ガンダムシリーズ【魔を滅する転生頑ーSEEDー】   作:月乃杜

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第16話:MSシミュレーション

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 ルブリスの活躍は存外と早いのかも知れないのではないかと、原典を識るユートはいずれ来るであろうZAFTの事を考えながら、ラクス・クラインと仲良く昼餉を摂りながら考えるユート。

 

「まぁ、それではZAFTで造ったジンを新しい姿に変えてしまったのですか?」

 

「ああ、ルブリス……と名前も変えたからZAFT側もジンだとは気付けないんじゃないだろうか?」

 

「それは面白そうですわ。それでルブリスというのはどんな機体ですの?」

 

「これだよ」

 

 ユートはスマホに写るルブリスをラクス・クラインへと見せた。

 

「あら、これは?」

 

「うん? ああ、そういやこの時期はガラケーが出回っていたな」

 

 マユ・アスカのピンクのガラケーは有名だし、抑々にして【機動戦士ガンダムSEED】が放映をされたのが西暦2002年の事で、この頃はガラケーが普通に携帯電話としての役割を果たしている。

 

 ガラパゴスケータイ――ガラケーなどと揶揄をされたりもしていない。

 

(マユ・アスカか、普通に可愛いのに回想の中でグチャグチャにされたんだよな。しかも不殺とかやってるキラのフリーダムガンダムに巻き込まれる形って、シン・アスカに恨ませる為に殺ったとしか思えないよな~)

 

 それでは、マユ・アスカが単なる舞台装置だ。

 

「どうかしましたか?」

 

「ちょっとね」

 

 ユートは誤魔化しながら食事を口にする。

 

「そうそう、次にZAFTのローラシア級やナスカ級が来たら君を彼方側へと返す予定に成っている」

 

「宜しいのですか?」

 

「これはアークエンジェル正規軍人で上層部からの正式な見解だ。別に僕の独断じゃ無いから安心をして欲しい。イージスガンダム、アスラン・ザラが乗っている機体に渡す事になる」

 

「判りましたわ、それではわたくしはユート様が出撃をするのを待って居りますね」

 

 判っていたが中々に気骨が有る答えだった。

 

 魅力的な笑みを浮かべるラクス・クラインは、全幅の信頼をユートに置いていると謂わんばかりであり、ならばその信頼に応えなければ男が廃るというものであろう。

 

「さて、それじゃまた夕餉で」

 

「はい、ユート様」

 

 いつもの通りに、二人分の食器を片付ける。

 

 途中でフレイ・アルスターに会うが、咎める様な目で――『よくコーディネイターと仲良く出来るわね』と語っているかの如くだった。

 

 ユートからしたら物腰の軟らかい、言葉遣いも至極丁寧であり、ナチュラルにおかしな偏見などを持たずに接してくるラクス・クラインとの会話は愉しいし、厭な気分には成らないのだから少なくとも、“ブルーコスモス”の言い分を鵜呑みにしてコーディネイターを嫌う彼女よりは余程良い。

 

 食器を片付けてから格納庫に向かうと、其処にはシミュレータに群がるキラ・ヤマトと愉快な仲間達の姿が有り、モニターに映る映像を真剣な目で見詰めている様子だった。

 

 特にミリアリア・ハウは真剣味が違っている。

 

(はて? 彼女ってあんな感じじゃ無かった気がするんだけど)

 

 闘いを厭い、それでも戦場カメラマンとして活躍をする様に成った……というものであったし、恋人を亡くしてからは少し不安定で捕虜と成ったディアッカ・エルスマンに攻撃的、というよりは明確に攻撃をしていたけれどそれは精神的な意味で仕方が無いであろう。

 

「えっと、ミリアルド……」

 

「だ~れが火消しの風ですか!」

 

 名前を間違えたユートに、ミリアリア・ハウがジト目で視てくる。

 

「って、火消しの風って何?」

 

 変な電波を受信したのか、自分でも何を言ってるのか理解してない。

 

「そんな事より、随分と真剣に観ていた様だが、まさかMSに乗りたいなんて莫迦な事を言ったりしないよな?」

 

「莫迦な事って……」

 

 プクッと膨れっ面に成る。

 

「そんな莫迦を遣らされている僕って……」

 

 そしてキラ・ヤマトは何気に落ち込んでいた。

 

「キラは良くって私は駄目? 女じゃ足手纏いに成るって言うの?」

 

「違うよ。抑々、僕の【閃姫】にMSパイロットは比較的に居るんだぞ? 性別なんぞ関係無いさ。言いたいのはオーブの近くにでも寄れれば一般人として戻れるのに、アークエンジェルでMSのパイロットに成ってしまったら、唯でさえ連合軍に入隊をしているのに抜けられなくなるぞ!」

 

「あ、それは……」

 

 単なるブリッジクルーの二等兵とMSパイロットの准尉では扱いが違うし、触れる機密事項も多くなるから一時的にブリッジクルーとして二等兵という、誤魔化しみたいな身分とは違って普通は除隊も赦されなく成り兼ねない。

 

 否、本来なら軍に入った時点でアークエンジェルの機密を知るとして除隊は不可能だったけど、それを質の良い大人が手を回してくれたからこそ除隊を赦されたのだ。

 

 結局はしなかったが……

 

「じゃ、じゃあさ、木星軍? って事にして貰ったり? なんて」

 

「ハウは既に連合軍入りしているから難しいな」

 

「そっか……って、私の事は名前で良いわよ」

 

「長いからな~」

 

「ミリィで良いって。皆もミリアリア何て呼ぶ人の方が少ないもの」

 

「判った、ミリィ」

 

「うん!」

 

 『ミリィ』と呼ばれたのが余程だったのか? 嬉しそうに頷いた。

 

「木星の軍より、君らはオーブの軍に入るのが筋だと思うんだがね」

 

『『あっ!』』

 

 オーブに実家が在るのだから当然の流れだが、すっかりと忘れ去っていたのかも知れない。

 

「それと……だ、木星軍というのは確かに在るがそれは飽く迄も木星圏で木星帝国、ジオン王国、ザビ星国を護る為の言うなれば騎士団だからな。地球圏で動いているのは傭兵団【スプリングフィールド】なんだ」

 

「傭兵団……」

 

「序でに言うと、僕の護衛をしている者も居るけどな。とはいえ、基本的には何もしないから助けて貰えるとは思わない様に」

 

「え、何で?」

 

 トール・ケーニヒが驚く。

 

「護衛とは言ったが、僕が傭兵団のトップだから一応付けているだけだし、何なら傭兵として仕事をする際にあの子らに割り振るからな」

 

 因みに、現在の護衛はガンダム・エアリアルに乗るスレッタ・マーキュリーと、ガンダム・ルブリスに乗るミオリネ・レンブランと成っていて、可成り遠くで此方を視ているという状態だ。

 

「取り敢えず、出撃はしないようにしろよ」

 

「え、でも……」

 

「物理攻撃に強い耐性が有るストライクガンダムなら未だしも、仮にジンか何かで出たら君らの腕では直ぐに撃墜されて死ぬだけだぞ?」

 

「う……」

 

 撃墜という科白に、ミリアリア・ハウが息を呑み言い淀んでしまう。

 

「まぁ、アークエンジェルに被害を出しても良いならビームを無効化するMSが無いでもないがね」

 

「そんなMSが!?」

 

「アークエンジェルが壊れるから使えないよ」

 

「そ、そうなんだ」

 

 それはエイハブ・リアクターを使ったMSの事であり、そのMSにはナノラミネートアーマーという粒子を塗布されていて、これがビームを無効化してくれる上に物理的なダメージも軽減する。

 

 但し、エイハブ・リアクターが放つエイハブ・ウェーブが在ったればこそだけど、エイハブ・リアクターの波動は精密機器に悪影響を与えてしまうから、あの世界でも都市部で使うのは禁忌とさえされていた。

 

 ハーフメタルという防ぐ為の手段は有るけど、あの世界の火星でしか採取が出来ないからどうにも成らない……事も無いが、いずれにしても現在のアークエンジェルをエイハブ・ウェーブから守る手段は無い。

 

 今現在、アークエンジェルは味方側でマリュー・ラミアスとは唇を肌を重ねるだけの仲だが、ユートは地球連合を政府も軍も好いてないのだから物も技術も与えたくなかった。

 

 精密機器を駄目にする半永久エネルギー炉と成るエイハブ・リアクター、その欠点を克服する事が可能なハーフメタル……連合に渡したならば、間違いなく碌でもない事にしか使わないだろう。

 

 勿論、現在は絶賛敵対中のプラントにも当然の事ながら渡せない代物、あのナチュラル憎し急先鋒なパトリック・ザラや世界の破滅を望んでいるラウ・ル・クルーゼに渡せる筈が無い。

 

 パトリック・ザラだけなら或いは、本当に或いはレニィ・サーラ――レノア・ザラが生きている事を教え、彼女を返還すれば正気に戻る可能性が〇では無いのかも知れないが、ユートの見立てではラウ・ル・クルーゼが横槍を入れてきそうで、結局はレノア・ザラが殺害されてナチュラル憎しを弥増すだけだと考えている。

 

 還してしまったらユートも護れなくなるから、単に彼女を死なせるだけという最悪な結末に成るだけであり、ユートのエゴだけなら押し殺して返還をしても良かったのだが、全くの無意味に成ってしまうとそれこそ後悔してもし切れなかった。

 

 故に、エイハブ・リアクターやハーフメタルを供出するのは有り得ないという結論である。

 

(まぁ、エイハブ・リアクターのエイハブ・ウェーブをハーフメタルで防ぎつつ、機体レベルでならナノラミネートアーマーも使えるって技術なら確立をしているし、実証機のレオーネも持ってはいるんだけどな)

 

 レオーネはリーオーの改修型、初出と成るのは【新機動戦記ガンダムW GーUNIT】からだ。

 

 リーオーの躯躰にエアリーズの腕や脚を取り付けて纏めた感じに造られており、見た目には女性の肢体みたいな線に成っているから女性が扱うと華が有るのかも知れない。

 

 尚、原典で乗っていたのは普通に男である。

 

 前の――宇宙世紀の世界で使ってみたのだが、取り敢えず防御力は折紙付きでヒートホークやらヒートサーベルを防ぐし、ビーム攻撃が普通に成ってきてもナノラミネートアーマーに隙は無い。

 

「あの、パイロットに成るかどうかは別にしても技術は有った方が良いので、若し良ければ筐体の中で操縦を教えて貰えませんか?」

 

「うん? 構わんよ」

 

 ユートはミリアリア・ハウとシミュレータの中に入ると、彼女を膝に乗せる形で先ずは自分自身が操縦をして動き方を確りと見せてやる。

 

 これだと彼女の重みや温もりが確りと感じられて役得感が有り、不覚にも少しJr.が反応をしてしまい半勃ち状態に成ってしまっていた。

 

 ミリアリア・ハウもそれをお尻に感じていて、真っ赤な顔に成りながらも真面目な表情で聴く。

 

 ミリアリア・ハウが操縦する時はシートを譲っており、背後の空いているスペースから助言を与えていくのだけれど、それが耳許で囁く形に成って息遣いが聴こえてくるのや、息が吐き掛けられてくるので更に顔を紅く染めていた。

 

 真面目に教えを受けているのでユートの持っているスキル――【教導:B】の効果も在ってか、ミリアリア・ハウの腕前はそれなりにではあるけど着実に上がっている。

 

 このスキルの効果はやる気と資質が有れば必ずモノに成るという、どちらも無ければ当然の事だけどモノには成らないだろうし、どちらかしか無いなら上昇値は低いだろう。

 

 尚、資質は有ってもやる気が無いなら実力が上がるという事は無い。

 

 実の処、このスキルはハルケギニア時代に自覚をしたモノだから付き合いも可成り長かった。

 

 能力的には教えればやる気と資質次第でモノに成る程度だが、魔法を魔力持ちながら使い方も知らない人間に教えれば確実に使える様に成る為、或る意味に於いては教師が天職なのではなかろうかとも考えた事がある。

 

 そしてミリアリア・ハウは何故かは窺い知らないけど、原典とは違ってパイロットに成りたいとは本当に思っているらしく、真摯な態度を取りシミュレータの操作をしていた。

 

 きちんと授業を真面目に聴いてくれる生徒というのは、教師として視ればとても気分良く仕事が出来るので上手く遣る毎に褒め讃え、とても上手く遣れたのなら頭を撫でてやるくらいはする。

 

 嘗て、再誕世界の麻帆良学園都市女子中学にて二年A組――後の三年A組の副担として配属された訳だが、これが不真面目一辺倒な生徒が多くて困り者だったのだから頭が痛くなったものだ。

 

 勿論、本屋ちゃんとかを筆頭に真面目な生徒も居たには居たのだが、割合としては騒ぎを引き起こす生徒や真面目に勉強しない生徒、サボタージュをする六〇〇年モノな吸血姫とか様々に。

 

 今や実にその中の九割もがユートの女として【閃姫】契約をしていたりするが、生徒に手を出した鬼畜教師? などという不名誉極まりない噂は一つも出てはいない。

 

 尚、手を出していないのはビジネス的な意味で契約を交わしたか、或いは双子の兄として生まれたネギ・スプリングフィールドと懇ろに成ったかのどちらかである。

 

 まぁ、実際に三人だけがユートの【閃姫】に成らなかったと云う。

 

 即ち、早乙女ハルナと四葉五月がビジネス契約を交わした二人で、佐々木まき絵がネギ・スプリングフィールドとくっ付いた義姉だ。

 

 実はそれなりに前の話だが、ちょっと扱いに困る世界に跳ばされてしまった事が有ったのだが、その際に【閃姫】では無いけど契約は交わしていたから喚び出して、早乙女ハルナの同人作家としての腕前を存分に披露して貰う事に成った。

 

 四葉五月は“超包子”の本格的な経営を行いたいと言うのでビジネス契約を交わして、彼方此方の世界で“超包子”の店舗を展開している。

 

 それは宇宙世紀の世界でも、水星の魔女の世界でも、鉄血の孤児達の世界でも同様であった。

 

 勿論、世代の世界や再征服の世界や革新者の世界や新世紀の世界や新戦記の世界でも其処ら辺は矢張り同じくな訳だ。

 

 因みに、行った順番は最後の記述から順繰りに成るので【機動戦士ガンダムSEED】の世界が最新であり、【新機動戦記ガンダムW】の世界が最古の世界という事になる。

 

 故にこそ、ユートは最古のガンダム世界のMSであるリーオーをよく用いていた。

 

 

 閑話休題

 

 

 ふと、ミリアリア・ハウがユートを見遣る。

 

「えっと、何ですか?」

 

「うんにゃ、昔に僕は教師をしていた事があったんだけどさ」

 

「え? 教師って」

 

「ミリィみたいに素直で真面目な、習い事を頑張ってる生徒って本当に一部だけだったなってね」

 

「そ、そうですか?」

 

 どういう訳か、バツの悪い表情で照れていた。

 

 然しまさか、ユートが一〇歳の時の話で生徒が一四歳程度の女子中学生だとは思うまい。

 

 キラ・ヤマトのお仲間にはカップルと呼べるのが二組居る、ミリアリア・ハウ&トール・ケーニヒとサイ・アーガイル&フレイ・アルスターで、前者はそれなりに公然とイチャイチャもしているのだが、後者は正確には親同士で決めた婚約関係という事に成っており、それでも甘え上手なのかフレイ・アルスターはサイ・アーガイルとの関係を上手く立ち振る舞っていた。

 

 然しながら原典ではトール・ケーニヒが死亡し、ミリアリア・ハウは御一人様の状態に成る。

 

 また、フレイ・アルスターはキラ・ヤマトに闘いを降ろさせない為に甘え上手を発揮してやり、肉体関係にまで及んで父の仇たるコーディネイターを殺させようとしていた。

 

 尚、そのコーディネイターの中にはキラ・ヤマトも入っている模様。

 

 詰まり、最初に組んでいたカップル関係は悉くが崩壊をしていた。

 

 味方側では無いけど、それを言ったらアンドリュー・バルトフェルドとアイシャのカップルも、戦争という悲しい出来事の中の事とはいえ彼女(アイシャ)の戦死によって折角のカップルが崩壊をしている。

 

 アニメで観たユートはアイシャの死を悲しみ、漫画でマーチン・ダコスタが二つのカプセルを護っていた事から或いは……とか思っていたのに、復活したのがアンドリュー・バルトフェルドのみだったのを憤ったりもした。

 

 関係は無いが、オーブ三人娘が雑に殺されたのは『ハァ?』とユートも声を上げたものである。

 

 雑事は扨置き、ユートはミリアリア・ハウの考えが少し読めない。

 

 何故か普通より上の好意が見え隠れしていて、このシミュレーション筐体の中とかいう密室内でキスを求めたら、下手するとミリアリア・ハウはそれに応じそうな程だ。

 

 其処で『試してみようかな?』と考えてしまうのがユート・クオリティーであり、流石に本気でヤバいとも思ってるから実行には移さない。

 

(というかだ、僕は嫌だぞ? フレイを挟んでのキラとサイみたいな遣り取りをするってのはな)

 

 あれはアレで迷言だったとは思っているけど、実際に発する側に成るというのは如何なものか?

 

 飽く迄も迷言なのだから。

 

 和気藹々な雰囲気、其処へけたたましいアラートが鳴り響いた。

 

 

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 今回はアニメを観返さず書いたから噺が全く進まなかった。


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