え?殺し屋?いえ、ただのアルバイトです   作:僕アルバイトォ!!

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テンポよく行こう、テンポよく。


新しいバイトの子

 

 

「……なあにこれぇ?」(遊戯)

 

ある日、いつものようにバイトに来たら店の中がしっちゃかめっちゃかになっていた。

 

棚はぶっ倒れガラスも割れ、店内で熊でも暴れたんかと思うほどの荒れよう。

 

「ヒロか」

「あ、うすテンチョー。なにかあったんすか?」

 

「昔の部下に襲われた」

「殺し屋ん時の?」

 

「ああ」

 

端的な返事に頭を抑える。

これでも俺はしっかりテンチョーの過去を知ってる。知った上でここで働いている。

 

「抜けたやつは始末的な展開?」

「そうらしいな」

 

「……やめたの何年前だっけ?」

「花が産まれる前にはやめてる」

 

「じゃあ少なくとも5、6年前か……」

 

それなのに今になってくるかね。

いい迷惑だ。こっちには一般人もいるですよ?ちったあ自重して欲しいものである。

 

「少し、騒がしくなると思う」

「まあいいすけど……とりあえず来たやつは片っ端からやればいいんすよね?」

 

「ああ……だが──」

NO KILL(誰も殺さない)でしょう?わーとりますって」

 

「ならいい」

 

嫁さん、葵さんとの約束で人はもう殺さないことを誓っているテンチョー。

だからこそ殺し屋もやめたわけなのに……まだ狙われるとか災難すぎるもんだ。

 

さてと、そんなことより。

 

「……今日のお仕事は店の掃除か」

「……頼んだ」

 

「テンチョーもやるんすよ。てか、部下の人にもやらせるべきでしょうよ」

「気絶させて家に運んでおいてる。意識が戻るのはもう少し先になりそうだった」

 

「うへぇー、だる」

 

エプロンを首に掛け、竹箒を手に外へ出る。

まずは割れたガラスの破片を片付けていくか。

 

 

 

 

 

「あら、ヒロちゃんお疲れ様」

「お、婆さんこんちゃ!」

 

「よーっす、ヒロ。遊ぼーぜー」

「仕事中じゃいクソガキ。なんならお前も手伝えぃ」

 

「ヒロー!また暇な時畑の手伝い頼むぞー!」

「時間があればなおっちゃん!腰痛めんなよ!」

 

 

 

 

 

外で仕事してればかけられる声の数々。

だいぶ、俺もこの街に馴染めてるのかと実感できる。

 

さて、一通り外の片付けは終わった。次は中の方を整理整頓しなければ──

 

「テンチョー」

「………どうした?」

 

「中の片付け、全然終わってねぇじゃねぇですか」

「あいにく、ちょうど腹ごしらえの時間でな」

 

「カッブ麺5個も食ってちょうども何も無いでしょうよ。てか食いすぎっす。ゴミ増やさんでくれねぇですかね?」

 

増えた仕事にため息がこぼれる。

最近ため息しかしてないな。まずいな。俺の幸せが逃げていってしまう。

 

とりあえ倒れた商品棚を並べ直して、って……

 

「これベッコベコじゃねえすか。買い換えないといけねっすよ」

「……っ」

 

「テンチョー、思っきし蹴飛ばして部下の人を棚にぶち当ててぶっ倒したでしょ」

「………」

 

「まーた、金かかる。とりあえず取り寄せなきゃいけないし……届くとすれば早くて来週か?その間は……こっちの棚に詰め詰めで並べるしかないか」

「大丈夫だ、金なら俺の貯金で何とかなる」

 

「そーいうこと言ってる訳じゃあないんすけどねぇ!!」

 

相変わらずの天然。

天然属性が許されるのは面のいい若い女だけだぞ。

 

アラサーの小太り男の天然なんて需要ありません。

 

 

▼▼▼

 

 

さて、そんなこんなな1日を終え、現在坂本家食卓。

 

「花ちゃーん」

「お兄さーん」

 

いつもの様に俺もご同伴に与ることにしているわけで花ちゃんを相手しながら待っていると……、

 

「……はっ」

 

「あ、起きた」

「起きたー!ねえパパこの人起きたよー!」

 

ソファで寝ていたタロさんの部下らしき人が目を覚ました。

 

「よぉ、具合は?痛むところはあるか?」

「え、いや、あの……と、特には。あの、ここは?」

 

「坂本商店2階の坂本家」

「あら、起きたのね。良かった良かった。よかったらご飯食べていってね。ヒロ君はご飯いつも通りメガ盛りでいい?」

 

「あ、おなしゃす」

 

そう言って台所へと向かった葵さん。

さてさて、テーブルの上を片付けてご飯の準備をしなきゃ。

 

「タロさん、飯の時間ー」

「………」

 

「お前も……お前名前何?」

「え……あ、朝倉シンです」

 

「そ、ほらシンもこっち来い」

「あ、はい」

 

戸惑う男、シンにそんな声をかける。

ここの家主じゃないのに俺が仕切るのなんだかなぁ。でも、タロさん口下手で全然喋らんから俺が会話しないと進まないんだよなあ。タロさんもっと喋れ。

 

「じゃ、いただきます」

「召し上がれ〜」

 

ひと口パクリ。うむ、相変わらずんまい。

シンも一口食べて感動のあまりじんわりと涙を浮かべてらあ。美味しいよね、葵さんの手料理。

 

「プッ……昔のあなたと同じ反応してる」

「パパー」

「………」

 

これぞ家族の空間。何気ない日常。

ほんわかいい空気感。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、夕飯を食べ終えシンが店を出て帰っていった後、店内に残った俺とタロさん。

 

カウンターに座りヘッドホンで何かを聞く彼の横に立つ。

 

シンの拳銃に仕込んだ盗聴器。

それ腰に聞こえる会話。誰がタロさんの始末を依頼したのかの確認だろうか。それともシンがまだ信頼出来る仲間かの確認か。

 

いずれにせよ、やがてタロさんはヘッドホンを置き立ち上がった。

 

「行くんすか?」

「……ああ」

 

「俺はいらないっすよね?」

「一人で十分だ」

 

「じゃあ、今日は上がらせてもらいますか。お疲れ様っしたー」

「……ヒロ」

 

「……?」

 

帰ろうとした俺を呼び止めるタロさんに振り返る。

 

そうして見せてきた新しいエプロン。それの胸元には"シン"と書かれた名札が付いていた。

 

「明日から新しいバイトが入る。先輩として頼んだ」

「……うす」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そうして翌日。

 

「あ、今日からバイトで入ります朝倉シンです。よ、よろしくお願いします…?」

「あいよー、よろしく」

 

お店に新しい仲間が増えた。やったぜ。




文才が欲しいなあ。
ついでに書くモチベもください。
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