ガンダムシリーズ【魔を滅する転生頑ーSEEDー】 作:月乃杜
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キラ・ヤマトはユートから今回の戦闘に関しての作戦を言い渡されており、それは敵の戦艦――恐らくはナスカ級が第八艦隊の先遣艦モントゴメリィに対し、攻撃を仕掛ける可能性の示唆とそれを防ぐ為に必要不可欠な装備をストライクガンダムに着けた事、その装備の正しい使い方と使う場合の合図やユートの立ち回りなどを
『良いか? ナスカ級がモントゴメリィを撃つ時に使うのはミサイルとかでは無くて、先ず間違いなく粒子砲――ビーム兵器だ。万が一にもミサイルならPS装甲の侭で盾に成れば良い、然しビームならPS装甲では防げないよな?』
『う、うん』
『その場合はPS装甲を切れ』
『ええっ!?』
余りに思い切りが良過ぎな話、それに目を見開くキラ・ヤマト。
『ま、待って……舞うんじゃ無くて! PS装甲は戦闘で要に成るんだよ! 切れって、それはもう僕に死ねって言ってるみたいなものじゃないんですか! そ、そんな……無茶苦茶な事っ!』
必死過ぎるキラ・ヤマトの態度、だが然しそれをユートは一蹴。
『ストライクガンダムに装備したのは、ABF――アンチ・ビーム・フィールドと呼ばれる木星圏では割と使われている物だ。物理に対して現状では無敵に近いPS装甲の類いは無く、だから普通に物理的な攻撃は効くんだけどビーム兵器も発達していてね、そんなビーム兵器に対抗する兵装の方も発達をしてきた』
現在の地球連合やZAFTでMSサイズのビームは“五機のG兵器”、そしてガンダムアストレイへと装備されている物くらいでしか無い。
戦艦クラスなら在るには在る。
だからこそ、未だにビーム兵器に関しての防衛は滞っていたし、ZAFTからして実弾兵器や実体剣を使っていたから仕方が無いだろう。
要はビーム兵器を初めて完成させたのは対外的にはオーブであって、そのデータから地球連合軍やZAFTもビーム兵器を取り入れた。
まぁ、木星圏では他の世界から技術を取り込んでいるから疾うにビーム兵器を使っていた上に、こうして対ビーム兵装も開発が成されているからこそ、今回のストライクガンダムの戦闘に間に合わせられたのだ。
『小難しい事を言ってもエンジニアでは無いキラには、即理解をしろと難しいだろうからそちらに関しては面倒だし言わない。要点はPS装甲の起動で起きる装甲のフェイズシフト現象に、ABF起動に於ける滞留粒子が干渉をしてしまって使えなくなる事が確認されている。従ってABFを使いたいならPS装甲は使えない、ミラージュコロイドみたいに併用が出来ないんだよ』
『そ、そういう事ですか』
確かに専門用語で小難しい話をされたとして、エンジニアでは無いのだから一から一〇まで理解は叶わないが、要するにPS装甲とABFは併用が出来ないと言われたら頷ける。
事実、ミラージュコロイドみたいな併用が出来ない兵装は確かに存在するから、同じ様な代物であると言われればキラ・ヤマトも納得だ。
イージスガンダムとブリッツガンダムを相手に闘っていたキラ・ヤマト、その際にユートからの通信による合図が有ったのでモントゴメリィを見遣れば確かに、件のナスカ級からの攻撃が無防備にも近いモントゴメリィを狙っている。
「させるか!」
守りたいのはモントゴメリィでも連合の将校でも、況してやブルーコスモスの末端構成員なジョージ・アルスター事務次官などでは決して無く、只管にフレイ・アルスターの心を――仮令彼女が友達の婚約者なのだとしても、一度は憧れていた
その時、ナニかが頭の内で弾けたイメージが湧いて、行き成り全てがクリアな世界に変転した。
純粋な誰かをナニかを護りたいという意志が、それこそキラ・ヤマトのSEEDが覚醒をする条件であったのかも知れない。
最速の疾さにて最短のルートを唯真っ直ぐに、そして一直線に突き進むストライクガンダム。
〔キラ、行かせはしない!〕
アスラン・ザラが叫ぶと、イージスガンダムをMA形態たる異形へと変形させて、ストライクガンダムにスキュラを撃ち放つ。
「やらせないのは此方だ!」
ユートがスキュラの射線に割り込みを掛けて、左腕へと装備をされたビームシールドを起動した。
宇宙世紀の世界、ガンダムF91が装備をしてより璽来、使われてきたビームシールドだったけどVガンダムや後継機のV2ガンダムも使っていたという由緒正しき装備。
〔防いだだと!?〕
驚愕のアスラン・ザラ。
〔アスラン!〕
瞬間的に無防備なイージスガンダムの援護をするブリッツガンダム、その攻撃にもビームシールドによる防御は確かなモノである。
その間にも加速するストライクガンダムだが、遂にモンゴメリの前に到達をしたと同時に放たれたナスカ級からのビーム、クリアな頭が何をするべきか高速で算盤を弾き出し、PS装甲をオフに。
ストライクガンダムは灰色に戻ってしまうが、直後に後付けされていたスイッチをオンにした。
ABFの起動により粒子滞留がストライクガンダムの装甲に貼り付く形で付与し、それが強力無比な謂わばIフィールドを形成してくれる。
ABFとは即ち何の事は無い、装甲を覆うという形にてIフィールドを形成させる粒子兵装だ。
ナスカ級の攻撃に晒されたストライクガンダムだったが、そのビームはボディに届く前に拡散を余儀無くされて対消滅に近い形で消える。
それを視ていた金髪仮面。
「莫迦な!?」
目の前の現象がとても信じられなかった様子。
「キラ、よくやった」
ABFの機能はきちんと動いてくれてたらしく、確りとストライクガンダムの防御は働いた。
「モントゴメリィッ! 早くこの戦域からの離脱をして下さい!」
〔わ、判った!〕
モントゴメリィの艦長たるコープマン大佐は、キラ・ヤマトからの願いに頷いて操舵士へ直ぐに撤退を命じる。
〔莫迦な! それでは娘に会えんではないか!〕
〔事務次官、いい加減にして下さい! この侭では本艦は撃墜され二度と会えなくなりますよ!〕
〔ううっ!?〕
そんな遣り取りが聴こえて来て、流石に諦めたのか静かになる。
モントゴメリィは反転して暫くしたらユートの目にも映らなくなるくらい遠くへ、ストライクガンダムを加えての戦闘だったけどZAFT側は既にデュエルガンダムが合流、二対三と結局は数的な不利は変わらない状況らしい。
バスターガンダムはムウ・ラ・フラガ大尉が、ルブリスのビットステイヴで翻弄をしていた。
〔最早、逃がさんぞ銀色!〕
デュエルガンダムからオープンチャンネルにより叫び声、何処かのMFのガンダムファイターみたいな声でイザーク・ジュールのモノ。
「逃げる心算は無いさ!」
〔な、何だと!〕
「話が進まん。現在は完全なオープンチャンネルでアークエンジェルとお前らのナスカ級やローラシア級にも聴こえる様にしてある」
〔黙れ貴様ぁぁっ!〕
ビームサーベルで斬り掛かって来たデュエルガンダム、相変わらず気が短くて荒い気性な男だとユートは溜息を吐きビームシールドで防ぐ。
〔ぬあっ!?〕
驚愕するイザーク・ジュール。
元々の対ビームシールドもビームを弾く効果は有ったけど、ビームシールドであるならばそれを遥かに越えた防御性能を発揮してくれる。
「イージスガンダムのアスラン・ザラ、聴こえているな?」
〔な、何だ?〕
「この機体、シルバーフレームには現プラントの評議会議長シーゲル・クラインが御令嬢である、ラクス・クライン嬢が乗っている」
〔なっ!? ラクスだと? まさか人質かっ! 銀色のパイロットめ、何て卑劣な奴だなんだ!〕
「黙れ、そして聴け! アスラン・ヅラ!」
〔し、失礼な! 誰がヅラだぁぁぁああっ!〕
若しかしたらアカデミー時代に当て擦りをされた経験が? とか思うくらいに激昂をしてきた。
「怒るなよ、お前らだって『銀色』だとか『脚付き』だとか適当な渾名で呼んでいるじゃないか。だから、此方も適当な渾名を呼ぶ。Win Winってやつじゃないか?」
〔うぐっ!?〕
「僕の機体の正式名は、ガンダムアストレイ・シルバーフレームだ。長いしアストレイは他に四機が存在するし、量産型もM1アストレイって名前だからシルバーフレームで良いぞ? 実際、プロト・アストレイはフレームの色で呼ばれるからな」
〔りょ、了解した。君の機体を今後はシルバーフレームと呼ぼう〕
ヅラ呼ばわりが余程に嫌だったのか? アスラン・ザラはシルバーフレーム呼びを了承する。
秘匿回線でイザーク・ジュールがニコル・アマルフィと話す。
〔おい、俺らも下手な呼び方はしない方が良さそうだぜ?〕
〔確かに。おかしな渾名を連合内で広められたら困りますね〕
ニコル・アマルフィも苦笑いを浮かべていた。
「僕が言いたいのは、彼女は漂流をしていたのを倫理的な観点から保護をした。然しまさか連合の基地や本拠地に連れては行けん、だからこうして連れ出して返還をしようと云うんだ」
〔返還だと!?〕
「そちらもアスラン・ザラは婚約者だろうから、父上辺りから命令を受けたんじゃないのか?」
〔それは……〕
原典で確かに命じられているが、ラクス・クラインを無事に連れ戻って凱旋をするだけであればいざ知らず、場合によっては遺体に縋り付いて涙を流すのも役割だとラウ・ル・クルーゼから言われている為、生きて帰るのであればそれは確かに最上の結果であろう。
「コックピットを開けてくれるか、此方も開けてラクス・クライン嬢を引き渡す」
〔判った〕
アスラン・ザラが親友のキラ・ヤマトであるなら兎も角、戦場で見知らぬナチュラルを信用しているのは、ラクス・クラインの状況が得ている情報と同じだったから。
それに、ストライクガンダムが――キラ・ヤマトが一緒に居るから……というのも確かに有る。
ユートが先にコックピットハッチを開いたら、確かにノーマルスーツに身を包む誰かが居るのを確認し、アスラン・ザラもコックピットハッチを開いて姿を見せた。
「ラクス、ヘルメットで顔が見えていないんだ。声を掛けてやって自分が本物だと証明をして」
「ええ、判りましたわ」
原典とは異なって予め話は付けてある為にか、それに頷いてアスラン・ザラに話し掛ける。
「こんにちは、お久し振りですわねアスラン」
「確認した、ラクスを此方へ」
アスラン・ザラはコックピットから出て立ち、ユートに促されてラクス・クラインはシルバーフレームからイージスガンダムへ、彼の手を取ってその隣へと立った。
婚約者が居る身のラクス・クラインに浮気同然な事をヤらせてしまったが、美少年の隣に立った美少女の図は矢張り美しいものである。
最後までヤった訳では無かったし、キスまでだからセーフ――そんな訳は無い――であろう?
「色々と良くして下さり有り難う御座いますわ、ユート様。アスラン、貴方も」
キスまでしたのに今は未だ『様』が取れない、或いはちょっとヤり過ぎてしまったのかも?。
「キラ、聴こえているだろう?」
「……アスラン」
親友の叫びに、キラ・ヤマトもコックピットを開いて外へ出た。
「お前も一緒に来い! お前が地球軍に居る理由が何処に有る?」
「ぼ、僕だって! 君と闘いなんてしたくない。でも……あの艦には護りたい人達が、僕にとっての友達が居るんだぁぁぁっ!」
どちらも哀しそうな表情をして、ラクス・クラインも気遣う表情に。
「くっ、ならば仕方が無い。次に会った時には……俺がお前を討つ!」
哀しい決意を表明され……
「僕もだ!」
彼と同じく、自らも決意の表明をしたキラ・ヤマト。
一時は中断されていた戦闘、然しラウ・ル・クルーゼがこれを好機と視て真っ白な隊長機シグーに乗り、ナスカ級からの発進をしてきた。
「クルーゼ隊長!?」
〔アスランはその侭下がれ!〕
浮き足立っているからこそ、戦闘を再開させる心算なのだろう。
だが然し、シグーが出てきた時点でラクス・クラインが口を開く。
「アスラン、少し御借りしますわ」
「え?」
オープンチャンネルでラクス・クラインが話しを始める。
「ラウ・ル・クルーゼ隊長!」
「む?」
オープンチャンネルな上に、ラウ・ル・クルーゼの乗るシグーへ直接的な通信まで入れていた。
「止めて下さい。追悼慰霊団のわたくしが居る場所を、戦場にする御心算ですか?」
(チィッ、こんな時に何を?)
原典的にこうなる可能性は充分に有ったので、ユートはシグーが現れたならラクス・クラインに彼を止める様にと要請しており、彼女も追悼慰霊団という立場上から望む処だったから。
「そんな事は赦しません、すぐに戦闘行動を中止して下さい!」
ナスカ級の艦長フレデリック・アデスも動揺をしている。
「聴こえませんか?」
ラウ・ル・クルーゼは『困った御嬢様だ』と、舌打ちをするしかなく了承せざるを得ない。
「了解しました、ラクス・クライン!」
已むを得ず、シグーをナスカ級のヴェサリウスへと帰投させた。
ラウ・ル・クルーゼの乗るシグーのみならず、デュエルガンダムやブリッツガンダムも帰投をするしかなかったし、イージスガンダムも既に下がれと命じられていたから帰投。
「って、俺を置いてくな!」
ビットステイヴに傷だらけにされたバスターガンダムも、這う這うの体で自分達が母艦としているローラシア級ガモフへと帰投をする。
「よし、これでハルバートン提督が指揮をしている第八艦隊に合流をするまでは攻撃も有るまい」
「んじゃ、戻るとしますか」
ユートの御墨付きを得てムウ・ラ・フラガ大尉もにこやかに言い、アスラン・ザラとの決別には涙を流しながらキラ・ヤマトも帰投した。
取り敢えずは、ユートからしたら最上位の結果を得られたのでは無いだろうか? と自画自賛をしてしまいたくなるくらい巧く遣れた筈。
人質騒ぎを起こす事無くラクス・クラインを返せたし、先遣隊のモントゴメリィが撃墜されなかったからフレイ・アルスターの父親ジョージ・アルスターが死ななかった為、彼女がヤンデレ化をする事も無くなったのでキラ・ヤマトに妄執をぶつける事も無いであろう。
個人的にはブルーコスモスなど末端とはいえど大嫌いだし、ジョージ・アルスターが死んだとしても別に哀しいとも思わなかったであろうけど、問題なのはキラ・ヤマトへと妄執をぶつけた挙げ句の果てに抱かれ、サイ・アーガイルとは別れてしまった事でキラ・ヤマトとサイ・アーガイルの仲が微妙なモノになってしまうし、余り宜しくない結末と成るのだから仕方が無かった。
この先、フレイ・アルスターがどちらとくっ付こうがユート的にはどうでも良い話ではあるし。
とはいえど、ラクス・クラインをキラ・ヤマトから奪った感は有り、どちらかと云えばキラ・ヤマトとくっ付いてくれると気が楽だ。
どうぜ、サイ・アーガイルは原典でもフラれた形に成るのだから。
「キラッ!」
何だか緑髪の少女がチェキでもしていそうだったけれど、キラ・ヤマトへと一番に声を掛けて来たのは件のフレイ・アルスターであった
重力が無いのを良い事に、フレイ・アルスターが飛び出してストライクガンダムのコックピットから出たキラ・ヤマトに抱き付き、そして嬉し泣きをしながら抱擁を交わす。
「え、フレイ?」
サイ・アーガイルの婚約者という事もあって、更にはコーディネイターが嫌いみたいだったから初めから高嶺の花と諦めていただけに、抱擁をされてちょっと嬉しいキラ・ヤマトだったのだが、突然の事に慌てふためくしか無い。
肉体的には折角の柔らかく大きな胸部装甲も、着ているノーマルスーツに阻まれて柔らかさや温もりを感じられないが、ヘルメットを脱いでいたからフレイ・アルスターの頬の感触は抱擁により確りと味わえたので半勃ちに成ってしまう。
「有り難う、キラ! 約束を守ってくれて。パパを助けてくれて!」
「う、うん。君のお父さんを救えて良かったよ」
感極まったフレイ・アルスター、キラ・ヤマトの頬へ軽くキスを。
「ちょっ!?」
真っ赤に成って叫びそうになる。
「こりゃ、まさかの結果……ってやつなのかねぇ?」
ラクス・クラインも居なくなり、マリュー・ラミアスはブリッジで艦長の御仕事中とあっては、ユートがちょっとばかり寂しい思いをしてはいるけど仕方が無いので、取り敢えず報告をするべくブリッジへと上がるユート。
「お疲れ様、ユート」
「取り敢えず作戦は成功した。ラクスはプラント側に帰ったし、彼女の呼び掛けで戦闘も終了だ。これで次は第八艦隊との合流まで時間が得られたって訳だな」
「詰まり、次にZAFTが襲って来るのはハルバートン提督との合流時。地球への降下も有るのだから気を付けないといけないわね」
真面目な顔で検証をするマリュー・ラミアス、ユートは苦笑いを浮かべるとミリアリア・ハウへ報告書を渡す。
「渡しておきますね」
「ああ、頼んだ。僕は部屋で休ませて貰うから」
シルバーフレームの本格的な改造はオーブへと着いてから、それまでは対処療法的な場当たりな改造で騙し騙しやっていくしか無かったし、ユートは自室で改造プランを練りつつもベッドに上がり、幾らかの時間を過ごしてから眠りに就いた。
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