『いーえっくすスキル』が無いとシャーレに入部できないらしい   作:流石兄者

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書いている小説の地の文を書くのに疲れ果てた為、息抜きに書きました。会話文がかなり多めです。
モブちゃん2名がバカなことだべってるだけですが、良ければみていってください。


『いーえっくすスキル』の定義

 

 ミレニアムの一角に存在する、『バカみてぇな機械を作る部活』。通称『バ部』。

 この入浴剤みたいな名前が扉に飾られている部室に、慌ただしく駆け込んでくる者がいた。

 トリニティの制服を身に纏い金色の髪の一部を後ろに結ったその少女は、息を整えた後叫ぶ。

 

 

 自身たちのプロフィールが書き込まれた入部届。その量産を止めるために。

 

 

「中止!『10枚中9枚が私達のになるレベルでシャーレに入部届を送り付けよう』作戦、通称スパム作戦は中止だよ!」

「なんで?もう1000部も刷っちゃったのに」

 

 そう返すのはどこぞのセクシーフォックス並に袖が余っている銀髪の少女。

 長い前髪によって目が隠れているためその表情は伺えないが、いまだにガションガションいいながら記入済み入部届を量産しているプリンターを止めないあたり、不満ではあるらしい。

 

「『いーえっくすスキル』っていうのが無いと、シャーレに入れないんだって!」

「マジ?」

「だから作戦中止!そのプリンター止めて!」

「やむを得ないね……」

 

 銀髪の少女は無念そうにプリンターの方を向くと、長い袖を利用した鞭打をプリンターに叩き込む。

 スパァンという爽快感のある音と共にプリンターを沈黙させた後、振り向いてこの作戦を中止させたものに問いかける。

 

「で、『いーえっくすスキル』って何?」

「私の調べたところによるとね、必殺技であり、圧倒的な力であり、人権らしいよ」

「……人権?え、じゃあ私達、いま人権無いの?」

「ないねー」

「ないんだ」

人権(ちから)が欲しいか……?」

「……人権(ちから)が、人権(ちから)が欲しい……!」

「その願いは叶えられない。私の力を超えている」

「まあ人権すら持ってない神じゃ無理か……」

「殴ってほしいという願いなら、いくらでも叶えてやろう」

「ほんと?じゃあ自分自身を殴って」

「さらばだ」

「無能が……」

 

 

【このお話は、2人のモブちゃんがシャーレに入るために人権(ちから)を手に入れようとする話です】

 

 

 

 満足するまでわちゃわちゃし終わった2人は、入部届の海をかき分けて移動し始めた。

 あともう少し止めるのが遅かったらラフメイカーに助けを求めなければならなかったレベルで埋もれている部室を。

 苦労してたどり着いた机に2人は座り、例の『いーえっくすスキル』とやらについて話し始めた。

 

「『いーえっくすスキル』ねぇ……。圧倒的な力とかなんとか言ってたけど、具体的には何なの?」

「そうねぇ。うーん、奥の手というかなんというか……。

 ゲームで例えるなら、『アビリティ』とか『技』にあたるものかな。敵を攻撃したり、味方にバフをまいたり、回復したりするものもあるんだって」

「なるほど、ほんとに『スキル』なわけだ。それをシャーレ所属の人達はみんな持ってるの?」

「1人1つね」

「マジか……でもいきなり必殺技を作れって言われてもなぁ。うーん……」

 

 銀髪の少女は背もたれに寄りかかりながら近くに落ちていた入部届を適当にひっつかみ、裏面に必殺技の案を書き始めた。

 ある程度書いては消し、書いては消し、なぜか頬を染めた後にウーと唸り声をあげ、紙をくしゃくしゃに丸めてぶん投げた。

 そしてその奇行を愉快そうに眺めていた少女に問いかける。

 

「だめだ、やっぱり良いのが思いつかない……そうだ、シャーレの生徒たちはもうスキル持ってるって言ってたよね?」

「うん」

「実際のを参考にすればいいじゃん!どんなのがあるの?」

 

 その質問を受け、金髪の少女はしばらく考え込むそぶりを見せる。思い出しているというよりは『何から話せばいいか』を迷っている様子だった。

 やがて考えがまとまったのか、指を一本立てながら話し始めた。

 

「そうだねぇ、じゃあまずは真似しやすいのから話そうか」

「お、いいね。助かるよ」

「これはあくまで一例だけど、閃光手榴弾(スズミ)を投げる、パーソナル(ユウカ)シールドを展開する、味方の頭上(セリナ)に救急箱を投下するってのがあるね」

「……最後の危なくない?場合によってはとどめになりそうだけど。『必(ず味方を)殺(す)技』だったりする?」

「これがね、不思議と大丈夫なんだよ」

「へぇー不思議……。それにしても、手榴弾を投げるだけでいいなんて随分と簡単だね。

 ちなみに真似しにくいのは?」

「真似しにくいの?えっとねー

 

たまたま(ヨシミ)上空を飛んでたミサイルを撃ち落として敵陣に叩き込むとかー

「そんなどっかの暗殺バーコードハゲ(47)みたいなのもあるんだ……」

 

狙撃した(マシロ)対象に追い打ちとして真上からクソデカい十字架を叩き込むとかー」

「シャーレに神様混ざってるの?」

 

銃声一つ(カヨコ)で敵全員の戦意を喪失させたりとかだねー」

「覇王色の覇気持ってる奴いるじゃん。別の作品からいらっしゃってるじゃん!」

「真似できないでしょ?」

「生まれ直せばワンチャンあるかな」

「今世じゃ無理かぁ。

 まあわざわざこの人外たちのマネしなくていいと思うよ。発明品で戦ってる人達(ハレ、ウタハ)もいるし、そっち路線行けばいいんじゃないかな」

「なるほど、そっちなら私も……待って」

「どうしたの?」

「そのミサイル撃ち落とせる人ならさ」

「ヨシミさん?」

「ヨシミさんって言うんだ。ねぇ、その人ならさ」

 

 

「……エデン条約のあのミサイル事件も、防げたんじゃない?」

「──防げただろうね、間違いなく」

 

 

「かぁー、マジか!かっけぇー!ヨシミさんマジかっけぇー!」

「……ヨシミさんさえあの場に居ればね、先生は無事だったんだ。おそらく、敵の妨害にあって辿り着けなかったに違いないよ」

「やっぱり敵も対策していたんだね。クソッ……組織め……」

 

 机に拳を叩きつけ、いまいち正体がよくわかっていないテロ組織に対して怒りをぶつける少女たち。

 彼女たちの脳裏には、たった一発の銃弾でミサイルを迎撃してみせる凄腕の傭兵 ヨシミが存在していた。卑劣な敵の遅延工作さえなければ、この幸せなIFは存在していたのだと。

 ヨシミ本人が聞いたら酷く狼狽えるだろうであろう話を語り終えた少女たちは、自分たちの技をどうするかの話に移ることにした。

 

 

「よし、じゃあ私の『いーえっくすスキル』は発明品を取り出して使うってことにしようかな。ふふ、そんじゃそこらの人には負けない自信があるよ!」

「あ、ちなみにシャーレには敵味方(コハル)識別機能付き炸裂回復手榴弾を使う人がいるよ」

「自信なくなったわ。

 え、何?味方かどうか判別して的確に回復するとかそういう?うーん、識別タグつければ……いやでも……」

「惜しいね、敵は爆破して味方は回復させる手榴弾」

「心折れたわ」

 

 目から光が消え去り、机に突っ伏してしまった相方を慌てて慰めるため、金髪の少女は言葉を尽くした。

「君はすごいよ!」「がんばれ♡がんばれ♡」「Just Do It!!!!!!」などなど。

 心が折れた少女は耳元で叫ばれた辺りで復活し、原因を袖ではたいた後に再び話に戻った。

 

 

「どう?なにか思いついた?」

「そうだねぇ……。やっぱりさ、敵の攻撃って喰らいたくないじゃん」

「うん」

「でも盾を持つと片手しか使えないし、かといって避けるなんて無理じゃん?」

「そうだねぇ……どうにかなればいいけど、もしかして~?」

「そこで私が提案するのは第三の選択肢!すべてを吸引する掃除機!『バイソン』!

 従来の3000倍の吸引力で敵の放つ銃弾をすべて吸い込み、味方を守ります!」

「おぉー!すごい、オ〇キュームみたい!」

「やめて、言われると思ったけどやめて」

「それで吸い付いた敵を地面に叩きつけるんでしょ。名付けてガンガンスマッシュ!」

「先生に引かれるよそんなことしたら。"君ってアマゾネスみたいだね"って言われたら引きこもるよ私。

 ……そっちはもう決まってるの?」

「私の『いーえっくすスキル』はね、いわゆる支援系かな。味方の士気を上げるよ」

「お、バッファーか。いいね、どうやるの?」

 

「お金を──」

「考えうる限り最悪の出だしだね」

「──ばら撒く」

「その四文字だけは来ないでほしかったなぁ。なに、支援って経済的支援?」

「私の経験上、最も早く、なおかつ効果的に士気を上げる方法はお金をあげることだよ」

「過去にどんな経験をしたらその結論が出るの?」

「聞きたい?トリニティの現実(リアル)

「聞きたくない」

「賢明だね。よし、じゃあこれを引っ提げて先生のところに行こう!いま先生面倒ごとに巻き込まれているみたいだから、見せるチャンスだよ!」

「ほんと!?よしきた、行くよバイソン君!初陣じゃー!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いやー、まさか味方の弾丸すら吸い込むとは思わなかったよね……」

「先生からすっごい微妙な視線を向けられてたね」

「そっちは先生に叱られてたね。"お金は大事にしなさいって"」

「効果はあったんだけどね……アビドスの子達(セリカとシロコ)はすっごいやる気出してたし。

『また一緒に戦いましょ!』とまで言われたんだよ?」

「お金をばらまいたのかい、贅沢な奴だねぇ。今日からお前の名前は金蔓だよ。返事をしな金蔓」

「名前金蔓かあ。まだ千の方が良いよ」

「……スパム作戦、やる?」

「まあ基本的人権は得られたしね。やろっか」

「やっぱこの手に限るね」

 

 

 説明

 

トリニティ一般生徒モブ 金蔓

 

 特に部活には入ってない。

 自身が知りえない情報を電波として受信する能力を持っている。あくまで受信するだけであり、検索はできない。

 これによりEXスキルのことを知った。

 

 最近受信した情報

『EXスキルについて』

『先生が所持している叡智本の隠し場所』

『美食研究会が次に行こうとしている飲食店の場所』

『巡航ミサイルの発射コード』

 

 

EXスキル Pay to Win(金払って勝つ)

 

 お金をばら撒きながらゆっくりと前進する。

 自身を除く円形範囲内の味方に対して攻撃速度増加を付与。さらに弱体状態を1つ解除。

 

 

・ミレニアムモブB

 

『バカみてぇな機械を作る部活』略して『バ部』に所属。部員総勢一名。

 作ったものの性能の一部分を頭おかしいレベルまで上昇させる能力を持っているが、コントロールできていない。

 

 最近の発明

『吸引力だけはバカみてぇに強いただひとつの掃除機 バイソン』

『銃声だけはバカみてぇにうるさいハンドガン (とどろき)

『射出の勢いだけはバカみてぇにすごいトースター 天井ぶっ壊す君』

 

EXスキル 強制安全地帯

 

 ヤバい掃除機を取り出し起動。飛んでくる銃弾をすべて吸い込む。

 扇形範囲内の人物は攻撃を与えられず、また受けることもない。これは味方にも適用される。

 

 

・バイソン

 

 本体の部分に勇ましいバイソンが描かれているオレンジ色の掃除機。吸引力3000倍。

 吸引音を文字に起こすと「マ゛ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!!!!」という感じ。

 




あぁ、シスターマリーよ…。
ヨシミのEXスキルが『ロケットに乗ったヨシミが敵陣に突っ込んだ後、敵を巻き込んで自爆する最高にロックな技』だと勘違いしていた私をお許しください…。
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