『いーえっくすスキル』が無いとシャーレに入部できないらしい 作:流石兄者
ミレニアムの一角に存在する、『バカみてぇな機械を作る部活』。通称『バ部』。
この部活は『なんにでもBluetoothつけようとするのはいいけど、自爆装置だけは絶対に許さない』という悲しい方向性の違いにより、エンジニア部に入らなかった銀髪の少女が作ったものである。
その部室にはいつものようにトリニティの制服を身に纏った金髪の少女が訪れ、だべっていた。
「でさー、そいつが言ったのよ。『なんか寒いと思ったら横乳出てました!』って!」
「え、あれ意図して出してたものじゃなかったの!?そういうファッションなのかと思ってた……」
「いやー、あんな痴女みたいな格好はファッションとは呼べないよ」
「おっそうだね。あなたのとこの
「やっべウチにも居たわファッションモンスター」
「また小難しいお説教されちゃうー!」と叫びながら、おそらくアビドス以外勝者が出ないであろうこの話題を切り上げようとした金髪の少女。
その瞬間、彼女の動きがピタリと止まりその目は虚空を映し始める。
そして相方はその姿を見て察した。
「お、またなんか受信したね」
それは金髪の少女が持つ異能力。
学園の機密情報から先生の昨日の晩御飯まで、自身が知りえない情報を受信するその能力は不定期に発動する。
今回はどんな情報を手に入れたのかとワクワクしながら待っていると、少女の目に光が戻った。
「どう?なんか面白い情報知れた?」
「……まずいよ」
「え、何が?」
「『ノーマルスキル』っていうのも無いと、シャーレに入れないんだって!」
「そんなぁ!?……あ、だからこの前入れなかったのか!」
「しかも『ノーマルスキル』は、ノーコストバージョンの『いーえっくすスキル』であり、2番目に重要なスキルであり、人権らしいよ!?」
「待って、この前人権は手に入れたじゃん!それも人権なの?」
「シャーレの人権はドラゴンボールシステムを採用しています」
「全部集めないと効力発揮しないの!?」
「しないの」
「ちくしょう!こんなに人権を得るのが難しいなんて私知らなかった!」
【じ。 ー人権の運動についてー】
確かにつかみ取ったはずの人権が、実は蜃気楼だった。
そのショックはあまりにも大きく、ミレニアムの銀髪の少女はすっかり落ち込んでしまっている。
それもそのはず。
彼女たちは『シャーレの窓をぶち破れるほどの勢いで入部届を射出する装置の開発』通称【プロジェクト・恐怖新聞】を無事に完遂し、この後シャーレに書類を提出する直前であったのだ。
時速880kmで入部届を提出することができる大砲が遂に完成し、一休みしているときに受信してしまった出鼻をくじくようなこの情報。
悪気はなかったとはいえこの状況をもたらしてしまった金髪の少女は、落ち込んでいる相棒を慰めるため優しく声をかけた。
「そう落ち込まないでよ。またこの前みたいに一緒に考えよう?」
「やっとシャーレに入れるって……先生と一緒に過ごせる時間が増えるって思ってたのに……また遠のいちゃった……」
「まあまあ、こういう時は逆に考えるんだよ。準備時間が増えたんだって!
そうだ、先生の前ではどういうキャラで行くつもりだったの?」
「どういうキャラ……?」
その質問に銀髪の少女は顔を上げた。
落胆から疑問へと感情が移り変わったのをみて、ここが好機とばかりに畳み掛ける。
「なにせシャーレはおもしれー女のバーゲンセール!ちょっとバカみたいな発明してるからって、油断して行くとすぐ飲み込まれて空気になっちゃうよ!」
「そうなの?それは嫌だなー。先生には構って欲しいし、できればお時間いただきたい……」
「ならいいキャラを考えないとね!私はもう決めてあるから、そっちのを一緒に考えてあげる!」
「え、もう決まってるの?……どんなのか、聞かせてもらってもいい?」
「お、聞いちゃう?いいよー、じゃあ再現するね」
そういうと金髪の少女は立ち上がり、胸を張った。
そうして自信満々な笑顔で高らかに叫ぶ。自身はこういう人間だと。
「トーリトリトリトリ!生意気なやつに頭から紅茶ぶっかけるの気持ちよすぎニティねぇ!」
「見損なったぞ尾○くん!」
「趣味はレンガで人を殴ることトリ」
「え、ほんとにそのクソ雑な〇田っちトリカスで行くつもりなの?嘘でしょ!?」
「あ、レンガって言っても1000万円の札束の隠語ニティよ?」
「そのフォローあってもヤバいやつから嫌な金持ちにシフトしただけだよ!」
「さっきから文句が多いトリねぇ。そういうお前はどういうキャラでいくつもりニティ?」
「え、あ、私?い、いや、こんなすぐには決められな……」
「ほら、ハリーハリー!お紅茶が冷めちゃうニティよー!」
「え、えぇー!?えーと、そのー…………ミ」
「ミ?」
「ミ、ミーレミレミレ…………///」
「………………」
「…………///」
「ふむ、続けて」
「え!?い、いや、これ以上は……何も……」
「横領した金でシムシティするの楽しすぎニアムとか言えばいいじゃん。あれ、横領した金でカジノだっけ?」
「どっちも正解だよくそったれ!!!!なんでさっきからそうマイナス方面を押し出すの!?印象最悪じゃん!」
「人はマイナス方面のことはよく覚えるものだよ。トリニティでは特にね」
「急にそのキャラでシリアスなこと言わないでもらえる!?」
「トップがやらかすと下がめちゃくちゃになるのはどこも同じトリよ。お互い大変ニティねぇ」
「そうなんだけど、こんな奴に同意したくねぇ……」
「これでばっちり先生に覚えてもらえるニティ!」
「そうだね。勢いあまってブラックリスト行きだね」
すっかり普段の調子を取り戻した相方。
それを見て満足そうに微笑んだトリカスは、ノーマルスキルの話に移ることにした。
「じゃあ、お互いのキャラも決まったところで『ノーマルスキル』考えよっか」
「私はあのキャラで行かないからね!?
……今回も、どんなのがあるか教えてもらえる?」
「よしきた。えーとねー。
「あーユウカさんねー。
いつか『最初から2丁持ちじゃだめなんですか?』って聞きたいんだけどさ、メガトンキックが怖くて聞けてないんだよね」
「
「え、なにそれ!?もう神話じゃん。今のうちに崇め奉った方がいいんじゃない?」
「40秒毎に敵1人に対して、水風船を投擲して攻撃力の164%分のダメージ。投擲された水風船を中心として周囲にまだ攻撃が当たっていない敵がいる場合、水風船がその方向へ跳ねて同じダメージ(最大6回まで)(この攻撃は敵の防御力を80%無視します)とかあるよ」
「長い長い長い長い長い!なに、物理学の問題読んでた!?」
「どう、参考になった?」
「ううん、全然♡」
「そっか♡
まあそうだね、○○秒おきに○○するってのが多いかな。攻撃でもバフでも、何でもいいけど時間はきっちり守らないといけないみたい」
「先生はなぜか戦闘時間に厳しいよね。あとちょっとで倒せるってときも5分過ぎてたら撤退させるし。なんでなんだろアレ」
「多分先生はちょっとエネルギー効率がいいウルトラマンなんだと思うよ。今度カラータイマー無いか探してみ?」
「それやるには胸元探らないといけないんだけど……。それにしても、毎回きっちり守るの大変だね」
「そう、だから大技を設定するならその分間隔空けないとつらいぞ~」
そう脅かすように話すと銀髪の少女は、うーむと悩み始めた。EXスキルの為に戦場で掃除機を担がないといけないので、これ以上デカい荷物は増やせない。
なにか良いのはないものかと頭をひねる彼女にひとつ提案が飛んでくる。
「そんなに小難しいことしなくても大丈夫だよ。
「なるほど……ちなみに、貴方はもう決まってるの?」
「もちろん!聞きたい?」
「聞きたい!」
「いいよ~。私はねー。
15秒毎に札束で人を殴ります」
「嫌な金持ちだなホントに!」
「キャラは一貫してた方が良いでしょ?」
「出だしが最悪だったばかりに……
もっとさ、能力を生かしたほうがいいんじゃない?いろいろすごい情報握ってるわけだしさ……味方にやる気を出させるとか、敵を脅すとか!」
「うーん、なるほどね。一理あるよ。じゃあ──」
「お、なになに?」
「戦闘中に『先生の今日のパンツの色は──○○!!!』って叫ぶ」
「うわぁ、えらいこっちゃ……」
「相手の行動を阻害することができると思うんだよね。いわゆるセクシーコマンドーってやつ?」
「多分、味方も被害甚大だと思うな。……ちなみにさ、受信してたりする?今日は何色かって……」
「黒」
「わぁ、大人だ……///」
この後、しばらくの間両頬に手を添えなにやら悶えている銀髪の少女と、それをニコニコしながら眺めるトリカスという穏やかな空間が生まれた。
ひとしきり悶えた後、我に返った少女は誤魔化すように自身の考えたノーマルスキルを話し始める。
「え、えーと、私はね……」
「うんうん」
「そうだ!この間開発したものにちょうどいいのがあったんだ!」
そういうと彼女は部室の一角にある開発品の山をあさり始めた。
どう見ても粗大ごみの山にしか見えないが侮るなかれ、どれもこれも、性能の一部がバグレベルで上昇してる一品なのだから。
その中から彼女は筒状の装置を取り出し、それを掲げながら説明を始めた。
「あったよ、冷却グレネード!」
「お。ということは、敵を凍らせるの!?すごいじゃーん!」
「ふふん。これはね、以前開発した『マジでバカみてぇに患部を冷たくする冷却スプレー』を中に入れて、周囲にまき散らすように設計したものだよ!」
「あーアレね。試しに人形に使ったら漫画みたいにカチコチになったやつ」
「そうそれ!この『ゲームではよく見るけど現実にはない兵器』冷却グレネードならロマン好きの先生も喜ぶはず……!」
「よし、じゃあこれを引っ提げて先生のところに行こう!またもや先生面倒ごとに巻き込まれているみたいだから、見せるチャンスだよ!」
「ほんと!?よしきた、行くよ氷河期発生装置君!初陣じゃー!」
「いやー、そういえば凍らせた後のこと考えてなかったね」
「うん……悪いことしたなぁ」
「カチンコチンになった上に、溶かすためとはいえ火炎放射器で火あぶりにしたもんね」
「無事に助かったけど、メッチャ怯えられた……」
「まあ、許してもらえたし結果オーライよ。怒られずに済んでよかったじゃん」
「そっちは怒られてたね。"お金は大事にしなさいって言ったよね!"って」
「反省してま〜す♡」
「やっぱり、よく似合うかもね。クソ雑尾〇っちトリカス」
「うおっ急にすごい罵倒!」
説明
・トリニティ一般生徒モブ クソ雑尾〇っちトリカス
ノーマルスキル
15秒毎に、敵1人に対して攻撃力の〇〇〇%分のダメージ。混乱状態を付与(5秒)
この攻撃は近接攻撃である。
自身の近くに敵がいない場合、最も自身に近い敵のところまで移動して攻撃する。
Q どーしてそんなにおかねをもってるのー?
A それはねー、のーりょくでてにいれたじょーほーを、ばいきゃくしてるからだよー!
Q どんなじょーほーをうってるのー?
A こんなのー!よかったらきみもかってねー!
・『先生の好みのタイプ』 購入者 数多の生徒と黒服
──クックック、また先生に関する情報があればご連絡ください。購入させて頂きますよ。
・『銀鏡イオリの卒業アルバムの入手方法』 購入者 先生
──なるほど、ブラックマーケットで買えるんだ……。ありがとう!イオリの情報入荷したらまた連絡ちょうだい!
・『連邦生徒会長の現在位置』 購入者 七神リン
──あなたに渡した連絡先は連邦生徒会のホットラインです。また情報が入ったら直ぐにこちらにご連絡ください。莫大な報酬を用意してお待ちしております。
……拒否は認められません。
Q すごーい!でもこれってー、こじんじょーほーじゃないの?
A なにそれー?わたししらなーい!
Q 本当にシャーレに入部したいの?
A いや別に?微塵も興味ないよ。だからあの子に教えてないのさ。
ほんとは全部知ってるから、いっぺんに教えればそれで済むのにね。
・ミレニアムモブB
ノーマルスキル 氷河期発生装置君
30秒毎に、円形範囲内の敵に対して攻撃力の〇〇〇%分のダメージ。
さらに30%の確率で凍結状態を付与(3秒)
Q どーしてシャーレにはいりたいnA シャーレに入ったら先生のお時間を頂けるって聞きました!!!!!!
入れてください!!!!!!!!!