ガンダムシリーズ【魔を滅する転生頑ーSEEDー】   作:月乃杜

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第三章:地上
第21話:オーブよりの刺客?


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 御機嫌な様子で会話をするミリアリア・ハウ、最近だと彼氏のトール・ケーニヒがMSパイロットに成りたがって困っていたが、自身もユート提供のシミュレーション筐体で試してみて割と愉しいゲーム感覚でプレイをしている。

 

 実際、このシミュレーション筐体は木星圏でもゲーム筐体として置かれており、若者のMS適性を計る物差し代わりに使われているくらい。

 

 本物のパイロットが筐体を使い、Gの掛かり方や攻撃を受けた際の衝撃を受けるリアリティー、四肢欠損時に起きる事故なども実際の操縦と変わらない事が示唆され、大人気のコンテンツとしてゲーム筐体という形でゲーセンのみならず、少し大型の店舗には必ず設置がされていた。

 

 木星圏は、基本的に三つの大国と二つの小国にて構成をされている、木星帝国とザビ星国とジオン王国という大国と、シン・セー公国とOZ女皇国の小国、この木星圏連邦国家体制を維持していく武力には矢張りMSが必須となる。

 

 元々は木星帝国の建国は決まっていた訳だが、宇宙世紀の世界で仲好く成ったセイラ・マスではあるけど、彼女がジオン・ズム・ダイクンの遺児である事は知っていてもユートがそれで躊躇う訳も無く、結局は相手側からも好意を持たれた事も手伝って彼の有名なる一年戦争の後に二つの大国を建国した。

 

 否、勿論だけど心情のみで動いた訳では無い。

 

 ユートにユーキが再構築したエピオン・システムが教える破滅の未来、最初に視せられた未来とは木星帝国総統クラックス・ドゥガチにより引き起こされた破滅、だけどそれは彼が率いた木星船団の者達が心安らかに暮らせる土地の提供をして、敢えて彼に木星帝国を建国させる事によって落ち着いた。

 

 だけれど、エピオン・システムは次から次へと新たな破滅の未来をユートに見せ付けてくる。

 

 その度にそれらを潰す。

 

 例えば“奇跡の子供達”と呼ばれる三人の少年と少女達、その内の一人がユニコーン型ガンダムの三号機であるフェネクスと一体化、大暴走を引き起こして結果として世界は破滅へ向かった。

 

 故にユートは一年戦争の最中に、コロニーが落ちたオーストラリアはシドニーへ行って、フェネクスに取り込まれる筈の少女を確保する。

 

 抑々が、コロニー落とし自体が破滅の未来へと導く要因だったから、ユートがコロニー落としを止めようとしたのは無理からぬ事だ。

 

 此方は世界の破滅を食い止めたいというのに、地球連邦軍やジオン公国やデラーズ・フリートや、更にはネオ・ジオンに新生ネオ・ジオンと莫迦をやらかす連中は多く、コスモ・バビロニアに木星帝国にザンスカール帝国、その後も宇宙は戦国時代に突入したりと本当に面倒臭い。

 

 まぁ、その分は宇宙世紀世界に返済をして貰うべくヒロインや、そうで無くても本来なら別の男と結ばれていた筈の少女や女性を『戴きます』しているが、ユートとしては文句を言われる筋合いでは無いとすら思っている。

 

 救われない破滅を止めたのだし。

 

 これがアニメの侭ならば、余程の事が無ければ回避された破滅だったのであろうが、実際に起きたら回避などとても出来る筈がないくらい、破滅の未来とは頑固な汚れの如く染み付いていたのだから。

 

 実際に破滅したアニメも有ったりするくらい。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 暫くの間は正しく束の間の平和と謂わんばかりに静寂に満ちた宇宙、相変わらずアークエンジェルの艦内では民間人のざわめきが大きいものの、問題自体は大きくないのでミリアリア・ハウだけでは無く、何の心算かフレイ・アルスターも艦内の手伝いを申し出て仕事に勤しんでいたからか、大分やり易くなっていたと皆が安堵している。

 

 問題が有るとすれば、フレイ・アルスターが主に世話を焼く相手がキラ・ヤマトだったくらい。

 

 身体を張って大好きな父親を救ってくれたのが決定的、婚約者となっていたサイ・アーガイルから気持ちが移ったのも仕方が無いのか?

 

 多少の暇を用いて、士官室の中でも一等上である艦長の部屋に入り浸る……程では無いけれど、ラクス・クラインの相手をしていたから放置気味だったマリュー・ラミアスと仲を深めている。

 

 彼女から『若い子が良いわよね』であるとか、『随分と放って置かれたから忘れちゃったのかと思ったわ』とか、兎にも角にも皮肉やら嫌味やらをたっぷりと言われてしまったので、半ば力業で強引に唇を奪って、寝技へと持って行っての快感でまともに口を開けない様にする。

 

 現在はぐったりと豊満な肢体を投げ出す様に倒れつつも、ユートに縋り付く様にガッチリ両腕で腰をホールドして来ているくらいだ。

 

 後はいつ出撃が来ても良い様に、確りと制服を着込んで待機をしているのだから真面目である。

 

 自室とはいえ、艦長が自身の指揮する戦艦の中で男を連れ込んだ挙げ句、ヤる事をヤっているのが真面目と称されるならば……だが。

 

 原典では不真面目な処は有れど、連合の軍人である事には違い無くて、しかも恋人に成ったのもアークエンジェルに乗り込んで暫くが経ってからだったムウ・ラ・フラガ、それ故に艦内でそんな関係には成らなかったのであろうけど、ユートは連合の軍人では無い上にアークエンジェルに来る前から身体を重ね合う仲で、それにユート自身が性欲の強いタイプという事もあってか、マリュー・ラミアスも慣れてない艦長職のストレス解消を言い訳に、あっさりと身体を許してしまっている。

 

 これで相手が他の男なら急所を打ち抜いてでも拒んだろうが、既に抱かれたユートであったからこそ強引に来られたら拒めなかったのだ。

 

 どうでも良いが、身長こそ一九〇cmと中々に長身なユートも肉体年齢は一六歳、申告年齢的には二五歳という事に成っているから実の処はマリュー・ラミアスの方が歳上だったりする。

 

 飽く迄も対外的な年齢は。

 

 ユートの実年齢? は抑々、本人も知らないというか覚えていない。

 

 前世や前々世や果ては疑似転生までも含めたら最早、何万年を生きてきたのかユート本人にすら判らない程の年数に至るのだから。

 

 とはいえど前々世は含めた処で僅か二十数年、万の年月からしたならば無いにも等しい時間。

 

 だけれど万の年月が過ぎ去っても尚忘れ難い、それは真の意味で輝いていた時間でもあった。

 

 漸く第八艦隊に近付きつつある事に巨乳を揺らしながら撫で下ろすマリュー・ラミアスだけど、ユートからの忠告を忘れている訳では無かったから気を抜いてはいない。

 

 それはブリッジクルーや格納庫のメカニック、その他の要員も必ず地球降下前にZAFTの艦隊が現れると心しており、ムウ・ラ・フラガ大尉としても疲弊しない程度にルブリスの扱いを上達させるべく、戦闘に於けるシミュレーションに毎日を勤しんで過ごしている程だ。

 

 尚、原典との違いとしてはキラ・ヤマトが勝手にラクス・クラインを返してしまった訳では無かったので、軍事法廷モドキで本来なら銃殺刑モノだから二度とやらない様にと釘刺しが無くなって、キラ・ヤマトを籠絡する為のフレイ・アルスターの謝罪モドキも無く、寧ろ終始まるで好意を寄せてしまったかの如く動いている事であろう。

 

 どちらにせよ、サイ・アーガイルからしたならモヤモヤとする筈だ。

 

 ユートも今の内にシルバーフレームにテコ入れをしていき、再びアークエンジェルを留守にしてロウ・ギュールが率いる艦の“ホーム”へ。

 

 何も、マリュー・ラミアスと閨ってるだけでは無い。

 

「うわぁ、赤いフレームと銀のフレームって彩りが綺麗ですねぇ」

 

 レッドフレームとシルバーフレームを交互に見遣りながら、黒髪で後ろ髪をアップにした女性が感嘆の声を上げているが如何にも怪しい。

 

(ジュリ・ウー・ニェンか、来ていたんだな)

 

 オーブの“アストレイ三人娘”としてファンからは受け止められ、その気になれば結構な人気が出そうだったのを何故か、最後の闘いで三人共が雑に死なされたので堪らなかった。

 

 監督が嫌っていたからとか何とか噂も有るが、取り敢えず勿体無いから死なせたく無い娘達だ。

 

 チラ見はガン見と変わらないと聴くけれども、ユートは上手く自身の気配を周囲に紛れ込ませているからか、ジュリ・ウー・ニェンの胸をガン見していても気付かれていない。

 

「痛いっ! もう、何なのよ~って! 嘘!?」

 

「どうした?」

 

「これ、どうして此処に!?」

 

「ロウが拾ったらしいぞ?」

 

「拾ったって、そんな……」

 

 ジュリ・ウー・ニェンは驚きの余り絶句する。

 

「恐らくはこいつもガンダムアストレイの腕だ、視るからに綺羅綺羅な、金色のフレームみたいだから差詰めゴールドフレームって処かね」

 

「ガ、ガンダムですかぁ?」

 

 口調を戻して訊いて来た。

 

 今のジュリ・ウー・ニェンはオーブの出身で、モルゲンレーテ社に勤めるテストパイロットでは無くて、ジャンク屋組合に所属しており紹介されてやって来たマリーンである。

 

「ボ、ボディは? 他のパーツは何処に有るんでしょうか!?」

 

「サハク家の御坊っちゃんが持って行った筈だ」

 

「ギナ様が!?」

 

「ほう、ギナ様……ね?」

 

「あ……」

 

 すっかり化けの皮が剥がれているマリーンだったけど、それでも未だに取り繕っている辺りからP02であるレッドフレームを狙っている。

 

 ホームがドッグから出発、然しどうやらロウ・ギュールが作業を話し込んで遅らせてしまって、延滞料金が結構な額を取られてしまった。

 

「それで、あの新人さんはどうなのかしら?」

 

「ちっとポンコツな処は有るが、メカの知識は大したもんだよ……ありゃ、素人じゃ無~な」

 

 プロフェッサーからの質問に両手を頭の後ろ側で組みながら答えるロウ・ギュール、マリーンという存在に多少の違和感は感じていた様だ。

 

「それって、モルゲンレーテとかアクタイオンに居たとか?」

 

「まさか、そんな所の人がジャンク屋になんて成りませんよ」

 

 山吹樹里の意見を、リーアム・ガーフィールドが否定する。

 

「そうだ! ユートさんに御願いが有ります」

 

「改まってどうした?」

 

「実は私の兄とその奥さん、更に他にも仲間達が木星に向けて出発をしたのです」

 

「シニアスだな?」

 

「っ! 貴方は、御存知だったのですか?」

 

「木星に行こうなんて随分と酔狂な真似をする、とはいえその木星圏に住んでいるのが僕らだな。頼みはシニアスとその仲間を木星圏で受け容れて欲しいって処かな?」

 

「はい。一からいえ、〇から造るには木星圏とは過酷で遠過ぎます。ですが既に住んでいる貴方の所であれば……と思ったんですけどね」

 

「ま、構わんよ。木星圏連邦国家は大国が三つと小国が二つ存在している。木星帝国とジオン王国とザビ星国とシン・セー公国とOZ女皇国。どの国に所属させたら良いかな?」

 

「どれがどんな国か判りません」

 

「全部が女性の王で、僕がその皇配って事に成っているな。とは言ってみても、基本的には全てを僕が用意をしたんだけどね」

 

 最初に建国したのがジオン王国とザビ星国で、最終的には木星帝国を建国後にバランスを取るという目的で、シン・セー公国とOZ女皇国も建国をして、名前の通りに王にしてしまった訳だ。

 

 シン・セー公国にはエリクト・サマヤ女公王を就かせ、エリクト・サマヤとスレッタ・マーキュリーの母親であるエルノラ・サマヤを宰相にする事で政治を廻し、OZ女皇国にはマリーメイア・クシュリナーダを女皇として、レディ・ドゥを宰相という形で傍に置いた。

 

 エルノラ・サマヤの肉体は、少なくとも夫達やエリクト・サマヤと共に在った頃にまで戻して、普通に健常者としての振る舞いが出来る。

 

 エリクト・サマヤにしても、肉体を与えているから見た目にはスレッタ・マーキュリーと双子と云われても不思議では無いくらいに似通ってて、立場的にスレッタ・マーキュリーは公女だ。

 

 そんなスレッタ・マーキュリー公女の花嫁扱いをされてるのがミオリネ・レンブラン、勿論だけど飽く迄も形だけの謂わば“ごっこ遊び”に近くて、どちらも……エリクト・サマヤを含めてユートと【閃姫】としての契約をしている。

 

 マリーメイア・クシュリナーダ女皇というのは元々が、自ら地球の王の如く振る舞うテロリスト的な存在だった訳だが、彼女の父親がトレーズ・クシュリナーダかどうかはユートも遺伝子検査なんてしてないから闇の中だけど、いずれにしても一度は王に成りたがったのだからと女皇にした。

 

 レディ・ドゥは所謂、綺麗なレディ・アンとしてマリーメイア・クシュリナーダの傍に居た為、彼女を宰相に就かせて政治手腕を振るって貰う事にして、【閃姫】契約も当然ながらしてある。

 

 この【機動戦士ガンダムSEED】世界に於いて、木星圏連邦国家の使うMSはユート自身は兎も角として基本的にジオンはジオンの、OZはOZのとそれぞれのMSのレプリカを使っていた。

 

「シン・セー公国は可成り弛めで、小国で拘りの有る人間も少ないからお奨めかも知れないな」

 

「では、取り敢えずはそのシン・セー公国? で」

 

「判った、伝えておく」

 

 大国なだけあってあの三国は拘りの有る人間が多いし、自由を謳歌したいのなら弛めな小国であるシン・セー公国は確かに良いだろう。

 

 其処へ鳴り響くアラーム。

 

「あら?」

 

「どうした、プロフェッサー?」

 

「シルバーフレームが、格納庫の扉を破って外へと出たわ」

 

『『『何だって!?』』』

 

 原典ではレッドフレームを奪取しようとしていた筈だが、どうやら改造の度合いが大きかったからシルバーフレームに欲張ったらしい。

 

「ジュリ! あのお莫迦! シルバーフレームはGの掛かり方がえげつなくて、コーディネイターの軍人でさえ下手に動かしたら死ぬぞ!」

 

 ユートは即刻、宇宙に出てシルバーフレームを追い掛ける。

 

 Gの掛かり方に関しては、トールギスに乗った一般のOZ兵というのを想像すれば解り易い。

 

 翔んでいる様にも見えるが、明らかにジュリ・ウー・ニェンは気絶をしてしまっているのだ。

 

 この侭では間違いなく死ぬ。

 

「まったく、ジュリも世話の焼ける事だよなっ! 異界次元(アナザーディメンション)ッ!」

 

 異界次元――代々の双子座の黄金聖闘士が扱う異次元を開く秘奥技、その本来の使い方はと云えば敵を異次元へと追放をする事、然し異次元を謂わばゲートとして移動をする何て真似も実は可能となっている。

 

 目の前に開かれた異次元の扉をユートが潜る、その先はピッタリとシルバーフレームのコックピット内、ユートがすぐに緊急停止をしてやるとシルバーフレームは停まった。

 

「ジュリ?」

 

 返事が無い。

 

「矢っ張り気絶を……生体反応が無いな。気配を感じない」

 

 どうやら只の屍の様だ。

 

「チィッ!」

 

 盛大な舌打ちをしつつも、シルバーフレームのコックピットブロックに存在する特殊な空間へのゲートを開き、ジュリ・ウー・ニェン横抱きにしてゲートへと飛び込んだ。

 

 其処はまるで高級ホテルの一室、冷蔵庫やTVやキッチンに洗濯機にバスルームにベッドまで。

 

 木星圏連邦国家のMSは全てがこれと同じ処置が成されており、仮に撃墜されてもコックピットブロックだけで生き残れるし、水も空気も循環されて何年でも暮らせる空間だ。

 

 詰まり、水不足や窒息死や餓死を心配しなくとも良いのである。

 

 ユートはジュリ・ウー・ニェンのノーマルスーツを引き裂き、素っ裸に剥いてしまうと心臓マッサージに人工呼吸にAED的な電気ショックを与えての甦生措置を執った。

 

 AEDその物を持ち合わせてない、だからユートは自身の持つ医療知識に則って心肺甦生――胸骨圧迫と人工呼吸を行っていく訳だ。

 

 尚、素っ裸にする必要性は無かったりする。

 

「かはっ!」

 

 どうやら心臓の鼓動が再び脈打ち、ジュリ・ウー・ニェンの呼吸も自発的に出来る様に成った。

 

「あ、私……?」

 

「漸く起きたか、ジュリ・ウー・ニェンさん?」

 

「は……え?」

 

 目を見開くマリーン改めジュリ・ウー・ニェンだったが、既にバレているのならそれを誤魔化そうとしても意味は無いのだろうと考える。

 

「私の事、知ってたんだ」

 

「モルゲンレーテ社に所属をして、エリカ・シモンズ主任の下で量産機であるM1アストレイのテストパイロットをしているんだろう?」

 

「そんな事まで?」

 

 正直に驚いたのか、ジュリ・ウー・ニェンは溜息を吐きながら纏めてあった後ろ髪を解いた。

 

 マリーンから本来の髪型に戻り、眼鏡を掛けようとしてハッとジュリ・ウー・ニェンは気付く。

 

「って、私……裸!?」

 

 見るからに同じ年頃の男の前で素っ裸という、余りにも羞恥心を刺激する格好に真っ赤だ。

 

「君は心肺停止状態だったし、当然ながら息の根が止まっていた」

 

「し、死んでた!?」

 

「だから、電気ショックや胸骨圧迫や人工呼吸をして君が甦生をする様に頑張った結果がそれだ」

 

 女の子座りで秘部を、左腕でそれなりに豊かな双丘を隠すジュリ・ウー・ニェンを指してやる。

 

「そ、それは助かったわよ。だけど待ってよ? 舞ってよじゃ無く! ブラジャーは仕方が無いにしても、ショーツを取る必要は有った?」

 

「電気ショックは上半身に行うんだから、有る筈が無かろうよ」

 

「下心満載じゃないのよ!」

 

 いっそ清々しいまでに言うユートにガァァッ! と叫ぶ。

 

「MS泥棒が女だった、なら捕らえてヤるべき事をヤるだろうに」

 

「なっ!?」

 

 ジュリ・ウー・ニェンが、スザザザザッと後ろの方へ退いた。

 

「モ、モビルスーツ泥棒って言うけど、アストレイは元々が私達の物よ! そんなアストレイを取り返して何が悪いって云うの!?」

 

「抑々、ロンド・ギナ・サハクは自身が確保をした機体以外は破棄しようとしていた。その時点でゴールドフレーム以外のアストレイの所有権を、オーブは自ら捨てたのだと判断をさせて貰った」

 

「ギ、ギナ様~」

 

「従って、シルバーフレームは僕。レッドフレームはロウが、ブルーフレームは叢雲 劾がそれぞれ所有権を主張しても問題は無い。グリーンフレームは知らんけどな」

 

 サハク家の御坊っちゃん、ロンド・ギナ・サハクの仕出かした事に思わず頭を抱えてしまった。

 

「まぁ、シルバーフレームって言うか元々の色であるグレーフレームのレプリカは既に造ってる。そちらを渡すだけなら可能だな」

 

「レ、レプリカァ!?」

 

 木星圏連邦国家驚異の技術力で、ユートから送られてきたデータからレプリカを造ってしまったのだ。

 

「無改造なレプリカじゃあ、持って帰っても意味が無いわ……」

 

 自分ではよく解らない改造が施されていたから価値が高い、無改造なガンダムアストレイなんてデータが充分に存在しているのだから。

 

「さてと」

 

「え、何故にじり寄って来るの?」

 

「行ったろ? シルバーフレームのオーブが持っていた所有権は既に放棄されている。詰まりは、君がやったのは単なる盗賊行為に他ならない。女盗賊の末路なんてのはとっても惨憺たるもんだ」

 

「うぇっ!?」

 

 赤かった頬だけど、ジュリ・ウー・ニェンの顔は全体的に血が上ったのか真っ赤っかと成った。

 

 何とか逃げようとするジュリ・ウー・ニェン。

 

 だが、元々が閨を前提なキングサイズのベッドだったとはいえ、大きさには限りが有るのだからすぐにも行き止まりに突き当たってしまう。

 

「ちょっ、まっ……」

 

 結局、ジュリ・ウー・ニェンはMSを奪うのが失敗をした挙げ句、割りと大切な処女(はじめて)を奪われてしまったのだと云う。

 

 

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