え?殺し屋?いえ、ただのアルバイトです   作:僕アルバイトォ!!

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サカモトデイズは話が進むにつれて面白くなるから序盤の方は飛び飛びのテンポよく進めたいね。


武勇伝と黒歴史は紙一重

 

 

「──んじゃまあ、文房具類とかはこの棚に」

「はい!」

 

「日用雑貨品とかはここね」

「はい!」

 

「弁当とかはここに並べんだけど、賞味期限が近いやつを手前に新しいのを奥にって感じで並べてねー」

「はい!」

 

朝倉シン君がお店にやってきてから数日。

仕事も板に付いてきて、後輩ができたんだなあとしみじみ実感する今日この頃。

そんな中、今日も今日とてテンチョーはカウンターでカッブ麺をすすっている。仕事せぇよこのデブが。

 

「レジ打ちとかはおいおいね。んじゃ俺表の掃き掃除でもしてくるから」

「はい!」

 

うーむ素直。いい子だなぁ。

テンチョーを殺しに来たって話だったけど、殺し屋さんもやっぱり話せばいい人はいるんだろうな。コミュニケーション、やっぱり大事。

 

それにしても喉が渇いた。おちゃとか水とか葵さんに貰ってこよっかな。

 

「あ、先輩どうぞ」

「お、水じゃん。さんきゅー。気が利くなあ」

 

キャップを開け口をつけごくごくと飲んでいく。

ああ〜喉がうるおう〜。

 

「……ヒロ」

「ん?なんすかテンチョー」

 

「98円だ」

「……あ、これ商品だったのね」

「あ、なんかすんません」

 

「んー、まあいいよ。気にしないで」

 

ちょっと常識足りない部分があったりするけど良い後輩だ。常識がちょっとあれなだけで。

 

にしても、いいねえ後輩。

この調子でバイトの子増えたら嬉しいなあ。

 

 

▼▼▼

 

 

「今日からよろしくネ!」

 

翌日、中華娘の子が新しくバイトに来た。

スパンがはえぇ…!

 

いやまあ後輩増えろと思ったけどね。うん。

にしたって、今まで増えなかったバイトがここ数日で2人増えるとか……なんだこれ?

 

「あ、先輩。こいつ陸少糖(ルー・シャオタン)。新しいバイトです」

「おう、よろしく。ちなみにバイトの経験とかは?」

「ないネ!」

 

「……うん、そっか」

 

ふぅー、シンとルーの2人の後輩ができたのはいいが後輩を育てるってのは慣れてないからどう教えていけばいいか。

 

「ちなみに先輩。こいつ元マフィアの娘です」

「なんてこった」

 

殺し屋2人とマフィア1人とか何この個人商店。終わってない?大丈夫?

地元の方々から怖がられない?

 

「あ!バイトしたことあったネ!」

「お?」

 

「パパの手伝いで何か入った麻袋を土に埋めたりしたことあるヨ」

「ヒュ〜♪バイオレンス」

 

うーん、やってけるかこれ?

 

 

 

「並べ方雑ッ!」

 

「どーして飲み物のとこに洗剤があるんですぅ?」

 

「お、弁当綺麗に並べてんじゃん……本棚にだけど」

 

「この菓子、袋破けてぇーら。やばすぎワロタ」

 

 

 

 

「よぉーし、ルーのことはシン。お前に任せた」

「ちょ…!先輩…!?」

「ヒロは少し細すぎるネ」

 

細くねえよボケ。

シンよりもさらに……いや数倍常識知らずだとは。悪い子じゃないんだろうが難しいぞ。扱いが。

 

そんなことを思い、向かった先はカウンター。

 

シンとルー、2人の後輩がやいのやいのと騒いでるのを視界に収めつつテンチョーの横に腰掛けた。

 

「……どうだ、楽しいか?」

「しんどいっすわ。せめてバイトは常識ある子とりませんかね?」

 

「教え甲斐があるだろう?」

「甲斐がありすぎてもはや投げ出したいレベル」

 

この数時間、ルーの相手をするだけで肩がこった気がする。

とりあえずあれだな。ルーのお世話はシンに任せよう。そうだなそうしよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そういえば先輩って坂本さんとどういう関係なんですか?」

「おん?なんだシン。唐突だなあ」

 

仕事中、ふとした瞬間にそんな質問が飛んできた。

どういう関係かあ……なんていえばいいんだろ?

 

「んー?ヒロも殺し屋じゃないのか?」

「いや、殺し屋じゃないぞ……あー、テンチョーこういう時はなんていえばいいんすかね?」

 

「……殺し合った仲」

 

「「……え?」」

 

「あーまあ確かに?」

 

まあ、嘘じゃないか。

仲間になって、敵になって、そこから同僚になった。端的な流れはこれだ。

 

まあ、俺が"10歳頃"からの知り合いだからもはや気の触れた仲なわけである。

 

「えーと……つまりどういう……?」

「JCCの先輩後輩。そっからテンチョーの仕事邪魔して……なんやかんやで坂本家の始めた店に俺が誘われた」

 

「うぉおお…?なんか一気に情報が……」

「JCCってなにネ」

 

「殺し屋の養成機関。まあ殺し屋の専門学校って感じの場所だな」

「へー、そんな場所があるのカ」

 

全寮制の4年制の学校。

生徒数は1000近く、教員は35人ほど。

 

まあ、俺は途中で学校に行かなくなったけどな。

 

「……ん?でもあれ?坂本さんって今何歳でしたっけ?」

「27だ」

 

「先輩は?」

「21」

 

「……6歳差も離れてるのに先輩後輩なんですか!?」

「あそこは年齢不問なんだよ。ただしその代わり編入試験はクソムズいけど。その試験で死ぬやつだって普通にいるし」

 

あれはなあ、しんどかったなあ。

思い出すだけで乾いた笑いが出る。

 

「え?じゃあヒロは何歳でその学校に行ったヨ?」

「10だな」

 

「「若すぎ!?」」

 

「もしかして有名な殺し屋一家の長男とかですか!?」

「いや、普通の生まれ」

 

「なんでそんなとこに行ったネ……」

「家出して行くあてなかったから……」

 

「「……っ」」

 

絶句する2人。

今考えてもあの時の俺は馬鹿だなあと思う。誰だって思う。

 

ヤンチャヤンチャしてたしなあ。

まあ、俺の"特異体質"のおかげで何とかなったが……普通なら死んでたでアレ。

 

佐藤田の婆さんには世話なったなあ(しみじみ)

 

「じゃあ坂本さんの仕事邪魔してたってのは……?」

「学校行かなくなってから殺し屋じゃ無くて用心棒業をちょくちょくやってたんだよ。別に俺殺し好きじゃないし。んで、テンチョーのターゲットの用心棒してた時何回か……みたいな?」

 

「……え?もしかしてヒロって喧嘩強い…?」

「いやー全然ッ!痛いのやだし──」

 

「強い」

 

「「え?」」

 

否定しようとしたところに聞こえてくるテンチョーの声。

やめてくれよテンチョー。もうヤンチャは卒業して平和に生きてるんだから。

 

「近接じゃ敵無し……射撃や武器術は平均より上で高水準ってだけだが身体能力……特にパワーは俺の知る限りだとヒロ以上はいない」

 

「「えー……」」

 

「やめてくだせえよ。こちとらもう不用意な暴力やめようって決めてるんすから」

「……そうだな」

 

そう言って新聞を手に取り読み出すテンチョー。

全く、余計な事ばかり言うんだから。

 

「シン」

「なんだ?」

 

「これからはあんまりヒロを怒らせないようにするネ」

「そ、そうだな」

 

聞こえてるぞ後輩ズ。

 

はぁーあ、昔のこと話してると懐かしいな。

"あいつ"は元気にしてるかなあ。




主人公の過去を少しだけ。
詳しくはもっと話が進めば出てくる……だろうけどそこまで続くかはまだ未定。
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