルティだったけどね。

 

 理子がビシッと敬礼しながら言う。

 

 

「それじゃあ追って連絡するね」

「りょーかい」

 

 

 今回はどんな衣装を着せようかなぁ………楽しみだなぁ………

 

 

 

†††

 

 

 

 身体測定などの面倒なイベントが終わった。それと同時に理子によるアリアとキンジへの仕込みを終わったらしい。

 

 ヴラドがいる館の造りや、理子の宝物の隠し場所。そういう情報を教えているらしい。俺はすでに教えてもらっているから問題ない。ていうか、気を使えば館の造りぐらいは簡単にわかるし、《桃源郷の探索者(エクスプロール・シャングリラ)》を発動すれば館の警備システムがどんなに凄まじくてもちょちょいのちょいだ。

 

 そして今日。そのブラドの館に潜入する。

 

 とりあえず服は黒歌が用意してくれたものを来たんだけど………黒い。黒いよ………

 

 黒のスーツ、黒のシャツ、黒の革靴、そしてアクセントなのかなんだからしらないけど白のネクタイ。………ヤクザみたいだと思ったのは俺だけじゃないだろう。

 

 集合場所にはすでに、理子、アリア、キンジがいた。俺が一番最後か………これでも一〇分前なんだけどね。

 

 理子が変装をしているのはヴラドにバレないようにするためだろう。俺も気を探知できなかったら理子だってわからなかったし。

 

 理子が俺の服を見ながら言う。

 

 

「はーくん、すごい黒いね」

「知ってる」

「もしかして自分で用意したの?」

「いや、人に頼んだ」

「へぇ………女の子だね?」

「よくわかったね」

 

 

 理子の観察眼はかなりのものだ。

 

 理子に連れられてやってきたのは、呪いの館みたいな館。実際、少し面倒なことが起きそうだ。

 

 中から武偵校で会ったことがある気がある。ということは俺たちの面が割れている可能性があるということだ。動きにくそうだなぁ………

 

 案の定、館から出てきたのは片腕を三角巾でつるしている………えっと………先生だった!! べ、別に名前がわからなかったわけじゃないからね!! でも、女の子がやけに付きまとってたのは覚えている。

 

 先生の名前は小夜鳴らしい。理子がそう言ったんだから間違いじゃないはず。アリアもキンジも特に指摘してないしね。

 

 小夜鳴はこの館の主人ではないらしい。主人は別にいるが、今はとても遠くに行っていてしばらくは帰ってこないらしい。

 

 嘘だろ。ていうか、この小夜鳴がヴラドの名を騙った偽物だ。今頃だけどブラドってなんだよ。「ブ」じゃなくて「ヴ」だから。まずそこから間違ってるんだよ。

 

 それに加えて、小夜鳴からは人間のものじゃない気を感じ取れる。それがいい証拠だ。

 

 仕事に関しては、前のハウスキーパーが簡単な資料を台所に置いてくれたらしいので、それを読んで適当にやる。制服はそれぞれの個室にあって、サイズもいろいろあるから問題ない。暇なときは遊戯室にあるビリヤードを好きに使っていい。―――なんて楽な仕事なんだ。簡単すぎて困っちゃう。

 

 制服は案の定執事服だった。サイズが合うのを適当に着て、アザゼルからもらった片眼鏡(モノクル)を装備。この片眼鏡(モノクル)はかなり高性能だ。

 

 スイッチ一つで、ズーム、ズームアウト、盗聴、盗撮ができる。しかも録音、録画もできる。極め付きは防弾性能。デザートイーグル? ハッ!! そんな豆鉄砲がどうかしたか? ―――そんな性能になってる。

 

 執事服に着替えたら、理子の部屋へ向かう。仕事はすべてアリアとキンジに任せる手筈になってるから問題はない。

 

 理子の部屋に入ると、せっせとノートPCなどを設置している理子がいた。

 

 

「理子、目標物をさっさと回収して帰ったほうがいい」

「わきゃぁっ!? もー!! ちゃんとノックしてから入ってよ!!」

 

 

 かわいい悲鳴を上げて飛び上がる理子。

 

 

「悪い。でも面倒なことになる前に教えておきたいことがあって」

「ナニナニ?」

「小夜鳴がブラドだよ」

「ほぇ………? ええぇぇぇぇぇっ!?」

「少しボリュームを落として。気づかれたら面倒だから」

「ご、ごめんっ」

 

 

 叫びたくなる気持ちはわかるけど、ここで見つかるのは得策じゃない。

 

 真っ当な武偵であるアリアとキンジの目の前でブラドは殺せない。殺したら俺が逮捕される。

 

 

「アリアとキンジがいなかったらさっさと殺して終了―――だったんだけどね」

「あー………アリアとキーくんは絶対許さないよね………失敗したかな」

「いや、あいつらが小夜鳴を五分間ひきつけてくれれば楽に完璧に仕事をこなせる」

 

 

 その仕事の内容は―――

 

 一、目的地に侵入。【注意】赤外線センサーがあるのですべて無効化しましょう。

 

 二、目的の理子の宝物を回収。

 

 三、理子の宝物の偽物を変わりにプレゼント。

 

 四、撤収。【注意】ちゃんと無効化した赤外線センサーを有効化しましょう。

 

 ―――こんな感じだ。

 

 実に簡単な作業だろ? 人外との戦闘もないし、ただ念じて動くだけ。今までの依頼と比べてみても、こんなに簡単なものはなかった。

 

 

「五分って………マジ?」

「マジ。なんなら今からで問題ない」

「それはちょっと困るかなぁ………まぁいいや!! じゃあ、明日か明後日お願いね!!」

「りょーかい」

 

 

 さっさと理子の宝物を取り返して、さっさとブラドを殺さないとヴァレリーが来ちゃうからね。闇にまぎれて大暴れしちゃうからね。ヴァレリーだけならいいんだけどなぁ………

 

 

 

†††

 

 

 

 作戦は成功した。アリアとキンジが小夜鳴を足止めして、俺が宝物を奪取。実に簡単な作業だった。

 

 宝物の十字架はキンジに渡した。これは理子から頼まれたことだから問題はない。キンジから理子渡されるということだ。多分、十字架を理子に渡した瞬間「理子VSアリア&キンジ」が始まるんだろうけど。

 

 俺もそっちのほうが都合がいい。ヴァレリーにこれからブラドを殺しに行くことを連絡できたからね。

 

 そんなわけでブラド―――小夜鳴の気を追ってビルの屋上までやってきたんだけど………これ、どんな状況。

 

 理子が地面に横たわっていて、その背後で小夜鳴が理子に向かって銃を構えている。その傍らに狼が二匹。それと対面するようにアリアとキンジがいる。

 

 あぁっ!! 小夜鳴が理子を土足でグリグリしてやがるっ!! いかん………それはいかんぞぉ!! 

 

 理子にはこれから俺の撮影会に参加してもらうんだ。それなのにそんな汚い足でグリグリと………許さん。万死に値する!! 絶対領域は―――俺が守る!! ………値しなくても殺したんだけどね。ヴァレリーから依頼されたし。

 

 四人に聞こえないように、静かに囁く。 

 

 

「―――スコル、ハティ」

 

 

 俺の左右に白銀の魔法陣が展開され、そこからそれぞれスコルとハティが現れる。

 

 

「スコル、ハティ―――狼を狩れ。俺はブラドを殺す」

「わうっ」

「がるるぅ」

 

 

 スコルとハティに狼を任せ、俺は理子の救出を優先する。

 

 まずは《桃源郷の探索者(エクスプロール・シャングリラ)》を発動する。俺の絶対領域の展開を確認。さぁ―――殺るぞ。

 

 光遁術を使って一瞬でブラドの背後に移動する。

 

 

「こんばんわ、ブラド。とりあえず理子を―――『離せ』」

「な―――ッ!?」

 

 

 そう言いながら『離せ』と念じる。

 

 獣化したブラドは目を見開いて驚いている。誰でも意識していないのに勝手に体が動いたらそうなる。

 

 落下してきた理子をお姫様抱っこして、後ろに跳躍―――ちょうどアリアとキンジがいるところだ。

 

 

「よぅ、アリアにキンジ。一くんだよ」

「あんた今までどこほっつき歩いてたのよ!!」

「キーキー騒ぐなアリア。それとブラドは俺の獲物(ターゲット)だ。手出しするなよ」

「あんな化け物にあんた一人で勝てると思ってるの!?」

「あの程度の獣なら余裕。余裕過ぎてあくびが出そうだよ」

 

 

 ブラドなんてただの獣だ。プライドの塊ともいえる吸血鬼とは天と地ほどの差がある。それに吸血鬼みたいに美しくないし。

 

 

「スコル、ハティ!! 狼共を喰らえ!!」

「わうっ」

「がるるぅ」

 

 

 スコルとハティは狼に向かって走り出した。これで狼は問題ない。スコルとハティが殺して(あそんで)おいてくれるだろう。

 

 残るのは俺の獲物(ターゲット)、ブラドだ。ヴァレリーには、「貴族たちの怒りを治めるために、できるだけ盛大にお願いしますね? アザゼルさんが中継をしてくれるそうなので………楽しみにしてますよ♥」なんて、お言葉をもらったからなぁ………

 

 とりあえず肉弾戦か。怪我をしても回復するみたいだし、ライザーみたいにしよう。

 

 

「いくぞブラド。せいぜい発狂しないでね」

「言ってろ劣等種が!!」

 

 

 俺の言葉にブラドが吠える。それがまた吸血鬼とは正反対で笑いそうになる。

 

 まずは気で身体強化をする。そして光遁法を何度も使って、フェイントを入れながらブラドの背後に近づく。

 

 背後から背中を抉るようにアッパーを入れる。手に背骨を砕く感触が伝わってきた。

 

 ブラドの股下をスライディングで通り抜けて跳ぶ。その勢いを利用してブラドの顎にアッパーを入れる。アッパー大好きだよ、アッパー。

 

 怯んで倒れたブラドのマウントを奪い、ひたすら顔面をタコ殴りにする。もちろん、気で身体強化をしているのでその一撃一撃が地面にクレーターをつくれる程度でして………ブラドの顔面はボコボコになった。それでも生きているブラドに俺は少し驚いた。

 

 ブラドから離れて、理子のところに戻る。理子が若干引いているのは気のせいだろう。

 

 理子のところに戻るタイミングに合わせてスコルとハティが戻ってきた。どうやら狼を喰らい終えたようだ。わしゃわしゃと頭をなでてやると、すり寄ってきた。かわいい………

 

 理子がブラドの方を見ながら言う。

 

 

「はーくん、まだブラドは死んでないよ!!」

「わかってるから。今のはちょっとした準備運動。依頼者を楽しませないといけないから大変なんだよ」

 

 

 ちなみにアリアとキンジはすでに気絶させてる。そうしないとここまで好き勝手できない。ブラドをボコしているときに陰気を送ったらあっさり気絶してくれた。

 

 理子はいいのかって? 理子は問題ない。すでにサーゼクスとか関わってるし、武偵校を卒業したら『こっち側』に来ることになってるからね。

 

 さて、そろそろ殺すか。塵にしてもいいけど、それだとヴァレリーにネチネチ言われそうだから………

 

 

「―――『バルムンク』」

 

 

 

 そう言いながら『バルムンク』と念じる。すると右手にバルムンクが収まる。

 

 このバルムンク、ドリル状のオーラをまとい、突き出すことで竜巻状の破壊の渦を放ち空間を削り取りながら攻撃するという鬼畜仕様なんです。これでブラドを削ったら吸血鬼のみんなの怒りも治まると思う。そしてこれで治まらなかったら俺は一体どうすればいいかわからない。

 

 せいせいせい、せいせいせい、せいせいせいせいせいせいせい―――と、三々七拍子のリズムでバルムンクを突き出す。するとどうでしょう。ブラドはもちろんのこと、ブラドがいた場所を竜巻状の破壊の渦が通り過ぎ、空間ごと削り取られたではありませんか。 

 

 これでヴァレリーからの依頼はバッチリ終わった。空間ごと削り取られたらライザーでも死ぬんだから、ブラドが生き残れるはずがない。現に、気も一切感じられない。

 

 

「ほら、理子」

「うわわっ―――って、これって………理子の十字架!!」

「背中にアッパーを入れた時にそっとね」

「うーっ………ありがとっ!! はーくん!!」

「うおぅ!?」

 

 

 バッと跳んで抱き付いてくる理子。たわわに実った胸の感触が伝わってくる。役得役得ゥ!!

 

 

「それじゃあ行くよ、理子」

「ほぇ? どこに?」

「俺の家」

「えぇっ!? は、はーくん………」

「治療して、撮影会しなきゃだから」

「………そうだよね」

 

 

 なんでそんなにがっかりしてるんだろう。でも報酬はキッチリいただかないとね。

 

 

 

†††

 

 

 

 さーやるぞ!! 本気出してやるぞ!! 待ちに待った撮影会だ!!

 

 ブラドを殺してから一夜が明けた。理子の傷も『フェニックスの涙』を使ったおかげですっかり治った。

 

 今日の撮影会の参加者は、理子とジャンヌだ。金髪ロリ巨乳と銀髪ロリ貧乳のコラボレーション………素晴らしいじゃないか。

 

 用意した服は、ゴスロリ、巫女、ナースだ。

 

 カメラの準備よし、照明よし、衣装よし………準備は整った!! いざ聖戦(さつえいかい)へ!!

 

 撮影部屋に行くと、すでにゴスロリに着替えた理子とジャンヌがいた。

 

 理子が着ているゴスロリは黒ゴス。金髪によく映えると思ったんだけど………俺の目は間違ってなかった!! 素晴らしい!! 履いてるニーソは黒ニーソ。

 

 ジャンヌが着ているゴスロリは白ゴス。あえて銀髪と似たような色にしてみた。あぁ………もちろん似合ってるさ!! 履いてるニーソは白ニーソ。

 

 

「理子、ジャンヌ!! 聖戦(さつえいかい)を始めよう!!」

「う~ラジャー!!」

「うぅ………恥ずかしいな………」

 

 

 理子がノリノリで、ジャンヌが顔を赤らめながら言った。

 

 理子がジャンヌをリードするようにポーズをとっていく。

 

 二人が向かい合って手を握る。漫画の挿絵などでありそうなポーズだ。いいねいいね!! さいっこうだねぇ!!

 

 次は背中合わせになって腕を組んでくれた。これまた漫画の挿絵などにありそうなポーズだけど………そそられるわ。

 

 てゆうか、理子にニーソが似合い過ぎてて怖い。太ももの肉付きもちょうどいいのか、「ぷにっ」っと感も出てる。ジャンヌはダメなのかと言えばそうじゃない。ジャンヌにはジャンヌの魅力がある。

 

 

「さぁ次の衣装に行こうか!!」

「りょーかい!! 着替えるよジャンヌ」

「あ、あぁ………」

 

 

 更衣室に行く理子とジャンヌを見送り、撮った写真を確認した。どれも最高のアングルで撮れてる………さすが俺だ。伊達に今まで修羅場(さつえいかい)をくぐってない。

 

 

「よーし、次行ってみよ!! はーくん!!」

「はやっ!?」

 

 

 そういえば理子は早着替えが得意だったね。服をパラシュートにしたりとかね。

 

 理子とジャンヌの巫女装束姿は圧巻の一言だった。

 

 金髪と銀髪という日本人ではありえない髪色に、日本で生まれた服である巫女装束が合わさる。―――いいじゃないの。履いているニーソは二人とも白。巫女装束には白が合うね。

 

 おっと………カメラのボタンを押しすぎて、少し熱くなってしまったようだ………

 

 

「はい次ぃぃぃ!!」

「行くぞ理子!!」

「ほぇ? あれ?」

 

 

 今度は理子がジャンヌを引っ張っていくんじゃなくて、ジャンヌが理子を引っ張っていった。そうか………ジャンヌも理子と同じ領域に来てくれたか。

 

 最後はナース………い、一体どんな風に―――

 

 

「待たせたな!!」

「わわっ、まだボタン閉め終ってないんだけど!!」

 

 

 ―――ブッシャアァァァァァァァ!! ぉぉぉおおおおおお!! キタキタキタ!!

 

 理子はボタンが閉めきれてないせいで、黒いブラジャーが見えている。もちろんたわわに実ったおっぱいで作られる谷間も見えている。

 

 ジャンヌはキッチリとナース服を着ている―――かと思いきや、スカートのホックを閉めてなかった。

 

 二人ともアダルティだなぁ………こんなナースが実際に病院に居たら男は退院したくないだろうなぁ………

 

 今回の聖戦(さつえいかい)も素晴らしいなぁ………

 




もっとこうしてくれ、というのがありましたら受け付けます。

それと活動報告で、「もしもの御話集」の原作募集中です。
よろしくお願いします。
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