ガンダムシリーズ【魔を滅する転生頑ーSEEDー】 作:月乃杜
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まぁ、判ってはいたのだ。
「嫌よ! 嫌ったら嫌よ! 何で私があんなコーディネイターの娘に御飯を持って行かなきゃいけないのよ!? 怖くって何をされるか判ったものじゃないもの!」
「えっ!?」
フレイ・アルスターがラクス・クラインへ食事を持って行くのを拒絶、それを聴いてたキラ・ヤマトが微妙に傷付いてしまうというのは。
「あ……も、勿論だけどキラは別よ。それは判っているわ。でも、あの娘はZAFTの娘でしょう? コーディネイターの能力なんて見掛けじゃ全然判らないんだもの、凄く強かったらどうするのよ」
「う、うん……」
取り敢えず、ラクス・クラインがこの場に現れたりはしない筈なのだからユートは即動いた。
「嫌なら僕が行こう」
「え、確か貴方は……」
訝し気な表情のフレイ・アルスター、ユートがMSへと乗っているのは知っているから何となしにコーディネイターでは? と疑っているのだが、艦長のマリュー・ラミアスが身体検査を以前にしていて、それを彼女は見ていたのだからユートがナチュラルなのも間違いないと断言をしている。
流石に地球連合軍の将校が騙される筈も無く、更にはコーディネイターを庇うとも思わなかったフレイ・アルスターは、ユートの事もMSに乗れるナチュラルという事で一応は納得をしていた。
ユートが言っていたのだ――『その内にMSなんてナチュラルだって幾らでも乗れる時代になる。僕は単にその
「んじゃ、行ってくる」
ユートはラクス・クラインの食事を手に持ち、それを彼女の軟禁している部屋へと持って行く、へリオポリスの学生達が見守る中を。
ナチュラルの筈なのにコーディネイターに対する隔意が特に見られず、キラ・ヤマトに対しても友人を名乗る自分達ですら隔意が隠せないのに、ユートは全く意にも介していないのが不思議だ。
「ラクス、食事を持って来た」
〔まぁ、入って下さいな〕
ロックを解除……されている? どうもハロが普通に解除をしているらしく、中に入ってみればラクス・クラインの隣でピンクのハロがピョンピョンと跳ねている。
「御免なさい」
「何が?」
「わたくし、余りに喉が渇きまして……ハロちゃんに頼んで扉を開けさせて戴こうかと思ってしまいましたの。それにお恥ずかしながら少々、お腹が空いてしまいまして……」
頬を朱に染めつつ言う辺り、矢張り女の子が食い気に負けた……というのは恥ずかしいらしい。
ニコッと微笑みを浮かべる姿は成程、可成りの可愛らしさが醸し出されていて流石はソレを目的に遺伝子調整をされたコーディネイター。
取り敢えず、カリスマ性も高そうで何よりだ。
「飲み物は紅茶で良かったかな? 食事もたった一人切りじゃ寂しかろうし、ラクスさえ良かったなら僕が話し相手兼共食の御相手を務めようか。悪いけど同性の話し相手は無理だ、この艦に乗っているナチュラルの娘らは遂先頃にへリオポリス崩壊で住む場所を喪ったばかりで、それを行った下手人がZAFTの連中だったからな」
「それは……」
苦々しい表情になり口を閉じたのは、下手人と同じコーディネイターである自分が何を況んやと考えたからか、いずれにせよ下手に何かを言っても相手の神経を逆撫でるだけだと理解していた。
美しく聡明で周囲を纏める器量も持ち合わせる女傑としてのラクス・クライン、単なる御花畑では無いのが本来の世界線にて“三隻同盟”を結成した彼女の隠された実力。
「君が心を砕く必要は無い、やったのは飽く迄もヴェサリウスに属する赤服連中だし、命じたのはラウ・ル・クルーゼであってラクス・クライン、君では無いのだからね。ラクスがZAFTに所属をしていたなら同じ軍服を着た者として、確かに責を問われても仕方がない処だけど、穏健派なシーゲル・クラインの御息女でしかも君は一般人だろ」
確かにプラントでは“プラントの歌姫”としての彼女の有名を戦意高揚として利用してはいるが、ラクス・クライン本人の意志は飽く迄も善意によって『せめて歌声を届けたい』というものだ。
「さぁ、食べようか。僕は別に難しい話、況してや暗い話をしたくて来た訳じゃ無いんでね」
「そうですわね」
其処からは始終を笑顔で――決して美味しいとまでは云えないが――食事を摂り、紅茶を淹れて共に食後のティータイムを愉しんだ。
美少女とお茶を飲む、それだけで心が洗われた気分に成れるから不思議なものである。
あの、
「喩え話だ。喩えばキラ・ヤマト、ストライクガンダムのパイロットで君を救命挺から出した時に居た茶髪の少年だが、彼が彼処に居なかった場合は何が起きただろうな?」
「それは……わたくしはその状況がよく判りませんもの、答え様がありませんわ」
「ちょっと良いかな?」
「はい?」
ユートは目を閉じる。
「ラクスも閉じて」
「……口付けでもなさいますの?」
ポッと頬を染めながら言うラクス・クライン。
「何でだよ? セクハラっぽくなるのは理解をしているけど、これが一番君に解り易く教えて上げられる方法なんだ。言っておくが口付けってか、キスをする訳じゃ無いからな?」
「フフ、判りましたわ」
クスクスと笑みを零しながらラクス・クラインは瞑目をした。
《ミトメタクナ~イ》
ピンクハロが喧しい。
ユートは瞑目した侭、ラクス・クラインの額に自身の額をくっ付けてアニメで観た【機動戦士ガンダムSEED】序盤のイメージを送る。
ユートはニュータイプでこそ無いけど、一応は【スーパーロボット大戦OG】に於ける特殊能力である念動力を持ち合わせて、そのレベルはリュウセイ・ダテやクスハ・ミズハを優に越えており、ルアフ・ガンエデンやイルイ・ガンエデンですらユートには及ばなかった。
チートで獲た訳では無く、ユートは二度に亘る転生と千をも越えた疑似転生を経て魂の格が普通の人間を超越し、更に前世のハルケギニア時代には精神生命体である高位魔族たる覇王将軍シェーラと使い魔契約、ユートの魂魄に刻まれたルーンによりその力を獲るに至り、半ば精神生命体にも近い存在力を獲得しながらも人間の肉体を器としている訳で、或る意味に於いて【聖闘士星矢】の女神アテナと近い在り方で地上に存在している。
念動力の発現自体は同じく念動力者である少女――イルイ・ガンエデンとの精神的な交わりを経る事で開花して、【スーパーロボット大戦α】や【スーパーロボット大戦α外伝】の時期には未だ念動力を扱えていた訳では無かった。
尚、精神的な交わりはニュータイプ同士に因る感応と同じ様な
なので、ユートはニュータイプとの感応も可能と成っていたからこそ、ガンダムの原典知識有りきとはいえニュータイプ達との交流を持てたし、何なら原典とは違う交流を以て道筋を変えた。
それは扨置き、アスラン・ザラとキラ・ヤマトの再会となる出来事をアスラン・ザラ側の視点でイメージを伝えていくが、次第にラクス・クラインの息が僅かずつではあるが荒く成っていく。
小さくだけど荒くなる吐息、発汗をしているのが額を通じて判るし、今の彼女が頬を朱に染めているのはユートと額を当てているからでは無い、それにじんわりとだけど閨でマリュー・ラミアスから嗅ぐわう無臭の薫りが漂って来た。
(発情しているな)
そう、ラクス・クラインは発情をしている。
勿論だけど、ユートとの過剰な接触にラクス・クラインがエロい気分に成ったとかでは無くて、ユートとのこの手の接触は軽く敏感肌に成ってしまうらしく、その所為で本人も知らない間に発情をしてしまうらしい事が判明していた。
実は【HUNTER×HUNTER】系の念能力を扱える訳だが、その内の一つ“
この事実にユートは矢張り、不完全な状態にて強壮なる【C】の神氣を受けた事による呪詛であると考えており、魂魄が彼の邪神に一時的とはいえ穢された悪影響を受けているのであろう。
とはいえ、既にユートの中で呪詛自体は完全に無害化されていて、悪影響といえば女性が性的に快感を得て発情をしてしまうくらい。
尚、男が“修得之札”を使った場合は単純に身体が熱いだけであり大した影響は受けない様だ。
ジリジリと快感が強く成り、一部だったソレは次第に全身を隈無く覆っていくなか? ラクス・クラインがスカートの中で太股を擦り付けながら我慢をしていて、だけど言うのは恥ずかしいから口を確りと噤んでいる。
何も言わない理由の一つは、実際に映像が脳裏に浮かんでいて嘘を吐いてはいないからだろう。
快感に浸りながらもイメージを読み込んでいく
ラクス・クライン、大きな吐息を吐き出して漸く終わったと安堵の表情を浮かべた。
「疲れたみたいだから僕は自室に戻る。明日には朝食を持って来るから、それまでにラクス自身の考えを聴かせて欲しいね」
「わ、判りましたわ」
頬を上気させた侭に答えるラクス・クラインを見遣り、ユートはニコリと笑みを浮かべると食器を手に軟禁部屋を後にした。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
食堂に食器を返却後、ユートは自室にしている部屋のベッドに寝転がりながら夕飯後のラクス・クラインとの交流を思い出す。
彼女が色々と我慢をしていたのと同じくらい、ユートも我慢を強いられていて今や隠しもしない腰の出っ張り、それはラクス・クラインの脱げばそれなりながら未成熟の凹凸、それでいて健気に発情を隠して笑みを浮かべるだけの精神力。
どれを取っても欲しくなる。
それに今頃、ラクス・クラインは発情をしている肢体を持て余して人生で初めてと思われる自慰行為にでも耽っているだろうし、それを考えたら少々変態チックだけど滾るのは止められない。
其処へ来客を報せるブザーが鳴る、その気配からマリュー・ラミアスが客だと判っている。
「何かな?」
〔ちょっと、ラクス・クライン嬢の件で相談が〕
「ロックを開けた」
〔判ったわ〕
カシューッという音と共に、マリュー・ラミアスが入室をしてきて驚愕の表情で目を見開く。
「女の私が入室をするのが判っていて、どうして貴方はパンツすら穿かずに寝転んでるのよ!?」
しかも
「まさか!?」
「おおっと、勘違いが過ぎるぞマリューさんよ」
「本当でしょうね?」
「嘘は吐かない、少なくとも人を故意に傷付ける嘘は……ね」
「確かにいつもそう言っているけど、正直に言うと女性関連では信用がならないのよ貴方は!」
「自業自得過ぎて笑えんね。抑々、僕は眠る際には基本的にマッパだよ。知っているだろうに」
「知らないわよ! 貴方が眠る処なんて、私が視たのはお別れの日に貴方に抱かれた時だけよ!」
言っておいて余りに恥ずかしい事を口にしたのだと気付いて、まるで未経験で未通な生娘の如く
「で、何をしに? ああ、久し振りにナニをしに来たんなら大歓迎だよ」
「違うわよ! ラクス・クライン嬢の事で相談が有るって言ったでしょ!」
「とはいえ、視ての通りちょっと困ってるしな。閨で寝物語代わりに聴くから愉しまないか?」
「繰り上がりとは言っても、艦長の私が風紀を乱す訳には……」
「艦長だって人間だし、性欲も皆無じゃ無いぞ。僕が知る艦長で禁酒の筈の艦内に酒を持ち込んだ剛の者まで居たしな?」
「どんな艦長よ、それは!」
【スーパーロボット大戦OG】に於ける名艦長、ダイテツ・ミナセ中佐の事だ。
「つべこべ言うな!」
「……え?」
カシューッと扉が閉まったかと思うとロックを掛けられ、更にいつの間にかユートが背後に居て気付いた時にはお姫さま抱っこで持ち上げられてしまい、あれよあれよと云う間にベッドへと転がされてしまっていた。
「な、何よこの早業は!」
「ラクスの相談に来たって事はだ、ある程度であれば時間も取れてはいるんだろう? 聴きながらヤれば一石二鳥だね」
「あのねぇ……ああ、もうっ! 相談にはちゃんと乗ってよ?」
どうやらオッケーらしい。
それから約二時間程、たっぷりと愉しい一時を過ごしたユートは相談事にも確りと乗っている。
マリュー・ラミアスはシャワーを浴びて臭いはきちんと消し、艦長職に戻るべくブリッジへと帰って行ったので今は一人切りだ。
たっぷりネットリと愉しくヤれた為にスッキリしたユート、マリュー・ラミアスも何処と無くだが表情がスッキリとしていたけど、それは性欲を解消したからなのか? 或いは相談事が取り敢えずは解決したからなのだろうか?
「で、艦長? ラクス・クライン嬢をどうするべきなのか相談は上手くいきましたか? それともしっぽりと寝てきただけとか?」
「フラガ大尉、セクハラで訴えましょうか?」
「はい、すんません」
ムウ・ラ・フラガは本当に反省したのか判らない声色で謝った。
「まったく。上手くいったかは微妙かも知れないけどね、私達は不幸にもこうしてZAFTの追撃から逃避行をしている訳よね?」
「まぁ、そうだな」
「だったらいっその事、次かその次辺りに接敵をしたら彼らにラクス・クライン嬢を渡してしまいましょう……というのがユートの意見だったわ。月まで連れて行っては軍なり政府なりに引き渡す必要が出てくるわ、だけど連合はそのどちら側にも“ブルーコスモス”が蔓延っているのよ」
「それは……」
“ブルーコスモス”が叫ぶ言葉は一聴をしたなら正しくも聴こえる、実際にフレイ・アルスターは自分はブルーコスモスでは無いが、連中の言葉は正しいなどと阿保な事を抜かしている。
既に存在しているからには、その是非を問うた処で意味など有りはしないというのに……だ。
「そうなれば問題にしか成らないわ。それに女の子なのよ? 万が一にでもキズモノにでもされたなら、穏健派のシーゲル・クラインが過激派に、ナチュラル排斥に乗り出し兼ねないもの」
「なっ、艦長! 我々、連合がその様な下衆な行いをするとでも!?」
「ジェラート・ガルシア司令を視てしまうと私には保証も出来ないし、やらかされたら取り返しが付かない事なのよ」
「彼はユーラシア連邦の!」
「同じ軍服を着た同じ連合の将校なのよ!」
「っ!?」
ナタル・バジルール少尉の科白に被せる様に叫んだマリュー・ラミアス、ユートからの提案の際に言われた事がソレだった。
「ユーラシア連邦? 大西洋連合? 其処に所属をしないユートならばフラットな感情でモノを視れるわ。それに、キラ君にあんな破廉恥な言葉を投げ掛けるのがナチュラルの集まりだと思われているのよ、ユートにそう言われた私は正直に言えば泣きたくなったわ!」
「ハ、破廉恥……でありますか?」
ナタル・バジルール少尉は生娘らしく顔を赤らめているが、ムウ・ラ・フラガ大尉はその科白が『裏切者のコーティネイター』というものであると実はユートから予め聴かされていた。
えちぃ意味合いでは無いのだ。
というか、ジェラート・ガルシアが性的な意味で破廉恥な言葉を投げ掛けたとか、ユートからしたら悍ましいだけであろう。
ユートは別にBLを好きな人間に対して隔意は無かったし、同性婚がしたいなら好きにすれば良いとも考えているけど、それを自分に強要をされるのはドン引きするしかない。
況してや、男同士の
どうでも良い余談だが、GLに関しては寧ろ推奨をしている処か行為の前にヤらせるくらいだ。
「確かに、艦長ってかユートの言った通りに成るか否かは扨置き、あの
やれやれなポーズでムウ・ラ・フラガは言う。
「兎に角、イージスが出て来たらオープンチャンネルで呼び掛けます」
「艦長、何故イージスなのですか?」
「どうやら、イージスのパイロットがラクス・クライン嬢の婚約者らしいのよ」
「なっ!?」
「だからこそ、一度だけでも彼らを退かせる事が出来る筈よ」
折角の機会、キラ・ヤマトが無断で返してしまうより向こうから退かせる、これにより一回限りの安全を得られるというのがユートからの提案、そしてマリュー・ラミアスがこの策を受け容れた最もな理由でもあったのだと云う。
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