ガンダムシリーズ【魔を滅する転生頑ーSEEDー】 作:月乃杜
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シミュレータを終わらせた後のムウ・ラ・フラガ大尉は完全に落ち込みモード、ララァ・スンのガンダムエルメスは元より付き人二人のジンにすら敗北した為である。
「未だ素人の域を出ないぽっと出が何を落ち込んでるんだ?」
「そりゃ、そうだがよ……」
「ララァは完全に玄人だぞ? 勿論、付き人をしている二人もな」
確かに見た目と実年齢が一致していないというのは聴いていたし、抑々にして前に居た世界でも可成り初期から【閃姫】契約を交わしていた為、少なくとも【機動戦士Vガンダム】の時代までの百年近い年月を生きてきたのは伊達では無い。
正確には、ユートが原典をよく識らない時代たる【機動戦士クロスボーン・ガンダムDUST】辺りのU.C.0168をも越え、本当に百年計画とでも云うかの如く時代を渡ってきた。
詰まり、最低限で実年齢は百歳を越えている。
勿論だが百年間をまるで修羅の如く闘って闘って闘い続けてきた訳では無く、寧ろ【閃姫】達とは戦争が無い時期だとまったりしたエロティカルな行為に邁進をしていた。
娼館で娼婦をするのは好まなかったララァ・スンの付き人の二人だが、ユートとの逢瀬には可愛らしい服を着て勝負下着にて武装までして臨み、逢瀬の帰りに確りと喰われていたのだと云う。
そんな二人も一年戦争からMSのパイロットを目指して訓練をした為、流石に年齢的にララァ・スン程では無かったけどユートの“教導”を受けたが故に強くなり、彼女らは上から数えた方が早いくらいの順位をキープしていた。
「ユート、そろそろ召喚時間が終わるみたい」
「ああ、割と保ったな」
召喚時間は一定では無いから必ずしも同じでは無くて、三人の場合は同時期に契約を交わしていたのも手伝って余り変わらないから便利に使っているのは否めない。
「じゃあ、偶には此方に戻ってね」
ララァ・スンが言いながらユートの唇に自らの唇を重ねると……
「「あっ!」」
何故かマリュー・ラミアス以外にも誰かしらが声を上げていた。
更には付き人の娘の二人も、ユートの頬へと唇を付けて送還される。
「ハァ、確かに【閃姫】……と呼んでいるんだったかしら? 妻でも恋人でも何なら愛人でも構わない、ユートと共に在ると誓約して契約を交わした人達……ね。ララァさん達もそんな【閃姫】なのだからキスの一つもするって訳ね?」
「そうだな。U.C.0050の頃に木星へと顕れてから四半世紀が過ぎた頃に出逢った三人だよ」
「木星に?」
「そう。A.C.世界のMS、ガンダムエピオンに乗った状態でな」
ガンダムエピオンに搭載された“エピオン・システム”は、元々のシステムより遥かに洗練が成された義妹にして【閃姫】なユーキ謹製であり、宇宙世紀の世界がユートの識る結末から随分と外れてしまうと予測、最初のソレは木星帝国総統のクラックス・ドゥガチによる攻撃が成功してしまった結果、地球が滅亡の憂き目に遭ってしまう事だった為に木星を大本営とした。
然しながら、クラックス・ドゥガチの問題は潰したのにエピオン・システムは別の滅びを見せ続ける為、一年戦争から直接的に介入をする作戦に切り換えて動いたのがララァ・スン籠絡である。
何故なら、エピオン・システムが見せた滅びの一つには或る意味で鉄板な事件の“逆襲”により、アクシズが地球とランデブーして人類が滅んだというのが存在していて、ララァ・スンを間に挟んだ二人の男という形を崩す方向性を採択した。
その結果、メインヒロインにさえも手を出すなど可成りぶっ飛んだ事までやらかしてしまう。
勿論だけど代わりのヒロイン枠は確保した上でだから、主人公なのにヒロインは無しなんて事に成ったりはしていなかった。
まぁ、その果てがウッソ・エヴィンのヒロインは全てを喪って彷徨うカテジナ・ルースだったのだが……
三大悪女も前の時代に居た二人はイケたのに、カテジナ・ルースだけは何故か受け付けなかったユート、結局は戦闘でMSのコックピットから引き摺り出して一発かました以外は特に何も無い。
一発……? 少なくとも一晩中をヤりまくったのだから一発では済まない訳で、取り敢えず手垢の付いたカテジナ・ルースとヤったのは後にも先にもそれが最後、後は野となれ山となれで放置を決め込んだら終戦後、光を喪ってしまった彼女が彷徨っていたからウッソ・エヴィンに押し付けてやったが、当人は幸せそうに世話を焼いていたから良いのではなかろうか?
どうでも良いが、三大悪女の初期メンバーとはニナ・パープルトンとクェス・パラヤとカテジナ・ルースの事で、【閃姫】契約を交わしているのはニナ・パープルトンとクェス・パラヤのみ。
ガンダム・スキーやファザコンを丸め込むのは至極簡単だった。
「ガンダムって、何だか一杯在るんだな?」
「世界を跨げば百機くらいは余裕かも知れない」
「マジにかよ」
ムウ・ラ・フラガ大尉は冗談めかして言うが、この【機動戦士ガンダムSEED】の世界だけでもストライク、イージス、デュエル、ブリッツ、バスター、アストレイ×5、フォビドゥン、カラミティ、レイダー、アカツキ、フリーダム、ジャスティス、ドレッドノート、ハイペリオン、プロヴィデンスなど多数のガンダムが存在している上にそのバリエーション機も在ったりするし、何ならその二年後には更にセカンドステージが増えるのだから。
それは世界を跨げばガンダムだけで百や二百は存在するであろう。
「ま、誰かが造ればまた増えるさ。ガンダムというのは機種だからね」
「増えんのかよ!?」
「増えるねぇ」
きっとユートが生きてきた世界でもアニメなり漫画なり小説なりで、幾らかガンダムと名の付いた機動兵機は増えていると考えている。
事実として、ユートは全く識らないガンダムの世界へも行っていた。
例えばA.S.という年号の世界、例えばP.D.という年号の世界、ユートの識る世界線とは無関係な宇宙世紀から更に未来のR.C.という年号の世界、正確にはR.C.の世界はタイトルとガンダムというかGセルフの名前だけは識っていたが……
「いずれこの世界にもガンダムが溢れるだろう、既に五機のGと五機のアストレイが在るんだし」
「あ~、一〇機も在るんだな」
「そして増えるんだ」
既にオーブにて開発されているであろう機体、黄金のアカツキガンダムは最早存在していると言っても過言では無いし、恐らく出てきたタイミングからしても連合で例の三機は造られている筈。
「さてさて、折角だから僕の腕前も君らへ見せておこうかね」
「ユートの腕前か」
それに興味を惹かれるムウ・ラ・フラガだが、惹かれたのは彼だけでは無かったらしい。
「確かにじっくりと見る機会は無かったものね」
「うわぁ、ちょっと見てみたいかも!」
マリュー・ラミアスとミリアリア・ハウが口々に言ってくる。
キラ・ヤマトも戦場で見た事はあったけれど、じっくりと見ていたかといえばそうでは無い。
ユートはシミュレータ筐体にゆっくりと入り、ゲームカードをスロットインして機体を選択。
ユートのゲームカードには全ての機体データが入力されており、正しく選びたい放題となっている状態であったと云う。
勿論だがチートとかでは無くて、このシミュレータはユートがユーキに造らせた物である為に、テストプレイから正式稼働に至るまで使い続けてきたから、全てのタクティクスモードもストーリーモードもクリア済みなだけだ。
タクティクスモード現行最大のニュータイプ級もクリアしている。
選択機体は“ガンダムエピオン”。
A.C.の世界で手に入れて以来、ガンダム系列の宇宙に出ると何故か乗っている機体であった為、ユートは識る識らないに拘わらずエピオン・システムを使っての予測をしていた。
エピオン・システムってそういう装置だったっけか? とか、首を傾げてしまうユートだったけど再構築をしたのが義妹兼【閃姫】なユーキだった事を鑑みれば有り得ると納得するしかない。
因みに、A.S.の世界では何故かシャイニングガンダムのレプリカだった。
ユートが使うガンダムエピオンは当然の事ながらオリジナルでは無い、飽く迄もトレーズ・クシュリナーダから遺されたデータを基にして更に、ウイングガンダムゼロ・カスタムのデータも反映――とはいえ設定上で、ウイングガンダムゼロとウイングガンダムゼロ・カスタムは完全な同一機とされている――された機体だ。
その為、エピオンの翼に当たる部位はウイングガンダムゼロ・カスタムの翼を基に悪魔っぼく造られており、色や外観も相俟ってルシファーとか呼ばれた事もあった。
デビルガンダムよりはマシか?
トレーズ・クシュリナーダのコンセプトを継承はしておらず、流石に射撃武装の一つも無いなどとユーキ的には有り得ない為か、普通にウイングガンダムが使っていたバスタービームライフルをエピオンに装備させている。
お陰で遠中近距離のバランスが取れた機体として成り立っていて、ユートが使う機動兵器としては可成りの完成度を誇っていた。
そしてガンダムエピオン・エンドレスワルツとでも云うべき、ウイングガンダムゼロ・カスタムとは対照的で悪魔的な外観をした機体がゲームのスタートと同時に動き出す。
「は、疾い!?」
運動性は確かに高いが、然しながらその疾さというのが運動性だけの話では決して無かった。
「極力、無駄を削ぎ落とした動きだ! 無駄弾を撃たず動きも滑らかに、入れる一撃は必ず必殺」
確かにMS同士の戦闘では基本的に一撃で沈める事も多々有るが、ユートは明らかに百機という度が過ぎる数を相手に闘ってこれだ。
画一的な量産機だとはいえ、ムウ・ラ・フラガは自らがプレイをしているから解る、このシミュレータでは機体は画一的でも動きは毎回違うからパターン化されている訳では無い。
「これでもMA乗りだったから多少は理解する事も出来るがこいつは……」
とはいえ、それでも画一的な量産機だったからこそユートも機械的に殲滅が出来ているだけの、要するに結局はシミュレータという名のゲームをプレイしている感覚に近いのだろう。
それに完成度を高めたガンダムエピオンだったからこそで、未だに未完の大器でしかない現在のガンダムアストレイ・シルバーフレームで同じ事をしろと言われても難しい。
兵器なんて一度でも出してしまえばデータを獲てコピーは幾らでも可能、下手にばら撒いてしまう訳にもいかないから何でもかんでも優位技術を出せば良いともいかなかった。
誰かが造れたなら、技術的にはその他の誰かにだって造れるという証左に他ならないのだから。
幸いなのはユートの使った魔砲システムなんかは抑々、意味が解らない攻撃でしかなかったろうから解析すら叶わないだろうけど。
当然ながら“ラムダ・ドライバ”など想像の埒外で解析は到底出来まい。
降りてきたユートは異次元の点数を叩き出しており、その後にキラ・ヤマトが筐体に入って試しにプレイをしてみたが、ムウ・ラ・フラガよりは随分と良い点数なのは当然、然しながら矢張りというかユートには及んではいなかった。
更に遊び半分ではあれ、キラ・ヤマトの友人達もプレイをしてみる。
まぁ、サイ・アーガイルを筆頭に惨憺たる結果だったのは御察しだ。
翌日、ユートがロウ・ギュールのホームという名の艦にムウ・ラ・フラガ大尉用のジンを取りに行く、其処に居たのは藍色掛かった黒髪の下に水色という地毛としては少し変わった髪の少女。
「ユートさん、完成したよ」
「ああ、助かるよニカ」
名前はニカ・ナナウラ、今の世界の前の宇宙世紀な世界より更に前の世界で最初に出逢っている原典の存在、偶々拾った小汚い格好をした少女だったけど機械に強くて技術者として、ユーキからも教えを受けて技術力を高めていった。
あの世界で最初に契約した【閃姫】でもある。
「それにしても、私達の世界や宇宙世紀の世界のMSとも違って普通のバッテリーで動くんだね」
「ニカの世界のMSもバッテリーはバッテリーだったじゃないか? パーメットを利用した強力なって但し書きが付くけど」
「あはは、まぁね」
パーメットとはニカ・ナナウラの出身世界となる【機動戦士ガンダム 水星の魔女】世界、その固有物質の事で彼方でもそれなりに新種の元素として発見をされていた。
パーメット自体はユートが生成する事が出来るとはいえ、現状では特に必要性が高い元素という訳でも無いから彼女達のMSは、見た目だけ彼方の世界のMSでしか無くてパーメット・スコアがどうとか叫んだりもしない。
事実、ガンダムエアリアルもエスカッシャンの射出には別の技術を使っている。
「ジンの顔は別物にしたけど良かったんだよね」
「ああ、鹵獲した機体をそのまんま使っていたらZAFTを余計に刺激するからな」
ユートがふと、ニカ・ナナウラの造り直したMSを見遣ると……
「これ、ルブリスじゃん」
其処には威風堂々と、ガンダム・ルブリス? が鎮座していた。
「え~っと、手違いって云うか魔が差して?」
「……エアリアルにしなかっただけマシかね」
取り敢えず前を向いて歩こうと考えた様だ。
ガンダム・ルブリスはニカ・ナナウラの出身世界のMSであり、ガンダム・エアリアルから視れば前の世代に当たる“GUNDーARM”である。
そしてあの世界に於けるガンダムというMSは、即ち“GUNDーARM”のシステムを積んでいた。
「ほら、これを使う人って私達の世界で使われているシステムと似た武装を使うんでしょう?」
「そうだな」
ガンバレルやドラグーン、浮遊砲台的な武装をガンダム・エアリアルやルブリスも持っている。
次世代群体遠隔操作兵器――GUNDビット。
「勿論だけどガワだけだよ? ビット兵器にしてもGUNDビットじゃ無いしね」
「本当にGUNDーARMなら、フラガ大尉には使えないポンコツに成り果てる」
「うっ!」
それは非常に困る事態だ。
「ユートさん、幾ら何でも私が本物を造るというのは無理に決まっているよ~。だってパーメットが無い世界なんだから。勿論、ユートさんが造ってくれれば可能かもだけど」
「そりゃ、そうだね」
パーメット自体が【機動戦士ガンダム 水星の魔女】の世界の固有物質、その前に居着いた世界の【機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ】の世界の火星に存在したハーフメタルみたいにだ、だからこそ本当にガンダム・ルブリスという姿をしているのはガワだけに過ぎなかった。
一度でも【
「名前はルブリスって事で?」
「そ、そうだね」
ガンダム・ルブリスと呼んでも差し障りは無いだろう、この世界でガンダムを『ガンダム』と呼ぶのはユートみたいな外様かキラ・ヤマトくらいでしか無いのだから。
「じゃ、納品完了だな!」
ロウ・ギュールがサムズアップして言う。
「それで、場所代とか足りてないパーツを使った代金だけど?」
「約束通りにジンの余りパーツで構わないぜ! 四機のジンで実際に使ったのは二機だけだったからな、こっちには丸っと二機分のジンが残ってんだぜ? 充分充分!」
MSは最近になって現れた兵器で、それだけに未だ需要に供給が追い付いている訳では無い。
ジンはジャンクも含めればそれなりに数が出ているとはいえ、新しい量産機を隊長機としたジンとの複合部隊で普通に使われる。
傭兵も裏から手を回して手に入れている状態、これが例えば二年後にセカンドステージとしてのMSが確立されたなら、旧世代のジンが払い下げされる可能性も有るのだろうけど。
「そ、それでね……ユートさん……折角だから、ね? 今夜くらい……」
真っ赤な顔、潤んだ瞳、艶やかな唇が色気を醸し出して、ニカ・ナナウラがユートに御強請りしてくる。
察したユートはニカ・ナナウラを抱き上げて、ルブリスを亜空間ポケットに仕舞うとホームの者に別れの挨拶をして木星へ、そして彼女の私室で望みをタップリと聴いてやるのだった。
因みに、次世代群体遠隔操作兵器を視ていた為にかロウ・ギュールは、後にXアストレイを造る際のドラグーンに原典より二割増しな性能を与える事に成功したのだと云う。
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